Citrixサポートブログ

  • トラブルシューティング
2019.02.04

XenApp6.5の公開アプリケーション起動処理の流れ(2)

XenApp6.5の公開アプリケーション起動処理の流れ(2)

こんにちは。Citrix製品のサポートを担当している川東(かわひがし)です。

Citrix XenApp(※現在の製品名はCitrix Virtual Apps)は、複数のコンポーネントが連動して動作するため、公開アプリケーション起動で問題が発生した際に、起動処理の流れが把握できていると、問題切り分けをスムーズに行える場合があります。今回は、前回の続編になります。

  • 製品名の変更の詳細はこちら をご参照ください。

前回:Web Interfaceサイトへのログインから公開アプリケーションアイコン一覧の表示
今回:公開アプリケーションのアイコンをクリックから起動完了


本記事で説明しているXenApp6.5環境の構成図

本記事では以下の構成図を用いて説明します。XenAppサーバ1号機にXenAppデータベースを同居する場合も多いと思いますが、今回は説明の都合上、XenAppデータベースを別サーバにしています。また、Citrix Secure Gateway は含めていません。

XenApp6.5の構成イメージ

公開アプリケーションのアイコンをクリックしてから起動完了まで

こちらは、前回の記事と同様の図ですが、処理の流れを表している線が異なります。次項からは、各コンポーネントの説明をしながら、処理の流れを説明していきます。
※XMLサービス: Citrix XML Service
※IMAサービス: Citrix Independent Management Architecture サービス
※CGPサービス: Common Gateway Protocolサービス

XenApp6.5の通信イメージ1

それぞれの流れとコンポーネントの補足説明

① クライアント端末からWeb Interface画面に表示されている公開アプリケーションのアイコンをクリックします。(XenApp Servicesサイトを利用する場合も同様の流れになります)

② Web Interface は、公開アプリケーション起動に適しているXenAppサーバの情報をCitrix XML Service へ要求します。

③ Citrix XML Service は データコレクタの負荷情報をもとに、クライアントがアクセスする負荷の最も低いXenAppサーバのIPアドレスを取得します。

データコレクタとは

ゾーンに含まれるすべてのXenAppサーバの負荷情報をメモリ上に管理しています。ゾーン内のどれか1台のXenAppサーバがデータコレクタを所有します。



④ 例えば、③でXenApp2号機のIPアドレスを取得した場合、1号機のIMAサービスは、IMAサービスを介して2号機のIMAサービスに対して、接続するためのチケットの発行を要求します。

⑤ XenApp2号機のIMAサービスから1号機のIMAサービスへチケットを送信します。

⑥ XenApp1号機のIMAサービスはCitrix XML Serviceへチケットを転送します。

⑦ Citrix XML Service は、③のIPアドレスと⑥のチケットの情報をWebInterfaceへ送信します。

⑧ WebInterface は⑦の情報をもとに公開アプリケーション起動用のファイル(launch.icaファイル)を作成してクライアント端末に送信します。

⑨ クライアント端末のCitrix Receiverは、起動用のファイル(icaファイル)を使用してXenAppサーバに接続します。
XenAppの標準設定の場合、セッション画面の保持機能が有効になっているため、XenAppのCGPサービスに接続します。こちらのサービスはTCP2598が使用されます。セッション画面の保持機能が無効の場合、CGPサービスは稼働しないため、クライアント端末からXenAppサーバのIMAサービスに接続します。こちらのサービスはTCP1494が使用されます。

セッション画面の保持機能とは

クライアント端末で公開アプリケーションを起動後、XenAppサーバとの通信が切断された場合に180秒間(デフォルト値)は画面の表示を残す機能です。公開アプリケーションの操作ができないため、通信が復旧するまでフリーズしているように見えます。不安定な回線で利用する場合、通信が瞬断しても「切断されました」のメッセージが頻発することを避けることができます。

起動ファイル(icaファイル)の内容は参照できる?

%UserProfile%\AppData\Local\Temp に icaファイルが生成されます。こちらをテキストエディタで開くと、”Address=”の値から接続先のXenAppサーバのIPアドレスが分かります。 Citrix Secure GatewayやCitrix Gateway(旧製品名はCitrix NetScalser Gateway)を利用している場合、こちらの値はランダムな文字列になります。

⑩ XenApp2号機からCitrixライセンスサーバへライセンス要求を行います。また、ドメインコントローラ間のkerberos認証や、グループポリシー適用を行い、こちらの処理の後に公開アプリケーションセッションの起動が完了します。


まとめ

  • 公開アプリケーションのアイコンをクリック後、XenAppサーバ群の中から起動に適した負荷の低いXenAppサーバが選択されて、こちらの情報を含む起動用のファイルがXenAppサーバに送信されます。
  • XenAppの負荷情報を管理しているデータをデータコレクタと呼びます。こちらは1台のXenAppサーバのメモリ上に保持されています。
  • セッション画面の保持が有効になっている場合、クライアント端末はXenAppのCGPサービスに接続をします。

いかがでしたか?原因がどこにあるか切り分けることで、早く問題を解決できるようになります。次回は、「Citrix Secure Gatewayを使用している場合の公開アプリケーションの起動処理の流れ」について説明します。

Citrix製品紹介セミナーも定期開催しています

クライアント仮想化の基礎知識から、仮想化製品「Citrix Virtual Apps and Desktops(XenAppおよびXenDesktop)」の製品概要、導入検討時に注意すべき点などをご紹介します。
今お持ちのお悩みを解決し、Citrix製品をより有効に活用する方法を具体的に学ぶことができる内容になっております。

Citrixの設定・トラブル対処方法の良くあるFAQ10選プレゼント中

アシストのCitrixサポートセンターに良くある設定・トラブル対処方法のFAQ10選の資料を無料プレゼント中です。また、Citrix XenApp/XenDesktopの問題発生時に原因を切り分ける方法も掲載しております。以下のバナーからお気軽にダウンロードください。


筆者情報:川東健吾

アシストに入社し、テスト系製品のカスタマーサポートを担当後、現在はCitrix製品を担当しています。XenAppとXenDesktopのトラブルシューティングや運用に役立つ情報を、長年のサポート対応の視点で分かりやすくお伝えしていきます。
学生時代から続けている映像制作の趣味の延長で、Citrixトラブシューティング入門動画も制作しました。こちらからご視聴頂けます。

関連している記事

  • トラブルシューティング
2023.11.13

特定のクライアント端末で公開アプリケーションの起動が失敗する場合の問題切り分けの一例

特定のクライアント端末で公開アプリケーションが起動できない問題について弊社のCitrixヘルプデスクがよく案内している切り分け方法をご紹介します。

  • トラブルシューティング
2023.11.13

Workspace app for Windows をクリーンアンインストールする方法

クライアント端末にインストールしているWorkspace appにてReceiverCleanupUtility.exeがある場合は、こちらを使用してクリーンアンインストールができます。

  • トラブルシューティング
2023.08.25

Citrix ConfigSync Service の Event ID:505 に関する対処方法

今回は、CitrixデリバリーコントローラサーバのWindowsイベントログ(アプリケーションログ)に「Citrix ConfigSync Service の Event ID:505」が継続して記録される場合の対処方法をご紹介します。

Citrix Virtual Apps and Desktops(XenAppおよびXenDesktop)の製品概要セミナー Citrixの設定・トラブル対処方法の良くあるFAQ10選 Citrixサポートセンターのご紹介

ページの先頭へ戻る