
この記事でわかること
ITSMとは、利用者にITサービスを快適に使ってもらうための活動全般のことで、ITILはその進め方をまとめたガイドラインを指す
ITSMツールは、カバーする範囲によって「オールインワン型」と「機能特化型」に分けられる
ツールの比較検討でつまずく原因は、製品の違いよりも、自分たちが何を目指すのかが決まっていないことにあるケースが多い
ITサービスマネジメント(ITSM)とは?
ITサービスマネジメント(ITSM)とは、利用者のニーズにあったITサービスを提供するために必要な活動全般のことです。
具体的には、ITサービスを利用者(社員や消費者)がいつでも快適に利用できるようにするための活動と、ITサービスを継続的に改善していくための活動です。
ITILは、ITSMのフレームワーク(ガイドライン)
ITILは、ITSMの成功事例をまとめたガイドラインです。サービスの企画・構築・運用というシステムのライフサイクルに沿って必要なプロセスが明記されています。プロセスには、サービスデスク、インシデント管理、問題管理、変更管理、リリース管理などがあります。
現在の最新版はITIL(Version 5)で、2026年に発表されました。ITIL4の考え方を引き継ぎつつ、デジタルプロダクトの管理やAIの活用を含む範囲へと広がっています。
ITSMとITOMの違いや関係は?
お客様から、ITSMに似たキーワードであるITOMとITSMの違いを聞かれることがあります。ITOMとは、IT Operations Managementの略称で、ITSMを実現する上で必要な様々な作業(オペレーション)を効率化する仕組みのことです。
ITOMは、構成管理(CMDB)やイベントの相関分析によって、障害原因の調査と切り分けを自動化・効率化し、ITシステムの停止時間を最小限にする効果が期待できます。ITSMがサービス提供全体のプロセス設計・管理を担うのに対し、ITOMは、インフラを安定稼働させるための運用面を担います。
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ITSMツールとは
ITSMツールとは、ITSMを効果的・効率的に実施するためのツール(ソフトウェア)です。
ITサービスに関する様々な情報を維持管理・活用し、安定したITサービスの提供を実現します。そして、サービスレベル向上も含めITサービスの継続的改善をサポートします。
ITSMツールの違いを比較
現在、十数種類のITSM関連ツールがリリースされています。かつては細かなカスタマイズや開発を前提としたエンタープライズ向けツールが主流でしたが、近年はSaaSやノンカスタマイズ前提のミドルレンジツールも加わり、選択肢が広がりました。
ITSMツールは、カバーする範囲によって「オールインワン型」と「機能特化型」に分けられます。ITSMに必要な機能を網羅しているのがオールインワン型、チャットボットやFAQなど特定の領域に特化しているのが機能特化型です。
類型 | カバー範囲 | 向くケース |
|---|---|---|
オールインワン型 | ITSMの全プロセス | ITSM全体の運用を1つの基盤にまとめたい/プロセス間で情報を連携させたい |
機能特化型 | チャットボット、FAQなど特定の領域 | 部分的に解消したい課題がある/既存ツールと組み合わせて使いたい |
なお、同じオールインワン型でも、どこまで柔軟にカスタマイズできるか、導入までにどれだけ期間がかかるか、導入後の運用を自社でどれほど担えるかは、ツールによって異なります。この違いは、後述の「現状のプロセスに合わせるか、ツールのテンプレートに寄せていくか」で詳しく取り上げます。
ITSMツールを選ぶ前に決めておきたい3つのこと
アシストは2007年から様々なITSMツールを取り扱い、多くのお客様のITサービスマネジメントにまつわる課題を解決してきました。ご相談を伺うなかで多いのは、ツールの比較検討でつまずく理由が、製品の違いよりも「ITサービスを提供する部門として、どんな状態を目指すのかが決まっていない」ことにある、というケースです。
ITSMツールは、人(利用者・IT部門)が使って初めて効果が出ます。だからこそ、機能を比べる前に、「目指す姿」「利用者に提供しているサービス」「解決すべき課題とKPI」の3つを整理しておくことが重要だと考えます。この3つが整理できていれば、ツールの比較も「機能数や価格」ではなく「自社の要件をどれだけ満たすか」という視点で進められます。

※ 3つの整理についての具体的な進め方は、こちらの記事で解説しています。
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ITSMツールを選ぶときの重要ポイント
ここから、ツールを選ぶ際のポイントについてご紹介します。
現状のプロセスに合わせるか、ツールのテンプレートに寄せていくか
オールインワン型のITSMツールには、ITILをもとにした標準的なプロセスがテンプレートとして用意されているものがあります。テンプレートに業務を合わせれば、短期間で利用開始しやすく、品質のばらつきも抑えられます。一方で、自社の現状のプロセスに合わせて柔軟にカスタマイズできることを重視する選び方もあります。
検討の分かれ目となるのは、現状のプロセスを維持するか、ツールの標準プロセスに寄せて自社のプロセスを見直すかという点です。現状に合わせる場合は作り込みの範囲が広くなり、費用と時間がかかりますが、自社の業務に合わせやすくなります。ツールの標準プロセスに寄せる場合は、自社の運用ルールを見直す必要がありますが、高度な開発を必要としないぶん、利用開始後のカスタマイズが比較的容易なケースが多いです。
ツールの利用が定着するかどうか
ITSMツールは、データが蓄積されて初めて、そのデータをもとに改善を進められるようになりますが、利用が定着しないと当然データも蓄積されません。利用が定着しなかった場合は、当然ツール導入の効果が得られずツールの見直しを余儀なくされることもあります。
利用が定着しない理由のひとつに、操作の分かりにくさが挙げられます。IT部門の担当者が迷わず操作できるか、ITに詳しくない利用者でも問い合わせや申請ができるか、という観点で確認します。
ほかにも、サービスポータルから利用者が何かを相談・依頼したいときでも、メニューのラベル・区分がIT部門側の言葉で作られていて利用者に伝わらない、電話やチャットでの依頼が並行して残っている(受け付けてしまっている)などの運用面が要因で利用が定着しないこともあります。

AI活用の前に知っておきたいデータの扱いとナレッジの状態
ITSMツールの多くにAI機能が搭載されるようになりましたが、AI機能を活用する前にも、確認しておきたい点が2つあります。
1つは、データの扱い(AIが扱う情報の範囲と、処理の場所)です。インシデントの記録や申請の内容には、システム構成や取引先の情報、場合によっては個人情報が含まれます。AIが扱う情報については、事前に以下の点を確認しておくことが重要です。
参照範囲
自社のどの情報をAIの参照対象とするか学習への利用
入力したデータがAIの再学習に使われるかどうか処理場所
AIモデルがどこ(国内サーバー、海外サーバー、自社環境など)で処理されるか
もう1つは、参照するナレッジの状態です。AIが参照する情報の範囲は製品によって異なりますが、自社のナレッジや過去の対応履歴を参照する場合、回答の精度はナレッジの整備状況に左右されます。内容が古いまま、整備されていない状態のナレッジだと、AIから誤った回答が返ってくることもあります。現時点でAIの活用を予定していない場合も、対応履歴やナレッジを残していく運用は、今のうちから始めておくことをおすすめします。
アジャイル的発想で、使いながら改善していく
ここまで、ツールを比べる前に整理しておきたいことと、選定時のポイントを説明してきました。これらを踏まえたうえで、アシストがもう1つ重要だと考えているのが「スピード」です。初めからすべての要件を満たすツールを求めて、細かな要件定義・カスタマイズを考えだすと、仕様を決めるだけで多くの時間がかかります。
アジャイル的な考え方で、まずは最小限の要件で使い始め、要望に応じた改善を繰り返す。この進め方が、費用対効果を得やすく、確実なITSMの最適化につながると考えます。
とはいえ、目指す姿とKPIを決めないまま走り出すと、改善の可否を判断する基準がない状態になり、改善が場当たり的になります。まずは目指す姿とKPIをしっかり決めてから、取り組みましょう。
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ITSMツールを選ぶときの「落とし穴」とは?資料ダウンロード!
ツール選定時に陥りがちな「5つの落とし穴」という観点から、ポイントをまとめたダウンロード資料を提供しています。実際に導入してみなければわからない、ITSMツールの落とし穴とは何なのか。どなたでも自由にダウンロードいただけますので、ぜひご覧ください。
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目指す姿の整理から進めたい場合
本記事でご紹介した3つの整理は、自社だけで進めることもできます。一方で、第三者が進行役として入ったほうが議論が進むこともあります。
アシストでは、この3つの整理を一緒に進める「サービスデスク改善ワークショップ」を提供しています。ビジョンの策定から課題・KPIの設定、システム要件の集約までを対象としたサービスです。サービスの詳細についてはお気軽にお問い合わせください。
アシストが取り扱うITSMツール「OpenText Core Service Management」
アシストでは、ITSMツールとしてOpenText Core Service Managementを取り扱っています。
OpenText Core Service Managementは、ITSMに必要な機能がすべてそろったオールインワン型ツールです。画面上の設定を中心に構成するタイプのため、ノンコーディングで、カスタマイズも不要ですぐに利用できます。
AI機能は、利用者向けと担当者向けの両方が用意されています。利用者がチャットで質問すると、ナレッジをもとにした回答が返り、そのまま手続きを依頼することもできます。担当者側では、やりとりの経緯の要約や、過去の類似案件をもとにした回答案の提示に利用できます。
紹介ページには、利用ケースに応じたデモンストレーション動画や紹介資料を掲載していますので、併せてご覧ください。
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