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経営の可視化を支える全社データ基盤を構築。
適材適所のツール活用でDXへの取り組みを加速

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アパレルを中心に幅広い事業を展開するグンゼ株式会社。企業力強化に向けたデータ活用環境を、アマゾン ウェブ サービス (以下、AWS)に構築しました。この環境の中核となるのが、分散したデータをAmazon S3のデータレイクに集約した新たなデータ基盤です。データの収集、加工には、Precisely Connect DataSpider Servista を適材適所で活用。統合的なデータ基盤と見える化により、経営の意思決定の迅速化、現場の業務改革を進めています。

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「データ基盤のベストプラクティスが分からなかったため、アシストにはゼロベースで相談にのってもらい、全体像を描くところから支援してもらいました」

グンゼ株式会社 技術開発部 IT戦略室 マネージャー 富田 孝明 氏

課題/背景

  • 事業部ごと、工程ごとにデータがサイロ化し、組織横断的な情報の把握が難しかった
  • 既存の情報系システムでは、ユーザーからの要望に対応するにはシステム部門による開発が必要で、スピード感を持った柔軟な対応ができなかった
  • データの入手や集計に時間がかかり、自由度の高いデータ活用環境が求められていたが、その実現には統合的なデータ基盤が必要だった

対策

  • 源泉データのシステムを意識せず、BIツールから利用できるようデータレイクを構想。環境にはAmazon S3を選択
  • 多様なデータソースに対応できるデータ連携ツールのDataSpider Servistaをデータ・ハブとして採用
  • 大量データの加工処理に適した高速ETLのPrecisely Connectを活用し、蓄積したデータを加工

効果

  • データレイクの活用でデータ閲覧や分析ニーズ、長期的なデータ保存に対応できるデータ基盤を整備
  • データ加工処理は各事業部の約170万行のデータを10分程度で安定的に処理。開発工数もストアドプロシージャと比較して1/4に削減
  • 統合的なデータ基盤を構築し、スムーズに全社経営ポータルを公開。経営判断の迅速化、各部門の業務効率化にも貢献


システム概要


データ活用の推進を阻むデータのサイロ化


グンゼ株式会社(以下、グンゼ)は、蚕糸業の振興を目的に明治26年に創業した企業です。時代の変化に合わせて事業を多角化し、現在ではメディカル、機能ソリューション、アパレル、ライフクリエイトなど幅広い事業を展開しています。

さらなる企業の進化に向け、デジタル活用によるプロセス変革と新たな価値創出にも取り組んでおり、この一貫としてデータ活用環境の整備と拡充を進めています。その実現に向けて同社では「データ基盤」の大幅刷新を行いました。これに至る背景を、グンゼ IT戦略室 マネージャーの富田孝明氏は次のように説明します。

富田氏  既存の情報系システムは、データの構造的な課題を抱えていました。基幹システムや業務システムに準じたデータ基盤は、事業ごと、生産、販売、物流などの工程ごとに分れてデータがサイロ化し、経営目線での横断的な把握は困難な状況でした。また、データの網羅性にも課題がありました。参照データの追加要望があると、フロントの画面を含めた開発や改修が必要で、コストも時間もかかり手軽には行えませんでした。結果として、各部門の担当者はそれぞれ手元のデータを組み合わせながらExcelでの集計に時間がかかっている状況でした。

見直すきっかけとなったのは、中期経営計画の中で施策化された経営ポータルの刷新です。

富田氏  既存の情報系システムをそのままリプレースするのではなく、中期経営計画の実現に貢献する新しい仕組みが必要と考えました。経営の意思決定の迅速化、そして現場の業務改善につながるデータを提供したいと考え、データ活用環境の全面的な見直しを行うことにしました。

源泉データのシステムを意識せずにBIツールから活用できるよう、データの一元的な集約に取り組んだグンゼが着目したのは、データレイクです。


データレイクに着目。適材適所のツールを採用し、データ基盤を構築


分散から集約への転換となる新たなデータ基盤は、データの「蓄積」を行うデータレイク、データレイクへのデータの「収集」、収集データを参照・分析に適した形に統合・変換する「加工」の3つの視点でアーキテクチャの検討が進められました。

「蓄積」を行うデータレイクには、分析の視点変更に備え全ての明細データを保存。また、長期的に保存を行い傾向分析ができることを念頭に検討が進められました。柔軟な拡張性と、コストパフォーマンスの観点から選択されたのはクラウドストレージの「Amazon S3」です。



「収集」に採用したのは、他のシステムでも利用していたデータ連携ツールの「DataSpider Servista(以下、DataSpider)」です。その理由を富田氏は次のように説明します。

富田氏  RDBMS以外のデータソースも有り得ることから、データ・ハブ機能は必須と考えていました。クラウドのサービスも検討しましたが、DataSpiderは豊富なAPIを持ち、異なるシステムをノンプログラミングで「つくらずにつなぐ」ことに長けており、一部のシステムで利用していたため展開に迷いはありませんでした。

一方でデータ連携ツールは大量データの操作には不向きです。統合・変換の「加工」を行う手段として選択したのは、高速ETLの「Precisely Connect」でした。グンゼのITアウトソーシングを担当するG&Uシステムサービス株式会社(以下、GUSS)でDX戦略部長を務める舟津崇晃氏は、採用時の思いを次のように語ります。

舟津氏  アシストから紹介を受けて試用したところ、開発生産性が高く大量データのマッチング処理も高速なことに驚きました。当時はデータベースのストアドプロシージャの利用も検討していましたが、性能、生産性ともにPrecisely Connectが大きく勝っていました。また、COBOLとの親和性が高く、リホスト後の基幹システムに今も大量に残っているCOBOL資産のバッチ処理置き換えにも使えることから採用に踏み切りました。

「データ活用とは、誰にとってどのような活用なのか」を時間をかけて検討したグンゼは、第一弾として経営情報、サプライチェーン関連の集計値を時系列に日次で提供することにし、キューブを持つBIツールを選択。データウェアハウスを構築せず、加工後のデータをキューブに渡す構成にすることを決定しました。DataSpiderはデータ・ハブに特化し、全てのデータ加工はPrecisely Connectで行う方針を決め、データレイクの整備を進めることになりました。


集約、統合したデータで「全社経営ポータル」をリリース


データ基盤の構築プロジェクトは計画通りに進行しました。システム面でのメリットについて、構築を担当したGUSSは開発、性能、運用の各面にあると言います。

舟津氏  データ加工処理の開発は、ストアドプロシージャと比較して1/4の工数に削減できました。Precisely ConnectはノーコードのGUIで開発ができるため、高度なSQLの知識がない若手社員も積極的に参画できたことも本プロジェクトの成果です。

山田氏  加工処理は非常に高速で、差分ではなく全件洗い替えで対応することにしました。毎日、各事業部のデータ約170万行を取得し整形していますが、10分程度で完了します。もし、エラーが発生しても加工前、加工後それぞれのデータがAmazon S3に保管されているので早急にリカバリーが可能で、運用負荷も軽減されています。

BIツールの構築も進みファーストステップでは、4事業部、13事業体を横断した経営状況を月次報告を待たずに適宜に確認、分析ができる「全社経営ポータル」を全社にリリースしました。これにより得られた成果は単なる可視化ではないと言います。

富田氏  全社共通の指標で確認ができるようになり、それぞれの事業部が互いに切磋琢磨することで企業としての一体感が醸成されました。今後は経営層のみならず、営業、生産、物流などあらゆる部門のユーザーは、日常業務の中で得たいデータを効率的に活用することで、煩雑なデータ集計、集約の効率化など、間接業務改革にも寄与していきたいと考えています。

現在グンゼでは、事業部単位の戦略を支援する「事業部ポータル」の展開を進めています。また、在庫最適化を図り、その収益影響を可視化するためPSIの考えを用いた生産、販売、在庫情報のダッシュボードにも着手しています。


変化に強いデータ基盤の利用で、データ活用をさらに推進


今回構築したデータ基盤は、従来のデータ活用の課題解決だけではなく、今後の変化にも対応できる強い基盤になったと言います。

富田氏  データレイクには明細データを蓄積しているため、新たなデータ活用のニーズにも柔軟に対応できます。今後業務システムではSaaSやクラウドサービスの利用とそのデータ活用ニーズも出てくると予想していますが、データソースの種類が増えてもDataSpiderを使用すれば、容易にデータレイクに連携できると考えています。また、データ量が増えたとしてもPrecisely Connectであれば、問題なく対応できるという安心感があります。

今回のプロジェクトの推進では、アシストの情報提供や支援にも助けられたと言います。

富田氏  検討当初は、ベストプラクティスが分からず私たちが実現したいことを伝えながら全体像を描くところから相談にのってもらいました。データ活用に関する知見と技術力があるアシストに支援してもらったことでスムーズに構成が練られ、大変助かりました。製品やサービスの目利き力、そしてスピード感のある対応と提案にはいつも感謝しています。

今後の展開について富田氏は次のように説明します。

富田氏  今後はさらなるデータ活用を目指してデータカタログの整備や、シミュレーション値の入力、POSなどの外部データの利用も検討していく予定です。AIを利用した先進的なデータ活用方法の調査、研究に至っていませんので、次ステップで推進事項として取り上げたいと考えています。

生産、販売、物流の情報が「つながるデータ基盤」を構築したグンゼ。デジタル活用によるサプライチェーン改革を推進しDXの取り組みを加速していきます。



取材協力

グンゼ株式会社
  技術開発部 IT戦略室 マネージャー 富田 孝明 氏(写真 右)
G&Uシステムサービス株式会社
  第一事業部 DX戦略部長 舟津 崇晃 氏(写真 中央)
  第一事業部 DX戦略部 開発企画部 山田 英治 氏(写真 左)



  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。
  • 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 グンゼ株式会社
本社 大阪府大阪市北区梅田二丁目5番25号 ハービスOSAKAオフィスタワー
設立 1896年(明治29年)8月10日
URL https://www.gunze.co.jp/
従業員数 1,553名(単体) 5,214名(連結) (2023年3月31日現在)
取材日 2023年12月

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