株式会社アシスト 代表取締役会長
ビル・トッテン
先月に続き、9月も自然災害が相次ぎました。名古屋で豪雨となったその日、私は新幹線で東京へ向かっていました。大雨で新幹線が遅れることはあっても、まさかここまでの雨になるとは思っていませんでした。結局、米原と岐阜羽島で長時間停車した後、名古屋まで進んだものの、京都へ戻ることになりました。その日は、新幹線の中で4時間近くを過ごしました。弊社の名古屋オフィスでも、帰宅できなかった社員がいたと聞いています。

シルバーウィークには、千葉や神奈川も豪雨に見舞われました。日本だけでなく、フィリピン、ベトナム、ネパール、中国各地など、広い範囲で台風や熱帯低気圧、秋雨前線の影響による記録的な豪雨や洪水が発生しています。
記録的な熱波や洪水のような自然災害が続くと、「温暖化終末論」ともいうべき議論が広がります。また最近では、AI分野でも、Anthropicの元研究員が「AIが10年以内に人類を絶滅させる可能性がある」と警告したと報じられ、大きな波紋を呼びました。Anthropicの元同僚らも、「10年以内に人類が絶滅する確率は10%以上」とする見方を支持したといいます。
しかし、こうした終末論そのものが戦略的に利用され、既存の大手AI企業に有利な寡占体制を築くための「恐怖マーケティング」ではないか、という見方もあります。イーロン・マスクは、これを「心理戦」と揶揄しました。
中国には、このようにAIへの不安をあおるような議論はあるでしょうか。中国を見ていると、企業や人々がAIを、仕事や暮らしの生産性や利便性を高めるための、数あるツールの一つとして活用しているという話が多く聞かれます。
米国では、気候変動、AI、戦争という一見無関係な領域が、いずれも「終末論」という共通のレンズを通して語られる傾向があります。これは、政治的な動員や政策の正当化に利用されているためかもしれません。
イランへの攻撃作戦に、「Operation Epic Fury(壮絶な怒り作戦)」「Operation Roaring Lion(咆哮する獅子作戦)」など、聖書に描かれる終末論的なイメージを想起させる名前が付けられたことも、その一例です。つまり、実際に終末が訪れるというよりも、終末論という物語を、政治的動員や規制の導入、市場支配を正当化する道具として利用しているのです。
イランへの攻撃をめぐり、トランプ大統領が「文明の消滅」「石器時代への回帰」といった終末論的な表現を用いるのは、まるで自分たちは「救われる側」にいると確信しているかのようです。
たとえイランが米国の軍事的優位を根本から覆す能力を持っていないとしても、体制を維持したまま、米国との交渉を通じて封鎖の解除や制裁の緩和を勝ち取り、戦争を「引き分け」に近い形で終わらせることは可能だと考えられます。そして現在、イランはまさにその方向で動いているのだと思います。

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