株式会社アシスト 代表取締役会長
ビル・トッテン
この冬、日本ではインフルエンザが猛威を振るっているようです。アシストでも多くの社員やその家族が罹患したという話をききました。
わが家も家人がインフルエンザのような症状になりましたが、幸い私はまだうつっていません。代わりに声が枯れて、出にくくなる喉風邪にかかりました。私は怪我や命にかかわりそうな重篤な場合は別として、風邪程度だとお医者さんへは行かず、庭でとれたレモンやキンカンをかじり、ニホンミツバチの蜜を舐め、休養をとって治すようにしています。長引いて心配になって病院へ行ったこともありますが、解熱剤や痛み止めを処方されても飲むことはまずありません。
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今、米国では鎮痛剤による中毒や過量投与が問題になっています。日本では癌などの患者にしか処方されることのない、アヘンのような麻薬系の薬剤や半合成の麻薬類が、鎮痛剤として簡単に医師によって処方されるのです。オピオイドとよばれる痛み止めの処方が増えたのは、米国では病気を治すことよりも、とりあえずその痛みを患者から取り除くことが一番の目的となったからです。
これによって米国ではオピオイド関連の過量投与による死亡数が急増しました。オピオイド中毒になると、今度は医師の処方よりも安く買えるインターネットや街角で違法麻薬を入手するようになるのです。マイケル・ジャクソンやプリンス、ホイットニー・ヒューストンといった有名人がこうした薬が原因で亡くなっているのも、アメリカの現状の氷山の一角に過ぎません。
米国では薬品は食品医薬品局の管轄ですが、日本のように国民皆保険制度がないため、薬の価格が高騰しないように政府が厳しく薬価を管理するということがありません。このため薬価は数十年で他の日用品よりも何倍も上がりました。もしTPPが締結されるようなことになれば、米国は日本政府が現在おこなっている薬価や薬の規制を、米製薬企業にとっての障壁だと訴えるであろうことは容易に想像できます。TPPには多国籍企業が不服申立てできる仕組みが入っているのですから、国民皆保険制度すらも貿易障壁だというかもしれません。
風邪から話が飛んでしまいましたが、まだ声が十分治りきっていない中、アシストの元社員が起業した農業ベンチャーが主催したイベントで講演をしました。私は仕事を続けながらの家庭菜園ですが、農業とはまったく無縁だった彼は、今では畑だけでなく田んぼを耕作し、農業学校を運営しています。アシストで働いていた時も仕事だけでなく一緒にテニスをしたりする仲間でしたが、いまは野菜の話を一緒にする仲間です。「You are what you eat」ということわざが英語にあります。どんな仕事をしていても庭の片隅やプランターで、たとえ少しでも自分が食べる物を作るとよいと思います。ますます健康が大切な時代ですから。
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10月になっても半袖で過ごせるような陽気が続いていましたが、「アシストみちのくサロン」で訪問した仙台も暖かい好天に恵まれました。