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Oracle Cloud VMware SolutionでのVMware HCX環境構築手順(後編)
前回の記事でOCVS)でHCXを利用するための前提となる手順の前半をお伝えしました。本記事では後続の手順であるサービスメッシュ作成・L2延伸手順を記載し、仮想マシンを移行できる状態、つまりHCX環境の構築完了までを説明します。
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Oracle WebLogic Server 12.2.1.4 以降では従来のインストーラに加えて、名称に "Lite" と付加された新たなインストーラがリリースされました。
本資料では新たなインストーラを「Lite インストーラ」と呼称し、従来のインストーラとの違いを中心に Lite インストーラをご紹介します。
これまでは、WebLogic Server には以下のインストーラが存在していました。
インストーラ | 概要 |
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Generic インストーラ | WebLogic Server の全機能が含まれるインストーラです。 WebLogic Server のインストールでは一般的に Generic インストーラが使用されます。 |
Quick インストーラ | 開発環境での使用に制限された製品評価用に使用されるインストーラです。サンプルドメインなどの一部機能が含まれておりません。 また、Quick インストーラでインストールした環境に対してはパッチが提供されません。 |
Slim インストーラ | Docker を使用する場合に選択するインストーラであり、管理コンソールなどの一部機能が含まれておりません。 |
WebLogic Server 12.2.1.4 では Generic インストーラに対して、WebLogic Server 14.1.1 以降ではこれらインストーラのそれぞれに対して Lite インストーラがリリースされ、現在は以下6つのインストーラが存在しています。
インストーラ | 補足 |
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Generic インストーラ | 従来の Generic インストーラです。 |
Generic Lite インストーラ | Generic インストーラに対する Lite インストーラです。 WebLogic Server 12.2.1.4 以降では従来の Generic インストーラとどちらも選択可能です。 |
Quick インストーラ | 従来の Quick インストーラです。 WebLogic Server 12.2.1.4 以前では従来の Quick インストーラのみです。 |
Quick Lite インストーラ | Quick インストーラに対する Lite インストーラです。 ダウンロード時に「Lite」の記載はありませんが、WebLogic Server 14.1.1 以降では Quick Lite インストーラとして提供されています。 |
Slim インストーラ | 従来の Slim インストーラです。 WebLogic Server 12.2.1.4 以前では従来の Slim インストーラのみです。 |
Slim Lite インストーラ | Slim インストーラに対する Lite インストーラです。 ダウンロード時に「Lite」の記載はありませんが、WebLogic Server 14.1.1 以降では Slim Lite インストーラとして提供されています。 |
Lite インスト-ラと従来のインストーラの違いは、Lite インストーラには自動診断リポジトリ (Automatic Diagnostic Repository 以下 ADR) が含まれなくなったという点です。
WebLogic Server は Fusion Middleware 製品の1つであり、Fusion Middleware は内部的に ADR を使用するケースがあるため従来のインストーラでは WebLogic Server にも ADR が含まれていましたが、WebLogic Server 単体では元々 ADR を使用しておらず不要なため、Lite インストーラには含まれなくなりました。
そのため、インストーラのサイズや、インストール後の構成ファイルの総サイズは、 Lite インストーラの方が少し軽量化されています。
Lite インストーラでインストールした環境では、ADR が含まれないため、ADR に関する脆弱性の対応は不要です。
なお、Lite インストーラでインストールした環境に ADR が含まれなくなったことで、Patch Set Update(PSU) に ADR に関する修正が含まれなくなり、ADR に関する修正は別のパッチとして提供されるようになりました。
そのため、従来のインストーラでインストールした環境に対して累積パッチを適用する場合は PSU だけでなく ADR に関するパッチを適用します。
以下は、従来のインストーラでインストールした WebLogic Server 14.1.1 の環境と、Lite インストーラでインストールした WebLogic Server 14.1.1 の環境のそれぞれに対する、Critical Patch Update July 2021 として適用が推奨されている累積パッチをまとめた表です。
適用が推奨されている累積パッチの種類 | 従来のインストーラでインストールした環境 | Lite インストーラでインストールした環境 |
WLS PSU | ○ | ○ |
Oracle Coherence 用のパッチ | ○ | ○ |
WebLogic SAMPLES 用のパッチ | ○ | ○ |
ADR 用のパッチ | ○ | × |
Lite インストーラと従来のインストーラとで、インストール手順やパッチの適用手順自体に違いはありません。
Lite インストーラを使用してインストールした場合のデメリットはなく、セキュリティ面でのメリットがあるため、WebLogic Server 12.2.1.4 以降を単体で新規インストールする場合は Lite インストーラを使用することが推奨されています。
Lite インストーラの入手方法は従来のインストーラと同様、Oracle Software Delivery Cloud(OSDC) からダウンロード可能です。
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<WebLogic Server の ORACLE_HOME>/oui/bin/viewInventory.sh(※) を実行することで、Generic Lite インストーラと従来の Generic インストーラのどちらを使用してインストールされたか確認することが可能です。
※ Windows 環境の場合は <WebLogic Server の ORACLE_HOME>\oui\bin\viewInventory.cmd です。
従来の Generic インストーラを使用してインストールした場合は、viewInventory.sh を実行した結果に以下の内容が含まれます。以下の内容が含まれない場合は Generic Lite インストーラを使用してインストールされています。
FeatureSet: adr_platforms <バージョン>
Component: oracle.adr <バージョン>
$ $ORACLE_HOME/oui/bin/viewInventory.sh Oracle Home: /home/wls1411/Oracle/Middleware/Oracle_Home_Generic Distribution: WebLogic Server 14.1.1.0.0 FeatureSet: cieCfg_wls_shared_external 14.1.1.0.0 Component: oracle.fmwconfig.common.wls.shared.external 14.1.1.0.0 Component: oracle.fmwconfig.wls.shared 14.1.1.0.0 : FeatureSet: jrf_maven 14.1.1.0.0 Component: oracle.jrf.maven.plugins.sync 14.1.1.0.0 FeatureSet: adr_platforms 14.1.1.0.0 ★ Component: oracle.adr 14.1.1.0.0 ★ :
上述のとおり、Lite インストーラには ADR が含まれなくなり、また、ADR に関する修正は PSU とは別のパッチとして提供されるようになりました。
Lite インストーラを使用してインストールした環境に ADR に関するパッチを適用した場合、対象の ORACLE_HOME に ADR コンポーネントがインストールされていない旨のメッセージが表示され、パッチ適用が失敗します。
$ $ORACLE_HOME/OPatch/opatch apply Oracle Interim Patch Installerバージョン13.9.4.2.5 : Verifying environment and performing prerequisite checks... UtilSessionが失敗しました: Patch 31544353 requires component(s) that are not installed in OracleHome. Or don't have required patch level. These not-installed components are oracle.adr:12.1.2.0.0:patchlevel-(or higher), Log file location: /home/wls12214/Oracle/Middleware/Oracle_Home_Generic_Lite/cfgtoollogs/opatch/opatch2021-07-07_11-33-08午前_1.log OPatch failed with error code 73
2021/8/10 時点では、Oracle Cloud のマーケットプレイスから WebLogic Server for Oracle Cloud Infrastrcuture(WLS for OCI) を構築した場合、従来の Generic インストーラが使用されていることを確認しております。
WebLogic Server 12.2.1.4 以降では従来のインストーラに加えて、ADR を含まない Lite インストーラがリリースされました。
WebLogic Server 単体で使用する場合は ADR は不要であり、ADR に関する脆弱性の対応(パッチ適用)も不要です。
Lite インストーラを使用することによるデメリットは無いため、WebLogic Server 12.2.1.4 以降を単体で新規インストールする場合は Lite インストーラを使用することをお薦めいたします。
参考情報
WebLogic Server の新たな累積パッチ Stack Patch Bundle(SPB) について
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2008年度アシストに入社後、Oracle WebLogic Server や Oracle HTTP Server を中心にサポートエンジニアとして活動しており、これまでに4000件以上の問い合わせを対応。
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