アシストテクニカルフォーラム2020 開催報告

お礼
アシストテクニカルフォーラム2020を10月22日にオンラインにて開催しました。
企業のIT部門の皆様に最新の技術情報をお届けすることで、課題解決の一助としていただきたく、5つのテーマで全36セッションをラインナップし、2,161名に参加登録いただきました。(セッション登録者の延べ数は、4,606名でした。)
特別講演の坂村 健様のセッションはじめ、アシスト技術セッションをご聴講頂いた方に、この場を借りて深く御礼申し上げます。
本イベントが、コロナ禍における企業活動やニューノーマルな生活様式における自社のビジネス推進のヒントとなれば幸いです。
株式会社アシスト 執行役員 本部長 大山貴志
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特別講演

デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて
― 可能性と課題 ―
INIAD(東洋大学情報連携学部)
教授 学部長 坂村 健 氏
<プロフィール>
INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長、工学博士。東京大学名誉教授。IEEE Life Fellow。YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長。
オープンなコンピュータアーキテクチャTRONを構築、家電などの組込OSとして世界中で多数使われている。2015年、国際電気通信連合(ITU)創設150周年の記念式典にて、情報通信のイノベーションを通じ、人類の生活向上に多大な功績のあった世界の6人に選ばれ、ITU 150 Awardを受賞。
講演概要
現在、インターネットをはじめとしたネットワークが、社会を支える重要なインフラとなり、多くの仕事がネットワークベースに移り変わっています。
① 社会で進むDX
日本だけでなく、世界的にも話題になっているのがDXです。DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術によるイノベーションのことを指します。改善ではなく「根本的な変革(イノベーション)」に重点を置き、現状の業務プロセスを完全に見直し、長期的な視野でデジタル化により業務変革をしていくことを目指しています。コロナ禍をはじめ今までのやり方では立ち行かないような環境において、DXは「質の向上と低コスト化の両立」を可能にする唯一の解であると、世界的にも考えられるようになってきています。
DXでは、「今できることからやってみる」「まずはスピード重視で動かしてみる」というアジャイル型開発の考えが求められており、アジャイル型開発を推進した「オープン」ソースの充実と「API(Application Program Interface)」の概念も、キーファクターです。オープンソースやAPIを活用すれば、全てを自前でプログラミングする必要はなくなり、少しのプログラミングですごいことができます。つまり、チャレンジがローリスクで、容易にできるようになります。たくさんのチャレンジが行われるようになれば、イノベーションが生まれる可能性も増大します。
しかしながら、他人が書いたプログラムを理解するためには、プログラミングスキルは不可欠です。現在の日本企業にはICT開発要員を自社内に持っていない企業が大半といわれていますが、スピード感を持ってDXを推進していくためには、現場を理解している社員にプログラミングを理解してもらうこと、そのための再教育が有効です。デジタライゼーションの意義を現場が理解すれば、DXに向けて現場の積極的な協力が期待できます。
②「オープン」の力
②-1:オープンプラットフォーム志向で考える
常に考えなければならないのは、プラットフォームを構築して、その上でDXをするということです。そしてそのプラットフォームを、オープン志向で作っていくということです。日本の場合、すぐに要素技術の話、具体的な応用方法の話になり、ターゲッテング型開発になってしまいがちですが、プラットフォーム志向がないと、部分最適で過剰適応となり、全体最適ができなくなってしまいます。インターネットはオープンなプラットフォームだったからこそ、世界を変えることができたのだと思います。
②-2:すべてがAPI連携するIoS(Internet of Services)社会へ
オープンプラットフォームの上でいろいろなサービスが連携すれば、アイデアを素早く実現でき、DXが加速されます。DXの効果を最大化するには、社会スケールの完全DX、全てが繋がるIoS社会を目指す必要があります。そんな考えのもと、様々な存在(物、人、組織、行政)がAPIで連携できるようになり、それらが提供するサービスも互いに連携できるようになれば、それこそが未来の社会の姿(IoS社会)ではないでしょうか。
③今後の課題
このように、全世界はオープンAPIでシステム連携して、大きなシステムを素早く作るという方向に動いていますが、日本はあらゆる面においてこのオープン性に出遅れています。
③-1:「オープン性」において日本は出遅れ
日本は、要素技術もあり、先行研究も盛んだったはずなのに、いつの間にかIoTにおいて後塵を拝しています。思うに、日本はコミュニケーションコストが高い時代に、知っている人と阿吽の呼吸で仕事を成功させたため、ネット社会が普及した現在においても、その成功体験、クローズ志向から抜けられていないのが問題だと思います。日本は、クローズ、すり合わせ、メンバーシップ、ギャランティ、系列グループ、囲い込み、局所最適という方向で社会ができていますが、これに相対するものが、現在、世界が目指している方向になっています。私たちも、新しい世界が目指す「オープン性確保によるエコシステム形成」の潮流を理解する必要があります。
また、社会インフラ自体がイノベーションを起こすことも重要です。日本の場合、技術や最終イメージだけが注目され、社会でそれを実現する際に必要な制度面の改革が積み残されており、技術が完成しても、社会への出口戦略がありません。また、制度を変えることに対する抵抗が日本は非常に強いです。皆が「これから新しい制度で、新しい社会を作って行くのだ」と思わないと、改革は進みません。
③-2:行政のDXを
企業だけがDXしても、行政がDXしていないとAPI連携できません。行政のDXには制度面の課題が多いため、デジタル庁には制度の壁を突破してもらいたいと期待しています。例えば、マイナンバーを住民票を取るだけではなく、あらゆるところに使えるようにし、民間にも開放してもらいたいと考えます。
オープンな行政プラットフォームには、そのアクセス制御のためのIDが必須です。本人認証というのは国がやるべきであって、そのためにはせっかくのマイナンバーが多用途に使えないのは大きな足かせです。
また、DXには真の電子化が必要です。電子可ではなく、電子化(電子以外は認めない)前提で考えるべきです。しかしだからこそ、紙をやめる際にはデジタルデバイドなどの弱者をどのように救済するかを考える必要はあります。とはいえ、徐々にそういう人は減っていくはずです。日本でも、2020年から小学校でのプログラミング教育が始まり、そういう人たちが社会に出てくる10年後には、全くコンピュータを触ることができないという人の数は、今より減少するのは確実です。「変えない」ではなく、変えた弊害をどうなくすかをセットで考える必要があります。
③-3:「オープン」に必要なプライバシーの哲学
プライバシーは常に公共とのバランスで判断すべきものだと考えます。あまりに過度なプライバシー保護は、かえって課題を多く生み出すことにもなります。例えば、今後、サービス間連携を前提としたIoS社会を目指すのなら、今まで個人情報を許可なく提供しないことを保証してもらう権利とされていたプライバシーを、個人情報を受け取った側が、個人の益になるような意図をもって適切に情報提供を行う義務として捉えるといった、権利と義務の転換などです。プライバシーに相対するパブリックという概念についても、例えば、個人情報として個人の名前は出せなくても、統計データとしての個人情報を提供することで、誰かの役に立てるかもしれないという場合、少なくともそのように活用してもらうための情報提供を選択できる権利はあってよいと思います。
プライバシーやセキュリティは、DX化において重要なファクターです。社会全体のDX化のためには、日本が苦手なこういった哲学的な議論が必要です。それをしないと、ますます日本は世界のDX潮流に遅れを取ってしまうことになりかねません。これからのネットワーク時代におけるプライバシーについて、皆が真剣に議論をする必要があると考えます。
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毎年大変参考になる内容で助かっています。これかも継続していただけると幸いです。
本年はオンライン開催で参加し易かった点が良かったです。ありがとうございました。
特別講演を含め、最新技術情報や今後の動向について、幅広く視聴・学習でき、今後の参考になりました。
他社の取り組みについて生の声を聴けるのは大変貴重な機会だと思います。
製品を使う上で、ユーザの立場によって、どのように活用するべきかも異なる。その点、わかりやすく説明されていて、腹落ちしながら聞けました。
世の中の関心事やトレンドを知る良い機会となりました。
アシストの技術力は高く、やはり信頼できそうだと感じました。
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