生成AIで品質向上、顧客に寄り添うアシストサポートセンター【前編】
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本日は、アシストにとって最も大きな他社との差別化要因である、サポートセンターの取り組みについて紹介いたします。
CX本部 サポートサービス技術統括部 部長 錦織政幸と、DX技術本部 DX技術統括部 門馬義弘にインタビューを行いました。
HeadLine
錦織:私は1996年に新卒でアシストに入社しました。これまで主に技術メインでサポートや教育、フィールド業務、最近ではマーケティング部門に所属したのち、現在はサポートセンターのBIやDI分野の製品サポート部門を主管しています。
門馬:現在DX技術本部 で生成AI製品のサポート業務を担当しております。昨年まではBI製品であるWebFOCUSのサポート業務を行っていましたが、昨年よりサポートセンターの業務効率化を推進する「Gleanベレープロジェクト」の一環で、Glean*1の技術チームに出向しGleanならびに生成AIについて学んでいます。
180人の専任メンバーで年間24,000件の問い合わせに対応
錦織:図1はアシストサポートセンター紹介資料の抜粋です。
激しい環境変化に対応するために、我々カスタマーサポートの部門はお客様との接点として重要な役割を担っています。アシスト自体で扱っている製品は60製品以上ありますが、サポートサービス技術統括部では、アシストの主要取扱製品であるデータベースのOracle、統合システム運用管理製品のJP1、データ連携ツールのDataSpider、BI製品のQlik、WebFOCUSをメインに担当し、加えてデータ連携関連製品であるHULFT、Precisely Connect、オープンソースの統合監視製品であるZabbixのサポートを担当しています。
図1:アシストサポートセンター概要 |
サポートサービス技術統括部には、約180人の専任スタッフが従事しており、この中にはサポート業務に特化したグループ会社であるアシスト北海道も含まれています。サポート拠点は市ヶ谷、大阪、札幌にあり、万が一、災害が発生した際もサポートセンターとして事業継続できるよう分散して対応しています。年間の問い合わせ件数はサポートセンターが対応している製品群で24,000件、各製品技術部が対応している他の製品も含めると35,000件ほどです。
我々の活動において重要な指標としているサポートセンター全体の顧客満足度は93%、また、ネットプロモータースコア(NPS)は42と、お客様からのサポートサービスに対する信頼や愛着に対しても、非常に高い評価をいただいていると考えています。
錦織:NPSは顧客ロイヤルティ(商品やサービスに対する信頼や愛着)を測る指標です。問い合わせ対応後にお客様からいただくアンケートにおいて、「商品やサービスをどの程度お薦めしますか」の回答から算出されています。このスコアは0以上であれば良い、20以上が好ましいと言われています。顧客満足度と合わせてこれらの評価は、創業以来50年にわたり顧客サポートを重視しているアシストの最も大きな価値であると考えています。
4つのサポート対応プロセスで93%の顧客満足度を達成
錦織:図2のサポート対応フロー図がベースであり、プロセスとしては大きく4つに分類されています。
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- 1お客様が問い合わせを起票する前
- 2お客様が問い合わせを起票し、サポートセンターからファーストコールとしてお客様に一報を入れるまで
- 3調査・サポート対応
- 4問い合わせ終了後のアフターサポート
図2:サポート対応フロー図
錦織:起票する前のプロセスでは、お客様の自己解決率を上げるために、過去の問い合わせから有益なFAQを作成、随時メンテナンスをすることで、FAQの充実に努めています。お客様が問い合わせを入力する際に関連するFAQがレコメンドされますので、問い合わせをする前にFAQを参照いただき自己解決が可能になるような仕組みにしています。FAQで解決できない場合、お客様はケース(問い合わせ内容)を登録して問い合わせをします。
問い合わせが入り次第、担当者は、対応前にお客様の導入環境、注意すべき点など詳細なお客様情報を確認した上でサポート対応を行っています。
サポート対応終了後、問い合わせ対応に関するアンケートの回答をお願いしています。いただいたアンケートの結果については、マネージャー、サポート担当者間でレビューを行い、必要に応じて社内の営業や関係者へ連携しています。良いフィードバックのみならず、改善点も含め、次回に活かすための貴重な検討データとして活用しています。
また、サポートのやり取りから営業活動に役立ちそうな情報を営業に連携する「営業ネタ連携(通称:サポネタ)」という活動も行っています。これにより、サポートの問い合わせから案件につながる可能性のある情報をインサイドセールス部門へパスし案件化への寄与、利活用促進をしています。
錦織:去年途中から始めた取り組みですが、実績としては300件ぐらいです。
錦織:これはあくまでサポートセンターからインサイドセールス部門にパスした数です。そこからどれだけ案件になるかは別ですが、取り組みとして今後強化していきたいと考えています。
錦織:そうですね。例えばバージョンアップ支援や有償支援、オプション追加の提案など、サポートセンターから営業に連携し案件化したものも実際にあります。
低い評価をされたお客様に対するフォローはどうしていますか、加えてサポートをしている中で、お客様からの象徴的なコメント、高い評価、低い評価両方ともあればお話しください。

CX本部 サポートサービス技術統括部
部長 錦織政幸
錦織:サポートセンターの評価に関しては各ケース(問い合わせ)ごとにアンケートを入力いただいており、各設問7段階で評価いただいています。4を中間として上位5以上を良い評価としています。4以下の評価についてはレビュー対象としています。
低い評価をいただいたお客様に対するフォローとしては、メールやアンケート結果をマネージャーとメンバーがサポート対応レビュー、社内で情報を共有し、場合によってはお客様に事情の説明やヒアリングをすることで質の改善を図っています。
サポートに対するお客様の声で象徴的なコメントについては、事業報告で担当役員から毎月ピックアップして報告をしています。その中で「アシストは自身が使用しているツールで一番サポートが充実している」とお客様からコメントをいただいたことは象徴的でしたし、サポート対応をしたメンバーの自信にもつながったと思います。
門馬:私が印象的だったコメントは、先輩社員が「お客様の社員の一員」として評価されているようなコメントをいただいたことです。当時私は新入社員でしたが、お客様に寄り添い、お客様の期待以上の価値提供ができるエンジニアになりたいと思いました。低い評価について気になる点としては、サポートの評価は良いものの製品の評価が低い場合です。お客様に長く利活用していただくためには製品評価も上げる必要があると感じています。
門馬:アンケートの指標の中にサポート対応の評価と製品自体の評価があります。サポートの評価は大満足だけど、製品評価だけ普通や不満といったケースもあります。製品評価が低いお客様に対しては、お客様に製品の利用状況を確認させていただき、その結果を開発元に共有、改善要求するなどの取り組みをしています。
徹底的な情報共有により高いサポート品質を維持
サポートメンバーのスキルを上げるために日常的に取り組んでいることはありますか?
錦織:私たちは毎日、チーム単位でサポートケースのレビューを実施したり、相談チャットを活用してメンバー同士が気軽にやり取りできる環境を心がけています。また、有識者からのフォローや、成長カリキュラムを組んでメンバーの成長促進を進めています。ノウハウの共有も重要で、Confluence*2というツールを活用し、技術情報を随時蓄積、集中管理しています。さらに、全社で活用しているGleanを利用してConfluenceや過去のサポートログや事例を横断検索し、情報共有や情報収集しやすい環境を整えようとしています。生成AIの利活用は若手メンバーの育成、早期成長にも大きく寄与していると感じています。
門馬:ナレッジの拡充と活用は、サポートメンバーのスキル向上に欠かせません。また、知識は製品に関するハード面だけでなく、ヒューマンスキルも含まれます。Gleanを使って検索することで、ソフトからハードまでの知識を活用し、チーム全体のスキルアップを図っています。これにより、若手メンバーが多くても、質の高いサポートを提供できると考えています。
門馬:アシストの強みは、長年にわたってお客様に寄り添いながらサポートを提供してきたナレッジを多く持っていることです。アシストは多くの製品のサポートを担当しており、そのノウハウを凝縮して提供できることが強みです。また、メーカーのサポートが終了しても、アシストではサポートを継続して提供する製品もあり、お客様に寄り添ったサポートを行っています。SaaSではバージョンアップ後に古いバージョンのサポートを停止することがありますが、お客様に寄り添い、幅広いスキルと経験を活かしたサポートを続ける点がアシストの強みであると考えます。