- 特集
~アシスト創立50周年、オラクルビジネス35周年記念~
よりお客様目線でこれまでのいい関係をさらに発展させていく
アシスト創立50周年を記念して、35年間ともにあり続けていただいた日本オラクル株式会社の取締役 執行役 社長 三澤 智光様と対談を行いました。
株式会社セイノー情報サービスは、物流・ロジスティクス領域のサービス事業およびIT技術サービス事業を幅広く展開する物流ITソリューションベンダーです。積極的に外販事業も展開する同社の強みは、セイノーグループの情報システム子会社として培った、ロジスティクスシステムの構築と運用支援。お客様の課題に対して、様々な視点からのソリューションに取り組む同社代表取締役社長 臼井 功 様をお訪ねし、大塚辰男がお話を伺いました。
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株式会社セイノー情報サービス |
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株式会社アシスト |
大塚
西濃運輸株式会社(以下、西濃運輸)の時代からアシストと長いお付き合いをいただき、誠に有難うございます。本日はロジスティクスのプロ集団として幅広くビジネス展開をされている貴社の強みについてお伺いしたいと思います。まず中核会社の西濃運輸についてお聞かせください。
臼井様
西濃運輸は1930年、岐阜県下呂市に創業者、田口利八名誉会長がトラック一台で興した田口自動車が始まりです。1933年に大垣市に移転し、その後戦争が始まり軍用に徴用されるなどを経て、1946年、水都(すいと)産業株式会社という名前で、トラック38台で設立されたのが西濃運輸です。大垣は日本の真ん中にあり木曽三川の伏流水が集まるために水が豊富で、紡績が盛んでしたので商売になるだろうということで移転したようです。当時は鉄道貨物輸送が主流でしたが、いずれ物流の世界も長距離トラック輸送へと移るだろうと判断し、運輸省を訪ねてどこよりも先駆けて路線免許を申請しました。なかなか認可がおりず苦労したようですが、それにめげず、西濃の基本理念の1つにもなっているのですが「福寿草精神」で乗り越え会社を大きくしていきました。福寿草というのは早春に田圃の畦に生える花で、踏まれるほど強くなって美しい花を咲かせます。田口利八は福寿草に象徴される不屈の精神を座右の銘としたのです。
大塚
転機の中、創業者、田口利八名誉会長の先見の明と福寿草精神で、いち早く認可を得てトラック輸送のパイオニアとなられたわけですね。
臼井様
西濃運輸は、大手運送業者の中でも輸送拠点間の路線トラックの台数はどこよりも多いです。宅配業者さんなどでは拠点間輸送は他社に任せているところがほとんどですが、西濃運輸は拠点間輸送も集荷配達も自社で行っています。創業当初は大垣と名古屋や大阪、東京という拠点間輸送が中心で、現地では水屋(みずや)と呼ばれる地元の荷物取扱業者に配送を委託していましたが、これでは本当のお客様サービスにはならないということで、拠点間輸送だけでなく集配車も全国に配備してお客様にお届けするまでをすべて自社で行うようになりました。
また、路線トラックという業態では、都市間の拠点を輸送して配達地域にくると小分けして小/中型トラックで配送しています。小口混載輸送ですので、料金は、例えば宅配業者さんですと1個千円で5個だと5千円となりますが西濃運輸では5個運んでもトータルの重さで計算して3千円、といった運賃体系になっています。ある程度、量がまとまると安くなることから、ご商売されている方のご利用が多いです。企業間の物流を「商業物流」と言っていますが、西濃運輸はその分野で第一人者であると思っています。
大塚
今年3月、福山通運と災害時の運送に関してトラック・ターミナルの相互利用や燃料の軽油を融通し合うといった業務提携を発表されました。
臼井様
我々のスタンスは『お客様第一主義』です。2011年の東日本大震災の時も、輸送体制を整えて最初に被災地に入ったのは西濃運輸でした。災害時、ライフラインの確保に貢献することはもちろんですが、今、世の中はアベノミクスで多少株価が上がっていますが実体経済はどうでしょうか。人口は減っていますし、モノの動きを見るとジリ貧です。過当競争をしている場合ではありません。ですから共同でできることはやっていこうというコンセプトのもと、協力体制をとろうというのが狙いです。経済活動への貢献だけでなく結果的にお客様へ最善のサービスを提供することが狙いです。
大塚
そのお客様サービスを、ITと物流マネジメントの両面から支えているのがセイノー情報サービスですね。
臼井様
私どもの会社は通信事業の民営化を見込んで1984年に設立されました。NTTの回線が自由化されるのでそれをビジネスにしようと、VAN事業に参入する企業が数多くありましたが当社もその1つです。商品が売買されると必ず代金決済と輸配送が発生します。通信回線を使ってその商取引、受発注、代金決済を行い、そこに輸配送を統合して完結する、それを行う会社として設立されました。推進したのは二代目、田口利夫社長で、実際に手腕を振るったのはセイノー情報サービスの初代社長、鈴木秀郎です。鈴木は日本郵船出身で欧米のネットワーク、特にコンテナや船便がVANでどのように管理されているかを熟知しており、そのような仕組みが日本の小口物流でも必ず使われ出すとしてセイノー情報サービスで導入展開してきました。
大塚
VAN事業をするということでセイノー情報サービスへ移られ、どのようなお仕事に携わってこられたのですか。
臼井様
西濃運輸の電算室では基幹システムの構築に携わっていましたが、VAN事業ということで優秀な社員を集め、先ず、EDIの構築を行いました。その後名古屋支店で外販事業の営業をしました。最初は回線リセールや共同電話サービスを販売しましたが、VANはValue Added Network、付加価値情報通信であって回線リセールではない、また回線の中にアプリケーションを通して、商流、物流、金流を情報流でカバーすることがVAN会社の仕事だと、事業を模索しました。そして最初に手がけたのが地酒VANサービスです。全国の100の蔵元をネットワークで結び、お酒を調達してお届けする地酒のSCMです。
内販事業はセイノーグループの経営戦略をIT面でサポートし、事業競争力を向上させることで、また外販事業では、その物流マネジメントなどのノウハウを適用して、荷主企業や一般企業の物流/ロジスティクスを最適化する様々なITサービスを提供しています。企業における調達業務、生産業務、受発注業務、輸配送業務といったロジスティクス全体をカバーしたものを、企業内SCM業務の仕組みとして提供します。現在、外販と内販の売上比率はほぼ半々です。
大塚
本体から分離した情報子会社の外販比率が半分、というのはすごいですね。
臼井様
私どもの会社では外販と内販はそれぞれ別の組織が形成されていますが、双方のビジネスでお客様に提供される商品やサービスのベースになっている知識/技術/ノウハウは共有しています。これにより、内販での実績が外販に生かされ、また外販での成果が内販にフィードバックされるという、2つのビジネスの間でシナジー効果が生まれるわけです。現在、日本における大手食品メーカー、アパレル関連をはじめ、数多くの企業様向けに、受発注、在庫マネジメント、EDIといったロジスティクスITサービスやコンサルティング・サービス、物流運営の代行や物流運用管理など、様々なサービスを提供させていただいています。取扱量のみならず、提供しているソリューションの幅から見ても物流ソリューション・ベンダーで日本一になる、というのが設立当初から現在まで当社が目指すところです。
大塚
貴社で最初に外販営業を担当され、現在は社長として全体をマネジメントされていらっしゃる中で、特に留意されていることは何でしょうか。
臼井様
私どもの会社は来年で創立満30周年になります。ITに限らず、世の中が早く大きく変わりゆく中で、変化に追随するのではなく自ら変化を起こせとよく言われます。変化を先取りするため、クラウド時代の新たなソリューションを開発しています。また、これまで積み上げてきたビジネスをしっかり踏襲していくことも大切だと考えています。現在、当社には600社のお客様がいらっしゃいます。その中には、必ず新たなビジネス計画をお持ちの企業があるわけです。当社では営業とSE部隊が一緒になって有力なお客様の新たなIT投資、ロジスティクス投資のアカウント・プランを策定し、積極的に提案するということを行っています。既存のお客様に対して何ができるのかを常に考えながら行動していますので、そこでの受注確率が一番高いのです。一度お客様になっていただいたら、次もまた頼みたいと思っていただけるようなサービスを提供するということです。システムやネットワークで結ばれているということもありますが、ご満足いただける対応をしなければお客様は離れてしまいます。次の案件もお願いすると言っていただくためには、お客様のニーズを理解し、迅速にサポートしていくことが大切です。このため、毎年お客様に顧客満足度調査をさせていただき、SE、営業、ヘルプデスク、それぞれに求められる課題を調査し、いただいた回答を社内全社会議で紹介し、しっかり注力していくようにフォローしています。
大塚
社内ではどのような教育、育成を行われているのですか。
臼井様
私どもの会社の人事制度は能力評定で、能力に基づいて人事評定を行います。そのためにロジスティクス関連、IT/テクニカル関連など、研修項目をスキルで明確に分けた社内育成プログラムを実施しています。導入して3年目で、それ以前も外部研修を受けさせたりしていましたが、それでは本人のスキルはついても社内に広がらないので、受講した社員が講師役となり部内に広げていく仕組みを作りました。外部資格としては日本ロジスティクスシステム協会のロジスティクス経営士や物流技術管理士の有資格者が数十人います。講習を受けただけでは能力は上がらないので、学び、仕事で実践し、さらに講師役をすると能力も給与も上がるという仕掛けです。毎年受講者が講師を評価して、社内で優秀な講師は表彰される仕組みも作っています。
大塚
長いお付き合いをいただいていますが、改めて弊社へのご要望などお聞かせください。
臼井様
これまでも先陣を切って日本に新しいものを紹介するなど、アシストさんの先取りの姿勢はとても評価しています。セイノー情報サービスはお客様第一主義ですから、徹底的にお客様をサポートし、お客様が儲かれば当社も育ち、そして雇用が守られるのだという三段論法でいつも従業員に話をしています。そういう意味では、アシストで大塚社長が言われている「めげない、逃げない、・・・」と似ていると思います。ですからこれからも、私どもの会社がお客様により良いサービスを提供できるよう、信頼できる、また、継続性が担保できる製品やサービスを期待しています。
大塚
本日は誠に有難うございました。
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株式会社セイノー情報サービス 代表取締役社長
1974年、西濃運輸株式会社入社。電算室に配属され基幹システム「カンガルーオンラインシステム」の構築に携わる。
1984年、西濃運輸電算室が分離独立、株式会社セイノー情報サービスが設立されるとともに移籍。
同社名古屋支店などを経て、2009年代表取締役社長に就任、現在に至る。
取材日:2013年4月
アシスト創立50周年を記念して、35年間ともにあり続けていただいた日本オラクル株式会社の取締役 執行役 社長 三澤 智光様と対談を行いました。
【対談×トップインタビュー:金沢工業大学】
建学綱領である「高邁な人間形成」「深遠な技術革新」「雄大な産学協同」を経営の柱に、「教育付加価値日本一」という目標を掲げて、社会に貢献する大学運営を実践する金沢工業大学の大澤 敏様にお話を伺いました。
【対談×トップインタビュー:通研電気工業株式会社】
東北電力グループとして機器の開発から設計、製造、工事、保守まで一貫した体制でICTソリューションを提供、電力の安定供給に貢献する通研電気工業株式会社の竹原 秀臣様にお話を伺いました。