DX推進を支えるデータ連携基盤
多様化するデータ利活用ニーズへの的確な対応を実現

1．データ連携処理の自動化により業務効率を向上するとともに、現場のデータ利活用を支援
2．新たな発想に基づくデータ連携が可能になり、データ活用の範囲を拡大
3．IoTデータやRPAツールとの連携も視野に、さらなる業務効率化に期待

松とオレンジから採取される天然由来の植物精油「テルペン」を主原料とした工業原料を製造しているヤスハラケミカル。接着・粘着剤、自動車関連部材などの製造に欠かせない原料となるテルペン樹脂を扱っています。食品包材や段ボールの封かんなどに利用されるホットメルト接着剤や、香料原料となる化成品をメーカーに提供するなど、産業への高品質・高付加価値品の安定供給を通じて、人々の生活の向上や社会の発展に貢献しています。

同社では、以前よりBIプラットフォームの「WebFOCUS」を活用し、販売管理や原価情報など基幹システムに蓄積されたデータを閲覧・分析する環境を整備していました。しかし、ここ数年におけるDX推進の大きな潮流の中で、製造現場の情報やインターネットから取得可能な情報を活用して業務に生かすことが求められ、データ活用基盤の再整備が必要な状況になっていました。情報システム室 室長 藤岡 裕士氏は当時の状況を次のように振り返ります。

藤岡氏 　基幹システムから抽出した原価や販売、仕入れ情報等をDWHに格納し、データを可視化するなどでWebFOCUSを活用していましたが、時間の経過とともに基幹システム以外の、例えば業界動向や景況感等の情報も取り入れて業務に活用したいというニーズが高まってきました。そこで、社内外に分散している様々なデータソースを集約して活用するために、新たな仕組み作りの検討に着手しました。

そんな折にアシストから、データ活用を推進する基盤としてデータ連携プラットフォーム「DataSpider」を導入する仕組みを提案されました。 情報システム室 主任 光成 桂氏は、その時の印象を次のように振り返ります。

光成氏 　GUI操作で機能をつなぎ合わせるだけで、必要な処理が実装できるデモは印象的で、プログラムを駆使せずにデータ連携処理を内製化できそうな印象を強く持ちました。DataSpiderを導入することで、潜在的なデータ活用のニーズに幅広く対応できると考えたのです。

光成氏とともにDataSpiderの開発・運用を担う情報システム室 リーダー 加藤 愛子氏は次のように語ります。

加藤氏 　社内には色々なデータを組み合わせて業務に活用したいというニーズがあり、DataSpiderを導入することで、既存のシステムに不足している部分を補完し、業務の効率化につながると考えました。

当初、DataSpiderを導入する判断は想定外だったと感じていた藤岡氏ですが、業務全体を見渡すと、DataSpiderの導入がデータ活用の推進につながる可能性を秘めていたと語ります。データ抽出・加工処理の外部委託による開発費用や納期の問題も同時に解消できる期待がありました。

藤岡氏 　ちょっとしたデータ集計などにも費用が発生します。DataSpiderを導入して内製化することが、業務の効率化とコスト削減への近道になると判断しました。また、WebFOCUSに関して手厚くサポートしてきたアシストに対しても、データ連携処理の内製化を実現するための支援に期待を寄せ、DataSpiderの導入を決断しました。

データ連携処理を内製化したことで、社内ではデータ活用の広がりを見せています。基幹システムから取得した各種マスターや実績データと、基幹システムには存在しないデータを組み合わせて業務部門用の簡易DBに投入する仕組みは、品質管理や営業、購買等の業務効率化に役立っています。

光成氏 　従来はマスター情報をExcelで管理していたため、二重入力の手間や入力ミスの問題が発生しがちでした。マスターを自動取得することで転記が不要になり、入力ミスも解消されました。

様々なデータを組み合わせて業務に活用する仕組みの整備は、DataSpider導入前には考えられなかったと藤岡氏は語ります。

藤岡氏 　基幹システム以外の情報も組み合わせてデータ活用したいというリクエストは各部門から上がっていました。従来のシステムでは大規模な改修を必要としましたが、DataSpiderと業務部門用DBを連携することで、多様なニーズへの対応が可能になりました。外部委託していた業務を内製化できるようになったので、年間でも数百万円単位のコスト削減につながっています。

蓄積したノウハウは、基幹システム以外のデータ活用にも効果を発揮しています。人事管理の例では、労務管理情報の取得と部門長へのメール通知を自動化することで手作業が不要となり、毎月発生していた業務負荷を解消しています。さらに、利用するデータ範囲は社内システムにとどまらず、オープンデータの活用も進んでいます。

加藤氏 　原材料の動向確認のため、財務省が発表している貿易統計のデータをAPI連携で取得し、年間の推移をExcel化してWebFOCUSのダッシュボードに出力する仕組みを整備しました。Web上のデータも手軽に活用する仕組みはDataSpiderの導入による新たな発想から生まれたものです。

また、開発や運用ルールの策定や整備の時にも的確な支援があり、開発・運用に役立っているとアシストを高く評価します。

光成氏 　当初はDataSpiderの開発に不慣れなこともあり、エラーが発生することもありましたが、サポートセンターから迅速かつ的確な回答が得られました。サンプルの提供も役立ちました。サポートセンターと担当技術が的確に連携していることも心強いです。

手作業で行っていた処理の自動化により、属人化していた運用が解消され、データ活用が進み、DX推進に向けた環境整備にDataSpiderが大きく貢献しています。今後は、製造機器の情報はもちろん、センサーデータを活用して品質管理に役立てたるなど、IoT環境におけるDataSpiderの活用についても検討していく方針です。

藤岡氏 　センサー情報を取得するだけでなく、他の情報を付加する加工処理でもDataSpiderを利用し、データ活用の幅をさらに広げていきたいですね。

加藤氏 　アシストが導入事例で紹介しているRPA連携に興味を持っています。すでにRPAツールを一部導入していることから、さらなる効率化に向けて、ユーザー事例などご紹介いただけると助かります。

ヤスハラケミカル株式会社様へお話をお聞きしたインタビュー記事をPDFでお読みいただけます。

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。