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「アメリカの最新BIトレンド」~WebFOCUSの開発会社Information Builders,Inc.のKevin Quinn氏の講演より~

 アシストでは1997年より情報活用分野における主力取扱製品としてBIプラットフォーム「WebFOCUS」を販売しています。開発元である米国Information Builders, Inc.(IB社)、製品担当副社長のKevin Quinn氏が来日し、米国におけるBI市場のトレンドおよびWebFOCUSのロードマップについて講演を行いました。

BIの最新動向


 米Information Week誌に、「今IT専門家が関心を持っている最先端のBI技術は何か」という調査結果が掲載されました。選択肢は10項目ありましたが、項目を分類するとアナリティクス(分析)、ソーシャルメディア、ビッグデータ、モバイルBIの4つに分けられることがわかりました。言い換えるとこれが現在のBI市場のトレンドであると言えます。ここでは、この4つのトレンドに対するIB社のソリューションについてお話しします。

アナリティクス(分析)


 最も注目を浴びている「アナリティクス」には4種類あり、1つは、スコアカードやダッシュボードのような記述式アナリティクスで、ビジネスにおいて過去に何が起きたのかという質問に答えるための分析を行うもの、2つ目は診断的アナリティクスで、なぜそのような出来事が起きたのかという質問に答えるためにクエリー分析を「Data Discovery」などのソフトを使って行います。3つ目は予測分析で、次に何が起きるのかを統計学的モデルを使用して予測します。そして4つ目が処方的アナリティクスで、予測される事態を最適化するには何をしたらよいかという処方を行うものです。

 アナリティクスはすでにあらゆる業界で使用されており、WebFOCUSユーザである米ミシガン州警察を例にとると、どの地区で最も犯罪が起き易いかを予測する分析を行い、犯罪率の高い地域に警官を多く配備することで、警察の仕事を最適化しています。また、ダッシュボード上で数種類のアナリティクスを実行し、交通事故の多発する地区を予測して、その場所に警官をあらかじめ配備することで交通事故を未然に防ぐだけでなく、渋滞発生率の低減に成功しています。


 WebFOCUSにはオープンソースである統計分析ソフトウェア「R」が組み込みまれており、大量データの活用により将来何が起きるかの予測が可能です。これらの予測は、単に直感に頼るのではなく、ダッシュボード上でエンドユーザ自身が分析を行うことで統計データに基づく意思決定を可能にします。小売業であれば売上げに関する様々な指標を参照でき、またユーザ自身がコンテンツを個々に追加して独自のダッシュボードを作成することもできます。

 WebFOCUSで構築したダッシュボードはすべての表が自動的に相互に更新され、記述式、診断的、予測的、そして処方的な分析機能すべてを、使いやすい形で提供しています。

ソーシャルメディア


 ソーシャルメディアは世界的に大きな現象となっており、Facebookユーザは10億人を超えるとされています。新聞記事によると、アメリカでは35%の人が朝起きて最初にするのがFacebookをチェックすることだという調査結果もあり、もはやその影響を企業も無視することはできません。多くの先進的な企業は、いかにしてソーシャルメディアをビジネスに利用していくかを検討しているところです。

 これに対してWebFOCUSは、データ・アダプタによりFacebookやTwitter、Linked-Inなどのソーシャルメディアからレポートやダッシュボードを作る機能を提供しています。データ・アダプタを利用して企業のWebページへアクセスし、ソーシャルメディアに登録されたプロフィールから投稿している人の性別や生年月日だけでなく、投稿したコメントがプラス、マイナス、または中立かという感情分析を行うこともできます。またどのような言葉が頻繁に使われているのか、それを「ワード・クラウド」という形で示すことができます。例えばウォルマートのFacebookページを、アダプタを使って1ヵ月間分析した実例があります。どのようなプロフィールの人が、どれくらい、どのような言葉で投稿しているのかを分析するのです。たとえば、この例では、ウォルマートがステーキ用の肉のプロモーションを行った日にどのような投稿が多かったのか、それによってその販促の成否を調べることができ、ドリルダウンしていくと実際に投稿されたコメントを読むこともできます。このようにソーシャルメディアの公開情報には誰でもアクセスできるため、IB社のアダプタを利用すれば自社だけでなく競合他社のイベントや販促に関する顧客の評判を調べることが可能になるのです。


ビッグデータ


 もう1つの大きなトレンドはビッグデータで、インターネットに累積されている膨大なデータに企業がアクセスすることで、ビジネスへの理解をより深めるというものです。今インターネット上にあるデータの90%は過去2年間に作られたものであるということからも、いかに急速に増えたかがわかります。またビッグデータは、その膨大な量と速さに加え、多くの種類があるのも特徴です。

 これに応じてIB社はアダプタを提供し、様々なデータソースへアクセスできるようにしています。ビッグデータ向けのソリューションとしては、Hadoopやカラム型データベースへのアダプタも提供しています。また、そのようなデータベースと組み合わせて高い圧縮率とハイスピードなクエリーを実現する独自のソリューションも提供しています。

モバイルBI


 4つ目のトレンドはモバイルBIです。スマートフォンやタブレットはもはや企業活動に欠かすことはできず、多くの企業でBYOD(Bring Your Own Device)の採用が進んでいます。モバイルアプリの開発には3つのアプローチがあり、1つはネイティブのアプリケーション開発で、アップルストアからダウンロードするAppsなどがそれにあたります。もう1つはWebアプリで、ネット上にあるコンテンツに対してWebブラウザを使ってアクセスします。3つ目がこの2つを組み合わせたハイブリッドアプローチで、ネイティブアプリからWebコンテンツにアクセスする方法です。

 IB社はこのハイブリッドのアプローチを採用し、どんなデバイスもサポートしてWebコンテンツへのアクセスを可能にしています。BYODにより企業は様々なデバイスに適用するコンテンツを提供する必要がありますが、デバイスによって画面の大きさは様々です。IB社では、IT開発者向けに Application Studio、業務ユーザ向けにはインフォアシストという2種類のツールを提供し、これらを使用してデバイスを意識しないワンソース・マルチデバイス開発を実現していきます。つまりデスクトップで作成したコンテンツは自動調整されてスマートフォンやタブレットなど、あらゆるモバイル環境でも表示が可能となるのです。スマートフォンのように画面サイズが小さい場合は、コンテナが分割して表示され、順番にスワイプして見ることができます。このような適用性の高い設計のほかに、端末の場所がどこにあるのかといった位置情報がわかる機能も備えています。IB社が提供するネイティブ・アプリは「Mobile Faves」というもので、ユーザはここからレポートやダッシュボードなどのBIコンテンツを各種モバイルデバイスに電子メールのように配信することができます。そして受信側は使用するデバイス、ブラウザ、プラットフォームにかかわらず、瞬時にそのBIコンテンツを共有することが可能になるのです。

IB社が目指すもの


 BI市場には今述べた、アナリティクス、ソーシャルメディア、ビッグデータ、モバイルBIという4つの大きなトレンドがあります。このトレンドに対して、IB社では様々なアナリティクス機能を提供し、ソーシャルメディア用アダプタを提供することでビジネスへの取り込みを可能にしています。Hadoopやカラム型DBによってビッグデータの企業における活用はさらに低コストかつ迅速に行われるようになっていくでしょう。モバイルBIについてはもはやトレンドというより、常識といった方がよいかもしれません。なぜならインターネットの検索の50%はモバイルで行われているからです。何か調べたいことがあれば、外出先でも、私たちはすぐにGoogleで答えを見つけられるようになっています。

 同じようにビジネスでは、経営者や現場の社員は、社内のシステムをGoogleで検索するようにして企業内情報を容易にすばやく検索したいと思っているのです。私たちIB社は、製品の革新を進めることでそのニーズを満たそうとしています。

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