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2025.05.30

はじめてのデータ ロード エディタ

はじめに

Qlik Sense SaaSでアプリにデータをロードする方法は、主に2種類あります。
「データ マネージャー」を使う方法と、「データ ロード エディタ」を使う方法です。

「データ マネージャー」を使う場合は、スクリプトの知識が無い状態でもマウスの操作だけでデータがロードできるメリットがありますが、裏を返せば画面側で用意されていない処理は、行うことができません。
例えば、データの取り込み先のスペースを変更することができなかったり、スクリプトを編集するためには ロックの解除 が必要になり、ロックを解除したスクリプトは「データ マネージャー」から操作できなくなります。

「データ ロード エディタ」を使う場合は、スクリプトの知識が求められることがありますが、その分「データ マネージャー」以上に柔軟な処理を行える場合があります。
また、単なるデータのロードだけであれば、「データ ロード エディタ」であっても、マウスの操作だけでデータのロードは可能です。

そのため、特別なこだわりが無い場合や、データの加工に制約を受けたくない場合は、最初から「データ ロード エディタ」を使用してアプリを作成した方が、効率的な場合があります。
難しそうに見える「データ ロード エディタ」も、実際に中身を見てみると、簡単な記述で構成されていることがあります。

本日は、「データ ロード エディタ」に挑戦してみたい人に向けた最初の一歩として、データ ロード エディタを使って、Excelファイルからデータをロードする方法を紹介します。

目次

※本記事は「2025年05月時点のSaaS」で作成しています。

データ ロード エディタは、データ マネージャーと同様に、アプリの画面から開くことができます。
アプリを新規作成後、画像のようにアプリの概要ページが表示されます。
この状態で、画面下部または画面左上の[概要]から、[データ ロード エディタ]をクリックします。

データ ロード エディタの画面が開かれます。
データ ロード エディタの画面は、大きく分けて左・中央・右の3つの画面に分かれています。

画面左側の[セクション]は、スクリプトを記載するページの単位です。
[+]ボタンで、ページを増やせます。

データのロードを実行すると全てのセクションの内容が上から順に実行されるので、Qlik目線だとセクションを分ける理由は特にありません。そのため、自分や他の人が見た時に分かりやすくなるよう、目的や処理ごとにセクションを分けるのが良いでしょう。
また、セクションは左側にある8つの点のアイコンをドラッグアンドドロップすることで順番を変更することができます。
デバッグをする際などに、順番を入れ替えた方が良い場合があります。

画面の中央部分が、実際にスクリプトを記載する箇所です。
データの加工を行う人などは、この部分の編集に多くの時間をかけます。

また、「Main」セクションには、アプリ作成時に自動で20行ほどスクリプトが記載されます。
「Main」セクションに書かれているのは、数値、通貨、日付、時刻などの書式を定義するための記述です。
フォーマットに関する記述を編集する機会は少ないので、通常はそのままにしておいて大丈夫です。
※フォーマットの内容はプロファイルの設定に合わせて作成されます。
 画像の例では、日本向けの定義が自動で設定されています。

画面の右側は、どこからデータを取得するかを指定する「データ接続」の設定箇所です。
この画面から、「どのExcelファイルを使用するのか」、「どのデータベースからデータを取り込むのか」、などを指定します。
また、この画面からマウスの操作を行うことで、データをロードするためのスクリプトを挿入できます。

Excelファイルからのデータロード

画面の構成について説明しましたので、これから実際にデータ ロード エディタを使って、Excelファイルからデータをロードする方法を紹介します。
項目名やデータ値を持つテーブル形式のExcelファイルを用意した上で、以下の手順に沿って操作してみてください。
1)自分が作業した箇所が分かりやすくなるよう、[+]ボタンでセクションを追加します。

2)画面右側から、「DataFiles」の[データを選択]のアイコンをクリックします。

3)[ファイルを選択]画面が開かれるので、画面下部に、データをロードしたいExcelファイルをドラッグアンドドロップします。

4)ファイルがアップロードされるので、アップロードしたファイルを選び、[選択]をクリックします。
もし間違ったファイルをアップロードした場合は、画面右側のゴミ箱ボタンから削除できます。

5)データのプレビュー画面が表示されます。
データをロードしたい項目にチェックを入れ、[スクリプトを挿入]をクリックします。

6)チェックした項目をロードするための、スクリプトが自動で挿入されました!

7)[データをロード]をクリックすることで、Excelファイルの内容がアプリにロードされます。

データのロードに関する説明は以上です。
専門的な知識がなくても、マウスの操作だけでスクリプトが用意できるのは嬉しいポイントですね。

スクリプトの構文について

折角なので、挿入されたスクリプトの内容を詳しく見てみましょう。
難しそうに見えますが、意外と簡単なことしか書かれていません。

LOAD

「以下の内容を読み込んでね」という意味です。後ろに、ロードする項目名を続けます。
Qlik Sense のスクリプトは「ロード スクリプト」と呼ばれており、ロード スクリプトの「ロード」は、このLOADから来ています。

項目名

ロードしたい項目名を記載します。
項目名として認識された文字は、オレンジ色で表示されます。
項目名を複数記載する場合は、カンマで区切ります。

また、項目名は「"」ダブルクォーテーションで囲いますが、省略が可能です。
ただし、項目名に記号を含む場合など、文字列が一つの名称として認識されない時は、ダブルクォーテーションで囲ってあげましょう。
例えば、以下は「氏名 & フリガナ」という項目名が、「&」がスクリプト内で意味を持つ記号として認識され、「氏名とフリガナの文字を繋げる」という意味に解釈されています。

そんな場合は、項目名をダブルクォーテーションで囲うことで、連続した一つの項目名として認識してくれます。

FROM

データソースがどこに存在するかを示します。
FROMの後ろに、ファイルの保存場所等が記載されます。
ファイルの保存場所は、[lib://保存先/ファイル名]という構文になります。
基本的に後述のテーブル形式と合わせて自動で設定される箇所になるので、初めのうちはあまり意識しなくて大丈夫です。

因みに保存先は、「スペース名:保存先」という構文で記載されます。画像のようにスペース名が書かれていない場合は、「個人用」のスペースに保存されています。

特定のスペースに保存されている場合は、以下のようにスペース名が明示されます。

テーブル形式

データソースのファイルについて、ファイル形式や区切り文字といった、テーブルの形式に関する内容を記載します。
例えば、Excelファイルの場合は、「ooxml」がExcelファイルであることを示し、「table is Sheet1」はそのExcelファイルのシートである「Sheet1」を参照するという意味になります。
こちらも、前述のFROMと合わせて自動で設定される箇所になるので、記載内容を意識する機会は少ないかもしれません。

いかがでしょうか。
一見難しそうに見えるスクリプトも、分解してみると、データのロードのために必要な、「どこから?」「どの項目を?」のような情報を記載しているんですね。

スクリプトを編集してみよう!

最後に、簡単なスクリプトの編集にトライしてみましょう。
やることは、「テーブル名の変更」と「項目名の変更」です。

テーブル名の変更

前述の手順で取り込んだデータは、Excelファイルに設定されていた「Sheet1」というシート名が、そのままQlikでもテーブル名として使用されています。
「Sheet1」のままではどんなテーブルなのか分かりにくいため、テーブル名を明示してみます。

テーブル名は、LOADの前に、
[任意のテーブル名]:
という構文で記載します。

実際に追記してみると、以下のような状態になります。

これで、次回ロード時に、テーブル名が「ユーザーマスタ」に変更されます。

また、入力の途中で他のスクリプトの文字が赤く表示されることもありますが、これは構文チェックによるものです。急に赤くなるのでびっくりするかもしれませんが、入力が完了すれば赤い表示は解消されるので、安心してくださいね。

もし入力が終わったはずなのに赤い表示になっている場合は、どこかの構文に誤りがあります。

例えば、上の画像ではテーブル名の後ろに必要な「:」が抜けています。
他にも、スペースや記号に全角が使われていないか、「,」の有無は正しいか、「”」や「’」などの記号は対になっているかなど、構文に誤りがないか見直してみましょう。

原因が分からない場合は、ChatGPTに構文のチェックをお願いしてみても良いかもしれませんね!

項目名の変更

「氏名」という項目名を、「ユーザー名」に変更したいとします。
項目名の変更は、「as」を使用します。
元の項目名 as 変更後の項目名
と記載することで変更できます。

実際に追記してみると、以下のような状態になります。

以上で、スクリプトの編集は完了です。
データのロードを実行してみましょう。

無事、テーブル名が「Sheet1」から「ユーザーマスタ」になり、項目名も「氏名」から「ユーザー名」になりました!
「スクリプトの編集は自分の手で出来る」という実感を持ててもらえたら嬉しいです。

さいごに

いかがでしょうか。

Qlik Senseはデータをロードするためのスクリプトを自動で作成してくれるので、実はデータ マネージャーを使用する時と、求められる知識や工数に大きな差はありません。

また、スクリプトの設定や編集も、意外と簡単に思えたのではないでしょうか。
データ ロード エディタではスクリプトを直接編集できるため、Qlikで用意されている関数を使用することができ、実現できる処理が多くなります。
是非、上記の内容を参考に、データ ロード エディタの第一歩を踏み出してもらえたらと思います。

さいごに、もっと他の操作も試してみたい!という熱心な方は、以下のメーカーヘルプでもチュートリアルが用意されているので、見てみてください!
チュートリアル:初心者向けスクリプト作成

本ブログでの、その他のスクリプトに関する記事はコチラです!
アプリ内にデータを埋め込む!インラインロードで簡単データ作成
Where句で必要なデータだけ取り込みます!

執筆者情報:

株式会社アシスト北海道 サポートサービス技術統括部

2022年に中途入社し、Qlik製品のサポートを担当しています。
日々進化するQlikの情報をキャッチアップし、お客様のご期待に応えたいと思っています。
5月も末になりますが、北海道では夜になると気温が10度を下回ることがあります。
全国的に寒暖差が激しい時期かと思いますので、皆さまどうぞご自愛ください。

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