【Gleanで変わる働き方 第1回】「あの資料はどこ?」の悲劇~会社の生産性を20%も下げる見えない敵との戦い~

「先週の会議資料どこだっけ?」
「あのお客様への提案書、誰が作ったんだろう?」
「この件について詳しい人、社内にいないかな…」
こんなつぶやきが、あなたのオフィスでも日常的に聞こえてきませんか?
もしあなたがこのような言葉を一日に何度も発しているなら、あなたは「探す時間」という見えない敵に生産性を奪われています。この記事では、多くの企業が気づかないうちに直面している「情報検索の罠」について、その実態と影響、そして解決の糸口をご紹介します。
驚愕の事実:あなたの一日の20%は「探し物」に消えている
一説によると驚くべきことに、ビジネスパーソンの多くは一日の労働時間の約20%を情報検索や資料集めに費やしていると言われています。8時間勤務の場合、1時間36分が「探す」ことだけに使われているのです。
これを企業全体で考えてみましょう。1,000人規模の企業なら、常時200人が「検索要員」として働いているようなものです。この時間が創造的な業務や顧客対応に使えたらどれだけの価値が生まれるでしょうか。

「探す」という業務の実態:新入社員実験が明かす衝撃の事実
アシストで、興味深い実験を行ってみました。新入社員10人に「ある製品の価格変更がいつ行われたか」を調べる課題が出されたのです。結果は衝撃的でした。
5分以内に正解にたどり着けたのは、なんと10人中たった1人。しかもその1人さえも「本当に正しいかわからない」と自信がなかったのです。
新入社員たちは何をしていたのでしょうか?
イントラネットを何度も行ったり来たり
クラウドストレージのフォルダを延々と開き、フォルダの沼へ
キーワード検索で「価格変更」と入力するが、実際のドキュメントには「価格改定」と書かれてるのでヒットしない
チャットやメールの履歴を探すが、新人なのでアクセス権がない
詳しい人に聞きたいが、誰に聞けばいいのかわからない
これは極端な例ではありません。多くの企業でこのような「情報の迷路」が日常的に発生しています。
情報検索はいつ発生する?日常業務の隠れた時間泥棒
企業内での情報検索は、実に様々な場面で発生します。
打ち合わせ前の準備
前回の打ち合わせの議事録を検索
進捗状況を入力するためのプロジェクトファイルを探す
会議中
議論の中で生じた疑問点を即座に検索
他部署の関連ドキュメントを参照
お客様対応
提案書作成のために過去の類似案件を探す
成功事例や事例集を探す
問い合わせ対応
過去の類似問い合わせ履歴を確認
正確な回答のためのマニュアルや仕様書を探す
これらの「探す」作業を合計すると、平均で1日1時間30分にもなります。これが一日の20%という数字の正体です。
見逃されがちな深刻な影響:「探せない」ことがもたらす企業へのダメージ
「ちょっと探すのに時間がかかる」というのは、表面的には小さな問題に思えるかもしれません。しかし、その累積的な影響は計り知れないものがあります。現場の視点、経営の視点で考えてみましょう。
現場レベルでの影響
作業の重複と無駄なコストの増加
「あの資料どこだっけ?見つからないから作り直そう」という状況が多発
同じ資料が複数バージョン存在し、どれが最新か分からなくなる
顧客の信頼低下
Aさんが見ているドキュメントとBさんが見ているドキュメントが異なる
その結果、同じ顧客に対して矛盾する情報を提供してしまう
同じミスやトラブルの再発
過去に同様の問題が発生し解決策があっても、その情報が見つからない
「前にも同じことがあったはず…」と思いながらもゼロから対応
業務の属人化とボトルネック化
「この件なら○○さんに聞かないと分からない」という状況の常態化
特定の人が休暇や退職すると業務が止まってしまう
経営レベルでの影響
意思決定の遅延
判断に必要な情報の収集に時間がかかり、意思決定プロセス全体が遅れる
「今すぐ決めなければならない」場合でも、必要な情報が即座に見つからない
ビジネスチャンスの喪失
過去の顧客とのやり取りや提案内容が分からず、適切なアップセルの機会を逃す
競合よりも提案や対応が遅れ、商談を失う
組織全体の成長・イノベーションの停滞
知識の共有や蓄積がうまくいかず、成長サイクルが回らない
同じ問題解決を何度も繰り返し、新しい価値創造に時間を使えない
企業としての競争力低下
情報活用の非効率さが企業全体のスピードと質に影響
結果として市場での競争力が徐々に低下
売上・収益の減少
顧客の信頼低下による取引減少
効率の悪さによるコスト増加
これらはすべて「必要な情報がすぐに見つからない」という一見些細な問題から派生しているのです。
情報迷子を生み出す根本原因:なぜ企業は情報を「探せない」のか
なぜ多くの企業でこのような問題が発生するのでしょうか?主な原因は次の2つに集約されます。
1. ツールとデータの分散
メール
チャットツール
クラウドストレージ
コラボレーションツール
CRM
社内イントラネット
プロジェクト管理ツール
社内ナレッジベース
ひとつの情報がどのツールにあるのか分からず、同じキーワードで各ツール内を個別に検索する必要があります。しかも、各ツールの検索機能の精度はまちまちで、多くの場合は十分ではありません。
2. 「知識の持ち主」の不透明さ
組織が成長するにつれ、「誰が何を知っているか」が見えづらくなります。
部署や部門ごとに情報が閉じられ、横断的な知識共有が困難
「この分野に詳しい人は誰?」という質問への答えが得られない
組織変更や人事異動により、知識の所在が常に変化
これらの問題により、必要な情報を探すのに膨大な時間がかかったり、最悪の場合は見つからなかったりするのです。
理想的な状態とは?「いつでもすぐに」見つかる全社ナレッジ
では、解決策はどこにあるのでしょうか?企業が目指すべき理想的な状態を以下の通り定義してみました。
必要な情報が一瞬で見つかる・探せる
複数のアプリケーションにまたがる情報を一度に検索できる
自然言語で質問するだけで、必要な情報が得られる
過去の事例やナレッジを最短で活かせる
同じ失敗を繰り返さない
過去の成功事例をすぐに参照できる
担当者が変わっても組織の財産として活用できる
個人に依存しない情報共有の仕組み
新メンバーの立ち上げがスムーズに行える
この理想の状態を表現するなら、「あなた専属の超優秀なアシスタント」が各社員についているようなものです。言い換えると、この優秀なアシスタントは、
会社のすべての情報を把握している
あなたの役割や関心、過去の行動を理解している
24時間365日、どんな質問にも即座に答えてくれる
必要な情報をただ示すだけでなく、文脈や背景も説明してくれる

「A社への提案書を探して」と言えば、「このURLにあります。この提案書の概要や意図、キーマンはこの方です。最新版と旧バージョンの違いはこんな感じです」と答えてくれる。
「製品Bについて詳しい人は?」と聞けば、「○○部の△△さんが詳しいです。この方はこんなドキュメントも作成しています」と教えてくれる。
こんなアシスタントがいれば素晴らしいですが、現実的には不可能でしょう。しかし、テクノロジーの進化により、この理想に近づくことは可能になってきました。
解決への第一歩:情報探索の革新が企業を変える
「探す時間」という問題に対処するために、企業はいくつかの重要なステップを踏むことができます。
情報の一元化とアクセシビリティの向上
企業全体の情報を横断的に検索できる仕組みの導入
権限管理を維持しながら、必要な人に必要な情報が届く環境の整備
ナレッジの構造化と関連付け
散在する情報をつなぎ合わせ、関連性を見出す
「誰が何を知っているか」を可視化する
AIと自然言語処理の活用
複雑な質問に対して文脈を理解した回答を提供
ユーザーのバックグラウンドや行動履歴を考慮したパーソナライズされた検索結果
この領域で注目されているのが、エンタープライズサーチとナレッジグラフ、そしてLLM(大規模言語モデル)を組み合わせたツールです。次回の記事では、こうした最新テクノロジーがどのように「探す時間」の問題を解決し、企業の生産性を劇的に向上させるかについて、具体的な事例と共にご紹介します。
「探す時間」を減らして真の生産性向上へ
「探す時間」の問題は、多くの企業が無自覚に抱える大きな課題です。一日の20%もの時間が情報検索に奪われている現状は、看過できない生産性の損失を意味しています。
しかし、この問題を認識し、適切な対策を講じることで、大きな改善が見込めます。一日あたり1時間以上を取り戻せれば、その時間を創造的な業務、顧客対応、イノベーションに振り向けることができるでしょう。
次回は、「探す時間」を劇的に削減するGleanの仕組みについて詳しく解説します。企業が情報を制する時代、効率的な情報検索と活用は競争力の源泉となるのです。
執筆者情報

立山 あき
株式会社アシスト
2003年に新卒入社。様々な製品のプリセールス、マーケティング担当を経て、現在は新規事業立ち上げとGleanのプリセールスや販促活動に従事。