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OCIに待望のPaaSサービスがリリース!特徴やメリットを解説
「Oracle CloudWorld 2024」にてリリースされたOracle Cloudの注目のPaaSサービス「Oracle Exadata Database Service on Exascale Infrastructure(ExaDB-XS)」の特徴をまとめてみました!
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前回の記事「Oracle Cloud VMware SolutionにおけるVMware HCXとは?」では、VMware HCX(以下、HCX)の概要をお伝えしました。
今回は、Oracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)で提供されているソリューション「Oracle Cloud VMware Solution(以下、OCVS)」でHCXを利用するための検討ポイントや前提事項を説明します!
Index
OCVSでHCXを利用するためには、ライセンスを考慮する必要があります。
ここでは、ライセンスの種類や機能概要、検討ポイントをお伝えします。
HCXライセンスには以下の2種類があります。
・HCX AdvancedHCX AdvancedライセンスはHCX Enterpriseよりも安価ですが、その分利用できる機能に制限があります。
それぞれのライセンスで利用できる機能は、以下の表をご確認ください。
※Advancedの機能は全てEnterpriseでも利用可能です。
ライセンス | 機能 | 機能概要 |
---|---|---|
Advanced | Hybrid interconnect | オンプレミスとクラウドを接続し、セキュアな通信を可能にする。 |
WAN oOptimization | データ圧縮やプロトコル最適化により、ネットワークパフォーマンスを向上させる。 | |
Legacy vSphere to modern mobility | 旧バージョンのvSphere環境から一度に最新のクラウド環境への移行を可能にする。 | |
Bulk migration | 複数仮想マシンの同時移行を可能にする。その際にHCXにより仮想マシンの再起動が実施される。 | |
Live migration | 仮想マシンを1台ごとに移行する。その際にHCXによる仮想マシンの再起動は実施されない。 | |
Cloud-to-cloud migration | 異なるクラウド間での仮想マシンやワークロードの移行を可能にする。 | |
Disaster protection | 災害発生時に迅速に復旧させる。 | |
Enterprise | HCX Replication Assitsted vMotion(RAV) | 複数仮想マシンの同時移行を可能にする。その際にHCXによる仮想マシンの再起動は実施されない。 |
Migration from KVM and Hyper-V to vSphere | 非vSphere環境から直接vSphere環境への移行を可能にする。 | |
Traffic engineering | トラフィックのルーティングや帯域幅を調整し、トラフィックの効率化を可能にする。 | |
Mobility groups | 異なるデータセンタやクラウドにある仮想マシンをグループ化し、複数仮想マシンの一括移行やプロジェクト単位でワークロードを管理可能にする。 | |
Mobility optimized networking(MON) | オンプレミスを経由せずにクラウド内で通信を完結し、トロンボーン現象を回避可能にする。 |
参考:VMware HCX Licensing and Packaging Overview(※Broadcom社のサイトに移動します)
現在のオンプレミスの構成や移行する規模等に応じて、必要なライセンスを検討ください。
特に、RAVやMONといった利便性の高い機能を利用するためにはEnterpriseライセンスが必要です。
RAVやMONの概要については、前回の記事を参照ください。
また、HCXのライセンス価格も併せて説明します。
以下の表のとおり、HCXのライセンス利用価格はESXiのシェイプによって異なります。
DenseIOシェイプはESXi1台から構成可能ですが、デフォルトではEnterpriseライセンスは含まれていません。
そのため、DenseIOシェイプでEnterpriseライセンスの利用を検討している方は、別途ライセンス費用が発生する点にご注意ください。
シェイプ | デフォルトで利用可能なHCXライセンス |
---|---|
Standard | Advanced,Enterprise |
DenseIO | Advanced |
GPU | Advanced, Enterprise |
例えば、DenseIO.E4.32シェイプのシングルホストでHourly Commitで744時間利用する場合、Enterpriseライセンスの利用有無で1か月あたり46,000円ほど利用料が異なります。
OCVSでのライセンス費用を試算するにはには、以下の図のとおりOCI Cost Estimeter(※オラクル社サイトに移動します)をご利用ください。
Cost Estimeter画面(HCX Enterprise無し) |
Cost Estimeter画面(HCX Enterpriseあり) |
HCXを利用してオンプレミスからOCVSへ仮想マシンを移行するには、ネットワーク構成も事前に考慮しておく必要があります。
その際のポイントを、オンプレミスとOCVSのそれぞれの観点で説明します。
仮想マシンの移行のために、オンプレミス側で事前に確認しておくポイントは以下です。
・オンプレミスVMwareとHCXとの互換性
・VLAN、dvPortGroup(分散ポートグループ)
・サイト間接続
・ファイアウォール
・DNS
それぞれ説明します。
・オンプレミスVMwareとHCXとの互換性
利用するHCXとオンプレミスVMwareのバージョンは互換性が必要です。
以下のマトリクスを利用し、互換性があるか確認ください。
互換性が無い場合には、事前のバージョンアップを検討ください。
Product Interoperability Matrix (※Broadcom社のサイトに移動します)
・VLAN、dvPortGroup(分散ポートグループ)
オンプレミスからOCVSへの仮想マシンの移行時には、他のネットワークに影響が出ないようにするために複数のVLAN、ポートグループが必要です。
オンプレミスのvCenterに、Management用、HCX用、vMotion用、Replication用のVLAN、ポートグループが作成されていることを確認します。
・サイト間接続
パフォーマンスを最大化するため、1Gbpsまたは10GbpsのFastConnectを利用してOCVSと接続されている必要があります。
・ファイアウォール
OCVSのHCXコンポーネントとオンプレミスのHCXコンポーネント間の通信や、オンプレミスのvCenterとHCXコンポーネント間の通信などが通信できるようにファイアウォールを設定しておく必要があります。
HCXのポート要件は以下サイトに記載があります。Select Productsに「VMware HCX」を選択し、ポートを確認ください。
VMware Ports and Protocols (※Broadcom社のサイトに移動します)
・DNS
オンプレミスのVMware環境、及びOCVS環境の各コンポーネントをFQDNで名前解決(正引き・逆引き)ができるように、DNSのレコードや転送設定を実施する必要があります。
オンプレミスのDNSサーバにもOCVSのHCXコンポーネントやvCenterのレコードを追加します。
続いて、HCXの利用のためにOCVS側で確認しておくポイントは以下です。
・ルーティング
・ファイアウォール
・ゲートウェイ
・DNS
それぞれ説明します。
・ルーティング
OCIでは、どの通信がどのゲートウェイへ向かうのかといったルーティングを明示的に設定する必要があります。
基本的にはOCVSの構築時に自動でルーティングルールが設定されますが、HCXなどオンプレミスとの通信を実施する際には手動で設定します。
・ファイアウォール
オンプレミスからの通信がOCVS内へ入ってくること(インバウンド通信)を許可するように、ファイアウォールルールを設定する必要があります。
OCIでは、ファイアウォールはセキュリティリストやネットワークセキュリティグループ(NSG)を利用して設定します。
ファイアウォールもOCVS構築時に自動で設定されますが、オンプレミスからの通信を許可する設定は手動で設定します。
・ゲートウェイ
ゲートウェイはOCIネットワークと外部ネットワークとの通信の出入り口を示しますが、ゲートウェイもOCVS構築時に自動で設定可能です。
オンプレミスとの通信時には、動的ルーティングゲートウェイ(以下、DRG)を利用する必要があり、DRGは手動で作成する必要があります。
・DNS
OCIでは、DNS機能を提供するサービスとしてプライベートDNSがあります。
OCVSにおいても、オンプレミスVMware環境とFQDNで名前解決ができる必要がありますが、デフォルトではOCVSのコンポーネントのレコードのみ作成されている状況です。
そのため、別途オンプレミスVMwareの各レコードやオンプレミスDNSサーバへの転送ルールなどを設定する必要があります。
OCVSでHCXを利用するための検討ポイントや前提事項を説明しました。
OCVS構築時も同様ですが、事前にコストや機能等を十分に考慮した上で、利用し始める必要があることがお分かりいただけたかと思います。
次回はお待ちかねのHCXのセットアップ・仮想マシンの移行手順をご紹介予定です。
どうぞお楽しみに!
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