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DevOpsユーザー会 2025 開催報告(2025/11/12)

2025年11月12日(水)に「DevOpsユーザー会」を、アシスト市ヶ谷セミナールームで開催しました。2022年にスタートし、今回が9回目となります。
前回に続き今回も対面形式で行いました。
「生成AIで変わる、テスト現場の今とこれから」をテーマに、開発やテスト現場で使われる生成AIについて、アシストより「バイブテスティング」について情報提供を行い、その後、5つのグループに分かれ、グループディスカッションを行いました。

1.テストを“委ねる”勇気:生成AI時代のバイブテスティング

最初のセッションは、バイブテストについてアシスト松山より発表いたしました。

株式会社アシスト 松山 晋ノ助

<サマリ>

1.開発プロセスの完全自動化

生成AIは、要件定義から設計、コーディング、テスト、デプロイに至るまで、開発ライフサイクルの全工程をカバーし始めている。特に、自然言語のプロンプトから直接アプリケーションを生成する「フルスタック型」AIの登場は、開発の内製化を加速させる可能性がある。

2.「Vibe Testing」への移行

開発速度の飛躍的な向上に伴い、テストの重要性は増大している。Vibe Testingは従来の詳細な手順書に基づくテストとは一線を画し、この課題を生成AIにより効果的に解決する手法として注目されている。
Vibe Testingにおいて重要な観点は「なぜテストするのか」という『意図』を自然言語でAIに伝えるアプローチである。AIはこの意図を解釈し、自律的にテスト計画の立案、実行、結果報告までを完遂する。

3.テスターの役割変革

テスターの役割は、テストケースを作成・実行するオペレーターから、テストの『意図とリスクを記述する』戦略家へとシフトする。この「意図記述(Intent-Driven)」という新たなスキルセットが、今後のテストエンジニアに求められる中核能力となる。

4.成功の鍵は「委ねる勇気」

Vibe Testingの導入を成功させるためには、AIの能力を信頼し、まず一度プロセスを完全に「委ねてみる」勇気が不可欠である。慎重になりすぎることでAIの真価を見誤るリスクがある。適切なガードレールを設定しつつ、実践を通じて学ぶアプローチが推奨され、約半年という短期間での組織定着も可能である。

2.グループディスカッション

5つのグループに分かれ、「生成AIを使った開発、テストの効果を最大化するには」をテーマに意見交換を行いました。

サマリ(グループA)

1.多様な業務領域でのAI活用事例

各社で生成AIの活用は、専門領域から日常業務まで多岐にわたる。営業部門では提案書の最適化、開発・運用部門ではCopilotを用いたコード生成やSQLチューニングに活用されている。特に、半年間未解決だったシステムのバグがAIを用いて数時間で解消された事例は、その有効性を示す。
さらに、議事録作成の自動要約や人事考課の文章作成補助といった事務作業の効率化にも広く利用されている。

2.最大の課題としてのセキュリティ懸念

全社的なAI導入における最大の障壁はセキュリティである。特に電力インフラなど機密性の高い情報を扱う企業では、情報漏洩リスクが深刻な懸念となっている。対策として、学習範囲を社内データに限定したオンプレミス環境や、利用範囲を制御できるSaaSの活用が議論されている。
しかし、「学習しない」設定への信頼性など、経営層の承認を得る上で本質的な課題も残る。

3.人材育成と品質担保のジレンマ

AIへの依存は、業務効率化の一方で「最終判断を下せる人間が育たなくなる」という人材育成上の懸念を生んでいる。生成された結果が正しいかを判断する専門知識は依然として不可欠であり、AIを使いこなす能力と本来の技術力の両立が求められる。また、プロンプトによって成果物の品質が左右されるため、個人のスキルに依存しない均一な品質の担保も課題である。

4.開発プロセスの高度化への期待

将来的には、テスト仕様の自動抽出や上流工程での要件定義支援など、より高度な活用が期待されている。特に、コーディング中にAIが誤りを検知し、その理由をリアルタイムに解説する機能は、単なる作業効率化だけでなく、開発者自身の成長を促すツールとしての可能性を秘めていると考えられている。

サマリ(グループB)

1.導入の期待:コスト削減と内製化

AI導入における最大の期待は、工数削減を通じたコスト削減である。特に、これまで外部に依存してきた業務を内製化し、外注比率を低減させたいという強い動機が存在する。これがAI活用の主要なゴールとして設定されている。

2.技術以上の課題:「人」と「組織」の問題

AIツールや技術そのものよりも、「人」と「組織」にまつわる課題の方がより深刻かつ切実であると現場は感じている。具体的には、AIに業務知識をいかにして教育するか、部署や役職による導入への温度差、そしてAIに業務を任せることによる従業員のスキル低下への不安といった、根深い問題が挙げられる。

3.実践的アプローチ:スモールスタート戦略

大規模な一斉導入はリスクが高いと判断されている。そのため、現場ではまずリスクの低い領域からAI活用を試験的に開始し、そこで「小さな成功」を積み重ねていくというアプローチが模索されている。この成功体験を通じて、徐々に適用範囲を広げていく戦略が有効と考えられている。

4.成功への本質:地道な課題解決の重要性

結論として、AI導入の成功は技術だけで決まるものではない。最終的な目標がコスト削減であっても、そのプロセスにおいては、人と組織に根差した地味な課題を一つひとつ解決していくことが不可欠である。これが、技術導入の理想と現実を知る現場の偽らざる実感である。


サマリ(グループC)

1.多様な業務へのAI活用の取り組み

各社は、品質管理製品へのAI機能組み込み(テストケース自動生成、脆弱性判定)、GitHub Copilotを用いたコードレビュー、レガシーシステムのコード自動変換や設計書自動生成、プロジェクト文書の評価、問い合わせ対応の自動化など、開発ライフサイクルの多様な場面でAI活用を模索している。開発からテストまでの時間短縮や品質向上が主な目的となっている。

2.共通して直面する主要な課題

AIが出力する情報の「精度」が安定せず、誤りを含むため人間による確認が不可欠という点が共通の課題である。また、機密情報を外部サービスに入力できない「セキュリティ・ガバナンス」の問題や、AIを全く使わない社員も多く「社内への利用浸透」とスキル格差の拡大が大きな障壁となっている。

3.標準化とスキル依存のジレンマ

AIモデルの進化が非常に速いため、利用ルールや効果的なプロンプトを標準化してもすぐに陳腐化してしまう。このため全社統一のルール策定が難航している。結果として、AIを使いこなすスキルが個人に依存し、成果にばらつきが生じるジレンマを抱えている。

4.今後の展望とAIとの向き合い方

AIは完璧ではなく「間違いを犯すもの」と理解した上で、アイデア出しや膨大なドキュメントからの情報検索・要約といった、AIが得意とする分野で活用する方向性が示された。まずは使ってみて経験を蓄積する「ファーストステップ」を踏み、成功事例を共有することが、今後の利用促進の鍵となる。

サマリ(グループD)

1多岐にわたるAI活用の現状と試み

要件定義、テスト設計、品質分析、議事録作成など、開発プロセスの広範囲でAI活用が進んでいる。過去の仕様書を基にしたドキュメント生成や、ソースコードからのリバースエンジニアリングも試みられているが、まだ苦戦している段階にある。また、複数のAIを競合させて結果を統合し、精度を高める高度な活用法も実践されている。

2.「40点の壁」と品質・信頼性の課題

AIによる生成物は「一瞬で40点」レベルのものが得られるものの、完成には人間の介入が不可欠という認識が共有された。ハルシネーション(AIの信用度)は依然として大きな課題である。また、生成されたコードは複雑でメンテナンス性が低くなる傾向があり、保守を諦めて都度再生成するアプローチも検討されている。

3.導入障壁と求められる人材像

AI導入には、費用対効果の証明の難しさや、上位者・ステークホルダーへの説得が大きな壁となる。AIの提案を鵜呑みにせず、その「意図」を理解し検証できる人材の育成が急務である。また、技術革新のスピードが非常に速く、現場が追いつくのが困難という課題も指摘されている。

4.勘定系への適用と将来への期待

将来的な期待として、業務が複雑な勘定系システムへのAI適用が挙げられた。特に、ベテラン人材の退職によるナレッジ喪失問題の解決策として注目されている。最終的には、開発プロセスの完全自動化による「余力の創出」や、個人の特性を学習するパーソナライズされたAIエージェントの実現が望まれている。

サマリ(グループE)

1.現在の活用状況

各社における生成AIの活用は、ドキュメント作成・検索、メール文面添削、簡易なプログラミング支援といった汎用的な業務効率化が主流である。一方で、コードレビューの自動化、自社製品仕様に関する社内向けAIエージェントの構築、テスト設計への応用など、より専門的で高度な活用に向けた取り組みが各所で始まっている。

2.共通する深刻な課題

AIの回答の信頼性、特に「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」をつく問題や、法改正などの最新情報への追随が困難である点が、実務適用における最大の障壁として認識されている。また、意図通りの出力を得るためのプロンプトエンジニアリングの難しさや、出力結果の「揺らぎ」が品質保証上の懸念となっている。

3.AI導入後の人間の役割

AIによるコードレビューなどが進む中で、「AIのレビュー後、人間は何をチェックすべきか」という新たな問いが生じている。AIに的確な指示を与え、その出力品質を担保するためのスキルセットの変化が不可欠であるとの認識が共有された。

4.将来への強い期待

将来的には、テストケース作成から実行、失敗箇所の自動修正、さらにはCI/CDパイプラインの自動構築やシステムの小規模改修まで、開発ライフサイクル全体を自律的に担うことへの期待が非常に高い。また、ユーザビリティテストの自動化や事務処理の完全自動化といった、より広範な業務領域への応用も視野に入れられている。

アンケート結果(抜粋)

次回は来年春を予定しています。希望されるテーマがあればお書きください。

  • どんな取組みを参加企業様がされているか今回同様、知ることができる場があればうれしいです。

  • 皆さんAIに関する関心が高いので、経過報告や新技術の紹介があるといいかなと思いました。

  • AIを用いた開発やテストによる工数削減の実績・実例

  • 実プロジェクトでAIによるテスト作成などの例

  • AIでの業務取組み事例など

  • AIを活用したシステム開発

  • コーディング側のツールについて

ご意見、ご感想、ご要望などご自由にお書きください。

  • グループディスカッションは初めてでしたが、貴重な機会で各社いろいろと対策されてるんだなと得るモノが多かったです。

  • グループディスカッション形式で各社様の現場の生の声を聞くことが有意義に感じました。

  • 今、生成AIでできることなどとても分かりやすい内容でした。実際に生成AIを使っての実習があれば良かったと感じました。

  • 現状を知る事ができ、勉強になりました。AIの使い方や各社の取り組みを知れて良かったです。

  • 最新の情報や、実際の現場の情報が聞けて良かったです。

  • とても刺激を受けた内容でした。

  • AIについての情報交換ができて良かった。テストのツールの紹介をしてもらえて良かったです。

  • グループディスカッションの結果をAIにまとめさせるのはおもしろい試みだと思いました。

  • グループディスカッションのまとめはびっくりしました。短時間で出来たので、よかったです。

  • テスト側のハルシネーションの確認方法は何がありますか?

次回

2026年は春秋の2回を予定しています。
参加をお待ちしております。

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【執筆者情報】
矢野 英也
ビジネスインフラ技術本部 システム基盤技術統括部 技術1部
2001年 アシスト入社
入社後、一貫して品質管理製品のプリセールス、ポストセールス(トレーニング、導入支援)を担当
JSTQB Foudation Level Certified ScrumMaster® (CSM®) 資格所有


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