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サイバー攻撃対策、企業の取るべき対策とは?攻撃手法と多層防御を解説
最新のサイバー攻撃手法から、企業の取るべき対策までをご紹介します。サイバー攻撃によるデータの奪取や暗号化などのリスクを下げるために、有効な対策を複数実施し、防御層を重ねる「多層防御」について解説します。
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みなさんこんにちは、後藤まりです。
毎日のようにニュースで耳にするサイバー攻撃。
「うちの会社は大丈夫だろうか…」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
クラウドやSaaSの活用が進む中で、企業のIT環境はますます複雑になってきています。
その結果、気づかないうちに “攻撃されやすいポイント” が生まれてしまい、危険な状態になっていることも。
そこで注目されているのが、CTEM(Continuous Threat Exposure Management) です。
CTEMは、攻撃者の目線で「今、本当に危ないところ」を見極め、優先度をつけて対策していく、実践的なセキュリティ運用の考え方です。
今回は、CTEMとは具体的にどんな取り組みなのか、どんなメリットがあるのかをわかりやすく解説していきます。
目次
CTEM(Continuous Threat Exposure Management)とは、組織のIT環境に潜む「脆弱性」や「攻撃にさらされるリスク」を、定期的かつ継続的に可視化・評価・改善するセキュリティ運用プロセスです。
従来のセキュリティ対策では、脆弱性スキャンやリスク評価が、年に数回しか実施されないことがほとんどでした。しかし、サイバー攻撃の巧妙化が進んでいる昨今において、従来の対策では、攻撃者のスピードには追いつけません。
CTEMは、攻撃対象領域の中でも「今、本当に危ないところ」がどこなのかを特定・判断し、限られたリソースで集中的に対処することで、効率的にリスクを低減できる実践的なセキュリティの考え方です。
Gartnerは、2022年にこのCTEMを提唱しており、CTEMプログラムに基づいてセキュリティ投資の優先順位を設定している組織は、セキュリティ侵害を3分の2減らせるようになると予測しています。(※1)
CTEMは、5つのプロセスで構成されます。
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次に、未把握の資産や脆弱性、設定ミス、ベースラインからの逸脱などのリスクを特定します。自動化ツールを使って環境を継続的に監視することで、潜在的なリスクにも早い段階で気づけるようになります。
検出された脆弱性に対して、悪用されやすいものや、価値の高い資産を判断し、対応の優先順位を決めていきます。
例えば、同じ脆弱性でも、顧客データベースに直接アクセスできるサーバーの脆弱性は優先度が高く、影響範囲が限定的な開発環境の脆弱性は優先度が低く設定されます。限られたリソースで効率よく対策を進めるためにも、欠かせないプロセスです。
優先順位が付けられた脅威に対して、実際に対策が有効であるか確認します。
ペネトレーションテストやシミュレーション攻撃を通じて、脆弱性がどのように悪用されるか検証し、現在の対策が実践的な攻撃に耐えられるか評価します。
これらの5つのプロセスを継続的に実施することで、組織のセキュリティ態勢を強化し、変化する脅威に柔軟に対応することを可能にします。
近年の企業IT環境は、クラウド、オンプレミス、ハイブリッド環境、さらにはOTデバイスまで多岐にわたり、複雑に入り組んでいます。その結果、リスクはあらゆる場所に散在し、対応も部門ごとに分断されがちです。
さらに、サイバー攻撃の巧妙化・高度化が加速しており、すべてのリスクに対応しようとすると、工数が膨大になり、対応が追いつかないという課題があります。
そこで注目されるようになったのが、CTEMの考え方です。CTEMでは、まず環境全体のリスクを統合的に可視化し、攻撃者が狙いやすい経路や優先度の高い箇所に、集中的に対策を行います。CTEMを導入することによって、限られたリソースでも、最大の効果を上げることができるのです。
CTEMと混同されやすい概念に、ASM(Attack Surface Management)があります。
どちらもサイバーセキュリティに重要なアプローチですが、それぞれ異なる目的を持っています。
ASMは、主に外部から見える攻撃対象領域の可視化に特化しています。具体的には、インターネットに公開されている資産(ドメイン、IPアドレスなど)を特定し、潜在的な攻撃面を特定することが主な目的です。
CTEMは、組織が保持するすべてのIT資産に対して、脅威を継続的に評価し、優先順位をつけて対策を講じることを目指します。具体的には、攻撃者が狙いやすいところを優先的に対策するプロセスであり、内部および外部のリスクを総合的に管理します。
このように、ASMはCTEMの一部として機能し、CTEMのプロセスにおける「検出」フェーズを担う重要な要素となります。ASMなどにより資産を把握した後、リスクベースの優先順位を決定し改善策を実施することで、組織全体のサイバーセキュリティを効率的に強化できます。
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主に、次のような機能でCTEMを支援します。
ネットワーク上のすべての資産を可視化し、組織が保有するリソースを一元的に把握することができます。これにより、バラバラなツールでは見落としやすい、潜在的な脅威や脆弱性を特定しやすくなります。
脆弱性スコアだけでなく、攻撃シナリオに基づいたリスク評価を行い、ビジネスへの影響を考慮した優先順位を設定します。このリスクベースのアプローチにより、最も重要な問題にリソースを集中させることが可能になります。
ダッシュボードでリアルタイムに状況を確認したり、レポートを作成したりできます。これにより、セキュリティ状況を常に把握し、迅速な対応が可能となります。
CTEM(継続的脅威エクスポージャー管理)を導入すると、組織にとってさまざまなメリットがあります。
複雑なIT環境におけるリスクを可視化し、組織が直面する脅威を継続的に把握することができます。実際に悪用されやすい脆弱性を特定し、優先的に対策を行うことで、サイバー攻撃による被害を大幅に低減できます。
脅威の優先順位を明確にすることで、限られたリソースを最も効果的な対策に集中させることができます。これにより、組織はコストを抑えながら、強固なセキュリティ体制を構築することができます。
CTEMを導入すると、経営層から現場まで、組織全体のセキュリティに対する意識が高まります。
脅威に対する共通認識が生まれることで、部門横断での協力体制もつくりやすくなり、結果として組織全体の防御力がアップします。
CTEMの導入は、単なるセキュリティ強化にとどまらず、組織のビジネス継続性や信頼性を高めるための重要な取り組みとなります。これらのメリットを享受することで、企業は変化する脅威環境に柔軟に対応し、持続可能な成長を実現することができるでしょう。
CTEMは、攻撃者目線で組織全体のリスクを評価し、優先度に基づいて継続的に改善していくためのセキュリティ運用プロセスです。
CTEMを導入することで、サイバー攻撃のリスクを抑えながら、組織のセキュリティ体制を強化することができます。今後のサイバーセキュリティ戦略において、CTEMは不可欠なフレームワークと言えるでしょう。
アシストでは、CTEMの実現を支援する「Tenable One」を取り扱っています(※3)。ご興味があれば、ぜひお気軽にお声がけください。
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PDF(31ページ) |
本資料では、CTEMの管理プラットフォームであるTenable Oneの概要やライセンス体系、Tenableの製品ラインナップが分かります。 |
後藤 まり
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