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Oracle Cloud VMware SolutionでのVMware HCX環境構築手順(後編)
前回の記事でOCVS)でHCXを利用するための前提となる手順の前半をお伝えしました。本記事では後続の手順であるサービスメッシュ作成・L2延伸手順を記載し、仮想マシンを移行できる状態、つまりHCX環境の構築完了までを説明します。
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Oracle Cloud Infrastructure - Databaseでは独自の機能として、Oracle Databaseの自動バックアップ取得機能が用意されています。
内部的にはRecovery Manager(以下、RMAN)が利用されており、インスタンス作成時/作成後に簡単に設定ができるのですが、今回は設定方法ではなくエラー発生時の調査ノウハウを中心にご紹介します。
自動バックアップに関する情報や取得されたバックアップの一覧は、Webコンソールの「ベア・メタル、VMおよびExadata」より該当のDBシステムを選択し、「データベースの詳細」を選択することで確認が可能です。
さらに、情報の確認だけでなく、取得したバックアップから新規データベースの構築(「データベースの作成」を選択)や手動でのバックアップを取得(「バックアップの作成」を選択)することができます。
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画面を確認したところ、ある日より自動バックアップが失敗しているようです…。
原因を追求するため、トラブルシューティングを開始します。
失敗しているバックアップの『i』をクリックすると、バックアップの失敗に関するインフォメーションを確認できます。
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インフォメーションに記載されているドキュメント
では障害の原因を特定し、問題を解決するのに役立つ情報が纏まっています。
また、場合によっては以下のように『i』マークをクリックしての内容を確認するだけで、原因を特定可能な場合もあります。
1.インスタンスは起動しているがデータベースが動いていない場合
※RMANのバックアップは、データベースが動いていないと取得できません。
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2.データベースがノーアーカイブログモードとなっている場合
※構築時はアーカイブログモードで作成されますが、後からユーザーが手動でノーアーカイブログモードにすることが可能です。但し、ノーアーカイブログモードの場合RMANのバックアップが失敗します。
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今回は原因の特定までは至っていないため、上記ドキュメント内の問題の特定手順 に従って、dbcliコマンドを用いたトラブルシューティングを進めます。
まずはインスタンスにrootユーザで接続し、dbcliコマンドが配置されている /opt/oracle/dcs/bin/ ディレクトリに移動します。
[root@testinst opc]# cd /opt/oracle/dcs/bin/ [root@testinst bin]# [root@testinst bin]# ls -la | grep dbcli -rwx------ 1 root root 817 Jan 30 10:03 dbcli
続いて以下のコマンドを利用して、インスタンス上で実施されたジョブの実行履歴を確認します。grepを用いてDB名で絞り込みを行うと、検索結果の確認が簡単になります。
※表示の都合上、改行を入れています。
[root@testinst bin]# ./dbcli list-jobs | grep -i <DB名>
75835e6c-0068-4911-a917-55cf1c7f5a86 update database : <DB名>
March 30, 2020 2:37:59 AM UTC Success
f8f823dd-283a-4ef6-9842-5842617d5fc3 Create Regular-L0 Backup with
TAG-DBTRegular-L01585535259759AKi for Db:<DB名> in OSS:
bWxCB6QtKnboT7FHt0Qg March 30, 2020 2:40:56 AM UTC Success
885fb915-bb72-430d-b5b6-c88c13b18d03 Delete Backup for Database name: <DB名>_nrt1jx
March 30, 2020 2:44:50 AM UTC Success
<中略>
5fcc496f-dc4b-4fc4-bd2b-32577be961df Create Regular-L1 Backup with
TAG-DBTRegular-L11585849368496lOX for Db:<DB名> in OSS:
bWxCB6QtKnboT7FHt0Qg April 2, 2020 5:53:05 PM UTC Success
82654a4c-f89b-4e3e-a325-95a46750012e Delete Backup for Database name: <DB名>_nrt1jx
April 2, 2020 5:56:19 PM UTC Success
c70a19cb-5774-479b-9488-20f624d18ee0 Create Regular-L1 Backup with
TAG-DBTRegular-L1158593579696566k for Db:DB0330 in OSS:bWxCB6QtKnboT7FHt0Qg
April 3, 2020 5:44:01 PM UTC Failure
fe8f9449-02ed-430b-8bb7-262b13118d4a Create Regular-L0 Backup with
TAG-DBTRegular-L01586022263680dj1 for Db:DB0330 in OSS:bWxCB6QtKnboT7FHt0Qg
April 4, 2020 5:45:35 PM UTC Failure ★
上記コマンドを実行した結果、ジョブのステータスがFailureで終わっているものが見つかりました。
続いて、失敗したジョブのID(今回の場合は「fe8f9449-02ed-430b-8bb7-262b13118d4a」)を指定してジョブの詳細を確認します。
※表示の都合上、改行を入れています。
root@testinst bin]# ./dbcli describe-job -i fe8f9449-02ed-430b-8bb7-262b13118d4a
Job details
----------------------------------------------------------------
ID: fe8f9449-02ed-430b-8bb7-262b13118d4a
Description: Create Regular-L0 Backup with TAG-DBTRegular-L01586022263680dj1
for Db:DB0330 in OSS:bWxCB6QtKnboT7FHt0Qg
Status: Failure
Created: April 4, 2020 5:45:35 PM UTC
Message: DCS-10045:Validation error encountered: Window mismatch of
backupconfig(30) and db recovery window(7). ★
Task Name Start Time End Time Status
---------------------------------- ------------------------------ ------------------------------ ----------
task:TaskZLockWrapper_7693 April 4, 2020 5:45:39 PM UTC April 4, 2020 5:46:15 PM UTC Failure
task:TaskSequential_7694 April 4, 2020 5:45:39 PM UTC April 4, 2020 5:46:14 PM UTC Failure
Validate backup config April 4, 2020 5:45:39 PM UTC April 4, 2020 5:45:39 PM UTC Success
Validate opc_pfile configuration April 4, 2020 5:45:39 PM UTC April 4, 2020 5:45:39 PM UTC Success
Database container validation April 4, 2020 5:45:39 PM UTC April 4, 2020 5:45:39 PM UTC Success
libopc existence check April 4, 2020 5:45:39 PM UTC April 4, 2020 5:45:39 PM UTC Success
Backup Validations April 4, 2020 5:45:39 PM UTC April 4, 2020 5:46:06 PM UTC Success
Recovery Window validation April 4, 2020 5:46:06 PM UTC April 4, 2020 5:46:14 PM UTC Failure
詳細を確認するとMessageより以下のエラーが発生している事が確認できました。
「DCS-10045:Validation error encountered: Window mismatch of backupconfig(30) and db recovery window(7).」
本エラーは、Oracle Cloud Infrastructureで定められているRMAN構成設定(今回はRMAN保存ポリシー)を変更したことにより発生していました。詳細はこちらのマニュアル「RMAN Configuration and Backup Failures」
をご確認下さい。
※RMAN構成設定を元に戻すことにより、正常にバックアップを取得可能になります。
今回はdbcliコマンドを用いたバックアップ失敗時の原因調査手順をご紹介しました。
本ケースはRMANの設定変更が原因でしたが、他にも様々な原因によって自動バックアップが失敗する可能性があります。
そういった際に、今回紹介したdbcliコマンドを用いた調査で原因が追求可能な場合がありますので、ぜひご活用ください。
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2015年にアシストに入社後、Oracle DatabaseやOracle Cloudを中心としたフィールド技術を担当。
導入支援だけではなく、最新機能の技術検証も積極的に実施。社内外のイベントにて発表も行っている。...show more
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