
「会社の方針や事業の方向性を社員に伝える」。それだけで、本当に理解や納得は生まれるのでしょうか。
アシストのDX技術本部(以下、teamdX)では、部や課の枠を越えて、仕事や組織の未来について語り合う「teamdXタウンミーティング」を開催しています。
これは、マネジメント層が社員に向けて一方的に考えを説明する場ではありません。メンバー一人一人が、日々の仕事で感じていることや、組織のこれからについて考えていることを持ち寄り、互いの視点を知りながら、teamdXの未来を一緒に考えるための対話の場です。
この記事では、teamdXタウンミーティングが始まった背景、当日の様子、参加者が感じた変化をご紹介します。
teamdXタウンミーティングが始まった理由
この取り組みを企画したのは、teamdXの統括部長である岸和田さんです。データベース技術部門からマーケティング部門を経て、2024年9月にteamdXの統括部長に就任した岸和田さんは、組織について次のような課題を感じていました。
事業方針や計画の抽象度が高すぎて、メンバーの方向性の矢印が一致していない
他部門から異動してきた自分自身をメンバーは理解していない
岸和田自身もメンバーを知らない
そこで、まずは部課長向けに「リーダーズインテグレーション」を実施し、自身の経歴や考え方のインプットと対話の機会をつくりました。同時に、事業方針を12月までに再構成して、その背景や意図を文書化し、組織向けの説明動画(6本)を公開しました。
また、メンバーを対象に、自身および上記事業方針についての対話の機会として、2025年は年間18回のリーダーズインテグレーションを全国で実施して、110名以上のメンバーと直接対話する機会をもちました。
その中で、
会社や組織の方針を「伝える」だけでは、その背景や自分の仕事との接点まで理解し、納得することは難しい
そもそも、上位役職者とメンバーの対話の機会がない
同じteamdXに所属していても、部や課を越えた横のつながりをつくる機会が少ない
ことを実感しました。
特に、方針を自分ごととして捉えてもらうには、ただ伝えるだけでは足りません。背景を知り、自分の仕事とのつながりを考え、疑問や違和感も含めて言葉にする。そうした対話のプロセスが必要です。
こうした課題意識から、2025年9月以降に課長職の社員たちとで本部の方針について対話する「タウンミーティング」が始まりました。その取り組みの手応えを受け、2026年に上席執行役員の田畑さんも加わり、より多くのメンバーと事業や組織の未来を考える「teamdXタウンミーティング(全25回)」の開催につながりました。
teamdXタウンミーティングとは
teamdXタウンミーティングは、少人数の参加者が車座になり、仕事や組織について率直に話す場です。説明会や、質問に対してその場で答えを返すだけのQ&Aとは異なり、参加者同士が互いの発言に耳を傾け、問いを重ねながら考えを深めていきます。
対話の場では、次の4つのルールを大切にしています。
尊重と傾聴:相手の意見を否定せず、まずは最後まで耳を傾ける
完璧より貢献:完成された意見でなくても、気付いたことや感じたことを共有する
質問で深める:「間違い」ではなく「違い」と捉え、なぜそう思うのかを尋ねる
未来志向で:「できない理由」ではなく、「どうすれば実現できるか」を一緒に考える
このルールがあるからこそ、参加者は立場を問わず、疑問や不安、挑戦したい気持ちを言葉にできます。
ここからは、実際の会の流れを追いながら、どのような対話が生まれているのかをご紹介します。当日の流れは、大きく4つに分かれています。
1. まずは、互いを知る
最初に行うのは「チェックイン」です。名前や担当している仕事、その日の率直な気持ちなどを一人ずつ共有します。
いきなり本題に入るのではなく、最近あった出来事や個人的な関心から話し始めることで、参加者全員が一度は声を出す機会を作ります。役職や立場に関係なく話しやすい雰囲気をつくるための、小さくても大切な工夫です。

2. 頭の中にあることを書き出す
次に、teamdXや日々の仕事について、気になっていることや考えていることを付箋に書き出します。
「お客様にとっての成功とは何か」「teamdXの事業は、これからどのような存在を目指すのか」といった事業に関する問いだけではありません。「この挑戦を通じてどのように成長したいか」「これまでの固定観念のうち、手放したいものは何か」といった、個人の成長に関する問いでもかまいません。


3. 付箋をもとに、対話する
参加者が書いたテーマを共有し、その中から話したいものを選んで対話します。
実際には、こんな問いが投げかけられていました。
中期的な方針と、日々の仕事をどのようにつなげればよいか
田畑さんや岸和田さんの視点から、アシストの課題とteamdXの課題を聞いてみたい
組織名や組織変更が頻繁だと感じるが、なぜ必要なのか
マネジメント層から見て、今のteamdX内で「この取り組みは熱い」と感じるものは何か
AIによって仕事が変わる中で、これから人が発揮すべき価値は何か
サブスクリプションの製品は他製品へスイッチングされやすいのではないかという懸念がある。これからのビジネスモデルはどうなっていくと想像しているか
担当製品以外の分野にも挑戦したいが不安もある。ジョブローテーションにはどのような可能性があるか
忙しい中で、新しいことに挑戦する時間はどう作れば良いのか
職場回帰が世間一般的にも話題だが、アシストではテレワークは続くと思うか
付箋には、事業の方向性に関する質問だけでなく、テレワークの今後、組織変更の理由、新しいことに挑戦する時間のつくり方など、普段の会議では話題にしにくいテーマも挙がりました。
メンバーから率直な問いが投げかけられ、マネジメント層がそれを受け止め、ともに考える。こうした双方向のやり取りに、この取り組みならではの特徴があります。
なかには、すぐに答えが出るとは限らない問いもあります。だからこそ、相手の意見を聞いてすぐに判断するのではなく、「なぜそう考えるのだろう」と立ち止まって考えます。同じテーマでも、担当業務やこれまでの経験によって見えている景色は異なります。その違いを知ることが、相互理解のきっかけになります。
また、対話の中で、それぞれの部や課での取り組みを紹介し合う場面もありました。普段は接点の少ない他の部や課の工夫に触れることは、自分の仕事や今後の活動を考えるうえでのヒントにもつながります。


4. 気付きを、次の行動につなげる
最後は「チェックアウト」です。対話を通じて心に残ったことや、これからにつなげたいことを一人ずつ共有します。
話して終わりにするのではなく、対話で得た気付きを自分の仕事に持ち帰るための時間です。


対話を通じて、見える景色が変わる
参加者からは、次のような感想が寄せられました。
経歴や立場の異なる人の意見を聞くことができ、自分にない視点を得ることができた
普段なんとなく感じていたことや考えていたことを発散する場になった
正直、キックオフでは記憶に残りにくい田畑さんや岸和田さんの話が、短時間で生々しく入ってきて、モチベーションとエンゲージメントが上がる有意義な場になった
「過去にこんなことがあった」という体験談を聞くことで、目指すべき方向性についての理解がさらに深まった
上司から「目的を理解して動くように」と言われていたが、その目的を理解する機会になった
これからは、距離があると思ったら、自分で縮めるための対話をしようと思う
特に、対話によって、現場で仕事をするメンバーとマネジメント層、そしてメンバー同士でも物事の見え方が異なることに気付いた参加者が多かったようでした。その違いをなくすのではなく、互いに知ることで、相手の考えや判断の背景が理解しやすくなります。参加者の満足度も7点満点中、平均6.17点となっており、“相互理解”の一歩になったことが窺えました。
また、方針を聞くだけでは分からなかったことが、自分の言葉で考え、誰かの意見を聞くことで、初めて日々の仕事とつながる体験にもなったようです。この積み重ねが、「自分もteamdXをつくる一員なのだ」と感じられることにつながっていくのではないでしょうか。
対話を、一度きりのイベントで終わらせない
teamdXタウンミーティングが目指しているのは、対話会の時間だけを充実させることではありません。
「誰にでも相談できる」「専門領域に閉じず、新しいことに挑戦できる」「部門や役割が違っても互いの仕事や考えを知り、必要なときに協力できる」。そうしたteamdXをつくるには、制度や組織図を整えるだけでなく、人と人が直接話し、相手の考えや人となりを知る時間が必要です。
teamdXタウンミーティングは、そのための一つのきっかけです。対話する経験を重ねることで、日々の仕事の中にも声かけや相談、部や課のくくりを越えた協力、新しい挑戦が広がっていくことを目指しています。
「自分たちの職場を、もっと良くしていきたい」
その思いを持つ人が増え、互いの違いを力に変えながら、teamdXの未来をつくっていく。teamdXタウンミーティングは、そんな循環を生み出す場として、これからも続いていきます。

<編集後記 / 吉田 茉莉子>
teamdXタウンミーティングの場に同席しましたが、思った以上に切り込んだ質問や直談判に近いもの、ぶっちゃけたお悩みもあり、びっくりしました。同時に、そんなことまで話しても大丈夫だと思わせる、風通しの良さも感じました。
メンバー同士のやり取りを通じて、中途入社の方とずっとアシストで働いている方との視点の違いや、部署ごとの考え方の違いも垣間見えました。
普段の仕事の中ではなかなか触れることのない個人の価値観を発露し、すりあわせていくことで、また違った視野が開けてくるというのを、私自身も体感する機会になりました。これが対話の必要性、対話が生み出す価値なんですね。
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