
- AWS
- Oracle Cloud
- Oracle Database
- Exadata
運用管理の秘訣!バックアップ&監視実践ガイド~Oracle Database@AWS解析白書③
Oracle Databaseの利用において安定稼働を実現するためには『バックアップや監視をどう実施していくのか?』という点の検討は欠かせません。今回は、これらのドキュメントを読み解きながらOracle Database@AWSにおけるバックアップ/監視にフォーカスして情報をお届けいたします。
|
Oracle Database SE2のCPUスレッド数制限について、内部的にどのような仕組みで制御しているかを検証しましたので、その結果をご報告します。
昨年に「
SE1/SEからSE2の移行で注意すべきこと
」という記事を書かせていただき、その際、従来のSE/SE1にはなかったCPUスレッド数の制限が追加されたことを紹介しました。
SE2での制限
・搭載可能CPUソケット数は2つまで(全OSで共通)
・インスタンスあたり最大16CPUスレッドまでしか同時に使用できない
この「インスタンスあたり最大16CPUスレッドまでしか同時に使用できない」という制限について、疑問を持たれたお客様からサポートセンターに下記のようなお問い合わせをいただきました。
・どうやって制御しているのか
・16セッションまでしか同時に接続できないのではないか
・バックグラウンドプロセスも影響を受けるのか
・同一サーバ内で複数データベースを構築している場合はどのように制御されるのか
・SE2 RACではどのように制御されるのか
これらの疑問に答えるべく社内検証チームが確認してくれたので、今回はその資料を拝借してSE2のCPUスレッド(以降、スレッド)数制限の解説をしたいと思います。
今回の検証にあたり、次の環境を使用しています。Hyper-
・HP ProLiant DL380e G8 8SFF SAS RDIMM モデル
・Intel Xeon E5-2470 2.30GHz 2P/16C(Hyper-
・128GB メモリ
・HP 600GB 10krpm SC 2.5型 6G SAS HDD*5
・Red Hat Enterprise Linux 6.6
・Oracle Database 12.1.0.2 Standard Edition 2(シングルインスタンス)
下記のような1スレッドを占有する処理を実行します。このセッションを1つずつ増やしていき、制限内の16セッション目、制限を超えた17セッション以降でどのようになるか確認します。
declare foo number; begin while (1=1) LOOP foo := 1+1; end loop; end; /
セッションを増やしていくと16セッションまではCPUをフルに使用していますが、制限を超えて以降はCPU使用率が抑えられており、何かしらの制限が働いていることがわかります。このセッションがどのような状態になっているのかV$SESSIONで確認すると"resmgr: cpu quantum"の待機イベントで待機していました。
16セッション時のmpstatでは16スレッドが100% |
20セッション時のmpstatではCPU使用率が抑えられている |
16セッション時のv$session |
20セッション時のv$session |
resmgr:cpu quantumとは
セッションは、CPU数を割り当てるために待機しています。このイベントは、リソース・マネージャが使用可能で、CPU消費量を抑えている場合に発生します。この待機イベントの発生を減らすには、セッションのカレント・コンシューマ・グループに割り当てるCPUを増やします。
Oracle® Databaseリファレンス 12cリリース1 (12.1)より抜粋
「16CPUスレッドまでしか同時に使用できない」の正体はResource Managerによるものでした。Resource Manager自体はEnterprise Editionで利用可能な機能ですが、内部的な制御のためにStandard Edition 2でも使用されているようです。
20セッションの時には17スレッド以上を使用していることから、決まった16スレッドしか使用できないのではなく、同時に使用するスレッドが16になるように"resmgr:cpu quantum"で待機させながら調節されていることがわかります。また、図にはありませんがResource Managerが動作するのはスレッド制限に達した場合のため、15セッションまでは"resmgr:cpu quantum"の待機イベントは発生しませんでした。
Resource Managerによる制御ということでV$SESSION.RESOURCE_CONSUMER_GROUPを確認したところ、一般ユーザのセッションはOTHER_GROUPSですが、バックグラウンドプロセスは_ORACLE_BACKGROUND_GROUP_という異なるグループに所属していました。今までの検証結果でユーザセッションのみで16スレッドを占有できていることから、バックグラウンドプロセスについてはスレッド数制限の適用外のようです。
v$session抜粋 |
ちなみに、初期化パラメータRESOURCE_MANAGER_PLANなどの変更でこの制限を無効化できてしまわないか確認をしてみましたが、勿論ダメでした(当たり前ですが)。
最初に記載した疑問の答えは次のとおりであることがわかりました。現在12.1.0.1以前のSE/SE1環境を利用していて移行を検討している場合には、ピーク時のCPU使用状況とこの仕様を意識した上でライセンスを検討する必要があります。
どうやって制御しているのか | Resource Managerで制御している |
---|---|
16セッションまでしか同時に接続できないのではないか | 17以上のセッションでも接続可能だが、同時に使用するCPUスレッドが16CPUスレッドで収まるようにResource Managerで待機させながら処理が行われる |
バックグラウンドプロセスも影響を受けるのか | 異なるコンシューマグループに所属しておりCPUスレッド数制限を受けない |
同一サーバ内で複数データベースを構築している場合はどのように制御されるのか | ???(~その2~で紹介予定) |
SE2 RACではどのように制御されるのか | ???(~その3~で紹介予定) |
また、従来のSE/SE1でも自動オプティマイザ統計収集の時には出ているケースもありましたが、V$SESSIONやSTATSPACKなどを使ってパフォーマンス監視をされている場合は12c SE2移行後に"resmgr: cpu quantum"の待機イベントを見てドキッとしてしまわないよう、Resource Managerで制御されることを前もって認識をしておく必要がありそうですね。
気になる同一サーバ内に複数データベースを作成しているケースや、SE2 RACのスレッド数制限については次回以降に紹介します。
データベース技術本部:田中 勝之、嚴 ミン智、黒田 洸平、小山 雄貴
![]() |
---|
サービス事業部 サポートセンター
2007年にアシスト入社後、Oracle Databaseのサポート業務に従事。現在はサポートの傍ら、未解決のトラブルを一つでも多く減らせるよう、サポートセンターに蓄積されているノウハウを社内外に伝える活動を行っている。
■本記事の内容について
本記事に示した定義及び条件は変更される場合があります。あらかじめご了承ください。
■商標に関して
・Oracle®、Java、MySQL及びNetSuiteは、Oracle、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。
・Amazon Web Services、AWS、Powered by AWS ロゴ、[およびかかる資料で使用されるその他の AWS 商標] は、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。
文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。
Oracle Databaseの利用において安定稼働を実現するためには『バックアップや監視をどう実施していくのか?』という点の検討は欠かせません。今回は、これらのドキュメントを読み解きながらOracle Database@AWSにおけるバックアップ/監視にフォーカスして情報をお届けいたします。
前回の記事では、HCXの概要をお伝えしました。今回はOCVSでHCXを利用するための検討ポイントや前提事項を説明します!
Oracle Database 23aiではSQL関連の機能も数多く追加されています。本ブログでは23aiのSQL機能について「新機能編」と「機能拡張編」の2回にわたってご紹介します。本記事ではサポートセンターが注目している便利機能をご紹介します。