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2019.04.18

XenApp/XenDesktopの構成例(2) ~3つの構成パターンと構成上の注意点~

XenApp/XenDesktopの構成例(2) ~3つの構成パターンと構成上の注意点~

こんにちは。Citrix製品のフィールド技術を担当している大西です。

前回 は各コンポーネントのご紹介をしましたが、今回から3つの構成パターンを見ていきたいと思います。
なお、今回はNetScaler Gatewayを使用しない内部アクセスのみの構成となります。

  • 製品名の変更の詳細はこちら をご参照ください。

前回:コンポーネント紹介
今回:構成パターンと構成上の注意点
次回:構成パターンと構成上の注意点(NetScaler Gatewayあり)


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前回のおさらい

前回 お伝えした通り、XenApp/XenDesktopの構成の全体像は以下の通りです。

図1.XenApp/XenDesktop全体像

XenAppとXenDesktopの構成例

このように多くのコンポーネントが存在することがご理解いただけたと思います。大枠としての説明は以下の表をご確認ください。

表1.XenApp/XenDesktop全体像の説明

Citrixサーバ環境 XenApp/XenDesktopの管理系コンポーネント
接続先リソース XenApp/XenDesktopを用いてリモート接続させるリソース
(RDSサーバやデスクトップ配信用の仮想マシン)
ユーザ端末 エンドユーザ(XenApp/XenDesktop利用者)端末
基盤 XenApp/XenDesktopを使用するために必須である基盤

一般的に製品の構成を検討するうえでポイントとなるのは可用性ですが、XenApp/XenDesktopはコンポーネント単位で冗長化するかしないかを検討する必要があります。


各コンポーネントの冗長化ポイント


StoreFront

StoreFrontの冗長化は2台のStoreFrontを用意し、サーバグループを構成することで、設定情報を同期することができます(一部設定は個々に実施する必要あり)。ただし、注意が必要なのは、StoreFrontはユーザのポータルとなるサーバなので、2台用意した場合は接続先アドレスが2つ存在してしまうことになります。そのため、通常負荷分散装置等を手前に配置することで、単一のアドレスを提供できるように構成します。

負荷分散装置を用意するのが難しい場合は、WindowsNLBを用いることも可能ですが、その場合StoreFrontサーバは別のコンポーネント(Delivery Controllerなど)と同居する構成は取れませんので、注意が必要です。


Delivery Controller

Delivery Controllerの冗長化も2台のDelivery Controllerを用意し、サイトに追加することで単一のサイトDBを参照するようになり、設定情報を共有できます。


SQL Server

SQL ServerはMicrosoft側で用意されている一般的なSQL高可用性構成を組む必要があり、以下が対応しています。

SQL Server AlwaysOnフェールオーバークラスターインスタンス
SQL Server AlwaysOn可用性グループ(基本的な可用性グループを含む)
SQL Server データベースミラーリング


Virtual Delivery Agent

XenAppの場合はVirtual Delivery Agentの台数を増やし、n+1構成を取ることで、完全にシステムが停止してしまうことは回避できますが、仕組み上セッションが接続しているサーバ(アプリケーションを起動しているサーバ)が停止した場合は再接続を行う必要があり、前回のセッション状態を復元することはできません。
また、XenDesktopの場合、ランダム(プール型)の割り当てを行っている場合はXenApp同様の考えで良いですが、ユーザと仮想マシンを1対1で紐づけるような割り当てを行っている場合の対処は難しく、予備を用意する、ハードウェアのHA機能に頼るなど、別途工夫が必要となります。


構成例1 オールインワン構成

すべてのコンポーネントを1台のサーバに導入する構成です。冗長を考慮していないため、検証や試験環境向けです。

図2.オールインワン構成 –XenApp-

オールインワン構成 –XenApp-

XenAppサーバ台数:1台


図3.オールインワン構成 -XenDesktop-

オールインワン構成 -XenDesktop-

XenDesktopサーバ台数:1台 + Virutal Delivery Agent(デスクトップ配信用仮想マシン)


構成例2 冗長構成(SQL冗長)

SQL Serverを含むすべてのコンポーネントを冗長化する構成です。以下は採用実績の多いSQLミラーリングを用いた構成です。

図4 冗長構成(SQL冗長) –XenApp/XenDesktop-

冗長構成(SQL冗長) –XenApp/XenDesktop-

XenAppサーバ台数:5台 + Virtual Delivery Agentサーバ
XenDesktopサーバ台数:5台 + Virutal Delivery Agent(デスクトップ配信用仮想マシン)


構成例3 SQL Server非冗長構成

SQL Server以外のすべてのコンポーネントを冗長化する構成です。SQLを冗長化した場合に比べてサーバ台数を減らすことが出来るが、ローカルホストキャッシュ(※後述)を使用するため、注意が必要です。

図5 冗長構成(SQL非冗長) –XenApp/XenDesktop-

冗長構成(SQL非冗長) –XenApp/XenDesktop-

・XenAppサーバ台数:3台 + Virtual Delivery Agentサーバ
・XenDesktopサーバ台数:3台 + Virutal Delivery Agent(デスクトップ配信用仮想マシン)


ローカルホストキャッシュについて

※XenApp 7.12から実装された機能です。XenApp 7.6 LTSRは使用できません。

SQLに障害が発生した場合、Delivery Controllerに導入されるSQL Local DBに接続を切り替え、サービスを継続する機能です。定期的にSQLの変更をチェックし、変更が確認された場合同期処理をかけます。なお、切り替え時はダウンタイムが発生します。Citrix社としてはSQL Server側で高可用性構成を取ることを推奨しており、あくまで救済措置的な位置づけの機能となります。


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まとめ

  • Citrixの管理コンポーネントは、複数設置することで冗長構成が取れる
  • SQL ServerはMicrosoft側で用意している高可用性構成を取る必要がある
  • ローカルホストキャッシュ機能を使用することでサーバ台数を減らすこともできるが、あくまで救済措置
  • XenApp6.5等の旧来のアーキテクチャと比べ管理サーバが増えるため、サーバ台数には注意が必要

いかがでしたか?構成のイメージは出来ましたでしょうか。次回はインターネットからのアクセスを可能とするNetScaler Gatewayを使用する場合の構成例をお伝えしていきます。



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筆者情報
仮想化事業推進室 東日本技術部 大西 慶

アシストへは中途入社し、 以来Citrix製品のプリセールス/構築作業を担当しています。
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