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2022.08.10

Oracle Databaseライセンスの定義とルールを正しく理解する ~第4回:クラウド編~

Oracle Database ライセンス

Oracle Databaseライセンスに関する第4回「クラウド編」です。
これまではエディション、ライセンスの種類、カウントの方法、という基本的な部分と、構成面の理解として仮想化環境の考え方をご紹介してきました。

本記事では、インフラの構成を考えるにあたり、もはや標準的な選択肢となった「クラウド」について、Oracle Databaseライセンスの定義やルールをご説明していきたいと思います。

[連載一覧] Oracle Databaseライセンスの定義とルールを正しく理解する

Oracle Databaseライセンスの原理原則

前回までもご紹介していますが、内容に入る前にOracle Databaseライセンスの原理原則について触れておきます。どのような場合にもこれを念頭に置いて読んでいただきたいと思います。

Oracle ライセンス ルール


クラウドでOracle Databaseを利用する際の2つの選択肢

クラウドでOracle Databaseを利用する際には、大きく2つの選択肢があります。

1つは、ライセンス込みのサービスを利用する選択です。
こちらはライセンス費用がクラウド利用料に含まれているため、コストは単価×利用時間という形で、シンプルに算出することができます。

もう1つは、既存のOracle Databaseライセンスを持ち込む選択です。
いわゆる「 BYOL(Bring Your Own Licence)」 といわれる考え方です。Oracle Databaseライセンスには「Processor」と「Named User Plus(NUP)」の2種類がありますが、どちらもBYOLが可能です。ただし、理屈としてはわかっていても、

 ・どのクラウドでも持ち込むことはできるのか?
 ・持ち込む際の定義やルールはどうなのか?

こういったことが、いまひとつわかりづらいという方も多いのではないでしょうか?本記事では、この「Oracle Databaseライセンスの持ち込み / BYOL」に焦点をあて、その定義やルールをご紹介していきたいと思います。


Oracle Database クラウド ライセンス


クラウド環境利用時の3つの基本的な考え方

さて、Oracle Database ライセンスの持ち込み(BYOL)ですが、どのクラウドにも持ち込めるわけではありません。環境により個別規定があり、下記3つに分類されます。

クラウド環境利用時の基本的な考え方

これらの3つの考え方について、1つずつ見ていきましょう。


1. Oracle Cloud Infrastructure (OCI)

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)<以下、Oracle Cloud と呼称> は、オクラル社が提供しているクラウドサービスであり、PaaSやIaaSのサービスを提供しています。BYOLはどちらにでも可能です。
「Oracle Processor Core Factor Table 補足資料」に基づき、必要なライセンス数を決定します。

 ▶ Oracle Processor Core Factor Table補足資料 文書
 https://www.oracle.com/assets/procr-core-factor-table-suplmnt-jp-3304645-ja.pdf

ポイントは、Oracle Cloudのインスタンス毎に、エディションにあわせて適用可否とライセンス数を確認するという点になります。わかりやすくIaaSを例にあげ、見ていきます。

まず、Processorライセンスでは、以下のようなシンプルな考え方になります。

Oracle Database
エディション
保有
ライセンス
BYOL可能な
OCPU ※2
注意事項
Enterprise Edition
(DB EE)
1 Processor 2 OCPU
Standard Edition 2
(DB SE2)※1
1 Processor 4 OCPU エディション毎に上限あり
(下図参考)

  ※1 Standard Edition(DB SE)および Standard Edition One(DB SE1)
  ※2 Oracle Cloudの物理コアに相当します。


「現有ライセンスをクラウドに持っていくと、これぐらいのリソースが使えるんだな」ということがわかります。例えば、DB EEで「4Processor」をお持ちの方は「8 OCPU(物理コア)」にBYOLできます。DB SE2では利用の上限があることに注意ください。

利用したいクラウドリソースに対し、BYOLで不足する場合には追加購入を検討することになりますが、既存保有ライセンスを有効に使うことに越したことはありません。このようなルールを理解し、クラウドシフトする上での費用試算などに活用ください。

一方、Namad User Plus(NUP)ライセンスはどうなるでしょうか。

DB EEの場合には標準ライセンスルールをもとに算出します。例えば、DB EEで25NUP ライセンスをお持ちの場合、最少ユーザ数の規定では1 Processorとなるため、Oracle Cloudでは 2 OCPU にBYOL可能、という考え方になります。

DB SE2の場合には、10NUP毎に2 OCPUへBYOLできるという定義があります。例えば、DB SE2で10NUPをお持ちの場合には 2 OCPUへBYOLが可能です。尚、Processorと同じく利用の上限があることにご注意下さい。

整理するとこのような図式になります。


▷ Oracle Cloud へのBYOLへのルール

Oracle Cloud へのBYOLへのルール


2. 承認されたクラウド環境

AWSとMicrosoft Azureは、Oracle DatabaseライセンスがBYOLできるクラウドサービスとしてオクラル社から承認されています。AWSではAmazon EC2とAmazon RDSにBYOLすることができます。そのルールは「クラウド・コンピューティング環境におけるOracleソフトウェアのライセンス」で定義されています。

 ▶ クラウド・コンピューティング環境におけるOracleソフトウェアのライセンス 文書
 https://www.oracle.com/assets/cloud-lic-170290-ja.pdf

ポイントは、クラウドインスタンス毎にエディションをあわせ、適用可否とライセンス数を確認していきます。

Processorライセンスの考え方はこのようになります。

Oracle Database
エディション
保有
ライセンス
BYOL可能な
仮想コア(vCPU)数
注意事項
Enterprise Edition(DB EE) 1 Processor ハイパースレッティングが有効な場合 2 vCPU
ハイパースレッティングが無効な場合 1 vCPU
Standard Edition 2
(DB SE2)※1
1 Processor 4 vCPU エディション毎に
上限あり
(下図参考)

  ※1 Standard Edition(DB SE)と Standard Edition One(DB SE1)を含む


Oracle Cloudのパターンと比較すると、対象が仮想コアになってたり、DB EEの場合はハイパースレッティング利用によって適用できるvCPUが変わるのが特徴です。DB SE2では利用の上限があることに注意ください。

一方、Namad User Plus(NUP)ライセンスは、最少ユーザ数の考え方に注意が必要です。DB SE2をNUPで許諾する場合、 最少ユーザー数は「8 Amazon vCPU」もしくは「8 Azure vCPU」あたり「10 Named User Plus」となります。尚、Processorと同じく上限値があることに注意が必要です。

整理するとこのような図式になります。

▷ 承認されたクラウドのBYOLへのルール

承認されたクラウドのBYOLへのルール

Amazon RDSへのBYOLに関して、1点補足します。

Amazon RDSではOracle Database Enterprise Edition(DB EE)のサービスは提供されていませんが、DB EEを利用したい場合には、このBYOLを活用することで実現できます。
各クラウドサービスには制約もあり確認が必要ですが、これをBYOLで補うことは、クラウドシフトする上で有効な選択肢になります。


3. 一般的なクラウド環境

最後に、Oracle Cloudや承認されたクラウド環境以外の、一般的なクラウド環境についてご説明します。

一般的なクラウド環境では、これまでOracle Cloudや承認されたクラウドの章でご紹介したような個別定義は存在しません。というわけで、標準のライセンスルールが適用されます。クラウド固有の考え方があるわけではなく、オンプレと同様です。

標準のライセンスの考え方はこれまでのブログでご紹介しております。以下をご参考下さい。

 第1回:エディション編
 第2回:ライセンスの種類とカウント編
 第3回:仮想化環境編


ここでは、仮想化環境での考慮点を、あらためてふれておきます。

第3回のブログでも説明しておりますが、クラウド環境が Oracle Partitioning Policyの「Soft Partitioning」に該当する構成では、仮想CPUではなく物理サーバがライセンスの課金対象となります。そのため「必要となるライセンスは広範囲に及ぶ恐れ」があるため注意が必要です。

検討されているクラウド構成にて、利用するOracle Databaseが稼動する、または稼動しうる範囲が広がっていないかどうか。これに連動する形で Oracle Databaseライセンスの適用範囲は広がっていないかどうか 。こういったところはコストにも大きな影響を与えるため、慎重に確認するようにするようにしてください。

以上、クラウド環境のOracle Database ライセンスの考え方について説明しました。


まとめ

第4回の本記事は、いかがでしたでしょうか。

本編ではBYOLの考え方を中心に説明しました。今回説明したルールに沿って考えると、これまでわかりづらかったBYOL利用時のコスト試算が比較的容易にできます。
例えば、冒頭で触れているライセンス込みサービスとコスト比較を行い、クラウドサービスの選択基準の1つとして考えてみるのは如何でしょうか。

次回は最終回「高可用性編」です。お楽しみに!


「Oracle Databaseライセンス徹底攻略」ウェビナーのご案内

本連載でご説明している内容を、無料のウェビナーでもご紹介しています。
ブログを読むだけでは理解しづらいところも、実際の講師の解説のほうが分かりやすいこともあります。

ここまでお読みくださった方は、Oracle Databaseをクラウド環境で利用する際のライセンスルールの基本はご理解いただけたかなと思いますが、もしかしたら消化不足の部分もあるかも知れません。ご都合が合えばウェビナーに参加してブログで復習する、それでも自社の環境固有の課題で不明な点があれば、お問い合わせいただくこともできますし、また個社別の勉強会も承るなどフォローアップも万全です。

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執筆者情報

おおくぼ まさお プロフィール画像

アシスト入社後、サポートセンターやフィールド支援を経て、現在はプリセールスエンジニアとして製品やソリューションの紹介からインフラ提案といった業務に従事。
また「今だから見直そう!Oracle Databaseライセンスの活用方法」ウェビナーを始め、Oracle Databaseライセンス関連のセミナー/ウェビナー講師も担当。
趣味は登山で、セブンサミッツをじかに見てみたいと思っている。...show more


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