Citrixサポートブログ

  • トラブルシューティング
2023.11.13

特定のクライアント端末で公開アプリケーションの起動が失敗する場合の問題切り分けの一例

特定のクライアント端末で公開アプリケーションの起動が失敗する場合の問題切り分けの一例

こんにちは。Citrix製品のサポートを担当している川東(かわひがし)です。

※弊社のCitrixヘルプデスク契約があるお客様は本記事についてお問い合わせ頂くことも可能です。
 本記事は、弊社サポートセンターのFAQ:69511と同様の内容です。

特定のクライアント端末で公開アプリケーションが起動できない場合に、どこから調査すればよいか分からず困ったことはございませんでしょうか。

本記事では、弊社のCitrixヘルプデスクがよく案内している切り分け方法をご紹介します。

【ご注意ください】
本記事は、Citrix Gatewayを使用していない環境で利用できる問題切り分け方法です。
本記事内の「
クライアント端末とVDAの間の通信に関する確認方法 」はサーバOSのVDAを使用している場合に使用できる問題切り分け方法です。


目次


クライアント端末とVDAの間の通信に関する確認方法

接続先のVDAの情報を取得する方法

※こちらの取得方法は、Windows10等のクライアントOS用のVDAを使用している場合も利用できます。

クライアント端末から公開アプリケーションや仮想デスクトップのアイコンをクリックした際に、以下の図②のようにStoreFrontサーバからクライアント端末へ、起動先のVDAのマシン情報が送信されます。

<イメージ図>

参考情報

起動処理の流れの詳細は、こちら もご参照ください。 (3本の記事で説明しています)

イメージ図の②で赤字で記載した「Citrixセッション起動先のマシンの情報等」に、VDAマシンのIPアドレス、もしくは、FQDNが登録されています。こちらの情報が格納されたファイルは、以下のレジストリ設定後に、Citrixのセッション起動要求を行うことで生成できます。

<ご注意ください>
・レジストリ設定は、管理者権限が必要です。
・Citrix Gatewayを使用している場合は、以下の設定をしても、VDAマシンの接続先の情報は取得が
 できません。


<設定するレジストリの場所と値>
・場所
 64bit OSの場合
 HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\Citrix\ICA Client\Engine\Configuration\Advanced\Modules\Logging

 32bit OSの場合
 HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Citrix\ICA Client\Engine\Configuration\Advanced\Modules\Logging

・値
 LogFile: セッション起動情報を出力するファイルのパス(例: C:\Temp\ica.log)
 LogICAFile: true

<設定イメージ>

<参考情報>
 Launch.icaファイルのログ

<動作確認手順>
 1. クライアント端末にて、公開アプリケーション(もしくは、仮想デスクトップ)のアイコンを
  クリックします。
 2. 起動失敗の問題を再現します。
 3. レジストリのLogFileに設定したパスにファイルが生成されていることを確認します。
  ※上記の例の場合は、C:\Temp\ica.log
 4. ファイル内の「Address=」の値(IPアドレス、もしくは、FQDN)を確認します。
  ※CitrixGatewayを使用している場合は、こちらの値は暗号化されます。


クライアント端末からVDAのマシンの疎通テスト

※こちらの疎通テストの方法は、Citrix Virtual Apps のサーバOSのVDAの場合に使用できます。
 Windows 10等のクライアントOSにインストールしているVDAの場合は使用できない方法です。

 サーバOSのVDAはOS起動後にポート1494、2598がリスニング状態になりますが、クライアント
 OSのVDAの場合はOS起動後はリスニング状態にならない(セッション起動要求後にリスニング状態
 になる)ためです。

上記にて “Address = “の値が確認できた後、クライアント端末からVDAのマシンへの疎通テストをします。
こちらの方法の一つに、Windows PowerShellのTest-NetConnectionコマンドを使用する方法がございます。

【実行手順の例】
1. クライアント端末にてPowerShellコマンドプロンプトを起動します。

2. 以下のコマンドを実行します。
 PS> Test-NetConnection "Address= の値" -Port 1494
 PS> Test-NetConnection "Address= の値" -Port 2598

 例: Test-NetConnection 10.20.30.40 -Port 1494
   Test-NetConnection 10.20.30.40 -Port 2598

 通信が失敗すると以下のように「TcpTestSucceeded : False」が表示されます。
 ※成功の場合は、Trueが表示されます。

3. 「Address=」 の値がFQDNの場合は、2で指定したFQDNをIPアドレスに変更して実行をします。


疎通テストで失敗した後の対処方法

以下をお試しください。

“Address =” の値がFQDNの場合

1. Test-NetConnectionコマンドにて「FQDNは失敗、IPアドレスは成功」

  クライアント端末側の名前解決ができるようにして、再度、お試しください。

2. Test-NetConnectionコマンドにて「FQDNは失敗、IPアドレスも失敗」

 ・ポートブロックの可能性の確認

  クライアント端末とVDAのマシンに対してPing疎通の確認ができる場合は、こちらをご確認くだ
  さい。Pingの応答がある場合は、クライアント端末からVDAのマシンに対して TCP2598/1494、
  UDP2598/1494 の通信が許可されているかどうかをご確認ください。

  ※UDPの通信が使用されるシステム要件はこちら をご参照ください。

 ・NAT環境の可能性の確認

  NAT環境の場合クライアント端末から「Address= の値」に対しての通信ができないため、以下
  のブログに記載の対応方法をご検討ください。

  NAT環境で公開アプリケーション起動が失敗する場合の対処方法

“Address =” の値がIPアドレスの場合

「“Address =” の値がFQDNの場合」の「2」の内容をご参照ください。


クライアント端末とVDAの間の通信は問題がない場合の切り分け方法の一例

以下をご確認ください

クライアント端末にアンチウイルス製品がインストールされている場合は無効化します

無効化して改善する場合は、「Workspaceアプリ」 に記載のファイルとプロセスを
除外設定に追加して動作確認をお願いします。


Citrix Workspace appをクリーンアンイストールしてインストールし直します

「Workspace app for Windows をクリーンアンインストールする方法」 のブログ記事をご参照ください。


Citrix Workspace appを最新版にバージョンアップします

以下のサイトからダウンロードします。

 ・CR版のCitrix Workspace App  
 ・LTSR版のCitrix Workspace App   

※CR版とLTSR版の違いは、こちら をご参照ください。


クライアント端末にログインするユーザーアカウントを変更します

クライアント端末にログインするユーザーアカウントに依存した問題かどうかを確認する
ため、別のユーザアカウントでログインをして再現性を確認します。


非管理者アカウントにてWorkspace appをインストールします

管理者アカウントにてWorkspace appをインストールした場合、こちらをアンイストール して、非管理者アカウントにてインストールをします。Workspace appをユーザプロファイル内にインストールすることで改善するかどうかを切り分けます。

※Workspace appを管理者アカウントと非管理者アカウントでインストールした場合の、インストールパスの違いは、こちら の記事をご参照ください。


まとめ

本記事は、特定のクライアント端末にてCitrixのセッション起動が失敗する場合に、弊社のCitrixヘルプデスクが確認のお願いをする内容をご紹介しました。今後、同様の事象が発生した場合の参考にしていただけますと幸いです。



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アシスト入社後、テスト系製品のカスタマーサポートを担当後、現在はCitrix製品を担当。シトリックス・システムズ・ジャパンの「2020 2nd Half Partner Award」にて、国内パートナーエンジニアの中から特に技術的な貢献が高い技術者に贈られる「Citrix Best Partner Engineer」を受賞。

XenAppとXenDesktopのトラブルシューティングや運用に役立つ情報を、長年のサポート対応の視点で分かりやすく伝えることを心がけています。学生時代から続けている映像制作の趣味の延長で、以下の動画も制作したのでご覧頂けますと幸いです。

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