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ITSMツールを導入する前に「必ず」整理すべき3つのポイント

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#サービスデスク

この記事でわかること

  • 自社の目指す姿や課題を整理しないままツールを比べ始めると、機能の要否を判断する基準がなく、検討が止まりやすい

  • 機能を比べる前に整理しておきたいのは、「目指す姿」「利用者に提供しているサービス」「解決すべき課題とKPI」の3つ

  • この3つが言語化できているかどうかで、ITSMツール導入の効果は大きく変わる


ITSMツール導入の効果を大きく左右するもの

ITSMツールを検討する際、ツールの機能や金額を比べることから始めるお客様もいらっしゃいます。ただ、機能の比較表を作っても、そこから先に判断が進まなかったり、機能が豊富なツールを導入しても、活用しきれず効果もあまり感じられないというケースは珍しくありません。

その要因のひとつは、ITサービスを提供する部門として目指す姿と、そこに至るために解決すべき課題を明確にできていないことです。

目指す姿や現状とのギャップ・課題が言語化できていなければ、機能の要否を判断する基準がありません。またツールの導入後も、どこに向かって改善していけばよいのか、何をもって改善できたと言えるのかが分からないままになります。

ツール導入の効果は、検討を始める前の整理・言語化に大きく左右されます。


ツールを比べる前に「決めておきたい」3つのこと

アシストは、ITサービスマネジメント分野で15年以上の実績があり、多くのお客様のツール選定を支援してきました。そのなかで、「現状を変えたい」という思いはあるものの、何をどう変えたいのかが明確になっていないお客様が多いように感じています。

そして、お客様とのやりとりを重ねるなかで、ツールをご提案する前に整理しておくべきことがあると考えるようになりました。それが「目指す姿」「利用者に提供しているサービス」「解決すべき課題とKPI」の3つです。ここでは、ITSMのなかでも、特に利用者との接点が多いサービスデスクの改善を前提に説明していきます。

フェーズ1:目指す姿を言葉にする

最初に、「どのような組織を目指すのか」を言葉にします。この整理は、サービスデスクの運用に関わる担当者を複数人集めて進めていきます。目指す姿を言葉にするための手順は次の4ステップです。

  1. 組織の上位方針(中期計画など)を読み合わせ、自部門の言葉に置き換える

  2. メンバーそれぞれが考える理想の姿を、キーワードとして書き出す

  3. 書き出したキーワードを論理的に紐付け、ビジョンの骨子を作る

  4. 骨子をもとにビジョンを宣言し、内容の妥当性を検証する

同じ職場でも、理想として思い描く姿は人によって異なります。まずは担当者それぞれの考えを出し切り、そのうえで1つの姿にまとめていきます。この過程を経ることで、特定の担当者の考えではなく、チームとしての「目指す姿」を言語化できます。

目指す姿が定まると、現状との差がそのまま取り組むべき課題になります。改善に向けた施策やツールの機能も、目指す姿に近づくかどうかを基準に、要否を判断できます。また、整理した内容は、投資の必要性を経営層に説明する際の材料にもなります。

(例)

ステップ

記入例

1. 上位方針を自部門の言葉に置き換える

全社方針の「生産性向上」を、「社員がITのトラブルや申請で手を止めない状態をつくる」と置き換える

2. 理想の姿を書き出す(キーワード)

「一次回答が早い」「同じ質問が繰り返されない」「担当者が休みを取れる」

3. ビジョンの骨子を作る

事業貢献:全社の生産性向上
提供価値:ユーザーが最小限の工数でITの問題を迅速に解決できる状態
手段:対応の効率化とスキルアップ

4. 宣言し、検証する

「効率性の追求と継続的なスキルアップによって、最小限の工数でITの問題を迅速に解決できる状態を実現し、全社の生産性向上に貢献します」
→上位方針と合致するかを確認する

フェーズ2:利用者に提供する「サービス」を定義する

次に、サービスデスク部門が提供している業務を「サービス」として洗い出します。そのうえで、それぞれのサービスを誰が使うのか、何のために提供するのかを定義します。

この定義には、2つの効果があります。ひとつは、各サービスの重要度が整理され、どこにリソースを割くのか、どのサービスから改善するのかを判断できるようになることです。もうひとつは、「誰に、何を、どう提供しているのか」について関係者の認識が揃うことです。担当者ごとに曖昧だったサービスの提供範囲や、業務として認識されていなかったサービス提供が見えてきます。

※サービスの洗い出し例

カテゴリ

説明

サービスの例

1

業務アプリケーション

特定の業務目的で利用されるシステム

販売管理システム、会計システム、人事給与システム、顧客管理システム

2

コミュニケーション基盤

情報共有や共同作業を支えるツール

メール、ビジネスチャット(Teamsなど)、Web会議システム、ファイル共有基盤

3

ITインフラ

システムやサービスが稼働する土台

サーバー(物理/仮想)、ネットワーク(LAN/WAN/VPN)、クラウド基盤(IaaS/PaaS)、データセンター

4

デバイス・PC環境

従業員が業務で利用する端末とその環境

PC、スマートフォン、タブレット、OS、Officeソフト、各種ソフトウェア、プリンター

5

情報・セキュリティ

企業の情報資産を保護し、安全な利用を担保する仕組み

ID・アクセス管理(IDaaS/AD)、ウイルス対策、セキュリティ監視、証明書管理

6

その他・共通

上記に含まれないIT関連の支援活動

ITに関する研修の提供、新規プロジェクトの技術支援、IT資産管理、ライセンス管理

※サービス定義の作成例

サービス定義項目

内容

カテゴリ

業務アプリケーション

名称

顧客管理システム

説明

営業活動の効率化を目的として、従業員に顧客管理システム(SaaS)の機能を提供します。また、利用に際する不明点のサポートを提供し、マスター登録などの作業を代行します。

重要度

最高(停止時は全社に直ちにビジネス影響が発生)

利用者

全社員(特に営業部がコアユーザー)

依頼メニュー

・全般的な問い合わせ対応
・ユーザーアカウント登録依頼
・顧客マスター登録依頼
・データエクスポート依頼

連絡チャネル

メール(緊急時のみ電話対応)

サービスレベル

顧客管理システムのSLA:24/365 可用性99.99% (SaaSに依存)
サポートのSLA:平日9時〜18時 5営業日以内のクローズが目標

体制

L1サポート:ユーザーサポート部
L2サポート:APサービス第1部
L3サポート:SaaSベンダー
提供責任者:APサービス第1部 部長

フェーズ3:問題を、解決すべき課題に置き換え、KPIと施策を決める

ここまでで、目指す姿と提供しているサービスの一覧が整理できました。フェーズ3では、洗い出した主要なサービスについて業務の流れを書き出し、フェーズ1で整理した「目指す姿」に届いていない部分を、解決すべき課題として言語化していきます。手順は次の5ステップです。

  1. 主要業務(問い合わせ対応、ナレッジ作成など)の流れを工程ごとに書き出し、時間がかかっている箇所を洗い出す

  2. 洗い出した問題点をグルーピングし、影響の大きさと実現性の観点で優先順位を付ける

  3. 優先度の高い問題について「あるべき姿」を定義し、解決すべき課題として言語化する

  4. 各課題の解決状況を測るKPIを定義し、振り返りの頻度を決める

  5. 課題ごとに施策を洗い出し、「必ず実施する/実施したい/余力があれば/今回は対象外」の4段階で重要度を設定する

ステップ5まで整理できたら、システム化が必要な施策はシステム要件として集約します。すべての課題をツールで解決できるわけではなく、ルールの明文化や役割分担の見直しが必要な課題もあります。

ステップ

記入例

1

業務の流れを書き出し、時間がかかっている箇所を洗い出す

問い合わせ依頼→ツール・チャット・メール→台帳記入→アサイン→回答準備→…

■時間がかかる箇所
・台帳記入
・回答準備

2

グルーピングし、優先順位を付ける

「受付経路が分散している」「対応履歴が蓄積されない」「同じ質問が繰り返される」に整理

受付経路の分散が他の2つの原因にもなっているため、最優先と判断

3

あるべき姿を定義し、課題として言語化する

あるべき姿:すべての依頼が1つの窓口に集まり、対応の記録が残る状態

課題:依頼の受付経路を一本化し、対応状況を数値で把握できるようにする

4

KPIを定義し、振り返りの頻度を決める

ツール経由での起票率/月間の問い合わせ件数/担当者のアサインまでの時間/解決までの時間

月次で振り返り、KPI未達の場合は要因を分析する

5

施策を洗い出し、重要度を設定する

必ず実施する:受付窓口の一本化、依頼メニューの整備

実施したい:よくある質問をFAQとして公開

余力があれば:一定期間で自動クローズする運用

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目指す姿の整理から一緒に進めたい場合

以上、ITSMツールを選定・導入する前に整理しておきたい3つのポイントをご紹介しました。

これら3つのポイントは、お客様だけで整理を進めることもできます。一方で、日々の運用と並行して議論の場を維持することや、部門内で当たり前になっている前提を離れて現状を見ることが難しい場合もあります。

そこでアシストでは、この3つのポイントの整理を一緒に進める「サービスデスク改善ワークショップ」を提供しています。ビジョンの策定から課題・KPIの設定、システム要件の集約までを対象としたサービスです。

アシストでは、これまでのお客様支援で蓄積したITSMの知見をもとに、議論がスムーズに進むよう進行役を務めます。

また、整理した要件をツールでどう実現できるかは、実際の画面を操作することで具体的に確認できます。本ワークショップでは、アシストが取り扱うITSMツール「OpenText Core Service Management」を使ったハンズオンもあわせて実施しています。

サービスデスク改善ワークショップの詳細については、以下のサイトにもまとめています。エンジニアが直接詳細をご紹介することもできますので、お気軽にお問い合わせください。

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