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2026.06.11

AWS Control Towerとは?マルチアカウント管理を自動化する仕組み

AWS Control Towerとは?マルチアカウント管理を自動化する仕組み

はじめに

AWSで複数のアカウントを運用する際、管理やセキュリティレベルの統一は非常に重要ですが、手間がかかります。本記事では、こうした課題を解決するAWS Control Tower(以下、Control Tower)についてわかりやすく解説します。

これからマルチアカウント運用を始める方、マルチアカウントの効率的な管理方法を検討している方に最適な内容です。

※ 本記事の内容は、2026年5月時点(AWS Control TowerのLanding Zone バージョン4.0)の情報をもとに作成しています。

Control Towerとは?

Control Towerは、AWS上で複数のアカウントを安全かつ一貫したルールのもとで管理できるマネージドサービスです。

AWS Organizations(以下、Organizations)を基盤として、アカウント作成・ガバナンス設定・セキュリティ管理などを自動化し、マルチアカウント運用のベストプラクティスを簡単に実現します。

「複数アカウントをどうやって整理するか」「セキュリティを全体でどう保つか」といった課題を解消し、企業規模を問わず標準化されたAWS環境を構築できるのが特徴です。

マルチアカウント運用の課題

AWSでは、環境(開発・検証・本番)やチーム単位でアカウントを分けて運用することが推奨されています。

しかし、アカウントが増えるにつれて次のような課題が生じやすくなります。

  • 各アカウントで設定・ルールがバラバラになる
  • セキュリティポリシーを全アカウントに一貫して適用しにくい
  • 新しいアカウントを作成するたびに手動設定が必要
  • 統一的な監査、操作証跡の収集が難しい

Control Towerは、こうした運用上の煩雑さを「自動化と標準化」で解決するサービスです。

マルチアカウント運用の課題と導入後の変化

Organizationsとの違い

Organizationsは、アカウントをグループ化し、請求統合やサービスコントロールポリシー(SCP)適用を行うための基盤サービスです。

Control Towerは、そのOrganizationsを土台にして動作し、運用の自動化とガバナンス適用を「より使いやすく」した上位レイヤーに位置づけられます。

比較項目 Organizations Control Tower
管理対象 アカウントのグルーピング・SCP適用・一括請求 アカウント作成・設定・統制・監査の自動化
機能の中心 アカウント管理構造の定義 アカウント運用管理のベストプラクティス適用
できること ・AWSアカウントの一元管理
・新規アカウントの作成、管理
・請求とコストの一元管理
・アカウント間のリソース共有
・Landing Zoneによる標準化
・Account Factoryによるアカウント自動作成
・ガードレールによるガバナンスの自動適用

Organizationsが「アカウント管理の構造」を提供するのに対し、Control Towerは「統制運用の型」を提供すると考えるとわかりやすいでしょう。

OrganizationsとControl Towerの構成イメージの違い

なお、Organizationsの詳細については、こちらのブログも併せてご参照ください。 AWS Organizationsとは?その仕組みと実現できること、ユースケースを解説

Control Towerで実現できること

Control Towerでは、マルチアカウント運用の各ステップを自動化・標準化する機能が用意されています。
主な機能は以下の通りです。

Landing Zoneによる標準化

AWSが推奨するベストプラクティスに基づき、セキュリティアカウント・ログ集約などの構成を自動で準備します。
これにより、組織全体で統一された安全な基盤を短時間で構築できます。
※Landing Zoneの詳細は後述します。

Landing Zoneによる標準化のデプロイ例

Account Factoryによるアカウント自動作成

あらかじめ定義されたテンプレートをもとに、新しいアカウントをボタン操作で簡単に作成できます。また、すべてのアカウントで同じ設定・ルールを適用できます。

Account Factoryによる自動作成のワークフロー

ガードレールによるガバナンスの自動適用

セキュリティやコンプライアンスに関するルールをあらかじめ設定しておくと、新規アカウントにも自動で反映されます。
手動での監査や設定漏れを防ぎ、組織全体でのガバナンスを維持できます。
※ガードレールの詳細は後述します。

ガードレールによる統制運用のイメージ

各種統合サービスの選択

Control Towerの魅力の1つは、AWS Config、AWS CloudTrail、AWS Backup、IAM Identity Centerといったサービスとの統合機能です。これらの統合機能はサービス別にON/OFFを選択できるため、「この機能だけ使いたい」「既存のツールはそのまま活かしたい」といった自社の要件に合わせて、無駄なく柔軟にカスタマイズして導入することが可能です。

Control Towerと各種統合サービス群の連携設定

Control Towerの構成要素

Control Towerは、複数アカウントを安全かつ効率的に管理するために、いくつかの主要なコンポーネントで構成されています。ここでは、それぞれの要素がどんな役割を持ち、どのように連携してマルチアカウント運用を支えているのかを解説します。

1. Landing Zone(ランディングゾーン)

Landing Zoneは、マルチアカウント環境を構築するための「設計図」のような存在です。その全体像は「Control Towerで実現できること」の「Landing Zoneによる標準化」でご紹介した通りです。

Landing Zoneでは、各サービスや権限の独立性を高めるため、役割ごとに細分化された専用アカウントで環境が構成されます。たとえば、Control TowerでAWS Config、AWS CloudTrailの統合サービスを有効化すると、以下のようなアカウントが自動的に作成されます。

  • Aggregatorアカウント:AWS Configのログデータ(設定変更履歴)を集約・保管・管理、セキュリティ通知を集約・送信
  • CloudTrail Administratorアカウント:AWS CloudTrailのログ(操作履歴)を集約・保管・管理

また、組織全体のデータ保護を強化したい場合は、オプションでAWS Backupとの統合を追加することも可能です。これを有効化すると、以下のバックアップ専用アカウントが追加されます。

  • Backup Administratorアカウント:組織全体のバックアップの運用管理(ポリシーの配布やモニタリングなど)
  • Central Backupアカウント:組織全体のバックアップデータの集約・管理

※AWS Backup統合の詳細については、弊社の別ブログ記事「AWS Control Tower ランディングゾーンで実現する AWS Backup 統合管理:導入から有事のリストアまで徹底解説」で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

例えば、Aggregatorアカウントで構成される環境では、以下のように、事前に設定したセキュリティルールから逸脱した際、Aggregatorアカウントに登録したメールアドレスに通知できます。

ルール違反の検知とアラート通知のフロー

さらに、サービスの設定変更履歴等のログが一元的に集約され、必要に応じて調査分析を行うことが可能です。

各種設定変更履歴のログ集約構造

また、CloudTrail Administratorアカウントで構成される環境では、各アカウントの操作履歴ログが一元的に集約されます。有事の際は、保存されたログを問題発見と対策検討に利用できます。

各種操作履歴の証跡ログ集約構造

上記のように、これらサービスをControl Towerが自動セットアップすることで、簡単にセキュリティと統制が取れた構成が手に入ります。

2. Account Factory(アカウントファクトリー)

Account Factoryは、新しいAWSアカウントをテンプレートから自動で作成する機能です。人がAWSマネジメントコンソールで一つずつ設定する代わりに、Control Towerが標準設定を適用してアカウントを構築します。

例えば、以下のように事前に必要なネットワーク設定を定義することで、その設定が自動的に反映されたアカウントを常に作成できます。

AWSマネジメントコンソール上でのAccount Factory設定画面

この仕組みにより、組織全体で「同じ構成・同じルール」を再現できるため、設定漏れや環境のばらつきを防ぐことができます。

3. ガードレール

ガードレールは、組織全体に共通するルールを自動で適用する仕組みです。

「ガードレール」という名前の通り、利用者が安全な範囲でAWSを使えるように導く“安全柵”のような役割を持ちます。

代表的なガードレールには以下の2つの種類があります。

  • 予防的ガードレール:ルールに違反する操作を防ぐ(例:S3をパブリックに公開できないようにする)。実体はOrganizationsのサービスコントロールポリシー(SCP)
  • 発見的ガードレール:ルール違反を検知して通知する(例:暗号化されていないリソースを検出)。実体はAWS Configルール

これにより、全てのアカウントで統一されたセキュリティ基準を維持でき、監査対応も容易になります。

Control Towerでは、予防的/発見的ガードレールのそれぞれについて、様々なものが標準で用意されています。以下、一部抜粋して記載します。

※2026年5月現在の情報となります。

予防的ガードレール

名前 概要
[AWS-GR_RESTRICT_ROOT_USER] Disallow actions as a root user Rootユーザーによる全てのアクションを禁止。IAM Identity Centerユーザーの使用を推奨
[AWS-GR_RESTRICT_ROOT_USER_ACCESS_KEYS] Disallow creation of access keys for the root user Rootユーザーのアクセスキー作成を禁止。セキュリティリスクを最小化
[AWS-GR_AUDIT_BUCKET_DELETION_PROHIBITED] Disallow deletion of log archive Control Towerがログアーカイブアカウントに作成した S3バケットの削除を禁止
[AWS-GR_CONFIG_CHANGE_PROHIBITED] Disallow configuration changes to AWS Config AWS Configの設定変更を禁止。リソース構成の記録を一貫性のある状態で維持
[AWS-GR_CLOUDWATCH_EVENTS_CHANGE_PROHIBITED] Disallow changes to CloudWatch set up by Control Tower Control Towerが設定したCloudWatchの設定変更を禁止。環境監視の整合性を保護
[CT.BACKUP.PV.3] Disallow modification of an AWS Backup resource that AWS Control Tower manages Control Towerが管理するAWS Backupリソースの作成や変更を制限

発見的ガードレール

名前 概要
[SH.CLOUDTRAIL.DT.1] At least one CloudTrail trail should be enabled AWS CloudTrail証跡がAWSアカウントで有効になっているか確認
[CONFIG.CLOUDTRAIL.DT.2] Checks if the S3 bucket configurations for your AWS CloudTrail logs block public access CloudTrailログ用S3バケットがパブリックアクセスをブロックしていることを確認
[AWS-GR_RESTRICTED_COMMON_PORTS] Disallow Internet connection via RDP RDPなどのリモートコンソールサービスへの無制限接続を遮断し、サーバーのリスクを低減
[SH.EC2.1] EBS snapshots should not be configured to be publicly restorable EBS スナップショットがパブリックに復元できないことを確認
[AWS-GR_S3_BUCKET_PUBLIC_WRITE_PROHIBITED] Disallow public write access to S3 buckets Amazon S3バケットでパブリック書き込みアクセスが許可されていないかどうか確認
[AWS-GR_RDS_INSTANCE_PUBLIC_ACCESS_CHECK] Disallow public access to RDS database instances Amazon RDSインスタンスがパブリックにアクセス可能でないかどうか確認

なお、標準で用意されているものが自社のセキュリティ要件に満たない場合、AWS Organizationsのサービスコントロールポリシー(SCP)もしくはAWS Configルールを使用して、自社要件に合わせたガードレールを作成することも可能です。

4. ダッシュボード

Control Towerのダッシュボードは、Control Tower全体の状態を一目で確認できる管理画面です。

管理者はこの画面から、組織内のアカウント数、有効化されているコントロール数、各アカウントがルールに準拠しているか、警告や違反がないかなどを確認できます。

AWS Control Tower管理コンソールのダッシュボード画面例

まとめ

本記事では、Control Towerの概要、構成要素についてご紹介しました。Organizationsをベースに、マルチアカウント運用を安全かつ効率的に自動化できるのがControl Towerの大きな特徴です。初めてマルチアカウント運用を検討する方にも、既存環境を標準化したい方にも役立つサービスです。ぜひControl Towerを活用して、AWS環境の運用効率とセキュリティを向上させてみてください。

アシストでは、Control Towerの初期セットアップを無償で行う「 請求代行サービス(マルチアカウント対応版) 」をご提供しています。ご関心ある方は、お気軽に以下のフォームからお問合せください。

https://www.ashisuto.co.jp/pa/contact/aws_enquiry.html?utm_source=header


執筆者・シリーズ情報

陳ぎょうろ プロフィール画像

2023年に新卒入社し、現在はAWSのフィールド業務を担当。得意分野はAWSアカウント管理・生成AI活用。2024年に「Japan AWS Jr. Champions」に選出。...show more



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