生成AIで品質向上、顧客に寄り添うアシストサポートセンター【後編】
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HeadLine
社内でいち早く生成AIの業務活用に取り組む
Gleanベレープロジェクトにより生成AIの徹底活用を推進
次にサポートセンターが現在直面している課題とそれを解決するための取り組みについて教えてください。
錦織:おかげさまで全体的な契約数は増え続けています。だからといって人員を単純に増やせるわけでもありません。課題としては、契約が増える中で問い合わせ件数を増やさずにいかに効率的に対応するかです。特に昨今ではサブスクリプション契約の製品も増え、製品を長く利用していただくための良質な顧客体験を提供することがポイントです。そのためにまずFAQを充実させ、お客様自身で自己解決を促す情報提供をすることを強化していますが、究極はお客様がサポートセンターに問い合わせをしなくても、FAQはじめ、その他情報を参照することで課題解決できる環境を作りたいと考えています。
もう一つの課題としては、問い合わせいただいたお客様一人ひとりの状況を把握し、理解した上でパーソナライズされたサポートを提供することで、さらなる満足度の向上を図ることです。そのための手段として生成AIの活用は、課題や問題の解決に直結するものとして重要視しています。サポートセンターでは、アシストの生成AI商材であるGleanを活用し、サポート品質の向上と効率化の両面に取り組んでいます。その一環として、サポート担当者がGleanの技術チームへ出向し、「Gleanベレープロジェクト」を推進しています。門馬もこのプロジェクトのメンバーの一人であり、Gleanを活用してサポートセンター業務のDX化と高度化を実現し、業務効率の向上やお客様の体験価値(CX)を革新し、新たなサポートの世界を切り開く、というミッションを担って活動しています。
門馬:Gleanは、エンタープライズ向けの生成AI搭載の横断検索エンジンです。この製品は、企業内の様々なSaaSアプリケーション(例えば、Microsoft 365、Box、Google Workspace、Salesforceなど)を横断的に検索し、最適な情報を提供します。アシストでは以前から社内システムのクラウド化を進めており、ファイルサーバーはGoogleドライブに、顧客情報やサポート対応履歴はSalesforceに格納しているため、Gleanで横断検索ができる基盤が整っています。
以下にサポートセンターでのGleanの活用例をいくつかご紹介します。
活用例1過去アンケートの確認作業の効率化 問い合わせ終了時にお客様からいただいているアンケート内容を確認することで、お客様が何をサポートセンターに期待しているかを把握しています。以前はアンケート1件1件を確認していましたが、Gleanの活用により、確認だけでなく分析までの工数を大幅に削減できました。また、調査における壁打ち、回答内容の誤字脱字チェックにおいても活用することで、図1に記載されているように、調査時間を約15%、顧客満足度を約1%向上させることができました。
図1:過去アンケートの確認作業の効率化 |
活用例2お客様情報の確認作業の効率化と情報精度の均一化 社内には過去の問い合わせ履歴だけでなく、フィールドサポートが対応した技術支援資料や作業報告書、営業活動日報など多くの情報が蓄積されています。問い合わせ担当者は対応を開始する前にまずお客様情報を確認します。これらの情報は複数システムに分散して管理されており、従来はそれぞれのシステムで個別に確認する必要がありましたが、Gleanを活用することで、1回の問い合わせで、社内の各システムからデータを収集、集約することが可能となり、大幅に確認時間を削減できました。これにより、情報収集の精度が均一化され、問い合わせ背景や意図の理解度が向上し、お客様状況をしっかり理解したサポート対応ができるようになりました。
図2:お客様情報の確認作業の効率化と情報精度の均一化 |
活用例3営業ネタ(サポネタ)連携への提案 サポート担当者がお客様対応をする中で、営業に連携することによりお客様へのご提案、案件化する可能性がある情報をGleanが提案してくれます。サポート担当者は問い合わせログのURLを入力するだけで、Gleanがどのような提案ができそうか、またその理由も教えてくれます。これにより、サポート対応を起点とした案件発掘にも活用しています。
図3:営業ネタ(サポネタ)連携のプロンプト画面 |
上記以外にも、エラーメッセージ検索など、様々な場面で生成AIの活用が広がっています。実際にサポート担当者が削減できた業務量を測定したところ、6ヵ月で約2,500時間に上ることがわかりました。1人当たりの平均的な週当たりの業務削減時間は31分、60分以上の削減効果があると回答した社員は17%という結果が出ました。生成AIを活用し、人が行わなくても良いが、絶対に必要な業務を効率化させる。それにより、お客様対応など人が行わなければならない業務に多くの時間を割けるようになります。Gleanの利用は、お客様へのCX向上の活動に大きく貢献していくと考えています。
図4:生成AI利用による業務削減時間 |
お客様へのお役立ちを強く実感できるのがサポートセンター

DX技術本部 DX技術統括部
門馬義弘
錦織:ここは、現場で頑張っている門馬さんにお願いします。
門馬:そうですね。まずやりがいを感じるところは、お客様のお役に立てて感謝の言葉を直接いただける機会が多いところです。サポートを利用するお客様は、私たちと関わるタイミングで既にお困りごとを抱えている状態で問い合わせをいただくことになります。それを解消することで、サポートセンターの仕事は成り立っています。つまり、お客様の役に立つ実感が強く得られる部署だと思っています。加えて、感謝の言葉もいただけるので、この仕事は人の役に立ちたいという思いが強い方ほど、やりがいを感じられる仕事だと思います。
モチベーションが下がることに関しては、個人的な事ですが、自分自身がお客様にスムーズに回答できなかった時や、お客様が納得感を得られていない場合は、すぐに文面で感じ取れますので、そういう時にモチベーションが下がることがあります。問い合わせ対応を振り返ると、もっとこうすれば早く解決できた、こういう連絡ができれば、もっとお客様の意図を組めたなと反省することもあります。ただ、その反省を活かして次のサポートではお客様により良い体験をしていただけるよう、前向きな気持ちで業務に取り組むことを心がけています。
では最後の質問です。今後のサポートセンターとしての展望をお聞かせください。
錦織:我々サポートセンター組織であるサポートサービス技術統括部の担当役員である高木のメッセージですが、「やっぱりアシストから買ってよかった。そして、これからもアシストと付き合っていきたい」とお客様に感じてもらえること、これを愚直に実践していくことです。サポート業務は、お客様からの問い合わせを受けて対応が始まる「待ち」の業務がこれまでの主流でしたが、今後は「待ち」だけでなく、サポートセンター発信のプロアクティブな活動を強化したいです。例えば先ほどお話しした、営業連携ネタやAFO(技術者によるアフターフォロー活動)など、先回りをする対応と顔が見えるサポートを目指しています。これらの活動を通して、これからもアシストと付き合っていきたい、とお客様に感じていただけるよう努力していきます。
門馬:私は、GleanベレープロジェクトでGleanの技術、活用方法を磨いています。この技術をサポート業務で最大限に活かすことにより、業務の効率化とお客様のCX向上に貢献することを目指していきたいと思います。