「うちの会社は毎年 “脆弱性診断” を受けているから大丈夫!」
そう考えている方にこそ、知っていただきたい事実があります。
2026年4月に話題となったAIモデル「Claude Mythos(クロード ミュトス)」は、人間の指示なしに驚異的な成功率で自律的に脆弱性を攻撃できることで世界に衝撃を与えました。このようなAI技術の進化により、攻撃スピードは劇的に加速しており、もはや従来の「年1回の診断」では会社を守りきれません。
本コラムでは、終わらない脆弱性対応から抜け出し、現場のIT担当者が無理なく安全な運用を実現するための「脆弱性管理の考え方と仕組み」をご紹介します。
爆発的に増えるセキュリティの抜け穴
家の鍵をしっかり閉めていても、知らないうちに新しい窓が作られて、そこから泥棒に入られてしまう。少し極端に聞こえるかもしれませんが、現在のサイバー空間ではそれに近いことが起きています。
その最大の理由は、脆弱性の「数」の爆発的増加と、AI悪用による攻撃「スピード」の加速です。 まず、セキュリティの抜け穴である脆弱性は、2024年に約4万件(前年比38%増)も公開されました。*1 2026年には約6万件に膨れ上がると予測されています。*2
さらに深刻なのが攻撃の高速化です。英国国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)も警告する通り、脆弱性発見から悪用までの時間は劇的に短縮しています。事実、パッチ公開後の脆弱性の56%が1ヵ月以内、12%はわずか1日以内に攻撃の標的となっているのです。*3
このように脅威が迫る現状では「年1~2回、脆弱性診断をする」というスポット対応ではなく、脆弱性を継続的に監視し、優先順位をつけて迅速に対処する体制づくりが不可欠です。
出典:
*1 2024年の CVE データを総括:40,000件以上の脆弱性が公開された
*2 Vulnerability forecast 2026: The Year Ahead
*3 How quickly do hackers exploit vulnerabilities? The answer may disturb you
(2026年05月26日時点の情報)
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従来の脆弱性管理における3つの課題
脅威がかつてないスピードで迫る中、なぜ従来の「年1回の脆弱性診断」や「手作業での管理」は限界を迎えているのでしょうか。具体的に現場のIT担当者が直面しやすい「3つの課題」を見ていきましょう。
1:全ての「期間」を対象にできない
年に1〜2回の脆弱性診断は、例えるなら「会社の健康診断」です。4月に健康診断を受けて「異常なし」と言われても、次の健診までに体調を崩すリスクは当然ありますよね。システムも全く同じです。 前回の診断から次回の診断までの間に新しい脆弱性が見つかれば、その期間は攻撃者にとって格好の的となる「空白の時間」になってしまいます。
この無防備な期間をどう守るかが、攻撃が高速化する現代では極めて重要です。
2:全ての「資産」を対象にできない
コストや手間への懸念から、診断対象を「インターネットに公開されているサーバー」だけに限定していませんか? 公開サーバーは目につきやすいため対策されがちですが、それはあくまで「氷山の一角」です。侵入経路が多様化する現在、社内サーバーや従業員PCなど「見えにくい内部資産」がリスクの温床になるケースが後を絶ちません。万が一公開資産から侵入を許した場合、対策が手薄な内部資産は攻撃され放題になってしまいます。
水面下にある資産も含めて、全体像を把握することが急務となっています。
3:全ての「情報」に対応できない
日々公開される膨大な脆弱性情報の収集や、自社システムとのマッチングをExcelなどの手作業で行うのは、もはや人間の限界を超えています。手作業による管理は、危険な脆弱性への対応遅れやチェック漏れ、属人化を招きます。かといって、「まずは全部チェックしよう」とツールを導入しても、今度は大量のアラートに追われることになります。「危険」「警告」のアラートが次々と鳴る中で優先順位がつけられず、調査だけで時間も気力も奪われてしまう「終わりの見えないモグラ叩き」に疲弊している担当者も少なくないのです。
こうした終わりのない対応から抜け出すためにも、膨大な情報から「本当に優先すべきリスク」を的確に見極め、効率的に対処する仕組みが不可欠です。
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ツールで実現する「継続的な脆弱性管理」
年1回の診断に潜む「空白の時間」や、手作業による終わりの見えない「モグラ叩き」といった現場の課題を乗り越え、企業を脅威から守り抜くための現実的なアプローチとして注目されているのが、ツールを活用した「継続的な脆弱性管理」への移行です。
脆弱性管理ツールによる課題解決
これまで外部ベンダーに依頼していた一時的な診断から、自社でツールを活用して定期的に診断を行う「内製化と自動化」へ舵を切る企業が増えています。
ツールを使えば、人間の手では不可能な膨大な情報の収集や、自社システムとのマッチングを自動化できます。これにより、担当者は終わりの見えない「調査(Excelでの付け合わせ)」から解放され、本来注力すべき「修正」に集中できるようになります。また、人海戦術の限界やコストの壁でこれまで手が回らなかった「内部資産」も含めて、より広範囲をカバーすることが可能になります。
運用しやすい脆弱性管理ツールの特徴
では、自社に合ったツールをどのように選べばよいのでしょうか。ツール選びで失敗しないためのポイントは、単に脆弱性を見つけるだけでなく「日々の運用をどれだけ楽にしてくれるか」にあります。 具体的には、以下のような特徴を持つツールが推奨されます。
✅ 脆弱性管理ツールを選ぶ時のチェックポイント
高い診断精度 …… 誤検知が少ないか?
低負荷 …… スキャンでサーバーを止めないか?
即時性 …… 最新の脆弱性にすぐ対応できるか?
リスクスコアリング …… 優先順位を自動判定できるか?
運用性 …… SaaS型でメンテナンスフリーか?
サポート …… 日本語サポートは充実しているか?
脆弱性管理ツールのスタンダード「Tenable Vulnerability Management」
こうした現場の課題を解決し、継続的な管理を実現するスタンダードなツールとして世界中で広く活用されているのが「Tenable Vulnerability Management」、略して「Tenable VM(テナブル ブイエム)」です。このツールがもたらす「3つの効果」をご紹介します。
💡 「点」ではなく「線」で見守ることで、空白の時間を減らせる
年に1回の「点」の診断ではなく、毎日・毎週の自動スキャンによって「線」で監視する考え方に切り替えることができます。これにより、診断の間に生まれる見落としや空白の時間を減らせます。
また、危険な脆弱性が公開されると、およそ24時間以内に検知用プログラム(プラグイン)が提供されるため、スピード感をもって確認や対応につなげやすいのも特長です。過去にはApache Log4jのような重大な脆弱性にも、同様のスピード感で早期対応ができました。
💡 アラートの山から「本当に優先すべきもの」を見つけやすくなる
脆弱性の深刻度を0〜10の数値で表す標準的な指標「CVSSスコア」は、今でも大切な判断基準です。しかし、対応が必要なスコア7.0以上が全体の約60%を占め、すべてに対応するのは困難です。さらに近年、脆弱性の急増を受けたNIST(米国国立標準技術研究所)の方針転換により、全脆弱性へのCVSS情報の一律付与が停止し、特定の脆弱性を優先する方針へ転換しました。*4 スコアがすぐに付与されない脆弱性が増えるため、CVSSが整うことを前提とした機械的な優先順位付けはもはや困難です。
そこでTenable VM独自の「VPR(脆弱性優先度格付システム)」は、深刻度に加えて「実際の悪用可能性」を加味して評価します。これにより、真に対処が必要な脆弱性を「全体のわずか1.6%」にまで絞り込み、本当に危険なものから着実に対応することが可能になります。
出典:*4 NIST Updates NVD Operations to Address Record CVE Growth(2026/5/26時点の情報)
💡 何度スキャンしても追加費用を気にしなくてよい
固定費用型のツールのため、全資産に対して何度自動スキャンを実施しても追加コストが発生しません。予算を気にしてスキャン頻度を落とすのではなく、必要な頻度で継続的に確認できることは、日々の運用においてとても大きな安心材料になります。
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ツール導入で終わらせない「運用体制」
どれほど優れた防犯カメラがあっても、それを見守り、必要なときに動ける体制がなければ、本当の意味で会社を守ることはできません。脆弱性管理ツールも同じで「導入後の運用体制」が重要です。
運用を成功させる最大の秘訣は「最初から完璧を目指さないこと」です。発見されたすべての脆弱性を即座に直そうとすると現場が逼迫し、必ず破綻します。まずは自社の成熟度に合わせて「いつまでに、どのリスクスコア以上の脆弱性に対応するか」という現実的なルールを定めましょう。対応が難しいシステムは例外を許容するなど、無理なく継続できる体制を築くことが重要です。
自社だけでの運用ルール構築に不安がある場合は、ぜひアシストにご相談ください。 弊社はTenable社の販売代理店の中で最高位の「プラチナパートナー」として、国内140社以上の販売・支援実績があります(2026年5月時点)。回数無制限のサポート体制により、ツールの使い方から運用ルール作りのアドバイスまで、お客様に継続的に寄り添います。
「脆弱性管理の正解がわからない」「終わらない対応に疲弊している」とお悩みのご担当者様は、お気軽にお声がけください。15日間無償で試せるトライアル環境 もご用意しており、自社に最適な脆弱性管理のスタートを支援いたします。
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この記事を書いたスタッフ
ビジネスインフラ技術本部 システム基盤技術統括部 技術5部
大角 京子
ビジネスインフラ技術本部 システム基盤技術統括部 技術5部
大角 京子





