
- トラブルシューティング
CitrixDirectorを使用したセッション起動遅延調査の一例
ユーザー様のCitrixのセッション起動に時間がかかる場合にCitrix Directorを使用して問題切り分けする方法をご紹介させていただきます。
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こんにちは。Citrix製品のサポートを担当している川東(かわひがし)です。
今回は、NAT環境で公開アプリケーション起動が失敗する場合の対処方法をご紹介させて頂きます。
Citrix Virtual Appsの利用を想定した説明ですが、Citrix Virtual Desktopsの環境でもご使用頂けます。
まず、NATが無い環境のクライアント端末から公開アプリケーションを起動する際の動作を説明します。
【 NATが無い環境で公開アプリケーションを起動する場合の通信 】
クライアント端末とStoreFrontサイト、クライアント端末とVDAサーバの間で発生する通信は以下になります。
1.クライアント端末にてStoreFrontのWebサイトに接続します。
※Workspace appの画面からサイトに接続する方法や、クライアント端末上の
公開アプリケーションのショートカットから起動する方法も同様です。
2.StoreFrontのサイトにログイン後、公開アプリケーションのアイコンをクリックします。
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【 NAT環境の場合の通信 】
以下のように公開アプリケーションの起動処理で失敗します。
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公開アプリケーションの通信がNATを超えることができない原因は、標準設定のCitrix Virtual Appsや
XenAppの場合、公開アプリケーションのアイコンをクリックするとダウンロードされるLaunch ICAファイルに、接続先のVDAマシンのIPアドレスが登録されていることが影響しています。
そのため、以下の図のように、公開アプリケーションの通信はNATを超えることができません。
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※参考
Citrix Virtual Apps の公開アプリケーション起動処理の流れの詳細はこちらのページで紹介してる記事もご覧ください。
Citrix Gatewayは、クライアント端末とStoreFrontの通信、クライアント端末とVDAサーバの通信を暗号化する製品です。
※Citrix Gatewayは有償製品となります。
※通信を暗号化する製品のため、サーバ証明書やルート証明書の用意が必要になります。
公開アプリケーション起動時に、Citrix Workspace app が接続する先のマシンをCitrix GatewayのFQDN宛にできるため、こちらのFQDNをNAT側のIPアドレスに名前解決させることで対応できます。
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この対応方法のメリットは、VDAサーバの台数が複数台の場合でも、クライアント端末側はCitrix GatewayのFQDNをNATの外側のIPアドレス宛に接続できるようにするだけでよいことです。
Citrix Gatewayの構築手順は、こちらのページで紹介している記事をご覧ください。
対処方法1の「Citrix Gateway の利用」が難しい場合、クライアント端末にダウンロードされるLaunch ICAの
Addressパラメータの値をVDAサーバのFQDNに変更して対応する方法をご検討ください。
以下の図のように、こちらのFQDNがNATのIPアドレスに名前解決できるようにすることで公開アプリケーション起動ができるようになります。
※DNSサーバ側の名前解決の対応が難しい場合は、HOSTSファイルの対応をご検討ください。
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この対処方法の場合、注意点が2つございます。
注意1
デリバリーサービスコントローラサーバにて、以下のコマンドを実行する必要がありますが、
Add-PSSnapin Citrix.Broker*
Set-BrokerSite -DnsResolutionEnabled $True
こちらのコマンドは、Citrix Virtual Appsのサイト全体に設定されます。
そのため、Citrix Virtual Appsのサイトに接続するすべてのクライアント端末に対して、
VDAサーバのFQDNが登録されたLaunch ICAがダウンロードされますので、
NAT接続を必要としないクライアント端末に対しても、VDAサーバのFQDNを
名前解決できるようにする必要があります。
注意2
VDAサーバが複数台ある場合、各VDAサーバのFQDNに対する名前解決が
できるようにする必要があります。
いかがでしたでしょうか。NAT環境がある場合は、VDAのマシンごとのNAT変換が不要で、シンプルにNAT対応ができる対処方法1、こちらの採用が難しい場合は対処方法2の順でご検討頂ければと思います。
次回は、1ユーザあたりのセッションあたりのメモリ使用量とネットワーク帯域幅の確認方法をご紹介したいと思います。
クライアント仮想化の基礎知識から、仮想化製品「Citrix Virtual Apps and Desktops(XenAppおよび
XenDesktop)」の製品概要、導入検討時に注意すべき点などをご紹介します。
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アシスト入社後、テスト系製品のカスタマーサポートを担当後、現在はCitrix製品を担当。シトリックス・システムズ・ジャパンの「2020 2nd Half Partner Award」にて、国内パートナーエンジニアの中から特に技術的な貢献が高い技術者に贈られる「Citrix Best Partner Engineer」を受賞。 XenAppとXenDesktopのトラブルシューティングや運用に役立つ情報を、長年のサポート対応の視点で分かりやすく伝えることを心がけています。学生時代から続けている映像制作の趣味の延長で、以下の動画も制作したのでご覧頂けますと幸いです。
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