
株式会社アシスト 代表取締役会長
ビル・トッテン
日本各地でニホンミツバチが弱ってコロニーが減っている、という報告がなされたのは2010年頃だったそうです。私がニホンミツバチの飼育を始めたのは2011年で、幸いにも2013年までは京都ではニホンミツバチが飛び交い、我が家の庭で分蜂も行われました。ところが2014年になると巣箱にいたニホンミツバチたちが姿を消してしまい、コロニーは消滅、2015年はニホンミツバチの姿を一匹も見ることはありませんでした。
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今年も春になり、ニホンミツバチを寄せ付ける蘭の一種である「キンリョウヘン」が花をつけました。また、養蜂の師匠である志賀さんには、巣箱に誘引剤を設置していただきました。菜園には様々な花が咲いているのでアシナガバチは見かけても、ニホンミツバチは5月になっても姿を見せませんでした。
ニホンミツバチは必ず春先に捕獲する必要があり、それを逃すとまた一年待たなければなりません。嵐山のアイトワの森さんのところにも、やはりニホンミツバチは来ていないと言うし、別の京都の知り合いの養蜂家の間でもニホンミツバチを捕獲した話を聞きません。
半ばあきらめていた時、仕事で、あるお客様を訪問した時に交配用のミツバチを販売しているというお話をうかがいました。花粉交配用にセイヨウミツバチの巣箱を段ボール化して農家の方々などへ販売しているというのです。ただ、手間のかからない野生のニホンミツバチと違いセイヨウミツバチは管理をすることが前提のようなのでそれも諦めていたところに、岐阜で養蜂をしている知り合いが、ニホンミツバチを13コロニーも捕獲したという話が飛び込んできました。岐阜にはニホンミツバチがいたのです。さっそくお願いして、巣を譲ってもらうことにしました。捕獲してあまり時間がたたないうちに、そして暑くならない午前中に移動したほうがよいとのことで、5月のある晴れた日曜日、ニホンミツバチの巣箱を我が家に運んでいただきました。
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巣箱を置く場所を決め、地面を平らにしてブロックを置いて巣箱を設置しました。すき間を少し開けてやると、ニホンミツバチが出てきました。周りの様子をうかがっているようで、少したつと周囲をチェックするかのように巣箱の周辺を飛び始めました。
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京都のニホンミツバチはアカリンダニというダニの寄生で減少したと言われていますが、対処法はわかっていません。また我が家の巣箱からミツバチが消えたのは、巣虫という蛾の幼虫が原因だったのかもしれませんが、巣虫の被害からニホンミツバチを守る対策も劇薬の使用であったりするので、予防策として使いたくありません。
久しぶりに聞くニホンミツバチの羽音は、とても心地良いです。養蜂の師匠、志賀さんが誘引剤を置いてくれた巣箱も、期待とともに現状のまま置いてあります。これで京都にニホンミツバチが戻ってくれることを願っています。
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