- Oracle Database
- Oracle Cloud
Oracle Database 23ai新機能!メモリーを有効活用する統合メモリー管理
2024年5月にOracle Cloud環境にて、先行してOracle DB 23aiがリリースされました。 Oracle Base Database ServiceにおけるOracle Database 23aiの検証結果を報告します。 今回は「統合メモリー管理」をテーマにお伝えします。
|
初版公開日:2022.08.10
更新日:2024.07.09
Oracle Databaseライセンスに関する第4回「クラウド編」です。
これまではエディション、ライセンスの種類、カウントの方法、という基本的な部分と、構成面の理解として仮想化環境の考え方をご紹介してきました。
本記事では、インフラの構成を考えるにあたり、もはや標準的な選択肢となった「クラウド」について、Oracle Databaseライセンスの定義やルールをご説明していきたいと思います。
前回までもご紹介していますが、内容に入る前にOracle Databaseライセンスの原理原則について触れておきます。どのような場合にもこれを念頭に置いて読んでいただきたいと思います。
|
クラウドでOracle Databaseを利用する際には、大きく2つの選択肢があります。
1つは、ライセンス込みのサービスを利用する選択です。
こちらはライセンス費用がクラウド利用料に含まれているため、コストは単価×利用時間という形で、シンプルに算出することができます。
もう1つは、既存のOracle Databaseライセンスを持ち込む選択です。
いわゆる「 BYOL(Bring Your Own Licence)」 といわれる考え方です。Oracle Databaseライセンスには「Processor」と「Named User Plus(NUP)」の2種類がありますが、どちらもBYOLが可能です。ただし、理屈としては分かっていても、
・どのクラウドでも持ち込むことはできるのか?
・持ち込む際の定義やルールはどうなのか?
こういったことが、いまひとつわかりづらいという方も多いのではないでしょうか?本記事では、この「Oracle Databaseライセンスの持ち込み / BYOL」に焦点をあて、その定義やルールをご紹介していきたいと思います。
|
さて、Oracle Database ライセンスの持ち込み(BYOL)ですが、どのクラウドにも持ち込めるわけではありません。環境により個別規定があり、下記3つに分類されます。
|
これらの3つの考え方について、1つずつ見ていきましょう。
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)<以下、Oracle Cloud と呼称> は、オクラル社が提供しているクラウドサービスであり、PaaSやIaaSのサービスを提供しています。BYOLはどちらにでも可能です。
「Oracle Processor Core Factor Table 補足資料」に基づき、必要なライセンス数を決定します。
▶ Oracle Processor Core Factor Table補足資料 文書
https://www.oracle.com/assets/procr-core-factor-table-suplmnt-jp-3304645-ja.pdf
ポイントは、Oracle Cloudのインスタンスごとに、エディションにあわせて適用可否とライセンス数を確認するという点になります。わかりやすくIaaSを例にあげ、見ていきます。
まず、Processorライセンスでは、以下のようなシンプルな考え方になります。
Oracle Database エディション |
保有 ライセンス |
BYOL可能な OCPU ※2 数 |
注意事項 |
---|---|---|---|
Enterprise Edition (DB EE) |
1 Processor | 2 OCPU | - |
Standard Edition 2 (DB SE2)※1 |
1 Processor | 4 OCPU | エディションごとに上限あり (下図参考) |
※1 Standard Edition(DB SE)および Standard Edition One(DB SE1)
※2 Oracle Cloudの物理コアに相当します。
「現有ライセンスをクラウドに持っていくと、これぐらいのリソースが使えるんだな」ということがわかります。例えば、DB EEで「4Processor」をお持ちの方は「8 OCPU(物理コア)」にBYOLできます。DB SE2では利用の上限があることに注意ください。
利用したいクラウドリソースに対し、BYOLで不足する場合には追加購入を検討することになりますが、既存保有ライセンスを有効に使うことに越したことはありません。このようなルールを理解し、クラウドシフトする上での費用試算などに活用ください。
一方、Namad User Plus(NUP)ライセンスはどうなるでしょうか。
DB EEの場合には標準ライセンスルールをもとに算出します。例えば、DB EEで25NUP ライセンスをお持ちの場合、最少ユーザー数の規定では1 Processorとなるため、Oracle Cloudでは 2 OCPU にBYOL可能、という考え方になります。
DB SE2の場合には「実際に使用しているユーザー数」または「最少ユーザー数の10NUP ライセンス」のどちらか多い方の数量のNUPライセンスが必要です。また、インスタンスが8 OCPUを下回る場合も、最少ユーザー数は10 NUPが必要です。
整理するとこのような図式になります。
|
Amazon Web Service (AWS) 、Microsoft Azure Platform、およびGoogle Cloud Platform (GCP) は、Oracle DatabaseライセンスがBYOLできるクラウドサービスとしてオクラル社から承認されています。AWSではAmazon EC2とAmazon RDSにBYOLすることができます。そのルールは「クラウド・コンピューティング環境におけるOracleソフトウェアのライセンス」で定義されています。
▶ クラウド・コンピューティング環境におけるOracleソフトウェアのライセンス 文書
https://www.oracle.com/a/ocom/docs/cloud-lic-170290-ja.pdf
ポイントは、クラウドインスタンスごとにエディションをあわせ、適用可否とライセンス数を確認していきます。
Processorライセンスの考え方はこのようになります。
Oracle Database エディション |
保有 ライセンス |
BYOL可能な 仮想コア(vCPU)数 |
注意事項 | |
---|---|---|---|---|
Enterprise Edition(DB EE) | 1 Processor | ハイパースレッディングが有効な場合 | 2 vCPU | |
ハイパースレッディングが無効な場合 | 1 vCPU | |||
Standard Edition 2 (DB SE2)※1 |
1 Processor | 4 vCPU | エディションごとに 上限あり (下図参考) |
※1 Standard Edition(DB SE)と Standard Edition One(DB SE1)を含む
Oracle Cloudのパターンと比較すると、対象が仮想コアになってたり、DB EEの場合はハイパースレッディング利用によって適用できるvCPUが変わるのが特徴です。DB SE2では利用の上限があることに注意ください。
一方、Namad User Plus(NUP)ライセンスは、最少ユーザー数の考え方に注意が必要です。DB SE2をNUPで許諾する場合、 最少ユーザー数は「8 vCPU」あたり「10 Named User Plus」となります。なお、Processorと同じく上限値があることに注意が必要です。
整理するとこのような図式になります。
|
Amazon RDSへのBYOLに関して、1点補足します。
Amazon RDSではOracle Database Enterprise Edition(DB EE)のサービスは提供されていませんが、DB EEを利用したい場合には、このBYOLを活用することで実現できます。
各クラウドサービスには制約もあり確認が必要ですが、これをBYOLで補うことは、クラウドシフトする上で有効な選択肢になります。
最後に、Oracle Cloudや承認されたクラウド環境以外の、一般的なクラウド環境についてご説明します。
一般的なクラウド環境では、これまでOracle Cloudや承認されたクラウドの章でご紹介したような個別定義は存在しません。というわけで、標準のライセンスルールが適用されます。クラウド固有の考え方があるわけではなく、オンプレと同様です。
標準のライセンスの考え方はこれまでのブログでご紹介しております。以下を参考にしてください。
第1回:エディション編
第2回:ライセンスの種類とカウント編
第3回:仮想化環境編
ここでは、仮想化環境での考慮点に、改めてふれておきます。
第3回のブログでも説明しておりますが、クラウド環境が Oracle Partitioning Policyの「Soft Partitioning」に該当する構成では、仮想CPUではなく物理サーバーがライセンスの課金対象となります。そのため「必要となるライセンスは広範囲に及ぶ恐れ」があるため注意が必要です。
検討されているクラウド構成にて、利用するOracle Databaseが稼働する、または稼働しうる範囲が広がっていないかどうか。これに連動する形で
Oracle Databaseライセンスの適用範囲は広がっていないかどうか
。こういったところはコストにも大きな影響を与えるため、慎重に確認するようにするようにしてください。
以上、クラウド環境のOracle Database ライセンスの考え方について説明しました。
第4回の本記事は、いかがでしたでしょうか。
本編ではBYOLの考え方を中心に説明しました。今回説明したルールに沿って考えると、これまでわかりづらかったBYOL利用時のコスト試算が比較的容易にできます。
例えば、冒頭で触れているライセンス込みサービスとコスト比較を行い、クラウドサービスの選択基準の1つとして考えてみるのはいかがでしょうか。
次回は最終回「高可用性編」です。お楽しみに!
本連載でご説明している内容を、無料のウェビナーでもご紹介しています。
ブログを読むだけでは理解しづらいところも、実際の講師の解説のほうが分かりやすいこともあります。
ここまでお読みくださった方は、Oracle Databaseをクラウド環境で利用する際のライセンスルールの基本はご理解いただけたかなと思いますが、もしかしたら消化不足の部分もあるかも知れません。ご都合が合えばウェビナーに参加してブログで復習する、それでも自社の環境固有の課題で不明な点があれば、お問い合わせいただくこともできますし、また個社別の勉強会も承るなどフォローアップも万全です。
オンデマンドで時間の取れるときにいつでも何度でもご覧いただけます。詳しくはこちらのページ
でご確認ください!
アシスト入社後、サポートセンターやフィールド支援を経て、現在はプリセールスエンジニアとして製品やソリューションの紹介からインフラ提案といった業務に従事。
また「今だから見直そう!Oracle Databaseライセンスの活用方法」ウェビナーをはじめ、Oracle Databaseライセンス関連のセミナー/ウェビナー講師も担当。
趣味は登山で、セブンサミッツをじかに見てみたいと思っている。...show more
■本記事の内容について
本記事に示した定義及び条件は変更される場合があります。あらかじめご了承ください。
■商標に関して
・Oracle®、Java、MySQL及びNetSuiteは、Oracle、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。
・Amazon Web Services、AWS、Powered by AWS ロゴ、[およびかかる資料で使用されるその他の AWS 商標] は、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。
文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。
2024年5月にOracle Cloud環境にて、先行してOracle DB 23aiがリリースされました。 Oracle Base Database ServiceにおけるOracle Database 23aiの検証結果を報告します。 今回は「統合メモリー管理」をテーマにお伝えします。
この記事では 、AWS Skill Builder のログイン手段として代表的なAWS Builder IDを使用した AWS Skill Builderへのログイン方法についてご紹介します。
Oracle Exadata X10MではAMD社製のCPUが採用されたことで、DB Server、Storage ServerともにCPUの性能自体が向上しています。本記事をご覧の皆さんに、当社で実施したExadata X10Mの処理性能検証結果を共有します。