生成AIを全社にスケールしたら、驚異的な利用実態が明らかに。アクティブ率97%、1人平均1,000回?!アシストの生成AI利用実績を解説します

アシストでは、全社員が生成AIを実務利用できる環境を2023年から導入しています。
導入後の利用トレンドを見てみようと、直近6ヵ月の利用実績を調べたところ、全社スケールでとんでもないことが起こっていたことがわかりました。
この記事では、利用実績をデータで読み解きながら、生成AIを実務で利用しているアシストのリアルな実情をご紹介していきたいと思います。
生成AIの全社での利用回数は・・・
それではまず、全社でどれくらい生成AIが使われているのか? 数字を見ていきましょう。
アシストが導入している生成AIは「Glean(グリーン) 」になりますので、Gleanの利用ログデータをもとに紐解いていくことにします。
全社員分のログデータから、Gleanの利用実績を積み上げて計算していくと、6ヵ月間の利用回数のトータルは全社で130万回にのぼることがわかりました。
生成AIの全社利用回数合計(6ヵ月間)

※ 集計対象の期間は、2024年3月から8月の6ヵ月間(26週間)です。
Gleanでは「横断検索」と「チャット」の2つの機能に生成AIを利用しているので、ここでは両方を足し合わせた回数で130万回となっています。
Gleanを見るのも聞くのも初めて・・・というお客様には、「Gleanは社内版Google」と例えて説明させていただくのですが、アシストでの実際の利用実態を見ても、ドキュメントや情報を見つけ出すのに96万回使われているのは、まさに「検索エンジン」としての使われ方が王道だと言えそうです。
Gleanの検索について
Gleanでは、検索(エンタープライズサーチ)に生成AIが採用されており、ユーザーが検索して知りたいことを理解するためにLLMが使われています。
Retrieverが企業内の文書をベクトル化して知識ベースとして書庫化し、検索クエリに基づいて適切な情報を見つけ出した後、LLMがRetrieverから受け取った情報を基に自然言語での回答を生成して提供します。
一般的に、LLMは答えるために使われていると思われることも多いのですが、Gleanでは私たちが知りたいことを解釈して、その知りたいことに対する答えを作ることの両方で使われるため、「検索による結果生成」と「チャットによる回答生成」をあわせた利用を生成AIの利用としています。
社員1人当たりの利用回数でみると
生成AIの全社での利用回数が130万回(6ヵ月間)という数字は果たして多いのか少ないのか・・企業規模によっても見方は異なってきますので、この数字を社員1人当たりの回数で割り出して解像度を上げていきましょう。
余談になりますが、アシストでは生成AIの利用開始にあたって個別具体的な利用方法を推奨したり定めることはしておらず、Gleanの使い方や頻度はすべて社員一人ひとりに委ねられています。(*) いったいどんな数字が表れてくるのでしょうか?
※アシストでは「生成AIの社内利用ガイドライン」が発行されており、著作権や機密情報、バイアスなどについての基本的な指針が示されたうえでの利用となっています。
生成AIの社員一人当たりの利用回数
130万回を社員数で割ると、社員1人当たりの平均的な生成AIの利用回数は、6ヵ月で1,000回、1ヵ月で167回、1日で9回となりました。
| 利用期間 | 6ヵ月 | 1ヵ月 | 1日 |
| 利用回数(社員1人当たりの平均) | 1,000回 | 167回 | 9回 |
この利用実績は国内企業のなかでもトップレベルの部類・・・と言えるような気もしますが、調査レポートなどと正確に比較したわけではないので、感想として聞き流してください。
ちなみに、社員数については、該当期間中にパパ・ママ育休で休業に入った社員や退職した社員は除き、期間中に在職した1,270名を実数にしています。また1日当たりの利用回数の算出にあたっては、人事部の協力のもと、該当期間に社員が取得した休暇の平均日数を除いてほぼ実働の勤務日数をベースにしていますので、より実態に近い数字として見ていただけるかと思います。
利用状況を分布で分析すると
さて、全社での利用実績をもう少し掘り下げて見ていきましょう。
1日の利用回数を頻度別に分類すると、このような分布になりました。
生成AIの1日当たりの利用頻度

生成AIを1日に10回以上使っているパワフルな社員は3割で、平均的な9回程の社員とあわせると、6割の社員が1日に5回以上利用しており、生成AIを日常的に使っていることがわかります。
また、アクティブユーザー率は97%で、生成AIが全社にスケールして使われていることを示しています。
イノベーター層は生成AIの利用が桁違い!1日に50回が普通?!
ところで、上記のグラフのなかで、1日20回以上使っている猛者が8%もいることにお気づきでしょうか?
続いては、このパワフルなユーザー群にフォーカスしながら、利用実績をイノベーター理論に当てはめて可視化していきたいと思います。
イノベーター理論:
イノベーター理論とは利用率や普及率を5つの層に分けて見る方法で、新製品をイチ早く積極的に取り入れる層をイノベーター、イノベーターほど革新的ではないけれど早期に採用する層をアーリーアダプター、その次にアーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードと順に定義するマーケティング理論です。
Gleanは、生成AIスタートアップのユニコーン企業が開発する最先端のサービスですので、このフレームワークはうってつけかもしれません。アシスト社員の反応は、どのように浮かび上がってくるのでしょうか。
では、レイヤー別に見ていくことにしましょう。
こちらが、イノベーター理論で定義されている割合をベースに、社員を5層に分布したグラフです。
生成AIの利用回数別にイノベーター理論で分類

| イノベーター | アーリーアダプター | アーリーマジョリティ | レイトマジョリティ | ラガード | ||
| 社員数 | 33名 | 173名 | 445名 | 427名 | 192名 | |
| 利用回数(半年) | 4,000回以上 | 1,700-3,999回 | 700-1,699回 | 200-699回 | 199回未満 | |
| 利用平均(1ヵ月) | 866回 | 405回 | 187回 | 72回 | 16回 | |
| 利用平均(1日) | 46回 | 22回 | 10回 | 4回 | 1回 |
一番左のイノベーターが、もっともGleanを使っている集団です。猛者のなかの猛者ですね。
人数にすると33名で、利用回数は半年で4,000回以上、1日に50回ほど使っているので、圧倒的に突き抜けた利用をしている人たちということになります。
ちなみに、イノベーターの中でもっとも利用している社員は、半年で8,000回、1カ月で1,300回、1日あたり75回という利用実績でした。
筆者はといえば、それなりにGleanを使っている自負があったにもかかわらず、三層目のアーリーマジョリティのポジショニングだということがわかり、先頭集団との想像以上の利用差に愕然としています。
生成AIで削減できた業務時間はどのくらい?
さて、生成AIの利用効果として「削減できた業務時間」も指標の一つになり得るかと思います。
しかしながら、生成AIの利用によって削減できた時間はどうやって測定するのがよいのか、新しい領域ということもあってメジャメントの手法に迷います。
たとえば、固定的なルーティン業務に生成AIを利用した場合はビフォー/アフターの正確な測定がしやすいかもしれませんが、Gleanの場合は、わからないことが発生したら聞く、知りたいことについて情報をまとめてもらうというような都度都度の利用法がメインです。
あるいは、戦略プランを立てるにあたって、2時間ずっとGleanと壁打ちしていたら100回のやり取りになりました、ということもあるので、単純に利用回数に何かしらの時間を掛け合わせることで削減できた時間とする、というのも実態とは乖離します。
そこで、社員へのアンケートを実施し、生成AIの導入前後で週あたりに削減できた無駄な時間を教えてもらうことにしました。こちらがその結果になります。
生成AIの利用によって削減できた週当たりの無駄な時間

社員の回答から、週当たりに削減できた無駄な業務時間は、全社平均で1人31分となり、8割の社員が週に15分以上削減できていることがわかります。
全社で合計すると、6ヵ月間で1.8万時間が生成AIによって削減できた時間になります。これは推定値ではなく、社員がリアルに実感している確実な成果だと力説できる数字になりました。
たとえば、全社で1人当たり週31分の時間削減をコスト換算すると、1時間当たり2.5千円とした場合、1年間では9千万円になります。アシストは1,300名の企業規模ですので、生成AIの導入利用コストを差し引いても、初年度から充分な効果がもたらされていると言えます。
さらに、生成AIを利用した効果で興味深いのは、時間やコストの削減にとどまらず、その後に続く業務のパフォーマンスに波及していることです。それでは最後に、定性効果を含めて見ていきましょう。
生成AIで、社員が実感している「本当のインパクト」
経営観点から
約1,300名の社員が生成AIで削減できた時間は1.8万時間(6ヵ月)という成果はどう評価できるのか、人事部門のマネージャーと一緒にこの数字をレビューしながら、経営指標とリンクする変化が起きていないか聞いてみました。
すると、アシスト全体として残業時間は減少、1人当たりの労働生産性は上昇しており、これはGleanの利用と一致しているのは確かということです。(ただしGleanを使い始めて初年度ということもあり、Gleanの貢献度合いの立証はまだこれからです。)
また、Gleanの利用と社員の業績パフォーマンスに相関がありそうかを尋ねたところ、上記のイノベーター理論でGleanをよく使っているパワフルなユーザー群は、業績評価が高く残業時間の減少傾向も高いことがわかりました。
Gleanを突き抜けて使っているユーザー群はハイパフォーマーであり得るということが見えてきたわけなのですが、生成AIを積極利用することと業績の相関については、ミスリードを避けるためにももう少し慎重に見ていく必要がありそうです。
ただ、生成AIの積極的な活用は、新しい働き方のモデルとして経営観点からも望まれる働き方になってきているのは間違いなく、期待に対して全社での実践が成果を挙げていると言うことができます。
実務の現場観点からは
情報検索がスピードアップ。知りたい情報を入手するまでの時間が短縮
情報検索のスピードが上がり、資料や情報を探し出すための時間がゼロになりました。(営業・技術・マーケティング)
先輩たちの過去の提案書を簡単に見つけ出すことができ、提案資料の作成が効率化しています。(営業)
アポ中に急な情報提供を求められた際、その情報がどこにあるのかわからなくても、その場で検索してお客様に回答できています。(営業)
社内ナレッジの有効活用
Googleドライブ内で検索するとGoogleドライブにある資料しか探し出せず、しかも検索ワードに一致する結果しかヒットしない。Gleanなら複数のSaaSをまとめて検索できて、類似の資料まで表示されるので、知りたいこと以上の情報とインサイトを得られます。(技術)
資料を1つずつ読み込まなくても、Gleanが網羅的に回答にまとめてくれるので、まずはそれを読めば事足りて一歩踏み出せます。(営業・技術・人事)
事前準備の時間を大幅に圧縮して、本業への着手が早くなりました。(営業・技術)
顧客対応品質や業務品質の向上
商談時の宿題や持ち帰りが減って商談内容が濃くなり、毎回の商談のゴール設定どおりに進められることが増えています。(営業)
お客様向け資料や文章の校正、作成した資料に対するチェックやレビュー、想定問答を作成して商談に臨めるようになりました。単純な作業時間が減り、今までは対応しきれなかった範囲にまで広げて準備できるようになっています。(技術・マーケティング)
Python、SQL、CSS、GASなどのコードの作成、レビューと修正ができてとても助かっています。コマンドに精通していなくても、それらの知識が必要になった時にスムーズに回答を得られます。(技術・マーケティング)
残業時間の減少
総務・経理・人事部門では、社員からの問い合わせ数が劇的に減っています。社内の規定や申請手順について、社員がGleanに教えてもらっているからです。特に、定時後の急な問い合わせが減ったことで、予期せぬ残業も発生しにくくなっています。(部門マネージャー)
新入社員であっても残業がほぼゼロなのは、Gleanの利用も大きいと思っています。(新入社員)
新入社員や中途入社社員の早期戦力化
先輩や他部署に聞く前に、まずは自分で調べて自己解決できるようになりました。(営業・技術・新入社員)
上司に質問する内容のレベルが上がりました。お互いの生産性に貢献していると感じます。(営業・部門マネージャー)
新卒入社、中途入社、公募異動の社員には通年でOJTのアサインが必要ですが、Gleanの利用により、早期育成と育成コストの低減を両立できています。(部門マネージャー)
オンボーディングへの貢献に注目。社員インタビューでわかったこととは
上記の「新入社員にとってGleanが役立っている」というコメントは、数としても多くの社員から寄せられていました。
実は、ログデータから利用上位者の共通項を探っていった時にも、新卒・中途問わず「新入社員」は際立ったセグメントになっており、入社後は知らないことばかりで困り事が多い・・・という状況を打破するのに、Gleanがいい働きをしていそうだという仮説がありました。
そこで、それぞれのセグメントを代表する社員に、生成AIをどうやって役立てているのかインタビューで聞いてみました。
人材育成、早期戦力化、社員同士のつながり強化、社員エンゲージメントの向上の観点からも、Gleanがオンボーディングに役立っていることがわかります。
Gleanは、社員にとって無くてはならない「業務インフラ」に
社員インタビューと利用実績の紐解きから、生成AIは全社にスケールさせてこそ、社員への還元も、経営観点での変化も高く期待できるという考察が導ける結果となりました。
利用実績を一緒にレビューした人事部門のマネージャーからは、「Gleanはもはや業務インフラで、社員一人ひとりにとって欠かせない存在になっている」という評価があったのですが、まさに今回の利用実態とピタリと一致する見立てとしてこの記事を締めくくりたいと思います。
次回以降の記事では、社員アンケートのコメントを少しずつ取り上げていきますので、どうぞお楽しみに!
アシストでの使い方をもっと聞いてみたい、Gleanについて詳しく知りたい、というお問い合わせ もお待ちしております。
執筆者情報

古賀 智美
2001年にアシスト入社。AIやBI分野のマーケティングを経て、2023年より「Glean」の日本国内での立ち上げに参加。マーケティングマネージャー。
アシストでの生成AI全社実践プロジェクト「1GAN」のCoE。

