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DevOpsとアジャイル開発の違いって何?二つの関係性も解説

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2023.02.24

DevOpsとアジャイル開発の違いって何?二つの関係性も解説

企業を取り巻くビジネスの変化に柔軟に対応していくために、さまざまな考え方や手法が登場しています。最近では、迅速かつ柔軟にシステムを開発するために「DevOps」「アジャイル」が注目されています。二つの手法には類似点が多く、違いが分からないと感じる方も多いでしょう。

今回は、DevOpsとアジャイル開発の違いを説明するとともに、この二つをうまく取り入れるための方法についても詳しく解説します。

DevOpsとは?基本を解説

オフィスで会議をする作業服を着た男性と女性

開発チームと運用チームが連携して開発を進める

DevOpsという言葉は、開発「Development」と運用「Operations」を組み合わせた造語です。つまり、開発チームのエンジニアと運用チームが協力して、開発・運用を推進する概念を指します。

通常、開発チームは要件に基づいてシステムを開発し、運用チームはシステムを安定稼働させることに注力します。しかし、開発した新機能の動作が不安定だったためにシステムでトラブルが発生して運用チームにしわ寄せが来る場合もあります。逆にシステムメンテナンスのために環境が使えず開発が進められない場合もあります。このように、開発チームと運用チームで相互に影響し対立するケースが少なくありません。

しかし、開発チームと運用チームが対立したままではシステムを効率よく開発することはできません。DevOpsは開発チーム、運用チーム双方がお互いを理解して協力し合い、理想的な関係を築いていくための考え方です。

DevOpsの基本的な四つの考え方

DevOpsではお互い協力し合う関係づくりのための考え方が定義されています。それは以下の四つです。

・お互いを尊重(Respect)する
・お互いを信頼(Trust)する
・失敗を責めない(Healthy attitude about failure)
・相手を非難せず、同じ失敗を繰り返さないために建設的な議論を行う(Avoiding Blame)

この四つの考え方を開発チーム・運用チーム全員が意識し、効率的に仕事を進めていきます。

DevOpsの三つのメリット

DevOpsによる開発では、次の三つのメリットが得られます。

・信頼性の向上
DevOpsでは、開発されたプログラムのテストからリリースまでの工程を、ツールを利用して自動化します。今まで手動で行ってきた作業を自動で行うことで、人為的ミスを防ぎ、プログラムの信頼性を高めることが可能です。この結果、テストを実施した開発チーム、リリース作業を行う運用チーム双方にメリットが得られます。

・生産性の向上
コミュニケーションツールを活用して開発チーム、運用チーム相互に情報共有を行うことで、それぞれの問題を解決します。これにより、生産性向上につながります。

例えば、事前に開発スケジュールやリリース日の予定を開発チームから運用チームに連携しておきます。運用チームはリリース日のシステム稼働状況を確認して事前に対応することで、リリースをスムーズに行うことができます。このように、開発からリリースまでの作業を開発・運用双方が協力して効率よく作業ができます。

・開発スピードの向上
それまで開発チーム、運用チームで持っていた課題を共有し、協力して取り組むことで作業改善につながり、開発スピードの向上が期待できます。開発チームは機能の開発に専念し、リリースは運用チームに任せることでスピーディーなリリースにつながります。

このように、DevOpsとは開発チームと運用チームが相互に協力し合って開発を進める概念のことです。続いては、アジャイルについて解説します。

アジャイルとは?

短い開発サイクルを繰り返し、ソフトウェアを完成させる開発手法

アジャイル(agile)とは「敏捷」「素早い」といった意味をもつ英単語で、ITではソフトウェア開発手法の一つです。

ソフトウェア開発では「計画」→「設計」→「開発」→「テスト」といった開発工程を経てリリースされます。一般的に「ウォーターフォール」と呼ばれる開発技法です。この従来のやり方は、最初に綿密に計画をたて、品質や安定稼働を重視する手法でした。しかしこれでは顧客からの仕様変更の要求に柔軟に対応できないというデメリットがあります。

アジャイルは、顧客からの仕様変更に柔軟に対応することを目的として生まれました。開発工程を2,3週間ほどの短期間で継続的に繰り返し、少しずつ新しい機能を追加していく開発手法です。

アジャイルの考え方は「アジャイルソフトウェア開発宣言」にて2001年に発表されました。この開発宣言には、基本的な考え方や12の原則が定義されています。それは顧客満足を最優先とし、またコミュニケーションをとって開発を進めることを原則としています。

アジャイルの三つの手法

アジャイルを実現する方法として、代表的な三つの手法があります。

・スクラム
スクラムは、チームワークを重視した開発手法です。語源はスポーツのスクラムから来ています。顧客も巻き込みチーム一体となって開発プロジェクトを進めていきます。

優先順で並べた開発機能の一覧「プロダクトバックログ」から、最大4週間のスプリントの中で開発する機能を選択します。さらにスプリントの中で行うタスクを「スプリントバックログ」で管理します。

チームはプロダクトバックログおよびスプリントバックログを基に、コミュニケーションを取り合いながら開発を進めていきます。

・XP(エクストリームプログラミング)
XPは「共同」「開発」「管理者」「顧客」の四つの慣習(プラクティス)に従って開発を進める手法です。それぞれのプラクティスには、さらに細かいプラクティスに分けられます。

特長としては、プログラムの実装より先にテストコードを作成する「テスト駆動開発」、2人1組で開発を行う「ペアプログラミング」があります。

・FDD(ユーザー機能駆動開発)
FDDは、ユーザーが求める機能(フィーチャー)を明確にし、小さい機能から開発工程を反復して開発を進める手法です。ユーザーにとって何が価値の高い機能かを決めながら開発していくため、ユーザーとのコミュニケーションが最も重要となります。

スクラムやXPと比べて短い期間でより小さい機能から開発を進めていくことで、問題発生時も迅速に解決できる点が挙げられます。また、大規模なシステム開発でも開発しやすいという点が特徴です。

アジャイルの三つのメリット

アジャイルで開発することにより、次の三つのメリットが得られます。

・急な仕様変更が発生しても柔軟に対応可能
アジャイルは短い期間で小さく細分化した機能を開発し、その開発工程を繰り返すことで全体を作り上げていく手法です。そのため、一つの期間で開発される機能は非常に小さいものになります。開発する中で急な仕様変更が発生しても、影響範囲はその期間に開発しているものにしか及びません。このことから、顧客からの仕様変更に対して柔軟に対応しやすい仕組みとなっています。

・不具合が発覚した際の影響が少なく手戻り工数が少ない
仕様変更の場合と同じくサイクルの中で開発するものは小さく細分化された機能であるため、開発の過程で不具合が発覚したとしても、影響はその機能のみに限定されます。そのため発生する手戻り工数を少なく抑えることができます。

・コミュニケーションがとりやすく、顧客から高い満足度が得られる
アジャイルは、顧客とコミュニケーションをとりながら開発を行う手法であり、仕様変更も柔軟に対応可能です。また、開発された機能からリリースされていき、顧客からのフィードバックをすぐに反映できるため、顧客のニーズに対応しやすい点も挙げられます。この結果、顧客から高い満足度が得られやすい手法であると言えます。

DevOpsとアジャイルの違い

ここまで、DevOpsおよびアジャイル双方について解説しました。「迅速にソフトウェア開発を行う」という点は同じですが、それぞれで違いがあります。ここでは両者の違いや特徴を解説します。

DevOpsとアジャイルの比較

開発チームと運用チームで協力してシステムを開発するための概念であるDevOpsと、顧客の満足を最大限にしつつ迅速にシステムを開発するための手法であるアジャイルは、一概に比較できるものではありません。

DevOpsでは基本的な考え方を基に、コミュニケーションツールや自動化ツールを使って連携しながら開発していきますが、その中で開発チームが行う開発の手法としてアジャイルを取り入れることもできます。アジャイルで素早く開発しリリースは運用チームと連携して行うことも可能であり、DevOpsとアジャイルはとても親和性が高いです。

アジャイルとDevOpsの実現イメージ

では、DevOpsの中でアジャイルを取り入れるには、具体的にどのようにしていけば良いでしょうか。DevOpsとアジャイル、この両者を相互に活用する方法をご紹介します。

アジャイルをうまく取り入れ、DevOpsを実現するには?

協力するイメージ

仕組みとしてアジャイル開発の環境を整える

アジャイルというソフトウェア開発手法を実現するためには、環境を整える必要があります。具体的には、開発チーム内で連携をとりやすくするための体制やコミュニケーションツールの活用、スムーズなテストおよびリリースを実現するための自動化ツールの活用が挙げられます。

また、スクラムやXPといったアジャイルを実現するための手法を取り入れ、開発プロセスを実現できる仕組みを作ります。

DevOpsの考え方を運用・開発組織に浸透させる

運用チームも含め、DevOpsの基本的な考え方を組織全体に浸透させます。開発チームにおいてはアジャイルによって開発スピードを速め、リリース作業など運用面は運用チームと連携して短時間に作業を進めることで、さらにアジャイルのサイクルを回しやすくなります。

アジャイルを実現できる環境が整っていても、DevOpsの考え方が浸透していなければ、開発・運用が相互に連携していくことは困難です。逆に、考え方が浸透していても開発サイクルを迅速に行う仕組みや自動化ツールがなければ、連携しながら柔軟な開発を実現することはできません。

仕組みやツールなど環境を整え、かつDevOpsの考え方を組織内に浸透させることで、高い効果が得られるようになります。

DevOps実現に役立つツール

DevOps実現のためには、ツールを活用することが必須です。これらのツールをうまく活用することで、テストやビルド、リリースといった作業を迅速に行えるだけでなく、相互に連携しながら作業を進められます。

・インフラ自動化ツール
サーバーの構築や設定などのインフラ作業を自動化する 
例:AnsibleやChefなど

・バージョン管理ツール
ソースや設計書などのバージョン管理を行う
例:GitやMercurialなど

・ビルド&デプロイ自動化ツール
開発したプログラムのビルド及びデプロイを自動化する
例:JenkinsやCapistranoなど

・チャットツール
チーム内のコミュニケーションだけでなく、連携やログの表示、アラートの表示に利用
例:SlackやHipChatなど

DevOpsとアジャイルを取り入れるためのアシストのソリューション

アシストでは、「DevOps推進ソリューション」といった、DevOpsおよびアジャイルに役立つサービスを提供しています。

DevOpsやアジャイルを実現するといっても、さまざまなツールや考え方にすぐ対応できるものではなく、現状から切り替えるためには多大な負荷がかかります。そのため、各工程を段階的に変革し、かつ自動化・効率化を進めることが大切です。

アシストではご提供するソリューションを通して、DevOpsおよびアジャイルを取り入れ、迅速なソフトウェア開発を強力に支援します。

DevOpsとアジャイルを組み合わせて効率化を実現しよう

本記事では、DevOpsとアジャイルの違いについて解説しました。DevOpsとアジャイルは顧客ニーズに柔軟に対応し迅速なソフトウェア開発を実現するという目的は共通しているものの、「概念」と「手法」という全く異なるアプローチです。そのため、それぞれを組み合わせることは可能です。

しかし、考え方や体制だけでなく自動化ツールなどの環境を整える必要があります。また、現在の開発体制からすぐに変革することによる多大な負荷もあり、導入には敷居が高いのも事実です。

アシストでは、DevOpsおよびアジャイルをスムーズに取り入れるためのソリューションをご用意しております。ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。


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