- 特集
~アシスト創立50周年、オラクルビジネス35周年記念~
よりお客様目線でこれまでのいい関係をさらに発展させていく
アシスト創立50周年を記念して、35年間ともにあり続けていただいた日本オラクル株式会社の取締役 執行役 社長 三澤 智光様と対談を行いました。
~ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティを目指して~
|
世界100ヵ国以上で様々な領域の製品、サービス、ソリューションを提供するグローバルICT企業、富士通株式会社。その道のりは日本のコンピュータ史でもあるといえます。ICTの利活用により人々がより豊かに安心して暮らせる社会の未来像として同社が掲げる「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」を垣間見ることができるショールーム「netCommunity」に、社長、会長を歴任された間塚道義様をお訪ねして大塚辰男がお話を伺いました。
間塚 道義 様
富士通株式会社 相談役
1968年、富士通ファコム(現・富士通エフ・アイ・ピー)に入社。1971年富士通に転籍、営業部門で活躍。2001年取締役に就任し、取締役専務、代表取締役副社長などを経て、2008年6月代表取締役会長、2009年9月代表取締役会長兼社長に就任。2010年4月より代表取締役会長、2014年取締役 相談役、2016年6月より現職。
大塚(以下色文字):対談の前に、netCommunityで「富士通が考える未来社会の姿」の映像やデモを見せていただきました。AIやIoTを活用したソリューションや、買い物や医療などの生活シーンにおいて、革新的な技術がすでに開発、実用化されていることに驚いています。そういったお話も伺いたいのですが、まずは『技術の富士通』の中で長年営業畑でご活躍された後にトップとして経営に携われた間塚様のご経歴をお聞かせください。
間塚様(以下略):私は1968年に富士通ファコムに入社しました。当時日本でもMIS(経営情報システム)がブームになりかけており、富士通は通信ビジネスを主体としていましたが、コンピュータの営業やSEを早急に育成する必要があるということからIBMの役員や経営幹部を招聘し富士通ファコムをつくったのです。富士通ファコムでは、「営業は会社の代表だ」との考えで徹底的に個人の戦闘力を鍛えられました。富士通ファコムは個性豊かな営業・SEの集団で、コンピュータ事業を進める上でのテストベッドでした。その後、組織が富士通本体と一体化され、私は製造業担当の営業部門の配属になりました。そこではチームとしての営業を学び、以来、2001年まで30年以上、製造業界を担当しました。
──アシストが間塚様とお付き合いさせていただくようになったのは、製造業のご担当時代ですね。
親しくさせていただいた担当のお客様が、アシストのお客様でもありました。もう30年以上前になります。その後、2001年に取締役として東日本営業本部長に就任し、e-Japan、住基ネット、ICTの利活用による地域の活性化、病院の電子カルテの普及などを推進しました。我がサラリーマン人生で一番楽しい時代でしたが、2004年に本社に戻され、マーケティング、2005年からは国内の営業、SE、マーケティングの統括となりました。
この間に、システムインテグレーションビジネスにおける営業とSEの意識と行動を抜本的に変革するため、営業とSEの一体化や行動様式の改革を断行し、プロジェクトの見える化や不採算プロジェクトの一掃を図りました。2009年には「ヒューマンセントリック・イノベーション」を提唱し、以降「人間中心のICT」は富士通の哲学となっています。
この間も、そのお客様を中心とする会でアシストさんと親しいお付き合いをさせていただきました。
|
──営業をされていた汎用機の時代からは技術も業界も大きな変化を遂げています。netCommunityでも拝見しましたが、課題が多様化する中で特に貴社が注力している技術や分野についてお聞かせいただけますか。
最近では、従来の情報システムはSoR(System of Record)、デジタルイノベーションなどの新たなつながるシステムはSoE(System of Engagement)と言われています。当社は長年お客様のシステム構築や運用を主たる事業としてきましたので、クラウド化を含めたSoRの世界をきっちりとサポートしていくことは今後も変わりません。それに合わせて、デジタル技術によってお客様の事業に付加価値を持たせることや、新しい事業を創り上げるSoEを、お客様と一緒に進めているところです。デジタル革新を実現するには、このSoEとSoRを連携させていくことが重要であり、当社は「MetaArc(メタアーク)」という新たなデジタルビジネス・プラットフォームを提供しています。
SoEの中核技術としてクラウド、IoT、データ解析、AI、ロボティクス、セキュリティ等、広範囲の技術が話題になっています。これらを一貫してサポートできることが富士通の強みです。IoTで発生する大量のデータをクラウドに集め、そのビッグデータをAIで処理しロボティクスにつなげ、お客様の事業の価値を高めることや新事業の立ち上げのお手伝いをしていきます。2016年4月にはデジタルサービス部門を3.1万人体制でスタートしました。お客様が新規技術を事業に活かせるように、デジタルシフトのご支援を行っていきます。
──表に出てこなくてもユーザ企業の新事業の裏には富士通さんの強力な支援があるということですね。
お客様と共同で推進している実証プロジェクトは300件ほどあり、それらを通じて得られたベストプラクティスに基づいて、ものづくりやロジスティックス、都市インフラなど、8分野の「デジタル革新オファリング」の提供を開始しています。
この秋の世界経済フォーラム発表の国際競争力ランキングにおいて、日本は技術革新などの評価が下がり、昨年の6位から8位に後退したという報道がありました。競争力を高めるためにもイノベーションの創出に力を入れたいと思います。これからのイノベーションは1つの企業や産業では生まれないので、複数の企業や複数の産業、大学、官公庁が一体となって推進するオープンイノベーションを、富士通はデジタル技術やスーパーコンピュータで支えていきます。
──スーパーコンピュータ『京』が、7月にビッグデータ処理に関する性能ランキングで3期連続(通算4期)第1位となり、日本の産業界に光明を投げかけましたね。
『京』の開発の過程では幾多の危機もありました。2009年の事業仕分けでは、一旦は「プロジェクトの凍結」という判定が出ましたが、ノーベル化学賞受賞者の野依良治先生の「仕分け人は将来、歴史の法廷に立つ覚悟はあるのか」という発言をはじめ、国民の皆様からも多くの応援をいただき、継続となりました。それも束の間、2011年には東日本大震災が起こり、東北地区の協力会社さんが被災されました。さすがにこの時は世界一を獲得するのは難しいと半ば諦めましたが、協力会社の方々が一丸となって、不眠不休で尽力いただいた結果、2011年6月と11月に計算性能で世界一を獲得することができました。このことは、当時、日本中が大震災で意気消沈していた中で、なでしこジャパンの優勝とともに久々に明るいニュースになったのではないかと思っています。『京』の開発では巨額の費用の持ち出しとなりましたが、多くの革新的な技術が開発され、何よりも若いエンジニアが育ったことはお金には代えられない財産となりました。
──先ほど「人間中心のICT」は富士通の哲学とおっしゃられましたが、AIやロボットにより失業が増えるといった予測がなされています。こうした問題とどのように関わっていくべきか、お考えをお聞かせください。
|
私が会長兼社長の時に「ヒューマンセントリック・イノベーション」というビジョンを掲げました。ICTは人の生命や健康、そして快適で豊かな社会を実現するために貢献すべきという考え方です。2016年には「ヒューマンセントリック・イノベーション - ドライビング・デジタル・トランスフォーメーション」とさらに拡大しました。今後もデジタル技術を原動力として人々の生活や社会の変革に貢献することを貫いていきます。
ご質問のAIやロボットで失業が増えるというセンセーショナルな話に関してですが、私は失業が増えるということではなく、人の働き方や職種が変わるということだと思います。米デューク大学のキャシー・デービッドソン教授は「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%が、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」と言われました。ICTの世界でもSEやプログラマだけでなく、データサイエンティスト、セキュリティエンジニアといった新しい職種が生まれています。働き方の変化、新しい職種への転換のためには、個人としての意識改革の必要もありますし、企業もスキル転換などの人材教育を行う必要があると思います。
──新しい職種の創造は過去にも起きたことで、違っているのは、現代はそのスピードがあまりにも速くなったことだと思います。そのための教育や訓練をどうするかが企業の課題になりますね。
実際に当社でも、半導体のエンジニアがモバイル技術者やサービス部門に転換するといった類の話は過去に何度もありました。
最近では、医療の画像診断、金融における融資、会計や法務などの分野でAI適用事例も出てきて、あたかもAIが人を駆逐するような話までメディアなどに報道されています。しかし、AIの研究は緒に就いたところであり、個人的には、AIが人類を駆逐したり、AIが自己再生産するような話は当分の間はないと思っています。ただAIは急速に進歩すると思われますので、文化や宗教、倫理などの観点を含め、人間の尊厳を冒させないためのルール作りの議論を早急にスタートさせる必要があると考えています。例えば、車が自動運転中、目の前に急に子どもが飛び出てきた。右は崖で左には人がたくさんいた場合、右にハンドルを切るか左に切るか。AIには人が知恵を与えるわけですが、この場合はどのようなルールを与えるのがよいのか、ということが重要になるわけです。ICTは人間の尊厳を大事にし、人がより高い創造性や能力を発揮できるようにサポートすることが基本だと考えています。
──まさに人間中心のAIであり、ICTですね。では最後にアシストへのご意見、ご要望などをお聞かせいただけますか。
クラウドを利用されるお客様の大半が、オンプレミスとのハイブリッド利用です。さらに、マルチクラウドの利用も増えています。お客様はオンプレミスや、様々なクラウドをワンストップで一貫したサポートを期待していますので、アシストさんの高いサポート力が今後、一層評価されると思っています。もちろん富士通のクラウドとの連携についても、ぜひご協力いただきたいと思います。SoEは、多くのベンダーの技術の組み合わせで成り立つ世界です。アシストさんはお客様との強い信頼関係をお持ちなので、そこを活かしたインテグレーションや運用サポートで力を発揮されると期待しています。
──こちらこそ引き続きソフトウェア連携を含めご支援をよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
(対談日:2016年9月)
アシスト創立50周年を記念して、35年間ともにあり続けていただいた日本オラクル株式会社の取締役 執行役 社長 三澤 智光様と対談を行いました。
【対談×トップインタビュー:金沢工業大学】
建学綱領である「高邁な人間形成」「深遠な技術革新」「雄大な産学協同」を経営の柱に、「教育付加価値日本一」という目標を掲げて、社会に貢献する大学運営を実践する金沢工業大学の大澤 敏様にお話を伺いました。
【対談×トップインタビュー:通研電気工業株式会社】
東北電力グループとして機器の開発から設計、製造、工事、保守まで一貫した体制でICTソリューションを提供、電力の安定供給に貢献する通研電気工業株式会社の竹原 秀臣様にお話を伺いました。