アシスト基幹刷新の取り組み

  • 実装段階
  • DXへの取り組み
2025.09.04

業務改革センターとしてのNEXISプロジェクトでの挑戦(後編)

業務改革センターとしてのNEXISプロジェクトでの挑戦(後編)

アシストでは創立50年を迎えた2022年、激変するビジネス環境、ますます加速されるスピード化に対応するため、今まで20年以上にわたり利用し続けてきた基幹システムの刷新を行うためのプロジェクト(社内名称:NEXIS)を発足しました。
この、基幹システム刷新の状況をなるべくリアルタイムに近い間隔で、社内キーパーソンへのインタビューを中心に、良い話も悪い話も区別なく皆様にお届けしたいと思います。

今回はアシストの中ではメインでSAPを利用する部門である、業務改革センター センター長の柳慶二郎、センター長補佐の沖冠吾、購買管理部 部長の矢農幸浩の3名へのインタビューを通して、センター設立の経緯やプロジェクト推進での苦労について2回に渡りお伝えします(後編)。


こんにちは。インタビューを担当させていただきます営業の真下(ましも)と駒形(こまがた)です。
前回に続き実際にSAPを利用して業務を行う予定の業務改革センター(GKC)に所属する柳さん、沖さん、矢農さんに話を伺います。
前編 から続く)

現場への改革という意識の浸透

真下:次の質問です。
他社さんから、カットオーバーした後にユーザーから「こんなの違う」という声があがり、やり直しになるプロジェクトの話を聞きます。そういうことはアシストでも起こり得るのかお話しいただきたいです。

矢農:アシストでは単なるシステム刷新ではなく、個別最適のプロセスをやめる前提なので、今までとは良くも悪くもまったく変わっているんですよ。
Fit to Standard、SAPに合わせていくという意識はなんとなく皆さんあって、今までと同じことがSAPではできないとわかっていると思うんです。考え方も全然違うので。
そのため、教育を始めていますが、現場からこんなの無理です、という話はあがっていないです。

駒形:現場にとってはFit to Standardで全体最適にするよりも、従来型の個別最適の方が楽だし、効率的な部分もある。
ただ、それではダメだという話があり、全体最適でSAPに合わせてやっていく必要があるので、実際その業務をする実担当からすると、今までより大変だがそこはもう全体最適のために受け入れます。そんなイメージですか。

矢農:全員がポジティブに受け入れているかと聞かれると若干答えにくい部分がありますが、しょうがないという感じはしますね。
少し前は、SAPになるにあたってシステムの更改だという意識で「AMIS(現行の販売管理システム)でできたことと同じことをできるようにしてください。以上!」という言い方をする人がいました。でも新しい組織も立ち上がり、NEXISの全貌が見えてくると、さすがにそうじゃないんだ、というのが現場でも少しずつわかってきました。良い方向に向かっているという感覚はありますね。

柳:改善と改革の違いです。AMISを改善して何かをするわけじゃないのです。今回システムも変わって、今までの業務処理のやり方も全部改革していく、という形で捉えないと難しいかなと思います。例えば、今は個別最適で対応している分、手数は増えるはずなんですよね。一方、全体最適は確かにやり方は変わりますが、手数は必ず減っているはずです。慣れていくと今までかかっていた工数が絶対に減ります。今は、技術も営業もアシスタントも皆さん話をすれば、「いっぱいいっぱい!パンパンでもうこれ以上回らないです!」と言います。だったらそれを回すために最適化をしていかないといけないですよね。変わるのが嫌だから今の高負荷の状態を受け入れるんですか?でもそこに対して不満が出ますよね。それなら、変わることでスイッチングコストは一時的にはドンと上がりますが、システム刷新を進めていく上でその軸をぶらさないことが必要なのだと思います。そうしないと、結局は個別最適に揺さぶられてしまいます。現場から不満が出てくるのは分かりますが、プロジェクトの推進側としてブレずに進めないとプロジェクトも破綻してしまいますし、改革も進まないと思いますね。ここは大事な部分だと思います。

駒形:プロジェクトに参画している、現場に近い課長層の方々は、今お聞きした改革に対する意識の変化はすぐにありましたか。

柳:いや、彼らにも今まで現場できちんと業務を回してきていたというプライドもあり、お客様目線で考えると、お客様ごとにこうする必要がある、というのが多くあるんですよね。そこもわかりながら、かつ、今回の方向性もわかりながらというジレンマを抱えて進んでいました。ただ、最近はだいぶ全体最適化しないといけない、という方向に目が向いてきていると思います。

駒形:そこの変化って何でしょう。いつから意識の変化が生まれてきたんでしょうか。

柳:しつこく言うしかないですかね。話をしているとお客様個別の話がメンバーからも出てくるんですよね。でもそうじゃないよね。言いたいことはわかるけど、今考えるのは個別最適をどう変えていくか、それを考えて変えていくことをあなたに期待しているんですよ、ということを何回も繰り返して引き戻さないといけないかなと思います。

NEXIS後のビジネスフロー

沖:変えるという観点でお話ししますと、SAPで定義されたビジネスフローの中でアシストがチョイスしたのが下図の3つのフローと、間接材を入れた4つになります。
この3つのビジネスフローに業務を合わせていかなくてはならないです。
SAPはデータの流れと付随した画面も決まっており、この決められたフローにアシストの業務を当て込んでいく形になります。これがFit to Standardという考え方になります。

駒形:「そのフローでは業務が流れません」という場合はどうするのですか。

沖:どうすれば流れるかを考えます。

駒形:業務を変えるということですね。

沖:そうです。
あとは先ほど柳さんの話にあった、継続保守契約のフローは、データを作る機能がそもそもSAPにはないのでそこは開発することになります。ただ、データを作ったあとは図1 の仕入れ先直送のビジネスフローに合わせることになります。

駒形:ここの開発がアドオンになるわけですね。

沖:はい、ABAPによるフルアドオンになります。


ビジネスフロー(仕入れ先直送)

(図1) ビジネスフロー(仕入れ先直送)


ビジネスフロー(サービス販売)

(図2)ビジネスフロー(サービス販売)


ビジネスフロー(サービス販売分割)

(図3)ビジネスフロー(サービス販売分割)

このフローをベースにして様々なシチュエーションのパターンを作成して、たとえばライセンスとサービスをまとめて受注した時はきちんと流れるか、などのテストをしていきます。

駒形:さきほど画面が決まっているという話がありましたが、SAPの画面はすごく使いづらいから画面の部分をアドオンしているケースがあるようですが、アシストもアドオンしましたか。

沖:していないですね。使いづらいってみんなが言っています。この項目どこにあるんだよ、とか大変そうです。

現場への教育体制

真下:続いて、現場への教育について、対象と進め方について教えてください。

柳:図4 のイメージで進めています。
教育の対象は、1つは新規の受注発注業務を担当する業務改革センターのメンバーです。
教育コンテンツの作成についてはプロジェクトメンバーであるGKCの課長陣が作成し、各課単位で教育を実施しています。図4 にある新規というのは図1 の新規ビジネスのフローの部分でこちらは先行して実施しています。
継続保守契約のアドオン開発が終わってテスト段階になったところで全体を含めて2次教育という形で実施しますが、ここについてはコンテンツ、教育の流れをどうするかはプロジェクトの事務局に対して業務サイドより確認をしているところです。


教育計画

(図4)教育計画

駒形:教育コンテンツはどのようなものを使われているのですか。

矢農:1つはITS(社内システム部門)が全社向け普及活動の一環で作成した、「NEXISにより何がどう変わります」という動画を活用しています。
NEXISの画面の操作などはチーム単位で説明し、フィードバックしてもらいながら理解を深めています。多いチームですと毎週集まっています。実際に画面の前に座って、例えば、今日は新規発注の動作を一緒にやってみましょうと。こういう時にはどうしたらいいの?これがうまく動かない、とか色々な話が出てくるので、みんなで相談しながら勉強しているようです。

柳:このプロジェクトには受注とか発注の現場側として、システムの専門家じゃない人たちが参画しているんですけれども、教育コンテンツを作ったりとか、すごく前向きにやってくれていると思いますね。

真下:ここまでプロジェクトを進められてきて、うまくいかなかったことや悩んだことはありますか。

柳:今回アジャイルで進めたので、ウォーターフォールのようにカチッと一個ずつ決めて落とすのではなく、回しながらというところで、どのように物事を決定していくのかが見えづらかったです。

矢農:グランドスケジュールが引かれて、WBSで一個ずつ落としていくようなことができない。そこが見えなくて歯がゆさを感じたことはありますね。
どこまで進んでいるんだろうとか、これで大丈夫なんだろうとかというところは、ユーザーの立場としても心配になりましたし、プロジェクトに入っている立場としても不安に感じました。

柳:もう一つは先ほど出た、みんな、分かってはいるのですが個別最適にどうしても意識がいってしまうことが、全体最適とあるべき姿を追いかけようとしながら、ぶれてしまうところも出ているという、この2つがユーザー側のプロジェクトメンバーとしては思ったところですね。

真下:少しでも気を抜くと揺り戻しを起こしそうですよね。
では最後にNEXISに対する意気込みと期待をお話しください。

柳:我々自身が考えて今動いていく、改革していくんだという、メッセージを込めて「やったるでー!喜んでー!」という感じです。

矢農:アシスト創立50年の時に大塚社長が言っていた今後50年続くアシストのためにという部分で、SAPを使うこと自体はここ数年かもしれないですが、今後のこの先、25年もしくはその50年先まで見据えた業務の改善、改革に当たっていこうという意気込みでアシストの将来を考えて最適な形にしていきたいという思いがあります。

真下:長時間お付き合いいただきまして、ありがとうございます。
プロジェクトを成功させて全体最適により会社をハッピーにしましょう!


※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。






インタビュアー&執筆者情報

​真下 悦拡(ましも よしひろ)
東日本営業本部 東日本営業統括部

粘り強い営業に定評あり。同世代のエース。



駒形 美鈴(こまがた みすず)
東日本営業本部 東日本営業統括部

童顔からは想像できないキレキャラ。番犬的存在。


関連している記事

  • 実装段階
  • DXへの取り組み
2025.08.18

業務改革センターとしてのNEXISプロジェクトでの挑戦(前編)

アシストは基幹刷新プロジェクト(NEXIS)にあわせ、業務プロセスの大幅な見直しも進めています。この変革を推進する業務改革センターのメンバーにNEXISにかける思いと業務の変革を推進していく上での苦労を伺いました(前編)。

  • 実装段階
  • DXへの取り組み
2025.01.23

導入ベンダーから見るアシストの業務(3)

アシストの基幹刷新プロジェクト(NEXIS)について、これまでは社内のプロジェクト関係者へ話を聞いて状況をお伝えしてきました。前回に続き導入ベンダーであるアイ・ピー・エス様から見てアシストの業務やプロジェクトの推進がどのように映っているのか、話を伺います(第3回)。

  • 実装段階
  • DXへの取り組み
2024.12.26

導入ベンダーから見るアシストの業務(2)

アシストの基幹刷新プロジェクト(NEXIS)について、これまでは社内のプロジェクト関係者へ話を聞いて状況をお伝えしてきました。前回に続き導入ベンダーであるアイ・ピー・エス様から見てアシストの業務やプロジェクトの推進がどのように映っているのか、話を伺います(第2回)。

ページの先頭へ戻る