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登記でも名刺でもなく、「判断の基準」がそろったとき、会社は動き出した。

Shinnosuke Matsuyama


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アシストAIテラス、最初の60日

創業2ヵ月。ようやくオフィスを流れる空気が「会社」のものになってきました。

 

登記を済ませた日、名刺が刷り上がった日。あるいは17名のメンバーが初めて顔を合わせた日。

どれも「始まり」には違いありませんが、手応えとしてはまだ薄かった。

本当の意味で会社が動き出したのは、理屈ではなく、日々の判断の基準がそろい、内側から外側へとはみ出すような変化が起き始めた「今」なのだと思います。

 

もちろん、この2ヵ月は綺麗な成功譚ではありません。出社しても何に貢献できているのか分からないという戸惑いがあったし、役割の境界線もあやふやでした。Slackのログだけは膨大に積み上がるのに、それを成果や資産に変換する手が追いつかない。失注の苦い味も、普通に噛み締めました。

 

それでも、確かに変わったものがあります。会話の語彙が変わり、動き方が変わり、結果として窓から見える景色が少しずつ、でも確実に塗り替えられていく感覚。成功も、泥臭い失敗も含めて、今の温度のまま書き残しておこうと思います。

 


「何を売るか」の前に、「どうあるか」の言葉を固めた


 

アシストAIテラスが真っ先に取り組んだのは、組織図を引くことでも、派手な採用広告を打つことでもありませんでした。

まずは、自分たちが使う「言葉」を定義すること。

 

Mission:「成果に責任を持つAI活用の伴走者(OutcomeIntegrator)」

Vision:「日本一のAI協働で、顧客に価値を、日本に活力を。」

 

The image showcases a modern office space bustling with activity A large conference room is filled with diverse professionals engaged in a heated disc-1

理屈っぽく聞こえるかもしれませんが、これが決定的に重要でした。

世の中の生成AI活用は、PoC(実証実験)で止まるケースがほとんどです。理由は明確。運用設計や評価、誰がどこまで責任を持つかという泥臭い部分が抜けているからです。

 

だから私たちは、「AIを導入する会社」ではなく、「AIで成果が出るまでやり切る会社」になると決めた。最初から、勝ち筋を「運用の型」に置いたわけです。

 

混乱しがちな創業期ほど、人は「何をするか」に迷います。けれど、「何のために」が刺さっていれば、現場の判断は大きくブレません。この初手の意思決定が、後からじわじわと効いてきました。

 


1月、チームのOSを力技でインストールした


 

実質的なスタートは、2026年1月5日。メンバーは17名。けれど、ただ集まっただけでは、それは単なる「17人の集団」でしかありません。だからこそ、1月13日から14日にかけて「創業合宿」をぶつけました。

 

「社長は何を考えているのか」「自分たちは誰に、どんな価値を届けるのか」。

 

ゴールデンサークルやエレベーターピッチといったワークを、それこそ息つく暇もない密度で叩き込みました。狙いは、あとでズレないため。それだけです。

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 Figure1:創業合宿のワンシーン。ここから共通言語をそろえる時間が始まった。

技術の優位性を語る前に、何をやり、何をやらないか。

何をもって成功とするか。

 

Figure1の写真は、その時の空気です。

まだ「完成された組織」の顔ではありません。

 

でも、全員が同じ方向の地図を広げようとしている、熱っぽい気配だけは確かにありました。

 

 


「何をやっているのか分からない」という、正常な不安


 

1ヵ月が経った頃の月報には、生々しい声が並んでいました。「貢献できている実感が持てない」「目に見える成果がない」。

それに対する社長の返答は、こうです。

 

「創業1ヵ月で成果が出ていたら、それは出来レース。今の不安は、正常です」と。

 

この一言に救われたメンバーは多かったはず。創業期は、忙しい。会議も議論も準備も、目は回るほどある。でも、売上や事例といった「外向けの数字」はまだ出てこない。自分の現在地が見えなくなるのは、むしろ真剣に走っている証拠です。

 

実際、出社の意義が曖昧だったり、メンバーへの期待値が伝えきれていなかったりと、課題は山積みでした。私たちは、順調だったわけではありません。ちゃんと、迷っていました。

 


言葉が、現場の動きを変え始めた


 

けれど、2月の終わりには変化の兆しがSlackのあちこちで見え始めました。

「アウトカム(成果)」という言葉が、指示されずとも会話に混ざるようになった。

各部署からの「クエスト(依頼)」に対し、自発的に動く空気ができた。案件の「匂い」がする相談が、外から舞い込み始めた。

 

派手なホームランを打ったわけではありません。でも、社内の反応が少しずつ変わってきた。「ありがとう」の質が変わってきた。

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会社が形になる時というのは、数字よりも先に、こうした「会話の微差」から始まるものなのかもしれません。

 


なぜ、最初の舞台を「社外」にしなかったのか


 

私たちは、最初のターゲットをあえて「アシストグループ内」に絞りました。理由は単純です。身近な巨大組織すら変えられない連中が、お客様の変革を語れるはずがないからです。

営業、技術、コーポレート。それぞれに事情があり、KPIがある。そこにAIを放り込むのは、実は外の案件を受けるよりずっとシビアです。ごまかしが効かないから。けれど、この「社内クエスト」で揉まれたことが、今の私たちの筋肉になっています。相手の文脈で価値を語る。その訓練を、身内を相手に徹底的にやりました。

 

社内という最前線

 


シンガポールで見たのは、未来ではなく「現在地」


 

1月下旬、メンバーがシンガポールへ飛びました。最新のAI技術やメーカーとのコネクションを作るためですが、これは単なる視察ではありません。「自分たちの仮説は、世界とズレていないか」を確かめる、答え合わせの旅でした。結果として、メーカーとの関係構築には確かな手応えを感じて帰ってきました。内に籠もって型を磨きつつ、外の風に当たって軌道を修正する。この両輪が、ようやく回り始めたのがこの時期です。

 

シンガポール視察で見えた、AI実装の現在地

 


2ヵ月で得たもの、そして直面している「壁」


 

3月に入り、月報のトーンは少し変わりました。「1月の漠然とした不安が、今は違う状況になっているのではないか」。現在地が少しずつ、クリアに見えてきたからです。

とはいえ、手放しで喜べる状態でもありません。2ヵ月経って見えてきた課題は、むしろ具体的で、それゆえに厄介です。

 

情報は多いが、経営成果としての整理が追いついていない

「探索」の段階の案件が多く、確実なパイプラインになりきっていない

成功の型を、まだ仕組みとして固定できていない


動いてはいるけれど、勝ち筋を絞り切るには至っていない。感謝はされるけれど、それを構造的な利益に変える力はまだ弱い。

この「できていること」と「できていないこと」の混濁した状態こそが、今の私たちのリアルです。

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結局、何が変わったのか


 

この2ヵ月で、私たちは何を手に入れたのでしょうか。大きな売上でしょうか。違います。

 

手に入れたのは、「言葉という共通のOS」と、「社内から必要とされ始めたという実感」、そして「自分たちが何に詰まっているかを言語化できる能力」です。これらは、決算書には載りませんが、ここから先、会社を会社たらしめるための、最も頑丈な基礎になるはずです。

 

創業2ヵ月を一言で言うなら、「ようやく、立ち上がり方が見えてきた」というところでしょうか。

派手な飛躍ではありません。よろけながら、でも自分の足で地面を蹴る感覚を掴み始めた。そんな2ヵ月でした。

 

創業期は、どうしても「何を達成したか」の成果物だけで語りたくなります。けれど、何に迷い、どこでつまずき、それでもどの言葉を信じて進もうとしたか。その過程にこそ、アシストAIテラスという会社の「らしさ」が宿っている気がします。

 

私たちは、まだ何も成し遂げていません。けれど、この2ヵ月で固めた足場の上に、これから本物の「アウトカム」を積み上げていくつもりです。

 

次は、私たちが具体的にどんな「クエスト」に取り組んでいるのか、もう少し現場に近い話をお届けできればと思います。

 

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