
- トラブルシューティング
CitrixDirectorを使用したセッション起動遅延調査の一例
ユーザー様のCitrixのセッション起動に時間がかかる場合にCitrix Directorを使用して問題切り分けする方法をご紹介させていただきます。
|
こんにちは。Citrix製品のサポートを担当している川東(かわひがし)です。
Citrix XenApp(※現在の製品名はCitrix Virtual Apps)は、複数のコンポーネントが連動して動作するため、公開アプリケーション起動で問題が発生した際に、起動処理の流れが把握できていると、問題切り分けをスムーズに行える場合があります。今回は、前回の続編になります。
前回:Web Interfaceサイトへのログインから公開アプリケーションアイコン一覧の表示
今回:公開アプリケーションのアイコンをクリックから起動完了
本記事では以下の構成図を用いて説明します。XenAppサーバ1号機にXenAppデータベースを同居する場合も多いと思いますが、今回は説明の都合上、XenAppデータベースを別サーバにしています。また、Citrix Secure Gateway は含めていません。
こちらは、前回の記事と同様の図ですが、処理の流れを表している線が異なります。次項からは、各コンポーネントの説明をしながら、処理の流れを説明していきます。
※XMLサービス: Citrix XML Service
※IMAサービス: Citrix Independent Management Architecture サービス
※CGPサービス: Common Gateway Protocolサービス
① クライアント端末からWeb Interface画面に表示されている公開アプリケーションのアイコンをクリックします。(XenApp Servicesサイトを利用する場合も同様の流れになります)
② Web Interface は、公開アプリケーション起動に適しているXenAppサーバの情報をCitrix XML Service へ要求します。
③ Citrix XML Service は データコレクタの負荷情報をもとに、クライアントがアクセスする負荷の最も低いXenAppサーバのIPアドレスを取得します。
データコレクタとは
ゾーンに含まれるすべてのXenAppサーバの負荷情報をメモリ上に管理しています。ゾーン内のどれか1台のXenAppサーバがデータコレクタを所有します。
④ 例えば、③でXenApp2号機のIPアドレスを取得した場合、1号機のIMAサービスは、IMAサービスを介して2号機のIMAサービスに対して、接続するためのチケットの発行を要求します。
⑤ XenApp2号機のIMAサービスから1号機のIMAサービスへチケットを送信します。
⑥ XenApp1号機のIMAサービスはCitrix XML Serviceへチケットを転送します。
⑦ Citrix XML Service は、③のIPアドレスと⑥のチケットの情報をWebInterfaceへ送信します。
⑧ WebInterface は⑦の情報をもとに公開アプリケーション起動用のファイル(launch.icaファイル)を作成してクライアント端末に送信します。
⑨ クライアント端末のCitrix Receiverは、起動用のファイル(icaファイル)を使用してXenAppサーバに接続します。
XenAppの標準設定の場合、セッション画面の保持機能が有効になっているため、XenAppのCGPサービスに接続します。こちらのサービスはTCP2598が使用されます。セッション画面の保持機能が無効の場合、CGPサービスは稼働しないため、クライアント端末からXenAppサーバのIMAサービスに接続します。こちらのサービスはTCP1494が使用されます。
セッション画面の保持機能とは
クライアント端末で公開アプリケーションを起動後、XenAppサーバとの通信が切断された場合に180秒間(デフォルト値)は画面の表示を残す機能です。公開アプリケーションの操作ができないため、通信が復旧するまでフリーズしているように見えます。不安定な回線で利用する場合、通信が瞬断しても「切断されました」のメッセージが頻発することを避けることができます。
起動ファイル(icaファイル)の内容は参照できる?
%UserProfile%\AppData\Local\Temp に icaファイルが生成されます。こちらをテキストエディタで開くと、”Address=”の値から接続先のXenAppサーバのIPアドレスが分かります。
Citrix Secure GatewayやCitrix Gateway(旧製品名はCitrix NetScalser Gateway)を利用している場合、こちらの値はランダムな文字列になります。
⑩ XenApp2号機からCitrixライセンスサーバへライセンス要求を行います。また、ドメインコントローラ間のkerberos認証や、グループポリシー適用を行い、こちらの処理の後に公開アプリケーションセッションの起動が完了します。
いかがでしたか?原因がどこにあるか切り分けることで、早く問題を解決できるようになります。次回は、「Citrix Secure Gatewayを使用している場合の公開アプリケーションの起動処理の流れ」について説明します。
クライアント仮想化の基礎知識から、仮想化製品「Citrix Virtual Apps and Desktops(XenAppおよびXenDesktop)」の製品概要、導入検討時に注意すべき点などをご紹介します。
今お持ちのお悩みを解決し、Citrix製品をより有効に活用する方法を具体的に学ぶことができる内容になっております。
アシストのCitrixサポートセンターに良くある設定・トラブル対処方法のFAQ10選の資料を無料プレゼント中です。また、Citrix XenApp/XenDesktopの問題発生時に原因を切り分ける方法も掲載しております。以下のバナーからお気軽にダウンロードください。
ユーザー様のCitrixのセッション起動に時間がかかる場合にCitrix Directorを使用して問題切り分けする方法をご紹介させていただきます。
Citrix Receiver Diagnostics Toolを使用した資料採取手順の一例をご紹介します。
特定のクライアント端末で公開アプリケーションが起動できない問題について弊社のCitrixヘルプデスクがよく案内している切り分け方法をご紹介します。