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2022.08.29

マルチクラウド環境やオンプレミスのOracle DBも同じツールで一括管理!~Oracle Data Safeの設定方法~

マルチクラウド環境やオンプレミスのOracle DBも同じツールで一括管理!~Oracle Data Safeの設定方法~

前回は、クラウド環境でのデータベースセキュリティについて、オンプレミス環境との相違点という観点で、責任共有モデルの理解、多層防御によるデータ保護、Oracle Data Safeについて説明いたしました。今回は、Oracle Data Safeを有効化する方法と監視対象とするデータベースを登録する方法をご案内します。

※前回の記事はこちらから
 クラウドでのデータセキュリティはオンプレとどう違う?~Oracle Data Safe概要~



Oracle Data Safeとは

企業にとってデータは重要な資産であり、今、改めてデータ保護の必要性が問われています。
データをクラウド環境に置くことも増えていることから、クラウド環境の特性や利用可能な機能の理解も重要です。

前回の記事で説明しましたとおり、オンプレミス環境のデータベースと クラウド環境のデータベースを保護するために、Oracle Cloud Infrastructureでは、Oracle Data Safe サービスを利用することができます。

Oracle Data Safeは、Oracle Databaseに格納されたデータのセキュリティに重点を置いた、統合されたクラウド サービスです。Oracle Data Safeには以下の機能が含まれます。

  • セキュリティ構成の評価(Security Assessment)
  • ユーザーのリスク評価(User Assessment)
  • 機密データの検出(Data Discovery)
  • データ・マスキング(Data Masking)
  • アクティビティの監査(Activity Auditing)

加えて、ターゲット・データベースに対するアラート機能を有効にすることで、データベースに対するアクティビティを追跡することもできます。
それでは、Oracle Data Safeを有効化する手順から確認していきましょう。


Oracle Data Safeの有効化

1. Oracle Data Safeを有効にするためには、有効化するユーザーが「管理者」グループのメンバーであるか、あるいは以下URLにある「Required Permissions for Enabling Oracle Data Safe」に記載されている「特定の権限」が付与されている必要があります。

https://docs.oracle.com/en/cloud/paas/data-safe/admds/enable-oracle-data-safe.html#GUID-E58596FC-A306-4A2C-BC64-3F65A6C56D3C


2. Oracle Cloud InfrastructureのWebコンソール メニューから、「Oracle Database」、「データ・セーフ」 の順に選択すると概要ページが表示されます。

Oracle Data Safe


3. 「概要」ページで、Oracle Data Safe を有効にするリージョンを選択し、「データ・セーフの有効化」をクリックします。

Oracle Data Safe

4. Oracle Data Safe を有効にした後に 「データ・セーフ」 セクションの「Settings」 をクリックして、必要に応じてデータベースのアクティビティログの保存期間を変更できます。


ターゲットデータベースの登録

Oracle Data Safeを有効にした後、監視対象となるターゲットデータベースを先に登録する必要があります。

ここでは、Oracle Cloud Infrastructure上のデータベースのプライベートIP アドレスをOracle Data Safeのプライベート・エンドポイントとして登録するために必要な手順の概要を説明します。

1. Oracle Data Safeの監視対象として登録するために、ターゲットデータベースにOracle Data Safeで使用するユーザーアカウントを作成します。そして、作成するユーザーアカウントに最小限の権限を付与します。

  • SYSTEM または SYSAUX を作成するユーザーアカウントのデフォルト表領域として指定しないでください。 これらの表領域を使用する場合、本機能の仕様によりデータのマスキングができなくなります。そのため、上記以外の適切な表領域をデフォルト表領域として設定してください。


実行するSQLは以下を参考にしてください。

 
 CREATE USER DATASAFE_ADMIN identified by <password>
 DEFAULT TABLESPACE "DATA"
 TEMPORARY TABLESPACE "TEMP";
 GRANT CONNECT, RESOURCE TO DATASAFE_ADMIN;
 

2. Oracle Data Safe Service へのロールの付与

「データ・セーフ」の「概要」ページから、「Oracle Cloud データベース」の「ウィザードを開始」をクリックします。

「登録 クラウド・データベース(DBシステム)」ページで「権限スクリプトのダウンロード」をクリックします。

SQL権限スクリプト「datasafe_privileges.sql」をダウンロードし、このスクリプトをターゲット・データベースで「SYS」ユーザーとして実行します。

Oracle Data Safe のすべての機能を使用できるようにするために、以下のSQLを実行します。

 
 @datasafe_privileges.sql  GRANT ALL -VERBOSE
 

3. プライベート・サブネット内のデータベースをOracle Data Safe へ接続するためのプライベート・エンドポイントを作成します。

「データ・セーフ」セクションの「ターゲット・データベース」をクリックし、「接続オプション」セクションの「プライベート・エンドポイント」をクリックします。その後、「プライベート・エンドポイントの作成」をクリックします。

「プライベート・エンドポイントの作成」画面で、登録する必要があるデータベースが存在するコンパートメント名、VCNおよびプライベート・サブネットを選択します。必要に応じてオプションの詳細を入力し、「プライベート・エンドポイントの作成」 をクリックします。

プライベート・エンドポイントが作成され、しばらくするとアクティブになります。

4. 「Oracle Cloud データベース」のウィザードを実行し、データベースを登録します。その際は TCP 接続を使用します。

データ・セーフの「概要」ページから「Oracle Cloudデータベース」の「ウィザードの開始」をクリックします。

「登録 クラウド・データベース(DBシステム)」画面で、クラウド・データベース・タイプ、プライベート・データベースをそれぞれ選択します。

「プライベートIPを持つデータベースですか?」で「はい」を選択します。
その後、データベース・サービス名を指定します。
※コンテナデータベースの場合は、PDBサービス名を指定します。

TCP 接続を選択します。
※TLS 接続が必要な場合は、Oracle Cloud Infrastructureのマニュアルから手順を参照してください。
手順 1 で作成したユーザーのデータベース・ユーザー名とパスワードを入力します。入力後に「次」をクリックします。

「接続オプション」 画面で、手順 3 で作成したプライベート エンドポイントの情報が表示されます。 確認して「次」をクリックしてください。

「セキュリティ・ルールの追加」 画面で、「はい、今すぐセキュリティ・ルールを追加します」 をチェックし、必要なセキュリティ・ルール(データベースのイングレス・ルールとOracle Data Safeプライベート エンドポイントのエグレス・ルール)を作成します。

「セキュリティ・リスト」 を選択し、ターゲット・データベースが存在するプライベート・サブネットのセキュリティ・リストを選択します。 イングレス・ルールとエグレス・ルールを確認後、「次」 をクリックします。

「確認および送信」画面で内容を確認して「登録」をクリックします。

データベースの登録が開始されます。登録処理中は、サインアウトしたり、ブラウザ を閉じたりしないでください。 しばらくすると、登録が完了してアクティブになります。

また、登録プロセス中に適切なエグレスおよびイングレスのセキュリティ・ルールが自動的に作成されていることも併せて確認してください。

5. プライベート・データベースが登録されると、「データ・セーフ」 ページの 「セキュリティ・センター」 セクションにある 「ダッシュボード」 をクリックすることで、データ・セーフのダッシュボードを確認することができます。

「セキュリティ・アセスメント」と「ユーザー・アセスメント」の詳細が表示されていることがわかります。

Oracle Data Safeの「データ検出」、「データ・マスキング」、「アクティビティ監査」、「アラート」の各機能を使用するための設定は、次回以降で紹介します。


さいごに

以上でターゲット・データベースのOracle Data Safeへの登録が完了しました。次回は、Oracle Data Safeの機能における、発見的統制を実現するためのアクティビティの監査機能を利用する手順を解説します。お楽しみに。

<参考情報>
Oracle Data Safeを利用する際の費用については、以下のURL を参照してください。
https://www.oracle.com/cloud/price-list.html#data-safe


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講師:渡邊 敦(本記事の執筆者)


執筆者情報

わたなべ あつし プロフィール画像

2017年入社。Oracle Databaseのプリセールス業務を担当。
あわせて、長年のOracle Databaseセキュリティ製品のフィールドエンジニア経験を活かして、データベースセキュリティ全般の提案/啓蒙活動も担当し、二足の草鞋で活躍中。...show more


Aarthi Mudhalvan プロフィール画像

2019年5月よりアシストでデータベースエンジニア、コンサルタントとして勤務...show more


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