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2024.01.16

EDBがもたらすデータベースの新たな価値 ~ EDB社Field CTO Ajit Gadge氏来日、セミナー講演レポート ~

2023年11月20日、エンタープライズDB株式会社(以下、EDB社)のアジア太平洋地域 Field CTOを務めるAjit Gadge氏をアシスト本社(東京・市ヶ谷)に迎え、グローバル視点でのデータベース市場の現状や今後のトレンド、そしてEDBの最新動向について紹介するセミナー『PostgreSQLユーザーに捧ぐ、EDBを使ったDB機能向上とコスト削減の両立』を開催しました。この講演の模様をレポートします。

https://www.ashisuto.co.jp/db_blog/article/EDB_kka_co-hosted_seminar_231120_report.html#archive

 
アシストセッションのアーカイブ配信を無料視聴できます。 記事下部よりお申込み ください。


●『EDB Postgresとエンタープライズデータベースの今後のトレンドについて』
  EDB Corporation, APJ Field CTO Ajit Gadge 氏
  エンタープライズDB株式会社 執行役員 セールスエンジニアリング本部長 村川 了 氏

●『PostgreSQLユーザーは明日から使って!EDBお役立ち機能の数々』
  株式会社アシスト ビジネスインフラ技術本部 データベース技術統括部 技術4部部長 佐瀬 力

変革期を迎えるデータベース市場と、その中心を担うEDB

EnterpriseDB_Mr.Ajit
EDB Corporation, APJ Field CTO Ajit Gadge 氏

長年IT業界に携わり、EDB社でのキャリアをスタートしてから13年を迎えるというAjit氏。2021年、オープンソースソフトウェア(OSS)のライセンス数が商用データベースのライセンス数を上回ったというデータ(出典:DB-Engines Ranking Open Source vs. Commercial DBMS)を示し「OSSによりUNIXからLinuxへシステムがシフトしたときと同様に、 今データベースレイヤーは大きな変革期を迎えており、中でもPostgreSQLはその変革を強力に牽引している 」と述べました。

優秀な開発者が数多く集う活発なコミュニティにより支えられているPostgreSQLは、データベース開発者や管理者からも多くの支持を集めており、その人気は様々な調査結果にも明確に反映されています。
特に EDB社は、PostgreSQLの開発や改善に貢献する多くのコントリビューターを輩出し、PostgreSQLの進化と発展における中心的役割を担っています。


企業がOSSに求めているのは、コスト削減ではなくイノベーション

Ajit氏は、データベース市場のトレンドにどんな変化が起きたのかについて「企業はOSSを導入する際に、 コスト削減効果だけではなくイノベーション起こすことを期待している 」と述べました。
さらに「その期待はクラウドネイティブな開発やパフォーマンス、スケーラビリティの担保、コスト削減、耐障害性やセキュリティ、管理性の強化、さらにはどのクラウドでも、どのハードウェアでも自由にデプロイすることができるなど、多方面ににわたる」と語りました。つまり、OSSはイノベーション創出のために、これら多岐に渡る要望に柔軟に対応していく必要があるということです。

そこでこうした期待に応えるため「 EDBはPostgreSQLをエンタープライズ向けに発展させる付加的要素に注力 しています」とAjit氏は述べました。実際、EDB社が開発している「EDB Postgres Advanced Server(以下、EPAS)」では、エンタープライズ向けに欠かせない様々な機能を実装しています。

EDB Postgres Advanced Server

▲EPASの特長


最先端技術やマイグレーションツールにより、ビジネスの継続性とコスト削減を実現

Ajit氏はOracle Databaseなどのレガシーデータベースからのマイグレーションを支援する機能にも詳しく触れました。
EDBではOracle Databaseと同じSQL構文、ファンクション、プロシージャなどをサポートするOracle Database互換機能を提供しています。加えてOracle DatabaseからEDBに移行する際、難易度を把握するためのアセスメントが行えるマイグレーション支援ツール「Migration Portal」を提供しています。さらにAjit氏は 「多くのユーザーがわずか20日間程度でマイグレーションを成功させています」 と語りました。

またEDBでは、データベースのクラスタやライフサイクル管理、様々なマイクロサービスに対応するツールを提供しています。AIの分野においてもPostgreSQLの拡張機能である「pgvector」に加え、高速なベクトルデータ検索機能を提供するなど、積極的な展開を図っています。

2023年10月には数百のデータソースからデータ駆動型アプリケーションを構築するためのサーバーレスSQL APIを提供しているスタートアップ企業の米国Splitgraph Inc.社を買収したことを取り上げ、Ajit氏は、「このような買収により、 EDBはデータレイクとデータウェアハウスの運用をより効率的、合理化したものへと発展させることが期待できます。私たちはAIなどの最先端技術を取り込みながら、新たなデータプラットフォームを作っていきます 」と強く語りました。


日本市場の声を本国に届け、EDBのさらなる活用を支援

エンタープライズDB株式会社 村川 了 氏

Ajit氏の講演に続いて、村川氏が登壇し「EPASはコミュニティに承認されない機能について拡張できるのが大きな強みであり、さらに 日本国内の企業が求める機能拡張を本国の開発チームに伝え、実現していくことが日本法人の重要な役割だ 」と語りました。

またEPAS15からサポートされたTDEを例に挙げ、日本のお客様から「現行の128ビットによる暗号化では不十分。256ビットの暗号化が必要」という要望が多く寄せられていたことに触れました。そこで日本法人が本国に対して積極的な対応を進めたところ、先日リリースされたEPAS16では256ビットの暗号化を無事実現することができたといいます。

最後に村川氏から「EDB社は日本のお客様に対してコミットメントしており、 私たちが責任を持ってお客様の要望を聞き、開発チームに伝えることで、日本のお客様にEDBをさらに活用していただけるようにしていきます 」という力強いメッセージを伝えました。


これからのEDBはジェネレーションフリーでさらに進化する

EDB社による講演に続いて、アシストの佐瀬より日本国内のお客様向けの情報として、EDBとPostgreSQLの違いや、これからのEDBの新たな特長となる「Extension」による機能追加、およびアシストにおけるEDBへの取り組みについて紹介しました。

株式会社アシスト 佐瀬 力

他の商用データベースの多くは、通常、新しい機能は最新バージョンに追加されます。つまり、欲しい機能があればバージョンアップする必要があります。しかしバージョンアップは全てのアプリケーションの再テストなど、ユーザーにとって大きな負担となる作業です。
新機能のうち一つだけを使いたいのに、なぜ全ての再テストをしなくてはならいのか? また、 欲しい機能はなかなか追加されないこうしたユーザー様のモヤモヤを解消する為の一つの手立てとして、EDBでは Extensionによる機能追加 があります」と佐瀬は力強く語りました。

さらにEDBでは、 条件が揃えばデータベースのコアはそのままで、欲しい最新機能を欲しいものだけExtensionとして追加することができる ようになるといいます。
続けて佐瀬は「これまで他のデータベースあった新機能を得るための制約は無くなる状態になる、つまりバージョン、世代による縛りがなくなる、これを ”ジェネレーションフリー” と呼んでEDBの良さとして伝えていきたい」という意気込みを語りました。


アシストにおけるEDBへの取り組みとパートナーシップ

ジェネレーションフリーの利用においては「ユーザーのみなさんからぜひ声を上げていただきたい」と佐瀬は訴えます。

アシストでは、EDB社との強力なパートナーシップの下、月に一回のペースでEDB社と会議を実施し、国内のお客様向けにどのような製品やメッセージを提供していくかを議論しています。
「日本のお客様やシステムにとって絶対に有用だから機能追加しましょう、という要望を挙げていく。 ユーザーの皆様の声をアシストが吸い上げ、それをEDB社に伝え実装していく、このサイクルを皆さんと一緒に作り上げていきたい 」と熱く語りました。

edn_kka_cycle

▲EDB社とアシストの「Extension」提供サイクル

最後に佐瀬は、今後の展望として「アシストではサポートや訪問活動を通じて 皆様の声を聴き、EDB社と協力しながらExtensionモデルの発展に力を注いでいきたい。ぜひ皆様と色々な意見交換をさせていただきたい。 」と語り、セミナーを締めくくりました。

セミナー終了後には懇親会が開催され、セミナーの参加者の皆様はもちろん、アシストの担当者も交え、Ajit氏との意見交換など交流が図られました。


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