アシストのブログ

  • 鴨川だより
2025.04.28

鴨川だより~トランプ大統領と関税~

株式会社アシスト 代表取締役会長
ビル・トッテン



4月2日、トランプ大統領は世界のほぼ全ての国からの輸入に10%の関税を課すという大統領令を出しました。1日早ければエイプリルフールと思われたかもしれません。

さらに米国の貿易赤字が大きい国に対して相互関税を課し、中国製品には現行の20%に加え34%の相互関税(日本は24%)が課せられました。4月9日、中国に対する相互関税率は125%になり、トランプは「中国と取り引きをする用意がある」と言ったものの習近平からの連絡はなく、米産業界の圧力か、スマートフォンやコンピューター、その他電子機器などを相互関税の対象から除外しました。今日(4月25日)現在、トランプは中国への関税を大幅に引き下げることを検討中としていますが、このようにころころ変わるのが彼自慢のArt of Deal(取り引きの極意)のようです。

関税による物価上昇は、消費税と同じ低所得世帯の購買力を大きく削ぐ逆進的な負担になります。また報復として中国が米国からの輸入に10%の関税をかけたため、中国の大豆バイヤーはブラジル産に置き換え、米国の大豆農家は早くも大きな損失を被っています。関税は税金であり、それを課す権限は議会にあるのに、トランプは議会を通さず「国際緊急経済権限法」を根拠に関税を課しました。大量の中国製品によって米国が「国家非常事態にある」というなら、工場を中国に移転し米国の脱工業化を過去30年間放置してきた政府の責任でしょう。

現状で、中国の対米貿易依存度はその逆よりもはるかに低く、中国は(生産者として)世界のサプライチェーンのトップにいて米国は(消費者として)下に位置しています。関税により、米国の金融市場の混乱とインフレが予想されることから、MAGAの熱狂的支持者でさえ自分たちの財布への影響を心配しています。国家権力を我が物とする政治指導者は、一般的に独裁者と呼ばれます。米国政府から独裁者とみなされている習近平国家主席は、トランプと交渉をすることなく、米国が自滅するのを傍観する作戦かもしれません。




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