
「打ち合わせ終盤になっても話がまとまらない」、そんな会議に心当たりはありませんか?実は、会議の質は、進行役だけでなく参加者全員の工夫で劇的に変わります。それがファシリテーションというスキルです。
DX技術本部内の有志から全社へ広がった「ファシリテーションチャレンジ」は、そんな会議改善の術を実践的に学ぶ場です。2025年に全社展開されて以来、150名以上が参加しており、「お客様との認識齟齬がなくなり、会議の質が向上した」など喜びの声が続々と届いています。
この記事では、単なる座学とは違い、実践しながら自分の型を身に付けていける研修の魅力やファシリテーションのエッセンスを紹介します。
会議の質を劇的に変える「ファシリテーション」
――会議でお客様の成功を支援するために必要な技法
ビジネスパーソンは、1日平均で約3時間を会議に費やすといわれています。生涯の会議時間は約3万時間にのぼり、実に8年分にも相当します。
皆さんは、会議において、こんな場面に心当たりはありませんか。
会議が始まったものの、今日は何を議論し、何を決めるのかがはっきりしない
意見は出たけれど、結局何が決まり、次に何をするのかが曖昧なまま終わってしまう
こうした場面で、会議の「ゴールを達成するために、人の能力を最大限に引き出す」技法を、ファシリテーションといいます。参加者の意見や知識を引き出し、論点を整理しながら、会議を意思決定と次の行動へつなげます。そして、ファシリテーターは、その技法を用いて会議の場を設計・進行する人を指します。
ただし、会議を前に進める役割を、進行役のファシリテーターに全て委ねる必要はありません。参加者自身も注意を払い、「論点のずれを問い直す」「発言の少ない人に意見を求める」「最後に決定事項を確認する」といった働きかけも、ファシリテーションの一つです。
――DX技術本部から全社展開へ。「実践」を軸にした研修
では、なぜアシストでは、このファシリテーションを学ぶ研修を企画したのでしょうか。出発点となったのは、DX技術本部におけるデジタル人財の育成プロジェクトでした。
お客様の課題解決を支援するには、製品知識だけでは足りません。商談や会議の場で、お客様が置かれた状況や背景を捉え、関係者の多様な意見を整理しながら、議論を解決の方向性へ導く力が求められます。
デジタル人財の育成プロジェクトでは、こうした力を養うために必要なスキルを検討しました。そこで、ファシリテーションという技法に着目し、企画されたのが「ファシリテーションチャレンジ」研修でした。座学だけでは身に付けにくい技法だからこそ、研修はインプットとアウトプットの2つのフェーズで構成されています。

インプットフェーズでは、ファシリテーションの基本や準備について、動画や資料を使って学びます。アウトプットフェーズでは3~4名のグループごとに、受講者が実際の会議に向けてPrep※シートを用いた準備と実践を行います。その結果を持ち寄り、振り返るワークショップを、全3回実施します。
※PrepはPreparationの略で、会議の準備を指します。

受講者からは、「部門間の連携や商談が円滑になった」と効果を実感する声がたくさん寄せられました。研修当初はDX技術本部のみで実施していましたが、社内外を問わず会議が多いアシストにおいて、ファシリテーションは重要なスキルの一つであると位置付け、2025年度に人事企画より全社展開することになりました。
研修講師が語る、私たちがファシリテーションを学ぶ理由
今回は、「ファシリテーションチャレンジ」研修で講師役を担うお二人に、研修を受講した時に学んだことや、講師となってみて感じる研修の効果についてお話を伺いました。
Profile

川上 雄大
DX技術本部 DX技術統括部 データ活用基盤技術2部
BI製品「Qlik」の技術者として、プリセールスからスキルトランスファー支援、研修講師までを担当。また、Qlikユーザー会の運営や、お客様社内でのコミュニティ活性化・施策の企画にも携わる。

高野 知子
DX技術本部 DX技術統括部 データ活用基盤技術2部
BI製品「Qlik」の技術者として、サポート業務を中心に長く従事。情報システム部窓口担当も過去に経験。現在はQlik製品をベースにデータ活用、DX推進の支援を担当。
――「ファシリテーションチャレンジ」研修を受講したきっかけを教えてください

川上:最近は、お客様の課題がより複雑になり、様々な製品を組み合わせながらご提案するケースが増えたため、複数の技術担当者との連携がより重要になってきています。お客様の業務を深く理解した上で、個人の知識にとどまらず、チーム全体の意見を引き出しながら、お客様の課題解決へと導くことが大切です。そのため、チーム全体でゴールに向かって議論を進められるよう、ファシリテーションの実践的なスキルを身に付けるために参加を決めました。

高野:私は、サポートセンターに長く所属していましたが、久しぶりにフィールドエンジニアに戻ることになりました。会議に出ることやお客様とのやり取りが増えるタイミングだったので、ファシリテーションについて改めて学び直したいと思い参加しました。
――研修を通じて学んだことや変化はありましたか

川上:私は研修を通じ、「どのような状態になれば会議が終わりになるのか」という会議の終了条件(ゴール)まで具体的に定義する重要性を学びました。これまでもゴール設定はしていたのですが、「○○を共有する」といった抽象的な設定だけでは、共有した後に誰が何をすべきかという次のアクションが曖昧になってしまうことに気付かされました。「共有した内容をチーム全員が理解し、次回の打ち合わせ項目について検討までできている状態」のように、具体的な達成条件や判断基準まで落とし込むことが大切です。これにより、目指すべき方向性と着地点が明確になり、チーム全員が同じ共通認識を持ってスムーズに議論を進められるようになるからです。

高野:お客様対応だけでなく、社内会議の進め方にも変化がありました。これまでは「いつもの定例だから」と慣例的に行っていた会議に対し、「そもそもこの会議の目的は?」と本質を問い直し、不要なものはやめたり、方法を変えたりといった前向きな変化が生まれています。また、Prepシートを会議前に準備するようになりました。急な会議の際にも、繰り返しPrepシートを活用していたことで、短時間で要点を整理し、会議に臨めるようになりました。

――講師を担当してから感じる研修の効果

高野:社内の会議やお客様との商談で活用したPrepシートについて、相互フィードバックする時間があります。そこで他の参加者のPrepシートを見て、「こう進めるのか!」という新たな気付きや発見があるのが面白いですね。また、良い部分を認め合い、その気付きを自身のアウトプットにも取り入れることで、ブラッシュアップにつなげていけます。Prepシートを見せ合い、互いの工夫や気付きを共有できる場は、この研修だからこそ得られる大きな価値だと思います。

川上:動画を見るだけのインプットとは違い、研修参加者が会議で実践した内容を共有し、その場でフィードバックをもらえる機会は貴重ですよね。ワークショップを続ける中で、参加者のPrepシートを書くスピードが着実に速くなっていると感じるので、自分の型ができている人が多いと感じています。また、「部署の垣根を越えて、対話しながら進めるのが楽しかった」という声を多く聞きます。みんなで楽しみながら取り組める雰囲気も、この研修ならではの魅力だと感じています。

受講者アンケートから、研修で得た気付きや業務での変化に関する声を一部ご紹介します。
参加しているメンバーにも恵まれ、普段交流のあまりない方とお話しできて、楽しい雰囲気を感じることもできました。楽しみながら進めることができたのでファシリテーションへの苦手意識も少し克服できたと思います
すぐに実践できる内容で、劇的に会議の質が変わりました。事前に終了要件(ゴール)を検討・共有しておき、進行の流れを準備しておくことで、抜け漏れなく効率的に進行できました
ファシリテーターだけが頑張るのではなく、メンバー一人一人がこの共通認識を持つことで社内会議がスムーズになります。ファシリテーターを務める機会が少ない人(進行役ではない人)にこそ、ぜひ参加してほしいです
理論を学ぶだけでなく、実際の会議に向けて準備・実践・振り返りを行う形式なので、単なる知識習得にとどまらず、受講直後から「今日はうまく進行できた!」という手応えを実感できました
組織に浸透し始めた共通言語と、会議文化の変革
――組織や周りの変化を感じることはありますか

川上:DX技術本部から始まったこの取り組みが全社に展開されたことで、新人のOJTの場や、日々の定例会議などにおいて、「この会議のゴールは?終了条件としてどういう状態にしたい?」という共通言語が少しずつ浸透してきているように感じています。その結果、議論の方向性が定まり、組織全体として会議が格段に進めやすくなったと実感しています。
――この研修への想いや展望はありますか

川上:社内での実践にとどまらず、お客様に対しても「この会議の進め方をこう整理しませんか」と、ファシリテーションの観点から前向きな提案ができるようになりました。今後も社内外を問わず、ファシリテーションで学んだことを活かしていきたいと思っています。

高野:研修の受講者が増えるにつれ、社内会議がよりコンパクトかつ本質的なものへと変化しているのを実感しています。さらに各部署で受講者が増えれば、会社全体の会議文化そのものが大きく変わるのではないでしょうか。


<運営側の想い/人事企画 吉田 遥>
DX技術本部でのデジタル人財の育成プロジェクトに、アドバイザーとして携わったことが本研修の始まりでした。ファシリテーションの実践者が増えることは、社内外を問わず会議の質を向上させ、結果としてお客様への貢献につながると思い、全社展開を決意しました。
運営にあたっては事務局のみならず、過去の受講者が有志として講師役を担うスタイルを採用しています。研修開始から1年がたち、今ではファシリテーションで使われる用語が、共通言語として少しずつ定着しつつあり、確かな手応えを感じています。
今後も、この研修をファシリテーションの基礎を学ぶ場として引き続き推進していきますので、興味のある方は、ぜひご参加いただきたいです。さらには受講後のフォローアップとして、日々の業務課題や相談事を気軽に共有し、互いに学び合える場も提供していきたいと考えています。
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