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アシストJP1ユーザ会

JP1ユーザ会 スペシャル座談会

(発行日:2016年5月)

JP1ユーザ会東日本支部会2016「運用管理のEvolution!?」セミナーではユーザ企業の代表者と日立製作所様をパネリストとして迎え、「人材育成」をテーマにパネルディスカッションを行いました。また、IT人材に求める力やその育成、スキルアップ計画など、人材育成に関する課題と対策について討議しました。

IT人材に求めるチカラ

株式会社アシスト
システムソフトウェア事業部
技術統括部 蝦名 裕史

蝦名:例年行っているJP1ユーザ会アンケートではIT部門が取り組んでいく優先課題の一つとして「人材育成」というテーマが常に上位にランクインします。JP1ユーザ会は「人」が基点のコミュニティですが、今回のパネル討議では人材育成に係わる「今」と「これから」を中心に議論したいと思います。








-周囲を巻き込みながら、仕事を進めていく力

蝦名:IT人材に求める力ということでは、大きく技術力と人間力に大別できるのではないかと思います。(図表1)様々な技術要素に対応する一方、技術力だけでは補完できない「人」に関わる力も養わなければなりません。皆さんの会社では、メンバーを育成するにあたりどのようなスキルを重視しているのでしょうか。


図表1


TDK株式会社
経営システムグループ
業務ソリューション部
部長 中村 眞一様

中村:当社のIT部門は、業績に貢献することを目標としていますが、情報子会社を持たずに、企画や開発もすべて自社でまかなっています。
求めるスキルとしては、(図表2)担当者は技術力/業務知識の比重が高いですが、中間管理層になると、リーダーシップやコミュニケーション、つまり周囲の人を巻き込みながら仕事進めていく力へと比重が変わってきます。
さらに経営層になると、創造力や「こうしたい」という強い意志力が求められるでしょう。役割に応じて必要となるスキルや育成方法も変わります。
また、当社は海外の拠点もありますので、語学力も身につけなければなりません。単に英語が話せれば良いかといえば違います。
「何が言いたいのか?」ということを要約して短い文章で言える「伝えるチカラ」が大事です。


図表2


株式会社ベルーナ
情報システム本部
本部長代理 浅沼 泰匡様

浅沼:当社はIT企業ではないので、技術力について言えば、これからは、技術的な知識やスキルを探求することは、あまり重要視されなくなると考えています。
もちろん基礎スキルは習得するべきだと思いますが、質の高いサービスがアウトソースで提供されているので、専門技術がなくてもITを利用することができます。
ただし、セキュリティ対策技術については、常に追従していかなければならないと考えています。





-求められるものは人間力

いすゞシステムサービス株式会社
運用サービス本部
運用サービス部
部長 生田 充様(幹事)

蝦名:ITスキルの習得に際してどのような教育プログラムを実施されていますか。

生田:全社でITスキル習得のためのカリキュラムがあります。初歩は、データをどのように使うかといった基礎を学ぶ情報リテラシーと、業務知識やマナー教育をベースとしたビジネスリテラシーのコースがあります。上級に進むと運用、開発、設計、企画などの職種に分かれて、専門技術を習得していきます。
さらにマネジメント職になると、コミュニケーション、ネゴシエーションといったマネジメントスキルの研修があります。
eラーニングを活用して、今自分がどのレベルにあるかを診断し、プランニングしていきます(ITSSを利用)。やはり、どんなスキルでもきちんと身につけるためには、人間力というベースが必要です。


スキルやノウハウの継承

-新しいことにチャレンジする環境つくり

蝦名:スキル継承は具体的にどのように行っているのでしょうか。

株式会社日立製作所
情報・通信システム社
ITプラットフォーム事業本部
販売推進本部
パートナービジネス部
部長代理 瀬戸山 正幸様

瀬戸山:「人に教えると、その分自分が成長する」という考えのもと、若手社員がOJTで新人教育を行いながら、独自に専門スキルを習得します。技術力は誰でもある程度はカバーできますが、人間力は、実地経験やOJTなしでは身につけることができません。また、体験にもとづく学習によってモチベーションも向上します。OJT制度は、入社当時から、長年にわたって行っていて、良い意味で徒弟制度のような仕組みになっています。

生田:新しい技術は、メーカーやベンダーから教育メニューが用意されているのでスキル習得することは容易だと思います。しかし、当社には、30年以上も使い続けているレガシーシステムがいくつも残っているので、業務知識だけでなく、COBOLやアセンブラ、IMSといった技術スキルの習得の方が大きな課題です。

中村:当社は、ある程度できる様になった社員に、思い切ってすべて任せてしまいます。前任者は別の業務を担ってもらったりしますが、何かあればサポートやアドバイスがもらえる環境にはします。ベテランの方々が運用していたレガシーシステムも、若手社員が試行錯誤しながら、自分のやり方を生み出して上手に習得してくれている例もあります。

蝦名:スキルというよりも仕事そのものを継承し、新たなミッションに専念できるよう、周りが環境をつくることも大事ですね。

浅沼:ITベンダーに負けないスペシャリストを育てたいのですが、人事ローテーションが激しいのでなかなか難しいです。IT部門は、会社全体の流れを見渡すことができるので、他部署で仕事をする際でも、役に立つ経験だと思います。IT部門として経営層に対してアピールできるスキルと、システムと業務の全体を把握して他部署で活躍できるスキルと2つの側面を考えています。スキルの継承では、ベテランが若手社員を教えるということが多いですが、ITの技術に関しては、年長者からではなく若手社員から教わるということが増えています。上下関係にこだわらず、何でも受け入れられるようになると上手にスキル習得ができるのではないでしょうか。


人材育成の課題

-モチベーションを向上させるような職場の雰囲気つくり

蝦名:メンバー育成の取り組みや課題に対するアイデア、期待する「IT人材像」をおきかせください。

瀬戸山:新しいサービスをどんどん立ち上げるとか、若い人が活躍できる機会を増やしたいと思っています。現場がもっと元気でるように、上司は部下を信頼して任せ、リスクを背負って成長を応援する、そういう環境を作りたいと思います。

浅沼:経営層からシステム部門が求められているものが、変わってきています。以前は、システム屋でしたが、経営戦略に対してどうアプローチしていくかという方向にシフトしています。人材育成において大事なものは「人間関係」です。部下へのちょっとした気遣いでやる気を持たせることが育成につながります。そうして、自分自身も成長していきたいです。

生田:「人間性が良ければ、自然に育つ」と思いますが、すべての社員がそうとは限りません。チーム全体をうまくまとめるためには、リーダーへの配慮も行っていかなければなりませんので、人材育成というのは本当に難しい課題です。モチベーションを上げるためには、職場の「雰囲気」が一番大事です。


-IT部門からトップ層に積極的なアプローチを

中村:会社のトップ層は、常に何かを変えたいと思っているはずです。だから、IT部門がどんどん提案をした方が良い。難しいことはいらないので、「これがしたい」という思いをトップ層に伝えてほしい。そういうことを部下と一緒にやれば、結果として人を育てることにつながります。また、自分の部下は、自分ができる以上には育たないと言われます。職場の環境が変わることで人が育つこともありますから、海外拠点や、業務部門にローテーションするなど、機会を増やすことも得策だと考えています。


【User’s Voice】

  • 専門スキルをもっている人ほど、スキルトランスファーできない。
  • 自社で策定したキャリアパスが絵に描いた餅になっている。
  • IT部門(特に運用担当)の評価指標がなく、人事制度においても軽視されている。
  • IT部門はユーザ部門とコミュニケーションを図り、問題解決スキルを身につけてほしい。
  • システム停止にともなう影響範囲を把握できるようになってほしい。
  • 常にリスクを考えて改善計画を提案してほしい。
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