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2023.02.22

Exadataをオンプレミスからクラウドへ。得られるメリットと導入のポイント

Exadata チューニング

「クラウドファースト」、「オンプレから脱却」、基幹データベースのレイヤーでもそのような方針を掲げるお客様が増えてきました。今回はOracle Exadata(以下、Exadata)におけるオンプレミスとクラウド、それぞれの違いと適材適所の使い方をご紹介します。


クラウドリフトで実現したい3つのこと

Exadataのクラウドリフトを検討されているお客様にその理由を伺うと、実現したいことは次の3つにまとめられます。


コストを削減したい

Exadataのクラウドリフトを考えている場合は、パブリッククラウドのサービス Oracle Cloud Infrastructure Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure (以下 ExaDB-D)、プライベートクラウドのサービス Oracle Exadata Database Service on Cloud@Customer (以下 ExaDB-C@C)が選択肢となります。
※本ブログでは ExaDB-DとExaDB-C@C 両方を指す場合は ExaDB とします。

コストの観点でオンプレミスのExadataとの違いは下記のとおりです。

オンプレミスの場合 クラウドの場合
1. あらかじめ必要十分なライセンスを購入する 1. CPUコア数を必要に応じてリアルタイムに増減する
2. キャパシティ不足にならないよう「ピーク時に必要なコア数」分を購入する
  ※1度有効化したCPUコア数を減らすことはできない
2. 需要に応じて使った分だけのサービスの利用料を支払いする
  ※コア数は1秒単位で0から変更が可能

オンプレミスの場合

あらかじめ利用コア数を見積もり、その分のライセンスを購入します。
キャパシティ不足にならないよう「ピーク時に必要なコア数」分を購入することが前提です。

Exadata CPUコア数


クラウドの場合

クラウドの場合は、ハードウェアとソフトウェアいずれもお客様の資産にはなりません。
使用した分のサービス利用料を支払う利用形態です。

Exadata CPUコア数 増減


「コストを減らしたい」= 使わないときはCPUコア数を抑えてサービス利用料を最適化

これが、ExaDBなら可能です。

※弊社では、稼働状況を分析し必要コア数の見直し是非について提言するサービスを提供しています。(通常のサポートサービスをご契約の方への追加サービスとしての提供です)


ハードウェアの保守・運用負荷を軽減したい

保守・運用観点でのオンプレミスとクラウドの違いは下記のとおりです。

オンプレミスの場合 クラウドの場合
1. ハードウェア監視はユーザーが実施 1. ハードウェア監視はオラクル社が実施
2. ソフトウェアのバージョンアップはお客様側で実施 2. オラクル社による四半期毎のメンテナンスでバージョンアップが実施される

オンプレミスの場合

Exadataではハードウェア監視はお客様が実施します。
監視サーバーを別途構築し、メール通知やSNMPトラップを使う使った環境を構築することが多いです。既存の統合監視ツールとの連携など、お客様環境に合わせたカスタマイズが可能です。


クラウドの場合

クラウドの場合は、ハードウェアについてはOracle社による監視・運用が行われます。
お客様視点ではこの部分のリソース、コストが軽減できます。

四半期毎のメンテナンスではExadataソフトウェアが最新バージョンに保たれます。
この時、サーバーは順番にアップデート及び再起動されます。
メリットを享受しつつ本番運用の中でメンテナンスの対応・調整が許容可能であればクラウドが選択肢にあがります。

オンプレミス版はメンテナンス方針はお客様に委ねられます。
継続して同一バージョンを使い続けたい場合はオンプレミスをお薦めします。


クラウドでもExadataの機能を使いたい

性能面、個別要望に沿った構成の可否、といった観点での違いは下記のとおりです。

オンプレミスの場合 クラウドの場合
1. オールフラッシュストレージで高いIO性能をもつExtreme Flash(EF)モデルが使える 1. ストレージはHigh Capacity(HC)モデル
2. ハードウェアの組合せに柔軟性がある 2. クラウドサービスとして許可されない操作があるので、制約・注意事項に従って利用する必要あり

オンプレの場合

オンプレミスの場合は、Extreme Flash(EF)モデルが使えること、これが一番のメリットです。

その他、セキュリティに関わるHSM装置など独自に選定したOracle社以外のハードウェアと組み合わたい、セキュリティ的にクラウドで提供しているレベルよりも高いものが必要、以上の要件が必要な場合はオンプレミスをお薦めします。


クラウドの場合

クラウドの場合は、ストレージはHigh Capacity(HC)モデルのみです。これがオンプレミスとの一番の違いです。それ以外はExaDB-D/ExaDB-C@CいずれもオンプレミスのExadataと同じです。

可搬性に優れていてオンプレミスからクラウドリフトしてもアプリケーションAPの改修は不要です。しかし、DBバージョンは常に最新版となること、オンプレミスではできてもクラウドでは
許可されない操作があることは押さえておく必要があります。
細かいところは弊社の技術支援時にフォローしています。

以上、Exadataのオンプレミスとクラウドの違いにフォーカスしてお話しました。


実際の事例を通したExaDBの使い方

それでは、弊社のお客様での実際の使い方をご紹介します。


ExaDBの使い方①:統合DB環境

ExaDB-C@CはマルチVMクラスタが簡単に構築できます。1台のExadataで、システム1、システム2用といった複数分割された仮想マシンでRAC環境を構築できます。
部署ごとに監視・運用する組織(DBA)が異なる時にも、Exadataを何台も買うことなくわずに集約できます。

Exadata 統合DB環境

ポイント

  • ExaDB-C@Cに複数ExadataのDB環境を集約
  • CPUスケールアップ/ダウンの機能も生かしてランニングコストを適正化

ExaDBの使い方②:災対環境

Oracle Data Guardのスタンバイサイトとしてクラウド環境を利用する構成です。
平常時はCPUコア数を同期伝播可能な最低限コア数で運用し、被災時に本番相当にアップする。
コストを最適化できる点でお客様の評価が高い使い方です。

Exadata 災対環境

ポイント

  • オンプレミスExadataのDR環境スタンバイDBをExaDB-C@Cで構築
  • 平常時はData Guardの同期に必要な分のCPUコアで稼働させ、切替時は本番相当にCPUスケールアップする運用でランニングコストを適正化

ExaDBの使い方③:開発環境

パブリッククラウド上のExaDB-Dなら、お客様は資産を全く持ちません。
いつでも利用終了できるという利点を生かして、オンプレミスExadataの開発環境としてご利用しているお客様もいらっしゃいます。

Exadata 開発環境

ポイント

  • Exadataの検証環境をクラウドサービスとして手軽に利用できる
  • ExadataのPoCや開発・テストフェーズで利用し、SQLの性能・互換性を確認

このように、当社のお客様においても様々な環境でクラウド上のExadataを利用いただいています。
ぜひExadataのクラウド版も検討してみてください。

アシストはオンプレミスだけでなくExadata Cloudの実績も豊富です。
お気軽にご相談ください。







執筆者情報

かさはら かつとし プロフィール画像

2003年入社。10年以上Oracle Databaseの技術サポートに従事したのちフィールドエンジニア部隊に配属。Exadata X7、X8、X8M、Exadata Cloud at Customer(ExaCC)を使用した基幹システムのリプレースプロジェクトに携わる。お客様の要件にそった設計、最適化、運用支援、データ移行、DB・SQLチューニングまで幅広く対応。...show more


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