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Oracle Cloud VMware SolutionでのVMware HCX環境構築手順(後編)
前回の記事でOCVS)でHCXを利用するための前提となる手順の前半をお伝えしました。本記事では後続の手順であるサービスメッシュ作成・L2延伸手順を記載し、仮想マシンを移行できる状態、つまりHCX環境の構築完了までを説明します。
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Oracle Exadata X10MではAMD社製のCPUが採用されたことで、DB Server、Storage ServerともにCPUの性能自体が向上しています。本記事をご覧の皆さんに、当社で実施したExadata X10Mの処理性能検証結果を共有します。
なお、Exadata X10Mのスペックや提供形態などは、下記の記事でご紹介しています。
Index
今回は、Exadata X8MからX10Mへのリプレースを想定し、下記の環境で検証しました。
ポイントは、DBの初期化パラメーターCPU_COUNTの値を同一にすることで、Exadata X8M-2 KVMとExadata X10M上の各DBを使った処理性能を比較検証する、という点です。
Exadataのモデル | Exadata X8M-2 KVM EF Eighth Rack | Exadata X10M HC Eighth Rack | |
DB Server | ノード数 | 2 | 2 |
CPUモデル | Intel Xeon Platinum 8260 CPU 2.40GHz | AMD EPYC 9334 32-Core Processor 2.70GHz | |
CPUコア数/ノード | 6 | 32 | |
メモリー/ノード | 128GB | 384GB | |
Storage Server | サーバー数 | 3 | 3 |
CPUモデル | Intel Xeon Gold 5218 CPU 2.30GHz | AMD EPYC 9334 32-Core Processor 2.70GHz | |
CPUコア数/サーバー | 16 | 32 | |
メモリー/サーバー | 192 GB | 256 GB | |
XRMEM容量/サーバー | 1536 GB | 577 GB | |
XRMEM Cache/サーバー | 1501 GB | 563 GB | |
Flashディスク容量/サーバー | 25.6 TB | 13.6 TB | |
Flash Cache/サーバー | 1192 GB | 12668 GB | |
Software | Exadata System Software | 23.1.3.0.0.230613 | 23.1.8.0.0.231109 |
OS | Oracle Linux 8 | Oracle Linux 8 | |
DB | 19.19 | 19.21 | |
Swingbench | 2.7 | 2.7 |
X8M-2と比較してX10MはCPUがAdvanced Micro Devices社のAMD EPYCTMプロセッサに変更され、CPUの処理性能が向上しました。そこで当社でも、Exadata X8M-2、X10Mのオンラインおよびバッチ処理でのCPU性能比較の観点で、実際にアプリケーションを動かして高速になるのか検証しました。
なお、オラクル社のExadata X10Mの紹介記事は、「Exadata X10Mの紹介: 卓越したスケーラビリティと大幅に向上した価格パフォーマンス」(オラクル社サイトに移動します)をご参照ください。
下記のような設定で検証を実施しました。
項目 | 値 | |
DB | 初期化パラメーターCPU_COUNT | 6 |
初期化パラメーターSGA_TARGET | 8g | |
初期化パラメーターPGA_AGGREGATE_TARGET | 4g | |
表領域暗号化 | 無 | |
Storage Server | XRMEM Cache | 有効 |
Swingbench | 使用するシナリオ | SOE(Simple Order Entry) |
実行時間 | 1時間 | |
同時接続ユーザー数 | 1000 |
「1秒あたりのトランザクション数(TPS)」の平均を比較すると、X8M-2に比べてX10Mはスループットが3.4倍向上しました。
(※下記は、X8M-2の「1秒あたりのトランザクション数(TPS)」の平均を「1」とした場合に、X10Mが何倍であったをグラフにしたものです)
「応答時間(ミリ秒)」の平均を比較すると、X8M-2に比べてX10Mは3.4倍高速になりました。
(※下記はX8M-2の「応答時間(ミリ秒)」の平均を「1」とした場合に、X10Mが何倍速かったかをグラフにしたものです)
「ユーザープロセスのCPU使用率」の平均を比較すると、X8M-2とX10Mはほぼ同様でした。
モデル | ユーザープロセスのCPU使用率(%):平均 | ユーザープロセスのCPU使用率(%):最大 | OS(System)プロセスのCPU使用率(%):平均 | OS(System)プロセスのCPU使用率(%):最大 |
X8M-2 | 60 | 85 | 19 | 65 |
X10M | 57 | 70 | 20 | 29 |
X8M-2に比べてX10Mは、平均I/O待機時間が40%以上短縮しました。
X8M-2環境では、CPUの高負荷が原因で下記の待機イベントが発生しています。
・CPU数を割り当てるための待機イベントである「resmgr:cpu quantum」が発生している
・グローバルキャッシュサービス(GCS)の処理遅延によるロード関連の下記の待機イベントが発生している
・gc current block congested
・gc cr block congested
・REDOログ・ファイルのcheckpointが終了していないため、次のREDOログ・ファイルへスイッチする際の
待機イベントである「log file switch(checkpoint incomplete)」が発生している
同様の負荷テストを実施したX10Mでは上記のような待機イベントは発生していないため、X10MのCPU関連の処理性能(トランザクション数、応答時間、CPU使用率)が優れていると考えられます。
下記のような設定で検証を実施しました。
項目 | 値 | |
DB | 初期化パラメーターCPU_COUNT | 6 |
初期化パラメーターSGA_TARGET | 8g | |
初期化パラメーターPGA_AGGREGATE_TARGET | 4g | |
表領域暗号化 | 無 | |
Storage Server | XRMEM Cache | 有効 |
Swingbench | 使用するシナリオ | TPC-DS(Transaction Processing Performance Council-Decision Support) |
実行時間 | 1時間 | |
同時接続ユーザー数 | 1000 |
「1秒あたりのトランザクション数(TPS)」の平均を比較すると、X8M-2に比べてX10Mはスループットが3.5倍向上しました。
(※下記はX8M-2の「1秒あたりのトランザクション数(TPS)」の平均を「1」とした場合に、X10Mが何倍であったをグラフにしたものです)
「応答時間(ミリ秒)」の平均を比較すると、X8M-2に比べてX10Mは119倍高速になりました。
(※下記はX8M-2の「応答時間(ミリ秒)」の平均を「1」とした場合に、X10Mが何倍速かったかをグラフにしたものです)
「ユーザープロセスのCPU使用率」の平均を比較するとX8M-2と比べて、X10Mは21%CPU使用率が低い良い結果となりました。言うまでもないことですが、CPU使用率が低いということは、その分処理の余力が大きいということであり、性能が向上したと言えます。
モデル | ユーザープロセスのCPU使用率(%):平均 | ユーザープロセスのCPU使用率(%):最大 | OS(System)プロセスのCPU使用率(%):平均 | OS(System)プロセスのCPU使用率(%):最大 |
X8M-2 | 66 | 85 | 21 | 75 |
X10M | 45 | 80 | 15 | 31 |
X8M-2に比べてX10Mは、平均I/O待機時間が大きく短縮する性能差となりました。
オンライン処理性能検証時と同様にX8M-2環境では、CPUの高負荷が原因で下記の待機イベントが発生しています。
・CPU数を割り当てるための待機イベントである「resmgr:cpu quantum」が発生している
・グローバルキャッシュサービス(GCS)の処理遅延によるロード関連の下記の待機イベントが発生している
・gc current block congested
・gc cr block congested
・REDOログ・ファイルのcheckpointが終了していないため、次のREDOログ・ファイルへスイッチする際の
待機イベントである「log file switch(checkpoint incomplete)」が発生している
同様の負荷テストを実施したX10Mでは上記のような待機イベントは発生していないため、X10MのCPU関連の処理性能(トランザクション数、応答時間、CPU使用率)が優れていると考えられます。
オンラインの性能検証においては「CPU使用率」に大きな差はありませんでしたが、バッチの性能検証ではX8M-2と比べてX10MがCPU使用率が低い、つまり性能が向上しているという結果になりました。
また、オンライン、バッチのいずれの性能検証においても「スループット」「応答時間」はX8M-2に比べてX10Mが優れた性能結果となり、Exadata X10MではCPUがAMD社製になったことで、Oracle Databaseに最適なプラットフォームとしてさらに性能が向上したことを確認できました。
Exadataを選択肢としてお考えのお客様、導入実績豊富な当社へぜひお気軽にご相談ください。
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前回の記事でOCVS)でHCXを利用するための前提となる手順の前半をお伝えしました。本記事では後続の手順であるサービスメッシュ作成・L2延伸手順を記載し、仮想マシンを移行できる状態、つまりHCX環境の構築完了までを説明します。
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