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プレミアムインタビュー 本質を見抜く力。強みを生かしたスペシャリストへ

2020年07月22日

■プロフィール

1979年、千代田化工建設株式会社に入社。研究所からシステム部門に配属され、
PCの業務導入などに携わる。2000年に転籍し、グループ外企業向け業務や
海外プロジェクトITなどを担当、海外赴任も経験。2011年より現所属。
趣味は、上達しないゴルフとウォーキング。会社から自宅まで歩いて帰宅したことも。

千代田化工建設株式会社 都筑様

千代田化工建設は、19 4 8年の創業以来、石油・ガスを始めとしたエネルギーから、化学、環境、省エネ、産業設備、ライフサイエンスまで幅広い分野で、プラントの設計・調達・建設を中心に、数多くのプロジェクトを世界各地で手掛けてきた総合エンジニアリング企業です。同社のグループ企業で、I T 環境の整備と運用・管理を一手に担う千代田システムテクノロジーズの都筑氏に、マネジメントで心掛けていること、課題、人材育成への取り組み、さらに自身のキャリアで転機となったエピソードまで、幅広いテーマについて語っていただきました。



グローバルな情報システムを支えるために

これまでのご経歴をお聞かせください。

入社時は研究所に配属されましたが、1980年代後半にシステム部門に配属されました。当時普及し始めたパソコンの社内導入促進に向けて、セットアップや環境整備に携わりました。90年以降は、サーバー導入とネットワーク化に取り組み、ファイル共有、メール導入などを進めました。
並行して、インターネット商用サービス開始の黎明期から対応を図るとともに、欧米拠点とも専用線を使いネットワーク化とメールサーバーの構築などによるコミュニケーション手段の整備に取り組みました。海外出張や赴任では、拠点やプラント建設現場のネットワーク環境を構築し、各拠点や現場からでも、本社の業務アプリケーションが使用できる環境を整備しました。現在は、海外6拠点、国内はグループ会社を含めて約20 拠点のWANの運用管理を統括しています。

ITサービスセンターの役割と担当業務を教えてください。

現在、インフラサービスセクションでは、インフラの運用管理全般を担当し、フロントエンドサービスチーム、インフラ運用チーム、インフラ技術企画チームという3つのチームで構成しています。フロントエンドサービスチームは、ユーザーIDの登録、キッティング、P C周辺機器の貸出、ソフトウェアライセンス管理など、P Cを使用するにあたり最初に必要となる部分を担います。インフラ運用チームは、ネットワークやサーバーなどITインフラの安定運用を担っています。24時間止めないことが前提ですが、チーム自体は24時間対応ではないため、休日などはプレッシャーがかかります。年末年始等休みが長期になる場合はメンバーが交代で対応します。インフラ技術企画チームは、新技術の調査と検証、評価が主な業務で、導入する製品の選定も行っています。
私たちの重要なミッションは品質をしっかり確保し、同時に安定的かつ効率的な運用を行っていくことです。品質の担保は長らく続けてきたので、これからは効率化の追求に力を入れていきたいと考えています。経営層からもコスト削減をテーマとして課せられていますし、その手段の一つとしてRPAなどの導入を検討しています。

システム運用を担う立場から、心掛けているのはどのようなことでしょうか?

アプリケーションの安定利用環境の提供がミッションとなるため、何より安定運用を第一にしています。そのため重要なシステムについては、各レイヤーで冗長化するなどコストを掛けて環境を整備してきました。加えて、万一、何かトラブルが発生しても、ドキュメントをしっかりアップデートし、整理・保管しておくことで、迅速な対応ができるようにしています。3年周期で見直しをおこない、マニュアルはなるべくシンプル化するようにしています。
もう一つは、ミスをなくすことです。例えば課金などのミスは、直接の損失につながるため、チームのメンバーには繰り返し注意をしています。それでも、人のオペレーションである以上、ミスをゼロにすることは難しいです。そこでルーチンワークについては、ミスをシステム的に排除できるRPA導入を進めていきたいと考えています。これは前述した効率化、コスト削減という点でもメリットになると思います。


原因があって、結果がある 本質を見抜く力を養ってほしい

人のオペレーションについて触れられましたが特に課題とされていることはありますか?

すべてのプロセスには人が介在しますので、人材育成は重要なテーマと考えています。若手のスキル習得に向けては、セミナーの受講計画を作成して、年間を通してセミナー受講や資格取得を奨励しています。会社も費用を含めバックアップしてくれていますが、試験を受けただけで満足してしまうのではなく、自分のスキルアップとして、合格することに計画的、能動的に取り組んでほしいと思います。資格を取得することだけを目的とすると後回しになりがちですが、社外から見た客観的な評価としても、資格取得者が多ければ有利になります。社外にアピールできるようになれば、結果的に、自分達の仕事にも有利になると考えてチャレンジしてほしいと思います。また、プレゼンテーションスキルの向上と情報共有を目的として社内発表の機会や表彰制度なども実施しています。

若手の方への具体的なアドバイスをお聞かせください

私たちの業務は、ユーザーからの問い合わせやトラブル対応の機会が多いです。その際に、必ず自分の目で現場を確認すること、つまり事実確認の大切さを繰り返して言っています。事実確認を怠ってしまうと、間違った対応をしてしまいます。これは以前にコンサルの先生に教えられたことですが、まず原因があって結果が引き起こされるからこそ、事実確認が大切なのです。根本原因を明確にせず、人の話や想像だけで原因を決め付けて対処してしまうと、解決が遠のいたり、違う問題を引き起こすことにもなります。しっかり事実確認することが、結局、問題解決には最短の手段となるのです。
同時に、その対応方法が正しいものであるのか、仮説を立てて証明するようにも言われました。これも証明できれば対応方法が正しいことを裏付けるためです。そうしたことを繰り返していけば、本質を見抜く力が養われると思います。また、具体的なトラブル対応時に参照するドキュメントが更新されていなければ、さらなるトラブルにもつながります。膨大なドキュメントを利用しやすくするための整備も行っています。(下図)

IT部門で重要となるスキルは何だとお考えでしょうか?

コミュニケーションです。最近はメールやチャットを活用してエビデンスを残すような仕事の進め方が多いですが、内容によっては、実際に相手と顔を合わせて話した方が正確に伝わることもありますし、直接話すからこそ必要な情報が自然と入ってくることもあります。トラブル対応時の事実確認では、会話を通じた情報交換が不可欠です。ただし、できるだけポイントを絞って話をするよう言っています。
また、自身の反省も含めたものですが、若手社員からの報告が上がってこないことがあります。それは部下に対する日頃のケア、コミュニケーションの不足が一因であるとも感じています。気掛かりなことがあれば、気軽に話せる雰囲気をつくっておくことも大切だと思います。


スペシャリストの集団を組織化する

現在、注目しているソリューションはありますか?

システム運用の自動化を目的としたRPAに注目しています。自動化による業務負荷の軽減はもちろんですが、業務上のノウハウや技術を属人化させず、組織のものにすることも可能になります。そして空いた人材、時間、コストを、戦略的なI Tの立案計画にシフトさせていけたらと思います。すべての業務にRPAが適応できるわけではないので、そこの見極めも大切です。RPAと人が担う業務とをうまく使い分けるハイブリット的な使い方になると思います。
その意味で、今後の運用管理は大きく変化していくと思いますが、現状を肯定していては新しいことに前向きに取り組むこともできません。変化に機敏になって、組織の中での自覚と責任、誇りをもって仕事に取り組んでほしいと思います。

ご自分のキャリアで、転機となったエピソードがあれば教えてください。

やはり、研究部門からシステム部門へ異動した時は大きな転機でした。また、千代田システムテクノロジーズに転籍した際には、グループ外企業の業務を3年ほど担当し、要求の厳しさや責任の大きさを痛感しました。特に、納期とコストに対する要求は、非常に厳しいと感じました。
その後、海外プロジェクトでITを担当し、海外のプラント建設現場にも1年間赴任しました。現場はフランス、フィリピン、インドなど多国籍のメンバー構成で、文化の違いを強く感じました。例えば、PC等資材調達でもベンダーが納期は1週間と言えば1カ月になるくらいのルーズさでした。それを予め想定したスケジュールを考えておく必要がありました。担当者に確認してもノープロブレムを繰り返すばかりで、らちが明かないため、ベンダーの事務所に乗り込んで上司と直接、交渉して何とかしてもらったことも良くありました。
以来、現地ベンダーの「ノープロブレムは、プロブレム」と考えるようになりました。また、日本ではナレッジの共有を当たり前と考えますが、現場のITメンバーは、「なぜ、自分が苦労して身に着けた知識や経験を無償でオープンにしなければならないのか」と考えるため、強く反発されたこともあります。
国籍や文化の違うメンバーを統率して、プロジェクトの成果をあげることができたのは、とても良い経験になりました。なかなか海外経験の機会は少ないですが、チームやプロジェクトの活動においてもメンバーが能動的にチャレンジできるようにしたいと思います。

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