Glean:GO 2026 への参加レポート
先日の Glean Partner Day に続き、サンフランシスコで開催されたGlean社の年次イベント「Glean:GO 2026」に参加してきました。8月26日と27日の2日間にわたるイベントについて、さっそく現地で聞いてきた内容をお届けします。
80名超のスピーカーが集結。AIの最前線が交差した2日間
まずは、Glean:GO 2026 のイベントの様子を写真とともにご紹介していきます。
会場は、フィッシャーマンズワーフの近くにある Fort Mason Center for Arts & Culture。
海沿いに建つ大きな古い倉庫2棟が、そのまま会場になっています。(倉庫は1915年に完成した歴史ある建物だそうで、もともとは陸軍の物資保管と輸送船の接岸のための施設とか)

サンフランシスコといえば、ピア(Pier、桟橋)の海辺の風景が象徴的ですが、今回のGlean:GO 2026 の会場も、フォートメイソンのウォーターフロントに位置するPier 2で開催されました。この日は曇りがちな天気でしたが、アルカトラズ島も見えました。
メイン会場は、隣にあるFestival Pavillion です。
こちらの建物内では、キーノートをはじめ、2日間で数多くのブレイクアウトセッションが催されました。

会場内の様子はこちらです。
世界中の Glean ユーザー、パートナーが一堂に会した会場は、自由で活気にあふれた雰囲気でした。

そして、こちらがGlean社のCEO Arvind Jain 氏が登壇したキーノートです。
会場全体が熱気に包まれ、Glean:GO 2026 に参加したすべての人が待ち焦がれていた講演を聞くことができました。

このあともGleanの経営陣に加えて、OpenAI、NVIDIA、Cisco、Deloitte、eBayなど幅広い分野の登壇者が次々に登壇して、ディスカッションが繰り広げられていきます。
内容はといえば、直近リリース予定の新機能や将来の展望など、気になる情報が満載の2日間でした。
振り返ってみるとGlean社が伝えたかったことは大きく3つ。どれも、社内でAI活用を推進されているご担当者の方がいま悩まれている課題にまっすぐ向き合った内容だったように思います。
ここからは、その3点について、アシストの知見と解釈も織り込みながらお伝えします。
1. 社内の「文脈」こそが、会社の「資産」
2日間、最初のキーノートから最後のセッションまで、一貫して繰り返されていた話です。
「文脈」「コンテキスト」は、日本国内でも最近よく聞くようになっていますが、Glean社はGleanを開発しした当初から、そしてアシストが2023年に初めて日本にGleanを持ち込んだ当時からも、Gleanそのものの核となるきわめて重要で本質的なワードとして発信し続けています。
Gleanでいう「コンテキスト」とは、要するに社内のあれこれのつながりです。
どんな資料があって、誰が何に詳しくて、どのプロジェクトがどう進んでいて、どの会議で何が決まったか。ここが分かっているから、Glean は「うちの会社の話」として答えを返せます。
CEO の Arvind Jain 氏は、このコンテキストを「特定のAIツールに属するものではなく、使うAIが入れ替わっても手元に残り続ける会社の資産」だと位置づけていました。そして、自社の AI を自分たちで選んでコントロールできている状態を「AI Certainty(AIにおける安心感)」と表現していました。
1年ほど前までは「AI はいずれ1つの製品に集約されていく」と言われていた気がします。でも実際に起きたのは逆の現象で、部署ごと、用途ごとに違うツールが増え続けている。たぶん、こちらのほうが実感に近いですよね。一般に「AIスプロール(AI Sprawl)」と呼ばれる状態です。今回のキーノートでも何度も出てきました。
ツールを1つに絞るのか、それぞれ好きに使ってもらうのか。Glean 社の答えはどちらでもなくて、増えること自体は止めない、ただしまとめて見渡せて管理できる仕組みを「あいだ(間)」に置く、というものでした。
その役割を担いそうなのが 「AI Gateway」 です。
社員がそれぞれ使っているChatGPTやClaude、開発向けのツールはそのまま使ってもらいながら、その裏側に会社としての土台を1枚通す、という考え方でした。社内の文脈や自分たちで作ったスキルが、どの入口から使っても同じように効く。つまり、使う AI が入れ替わっても、積み上げてきた文脈のほうは会社に残って効き続けるわけです。
要するに「入口を1つに統一する」のではなく、「入口は増えてもいいから、土台は1つにまとめる」。とはいえ、AI Gatewayの具体的な構成や実際の使い勝手まではまだ見えていないので、、詳しいことは続報待ちですね。
2. AI のコストが高いのは、使い方の設計の問題
AIのコストは、利用が広がってきた企業ほど気になるところだと思います。
Arvind 氏も「今日取り上げるなかで最大の課題は、コストです」と話されていました。
原因そのものは単純で、簡単な用件にも1番高性能で高価なAIを使ってしまっているケースが多い、ということです。
Glean の財務責任者 Michael 氏は、これを「パスワードのリセットを頼むたびに、わざわざCTOを呼び出すようなもの」と表現されていました。社内でコストの話を始めるときに、そのまま使えそうな例えです。
3年かけて社内の AI 活用を推進したら、狙いどおり利用は増えた。当然、費用も増えて CFO が気にし始める。とはいえ「使うな」とは言えない。だからいま問われているのは、育ててきた社員の使い方を止めないまま費用を抑える方法だ、という整理でした。「全社員に無制限でAIを使わせるのは、限度額のないクレジットカードを配るのと同じです」という言い方も印象に残っています。
その答えとして発表されたのが「 Auto-routing 」です。用件の内容と難しさを見て、どの AI にお願いするかを自動で振り分けてくれます。簡単な用件は軽いAIで済ませ、じっくり考えてほしい用件は高性能なモデルに回す、という感じですね。
現在も Glean が最適なモデルを選んではいますが、そこがさらに洗練されるという印象でした。プロンプトの文面だけで判断するのではなく、社内の情報を実際に調べたうえで難易度を見立て、必要に応じて高性能なモデルに引き継ぐ。運用を任される立場からすると期待が高まります。
3. AI が「呼ばれるのを待つ」のをやめ、同僚になる
3つ目は、少し先の話になります。
出発点は、「AI の機能はどんどん増えたけれど、人が一日に使える集中力は変わっていない」という問題意識でした。
確かに、機能が増えるほど「どの場面でどれを使えばいいのか分からない」状態になりがちで、社内展開を進める側としては悩ましいところです。であれば、人が探しに行くのではなく、AIのほうから必要なタイミングで声をかけるべきだろう。これが「 Proactive AI 」です。
会場でいちばん議論が深まっていたのは Independent Agents でした。これまでのエージェントは本人の代わりに動く「秘書」でしたが、こちらは自分の名前と記憶を持ち、ずっと動き続ける「同僚」です。Arvind 氏は「10人のサポートチームに加わる、11人目のメンバー」と例えていました。
ここで重要になるのが「権限」です。
これまでのエージェントであれば、本人の権限をそのまま引き継げばよく、本人が見られない情報は見せない、本人にできない操作もさせない、という整理で足りていました。ところが独立した「11人目」となると、その前提が使えません。任せる仕事の範囲に応じて、どこまでの情報を見せ、どこまでの操作を許すのかを一つずつ決めていくことになります。では、それを誰がどう設計し、どう運用していくのか。このあたりはまだ議論が必要そうです。
全体を通しての感想と、これからの展望
2日間を通して、やはりGleanの強みは会社のコンテキストを持っていることだと改めて感じました。誰が何に取り組んでいて、どの資料がどこにつながっているのか。こうした社内の文脈は、外から買ってくることができません。AI そのものの性能は各社が競って上げていきますが、ここは自社の中で積み上げるしかない部分です。その土台をきちんと押さえた製品なのだと確認できて、まずは安心しました。
そして、その文脈を土台に Proactive AI の実装が進んでいく、という方向性にいちばん期待しています。AI が賢くなるだけなら、もうどの製品でも起きていることです。「この会社ではいま何が進んでいて、この人は何を気にしているかを分かっているAIが、必要なタイミングで的を射た一声をかけてくれる。これができるのは、社内の文脈を持っている製品だけだと思います。
もうひとつ、明るい展望が見えたのが AI にかかるコストです。実のところ、私たちアシストの中でも AI の利用料は課題です。使い方を制限して費用を抑えるのではなく、設計を工夫することによって「同じ体験のままコストを安くする」。今回示された方向性がこのまま進んでくれれば、社内で AI 活用を広げたい立場としては本当に助かります。ここは大いに期待しているところです。
※本記事の内容について、現地での聞き違いや解釈の誤りが含まれているかもしれません。その点はご容赦ください。
執筆者情報

原木 達也
2008年にアシストに中途入社。
WebFOCUS製品のフィールド技術を経て、現在はGleanのフィールド技術チームでマネージャーを務める。