AI導入はどう企画すればいい?AIの導入ステップについてわかりやすく解説
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こんにちは!アシストの山口です。
日ごろデータサイエンティスト(DataRobot社公認)として、お客様のAI導入のお手伝いをしています。
DX推進に向けAIを用いたデータ活用に取り組む企業が増えるなかで、「AIの導入を検討しているが、プロジェクトの進め方が分からない」「何から着手すればよいか、AI導入時の手順が分かるといいのに・・」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では、AI導入を推進されるご担当者の方や、AIプロジェクトのプランニングにお困りの方向けに、AI導入における基本的な流れについてわかりやすく解説します。
目次
- 導入ステップはAIの活用パターンによって変わる
- 1.すでにAIが組み込まれているソリューションを利用する
- 2.自社のさまざまな業務に合わせてAI(予測モデル)を開発する
- 3.AIを組み込んだソリューションを開発してユーザーへ提供する
- AIを導入する前に!AI活用を推進していくために知っておきたい大前提
- AIの導入プロセスは全部で4ステップ
- 1.AIで何ができるのかを理解する
- 2.自社の業務課題がAIで解決できるのかを判断する
- 3.数値的なビジネスインパクトが出せるのかを判断する
- 4.自社におけるAIの活用方針を整理する
- AI導入は従来のシステム導入と違う?AI活用のハードルが高い理由
- AIは導入して終わりじゃない、導入から活用までをご支援するAI Buddy
- 各フェーズに適した支援により、お客様のAI活用をフルサポート
導入ステップはAIの活用パターンによって変わる
「AIを活用する」とひとくちに言っても、その活用パターンは大きくわけて3つあります。
それぞれの活用パターンによって導入ステップが異なりますので、まずは自社がどの活用パターンに当てはまるのかをおさえていきましょう。
1.既にAIが組み込まれているソリューションを利用する
既存でAIのエンジンが搭載されているパッケージやクラウドサービスなどを導入し、ユーザーがAIを特に意識せずに利用するケースです。
このパターンでは、意識的にAIプロジェクトを立ち上げて推進していくということはなく、特定の業務の課題解決に向けた最適なツールとして導入されることがほとんどです。
2.自社の様々な業務に合わせてAI(予測モデル)を開発する
AIツールを導入して各業務に応じた予測モデルを構築し、自社のあらゆる業務課題をAIを用いて解決していく
ケースです。
このパターンでは、すべて内製で導入、構築、運用を行うケースと、外部のベンダーに一任するケースとでわかれます。
3.AIを組み込んだソリューションを開発してユーザーへ提供する
AIの機能を組み込んだ製品を自社で開発し、自社のお客様に提供、販売するケースです。
ある特定の業務に特化したソリューションとして提供されることが多く、ユーザーにとっては導入や構築の手間なしに
困っている問題をすぐに解決できるメリットがあります。
しかし一方で、ソリューションの内容がユーザーの実業務とうまく合わない場合は、提供元とのコミュニケー
ションが必要以上に発生するため、自社でAIを構築する以上に業務適用までの時間がかかる可能性もあります。
以上、3つのパターンを整理しましたが、AIを用いてDXを推進する場合には、2番目のパターンで、なおかつ「内製で」AI活用を推進していくことがもっとも効果的です。
その理由は、AI活用においては「自社の業務とデータ」を理解している必要があり、それらをいちばん理解しているのは自社のメンバーであるためです。
もし外部のベンダーへAI開発を依頼した場合には、自社の業務やデータの所在などをイチから理解してもらう必要があり、AI活用を進めていくうえで想定外の問題が発生する可能性があることを念頭においておくとよいでしょう。
しかしながら、「AI導入の進め方が分からない」というお悩みは、特に2番目のパターンに多く発生します。
そのため、これより先で説明するAI導入の進め方は、2番目のパターンをもとに紹介していきます。
AIを導入する前に!
AI活用を推進していくために知っておきたい大前提
「AIを導入する」となると、つい「あれもこれも」と様々なテーマが浮かんできます。AIでいろいろと解決していきたくなる気持ちは分かりますが、はじめから大きなテーマに取り組むのではなく、確実に効果の出せる小さいテーマをひとつ選んで始めましょう。
ここでいう「小さいテーマ」とは、ある特定の業務や部署の課題を解決するようなテーマを指しています。
「小さいテーマではROIを出せないのではないか」「AIの導入にあたり、上層部を説得できないのではないか」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、はじめから大きなテーマに取り組んでしまうと、もしそのテーマで思ったような効果が出せなかった場合の反動が大きく、結果として「自社でAIは使えない」と判断されかねません。
そうなってしまうと、本来は解決できるはずのAIテーマがまだあるにも関わらず、AIの導入を見送りとなってしまう可能性があるため、確実に効果の出せる小さいテーマにまずは着手することをおすすめします。
テーマは小さくても実績があれば、そのテーマを他部署へ横展開した場合にどれくらいの効果がでるのかを根拠ある数値で示せます。まずは小さな成功体験をつくり、その成功事例を社内に展開して徐々にテーマを広げていき、最終的にAIを自社のインフラとして活用していくというのが、AIを社内で活用し続けるうえでの定石となります。
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「確実に効果の出せるAIテーマって、どうやって決めればいいの?」と思われた方は、「AIスタートダッシュ超入門 」をオススメします。
ビジネスインパクトの出せるAIテーマの選定方法について、ワークショップ形式でわかりやすく解説しています。
AIの導入プロセスは全部で4ステップ
それではここで、AIの導入ステップについてご紹介します。手順は以下の4ステップあり、ひとつずつ見ていきましょう。
- AIで何ができるのかを理解する
- 自社の業務課題がAIで解決できるのかを判断する
- 数値的なビジネスインパクトが出せるのかを判断する
- 自社におけるAIの活用方針を整理する
1.AIで何ができるのかを理解する
「そもそもAIって何ができるの?」と疑問をお持ちの方へ、「DataRobot超入門 」では、AIで解決できることやAIプロジェクトへの取り組み方をわかりやすくまとめています。
2.自社の業務課題がAIで解決できるのかを判断する
「DataRobot超入門 」を読んでAIでできることをおさえたら、これからAIで解決しようとしている業務課題はAIに適したテーマなのか?を判断します。ここでポイントでは、「その課題は本当にAIで解決するべきものなのか?」を掘り下げていくことです。
例えば、場合によっては「AIでの予測」ではなく「BIでの分析」で十分なケースや、または単に「意思決定(や作業)の自動化」をしたいというケースもあります。
もし、自社の課題解決にAIが適しているのかを相談したいという場合は、いつでもアシストへご相談ください 。
3.数値的なビジネスインパクトが出せるのかを判断する
「AI導入」となると、予測モデルを簡単に作れることや、予測モデルの精度をいかに高めるかに注目が集まりがちですが、ビジネスの観点では「AIを用いてビジネス価値を生み出す」ことが重要となります。
「現状の課題がどれほど改善されたら、どれだけのインパクトにつながるのか?」を視野にいれて、効果を試算しましょう。
「試算するうえでのポイントを知りたい」という方は、「AIスタートダッシュ超入門 」でくわしく解説しています。
4.自社におけるAIの活用方針を整理する
AIの今後の活用方針によって採用するAIツールが異なってきます。
最近では、予測モデルを自動で設計、構築できる「AutoML(Automated Machine Learning)」や、作成した予測モデルを運用するための「MLOps(Machine Learning Operations)」といった機能が提供されていますが、自社の目的に応じて
AIツールに必要な機能を選択していきます。
「将来的に、業務ユーザーがAIを活用できるようにしたいのか?または、限られたデータサイエンティストのみが使うのか?」
「将来的に、全社へAIを展開して幅広い業務へ適用するのか?または、限られた業務や部署のみで使うのか?」
といったように、「企業としてAIをどう活用していきたいのか?」を整理します。
なお、「AIを業務ユーザーに使ってもらいたい」「ゆくゆくはAIを全社に展開したい」という場合には、DataRobot を導入候補のひとつとして考えていただくとよいでしょう。
上記のプロセスをまとめると、以下のようなフローとなります。
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ここまでAIの導入ステップについてご紹介しましたが、実はこれで終わりではありません。
AIは「導入」するだけではなく「活用」しなければ意味がありません。しかし、これだけ準備をして導入してもなお、実際の業務でAIを活用するにいたらないケースが多いのが実情です。
AI導入は従来のシステム導入と違う?
AI活用のハードルが高い理由
「なぜAIは実際の業務で活用されにくいのか?」に対する答えのひとつとして、AI導入は従来のシステム導入と性質が異なる、という点があげられます。
「性質が異なる」というと「従来のシステム導入とは全く異なるプロセスが発生するのでは?」と思われるかもしれません。そうではなく、各項目において「AI固有の要素」が多く含まれるということです。
例えば、「取り扱うテーマの設定」や「プロジェクトの推進体制」といった項目においては、以下のような違いが発生します。
取り扱うテーマの設定
従来のシステム導入の場合 | AI導入の場合 |
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適用する業務がある程度確立されており、導入のプロセスも明確化している | ビジネス課題に対して、どの優先順位で取り組めばよいのかが体系化されていない |
プロジェクトの推進体制
従来のシステム導入の場合 | AI導入の場合 |
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必要な役割が明確であり、推進体制を組みやすい | 担当者がアサインされたとしても各々の役割がはっきしていなかったり、そもそも必要な役割が網羅されていない |
アシストがAI活用をご支援するお客様からも、
「あらかじめ決めた業務テーマでAIを活用できると思ったが、現場の方になかなか受け入れてもらえない」
「どのような体制でAIプロジェクトを進めるべきか分からず、管理体制が整えられていない」
といったお声をいただくことがあります。
活用をみすえてAIを導入する場合、実際には自社のみで推進していくことは難しく、AIの知見をもつ頼りになる
メンバーに入ってもらうことでAIプロジェクトをスムーズに進められます。
自社のメンバーを主力に据えつつ、社外のメンバーの支援を受けながらAI活用のノウハウを蓄積していき、将来的に自社メンバーで自走できる進め方がオススメです。
AIは導入して終わりじゃない、
導入から活用までをご支援するAI Buddy
アシストでは、AIに取り組まれるお客様を伴走でご支援するサービス「AI Buddy(AI バディ)」をご用意しております。
「AI Buddy」とは、お客様の頼れる相棒(バディ)として、お客様のAIプロジェクト推進をお手伝いしているアシストのAIサクセスマネージャーと、データサイエンスの知識と資格を持ったデータサイエンティストが伴走型でご支援します。
お客様は、AI導入から活用までを外部に委託することなく、自社のメンバーを主力に据えながら、AIプロジェクトの進行と自社メンバーの育成、AIリテラシーの向上を同時に実現できます。
各フェーズに適した支援により、お客様のAI活用をフルサポート
AIの導入、推進、運用といったすべてのフェーズにおいて、それぞれのご要件に合った最適なメニューをご利用いただけます。
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特に本記事でご紹介した「AI導入フェーズ」においては、以下の4つのサービスメニューをご用意しております。
勉強会
AIおよびDataRobotの勉強会です。「AIとはどういったものなのか?」「AIでできること、できないことを整理したい」など、これから社内にAIの文化・土壌をつくっていくための最初のステップをご支援します。
課題設定ワークショップ
AIで何を解決すればよいのか、現在の業務課題は何なのかをワークショップ形式で整理して、AIテーマを選定します。お客様の業務に照らし合わせながら、AIで解決できるのかを多角的に分析し、優先順位を決定します。
課題アセスメント
「課題設定ワークショップ」で決まったテーマに対して、どのようなビジネス効果を出していくのかをお客様に試算いただき、その内容をもとにアシストがアドバイスします。
PoV支援
決まったテーマに対して、DataRobotを用いて効果が出せそうかを検証します。
AI Buddy支援の詳細は、「AI Buddyサービス紹介資料」をご確認ください
AIの導入においては、導入後の「活用」に主眼をおいて活動していくことが必要です。
期待を寄せてせっかくAIを導入したにも関わらず、業務で思ったように活用できなくて「AIは使えない」と社内で評価されてしまうことほど悲しいことはありません。
AIの導入や活用におけるお悩み、ご相談などありましたら、ぜひお気軽にアシストへお問い合わせください!
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〈 著者紹介 〉
山口 奈織(NAO YAMAGUCHI)
DataRobot社公認 カスタマーフェイシングデータサイエンティスト(CFDS)
データベース、アプリケーションサーバ中心のSEを10年担当し、Hadoopなどインフラ系OSS製品の調査・研究も経験。現在は分野・製品に問わず、お客様の課題解決のための提案活動を実施中。ITは無限の可能性があると信じ、AI事業にも参画。