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2026.02.26

【セッションレポート】Agentic AIがデータドリブンを進化させる ― Snowflakeと描く「業務を理解するAI」の構築戦略(前編)

【セッションレポート】Agentic AIがデータドリブンを進化させる ― Snowflakeと描く「業務を理解するAI」の構築戦略(前編)

2026年1月20日に開催したセミナー「Agentic AIと実現するデータドリブン」のセッションレポート前編となる本記事では、AIが自律的に思考しタスクを実行する「Agentic AI(自律型AIエージェント)」が、いかにしてデータ活用の常識を塗り替えるのかを紐解きます。


「専門知識」と「解釈」という2つの壁を突破し、AIに自社のビジネスを正しく理解させるための鍵はどこにあるのか?その中核を担う「データモデル」と「セマンティックモデル」の戦略的価値についてお伝えします!


【あわせて読みたい:イベント開催報告】 [Agentic AIと実現するデータドリブン セミナー開催レポート]
座談会や懇親会の熱気はこちらからhttps://www.ashisuto.co.jp/db_blog/article/agentic-ai-seminar-report.html


生成AIがデータドリブンを進化させる

アシストでは、「データドリブンを、日常に。」というメッセージとともにお客様がデータに基づいた意思決定を実現できるようにサービスやプロダクトの提供を続けています。そのデータドリブンのプロセスは、生成AIを活用することでより進化させることができます。

本セミナーでは、データドリブンを4つの段階で定義し、本定義に基づいた基盤を構築することで、ビジネスの現場でデータ活用ができるようになるとご紹介しています。

画像1:データドリブンのプロセス

しかし、実際には、BIやAIによる第2段階までで、その先にはなかなか進まないという課題をよくお聞きしています。その原因は、次の2つが大きな壁として存在しています。


・専門知識の壁

原因の特定が難しい課題に対して、大量に存在しているデータから手探りで探索していくのは非常に困難な作業のため、日毎、月毎などある程度のサイズのデータの塊からその特徴や傾向を抽出する作業が必要になります。しかし、そのためには、統計や機械学習の専門性の高い知識が求められます。

・解釈の壁
機械学習の結果は確率値となるため、それをどのように解釈し、ビジネスとどのように結びつけていくのかは、業務を理解したうえで、その結果を正しく解釈できる必要があります。


データドリブンを実施するために立ちふさがるこのような大きな壁に生成AIが有効な手段となりえます。


画像2:データドリブン実施時の壁に対する生成AI活用

text to SQLの精度向上

データにアクセスするためには、必ずSQL言語を利用します。ビジネスの現場の方々は、業務上必要な情報はビジネス用語で理解していますが、データ構造の理解は専門外です。この懸け橋となるのが、text to SQLです。text to SQLによって自然言語をSQLに変換することで、必要なデータにアクセスすることができます。


text to SQLは以前から存在していました。その技術要素が、ルールベースからニューラルネットワーク、事前学習済みモデルへと変遷し、現在生成AIの技術が融合したことで、その精度が飛躍的に向上しています。


これにより「どこにどんなデータが存在しているのか」を探したり、「どんなレポートが必要なのか」と悩んだりする時間は不要になりました。
やりたいこと、必要な目的から生成AIと壁打ちしながら分析を行うことができます。生成AIが自然文からSQLを生成することで、必要なデータにアクセスすることができるようになりました。


推論型モデルへの進化

数年前にChatGPTが登場した時の衝撃は記憶に新しいですが、当時の仕組みは、プロンプトの文章から次にくる単語を確率的に予測してつなげるものでした。そのため、回答の精度や論理性に課題がありました。


画像3:以前の生成AIの動き

推論型モデルでは、プロンプトからその目的を推論し、目的を達成するために必要な具体的な手順を自ら設計します。タスクを組み立て1つ1つ実行することで、複雑な作業の実行が可能になりました。


画像4:推論型モデルの動き

この生成AIの進化によって、より複雑な依頼に対しても、論理的にタスクを積み上げて、1つ1つタスクを実行できるようになりました。求められる回答の精度を向上させることができるようになり、データドリブンの実現性が向上しています。

業務をAIに理解させる

ここからは、より自社に特化した生成AIの利用と、データドリブンを進めていくために必要なことを考えていきます。

生成AIによってデータドリブンが進化したことをお伝えしましたが、AIが自社のビジネスを理解しているわけではありません。そのため、AIに自社のビジネスを理解させることが必要です。有効な手段は、「データモデルを利用すること」と考えています。


データモデルは、業務の機能を整理し、どの業務のタイミングでどんなデータが発生するのかを理解することができます。そして、データに業務としての意味と、データとデータの間に業務と業務の関係性を持たせることができます。

このデータモデルを使うことで、自社独自のビジネスプロセスをAIに理解させることができると考えています。


例えば、自社でドローンを製造しており、その部材と仕入先をデータモデルで表現してみます。

下記は業務の説明です。



リスト1:業務説明

  • 製造において、完成品(PRODUCTS)に必要な部材(MATERIAILS)を管理しています
  • 完成品(PRODUCTS)はいくつかの部材(MATERIAILS)で構成されています
  • 部材(MATERIAL)は、複数のサプライヤー(SUPPLIER)から仕入れることができます
  • 1つのサプライヤー(SUPPLIER)から複数の部材(MATERIAL)を仕入れることができます

これをデータモデルで表現します。

画像5:完成品と部材とサプライヤーの一例

このデータモデルにより、完成品(PRODUCTS)はどんな部材(METERIALS)で構成されていて、その部材はどのサプライヤー(SUPPLIERS)から仕入れているのかが理解できます。


データモデル設計ステップ

何を分析するためにDWHを構築するのか、それをどのように実装していくのかをデータモデルで設計していきます。


画像6:データモデル設計

概念データモデルは、ビジネスの全体像と分析対象を特定していきます。概念データモデルでは、技術的要素を排除して、ビジネスを抽象化し、モデル化したもので、経営者側と現場の担当者で何を分析したいのか、と合意するためのデータモデルとして利用していきます。


論理データモデルでは、概念データモデルを具体化して、データやルールを追加していきます。分析する軸をディメンション、評価すべき定量的数値をファクトとして設定します。


この論理データモデルをAIに理解させるためにセマンティックモデルを使用します。


セマンティックモデルはデータドリブンに必要不可欠

画像7:セマンティックモデルの効果

セマンティックモデルは、ユーザーがDWHの物理的な構造を意識せずにビジネスの視点で直感的にデータを扱えるようにする意味の定義層です。


データモデルによってビジネスを抽象化してそれをシステム化したとしても、肝心のビジネスユーザーがデータにアクセスできないようでは、データドリブンが実現できません。

セマンティックモデルは、ビジネスとデータベースのマッピングを行ってくれます。


例えば、顧客情報を確認したい場合、セマンティックモデルでは、顧客というキーワードは、customerというテーブルにマッピングされているため、データベース側のcustomerテーブルにアクセスすることができます。

また、異なる部門のメンバーがそれぞれ、売上情報を確認したいとなった場合、売上については、同じロジックで計算された数値を確認することになるため、部門によって得られる結果が異なるといった問題を解消することも可能です。


セマンティックモデルは、データカタログツール、データパイプラインツール、BIツールなどで実装されていますが、ここでは、Snowflakeで実装されているセマンティックモデルの定義を紹介します。

https://docs.snowflake.com/ja/user-guide/snowflake-cortex/cortex-analyst/semantic-model-spec#semantic-layer-concepts

画像8:セマンティックモデルの概念

セマンティックモデルの構成要素は、論理テーブル、リレーション、検証済クエリ、カスタム手順から構成されており、その大部分は、論理テーブルとリレーションの定義になります。

論理テーブルは、ディメンション、ファクト、メトリック、フィルタ条件で構成されており、ディメンショナルモデルを表現しています。

セマンティックモデルでは、次のような、誰が、何を、どこで、いつ、といった分析軸と、定量的な数値項目を指定することで、多角的な分析をどのデータ項目で実行するのかを定義することになります。

画像9:ディメンショナルモデル

そして、データモデルをAIに理解させるために重要な要素が、リレーションカスタム手順です。

リレーションは、テーブル同士のリレーションを定義することで、テーブル同士の関係性を表現することができます。

カスタム手順は、セマンティックモデルとともに生成AIに渡すプロンプトを定義することができます。

先ほどの画像5の完成品と部材とサプライヤーの関係性について、テーブル同士の関係性をリレーションで定義し、カスタム手順の中でプロンプトで、リスト1を表現します。このようにセマンティックモデルによって、業務をAIに理解させることができるのではないかと考えています。


リスト1:業務説明

  • 製造において、完成品(PRODUCTS)に必要な部材(MATERIAILS)を管理しています
  • 完成品(PRODUCTS)はいくつかの部材(MATERIAILS)で構成されています
  • 部材(MATERIAL)は、複数のサプライヤー(SUPPLIER)から仕入れることができます
  • 1つのサプライヤー(SUPPLIER)から複数の部材(MATERIAL)を仕入れることができます

画像5:完成品と部材とサプライヤーの一例

データモデルによるAI Readyなデータ活用基盤

今後のデータ活用基盤には、AIの活用はかかせません。業務をAIに理解させるためにも、業務の構造をデータモデルによって整理し、データモデルからテーブルとセマンティックモデルを実装することで、AIはデータ構造と業務構造を正しく理解することができるはずです。

画像10:データモデルによるデータ活用基盤

従来のデータ活用基盤では、人がBIツール、AIツールを活用して分析を行って意思決定を実施していました。今後は、AIがPlan、Action、Reflectを実行できる基盤作りが大切になります。それにより、データドリブンが促進され、他社との競争優位性が実現できるようになるはずです。

画像11:従来とこれからのデータ活用基盤

ここで大切なのは、BIツール、AIツールが不要になるわけではないということです。AIが導き出した示唆に関して、その根拠を自分の目で確かめたり、経験に基づく追加情報を加えることは必要です。最終チェックを人の判断とする(Human in the Loop)ことで、示唆による実行の確実性を向上させます。

このAIによる示唆と人による事実確認の往復が有効な手段となります。


AIに業務を理解させる戦略的「データモデル」が競争優位を生む

データモデルによって業務構造を整理し、セマンティックモデルでAIにその「意味」を教え込む。この「AI Ready」なデータ基盤の整備が、AIによる鋭い示唆と、人間による確かな判断を融合させる(Human in the Loop)の方法と考えます。

Snowflake Intelligenceという強力な基盤を得た今、データドリブンは「過去の集計」から「未来の実行」へと、その姿を大きく変えようとしています。

では、この戦略に基づいて構築されたAgentic AIは、実際のビジネス現場でどのようなパフォーマンスを発揮するのでしょうか?



続く【後編】では、ドローン製造メーカーのサプライチェーンを題材に、Cortex AnalystやCortex Searchを使った具体的な実装プロセスと、検証結果を徹底レポートします。

公開をご期待ください。


執筆者情報

1998年入社。Oracle Databaseエンジニアを経て、Hadoopビジネス検討立ち上げや、パートナーとVMware、Nutanixなど仮想基盤の提案、提供を実施。その後カスタマーサクセスを...show more


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