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2026.10.16

OCI Top Engineerが注目するOracle AI World 2026【AI編】― 企業データを活かす「信頼できるAI」の実現へ ―

Oracle AI World 2026おすすめセッション【AI編】

2026年10月25日から28日まで米国ラスベガスで「Oracle AI World 2026」が開催されます。本イベントでは、オラクルの最新技術やユーザー企業の活用事例を、セッションやデモを通じて知ることができます。

昨年、イベント名が「Oracle CloudWorld」から「Oracle AI World」へと変更されました。この名称変更からも、オラクル社がAIを重要なテーマとして位置付けていることが伝わってきます。

「AI Changes Everything」というメッセージを発信するオラクルが、今年はどのような技術や取り組みを紹介するのでしょうか。

本記事では、OCI Top Engineerとして活動する筆者が、Oracle AI DatabaseやOracle AI Data Platformに関連するセッションの傾向と、注目セッションをご紹介します。特に注目しているのは、企業のAI活用を支えるデータ基盤と、それを本番運用につなげるための取り組みです。

今年のOracle AI Worldに参加される方には、ご自身の関心や業務上の課題に合ったセッションを選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。 また、現地参加を予定されていない方にも、開催前に注目ポイントを押さえ、後日公開される資料や動画などを確認する際の手がかりになればと思います。

Oracle AI World 2026のセッションから見る「AI」の傾向

2026年10月9日時点の公開カタログでは、Area of Interestに「AI」または「AI Agent」が設定されたセッションは476件に上ります。全セッションの約68%を占めており、セッション数から見てもAIが今回のイベントの中心テーマであることがうかがえます。

その内容を見て感じるのは、モデルや機能の紹介にとどまらず、『企業データをAIにつなぎ、実際の業務で活用するための仕組み』に焦点が当てられていることです。オラクルが長年強みとしてきたデータベースを軸に、企業が蓄積してきたデータとAIを結び付ける「AI×データ」に注力する姿勢です。

今回取り上げるセッションにも、AI Vector Searchやデータセキュリティなど、Oracle AI Databaseの機能でAIエージェントを支える仕組みが登場します。また、分散した企業データの大規模な移動や変換を抑え、業務上の意味を踏まえてAIで活用する基盤も取り上げられており、AIと企業データの結び付きに注目しています。

さらに、エージェントの評価・監査や人による確認などの本番運用を支える方法に関するセッションや、 AI活用をPoCから本番利用へ進めた経験をユーザー企業が紹介するセッションも予定されています。提供側の技術だけでなく、利用側が直面した課題や成果の両方の側面に触れられる点も見どころです。

「AIエージェントを作る」だけでなく、「企業データのアクセス権限を守り、AIの回答や動作を確認しながら業務で活用する仕組みをどう整えるか 」。ここからは、その技術と実践を知るうえで、私が特に注目している4つのセッションをご紹介します。

Oracle AI World AI関連注目セッション紹介

注目セッション① : Oracle AI Databaseで実現する、信頼できるエージェント型AI [LRN6035]

URL : https://reg.rf.oracle.com/flow/oracle/oaiw26/catalog/page/catalog/session/1784566293778001lS0m

最初に取り上げるのは、Oracle AI Databaseをエージェント型AIの基盤としてどう活用するかを扱うセッションです。概要では、AI Vector Searchによる検索やデータベースに組み込まれた意味情報やRAG(Retrieval-Augmented Generation) の活用 、エージェントのメモリ、データ保護などが取り上げられています。

オラクルはデータベースを単なる情報の保管先ではなく『エージェントの処理を担う場所』として位置づけています。関連する実装例としてSelect AI Agentの公式ドキュメントでは、Autonomous AI Database内でエージェントを構築・実行する仕組みが紹介されています。企業データの近くでエージェントを動かすという考え方は、オラクルの「AI×データ」のアプローチを理解する上で重要なポイントだと感じています。

このセッションを通じて、検索・メモリ・アクセス制御をOracle AI Databaseがどこまで担い、外部のAIモデルやアプリケーションとどう連携するのかについての具体的な構成を確認できればと考えています。

注目セッション②: 分散データを連携してAI活用へ:Live AI Hubの紹介[LRN6074]

URL : https://reg.rf.oracle.com/flow/oracle/oaiw26/catalog/page/catalog/session/1785278613329001KiKc

企業のデータはデータベースやオブジェクトストレージ、オンプレミスのファイルサーバ、そして他社クラウドやSaaSなどに分散しています。AIエージェントのためにすべてを一か所へ集めようとすると、移行・複製のコストに加えて更新への追従や権限管理も課題になります。
こうした分散したデータを既存の配置を活かしながらAIで利用するには、どのような仕組みが必要なのでしょうか。

本セッションでは、Live AI Hubを用いて大規模なデータ移動や変換を抑えながら企業データをAI活用につなぐ方法が紹介されます。
分散したデータを連携させ、メタデータやビジネス上の意味を加える方法に加え、企業で求められるセキュリティや拡張性、障害への耐性を考慮したAI基盤づくりが、具体例を通じて取り上げられます。

特に注目したいのは、分散したデータへのアクセスとデータの意味を踏まえたAI活用をどう結び付けるかという点です。データを参照できても、それが業務上何を表すのかをAIが適切に扱えなければ、期待する回答や動作にはつながりません。

既存データの移動や複製をどこまで抑えられ、業務上の意味をどう伝え、セキュリティをどう確保するのか。企業データをAIで活用する際の具体的な設計の考え方や実装上のヒントを聞けることを楽しみにしています。

注目セッション③: Oracle AI Data Platformで実現するAIエージェント:設計から本番運用まで [LRN1229]

URL : https://reg.rf.oracle.com/flow/oracle/oaiw26/catalog/page/catalog/session/1782249679216001pXkM

私がこのセッションに惹かれるのは「AIエージェントの本番運用」をテーマにしている点です。

多くのお客様とお話しする中で、AIエージェントを「本番環境で使いこなせている」と自信を持って言える方はまだ多くないと感じています。試作では期待どおりに動いても、業務で安心して使い続けるまでにはいくつもの壁があるのではないでしょうか。

本セッションでは、MCP(Model Context Protocol)やRAG、SQL、意味情報を活用したエージェントの設計から、企業システムとの連携、評価、監視、監査、本番環境への展開までが扱われる予定です。試作の次に何を考えるべきか悩んでいる方にぜひおすすめしたいセッションです。

私個人として特に気になるのは、エージェントの回答や動作をどのように評価し本番運用中の改善につなげるかという点です。回答が妥当だったかだけでなく、適切なデータを参照したか、許可された操作だけを行ったか、想定外の結果が出たときに原因を追えるか。

AIエージェントを「動く試作品」で終わらせず、信頼して業務で使える仕組みにするために何が必要か。その具体的な設計・運用のヒントを得られることを期待しています。

注目セッション④: データからエンタープライズAIへ:Oracle AI Data Platform カスタマーパネル [LRN2168]

URL : https://reg.rf.oracle.com/flow/oracle/oaiw26/catalog/page/catalog/session/1784699630534001Tw1g

最後に紹介するのは、Oracle AI Data Platformに関してOracleの製品担当者とユーザー企業・団体の担当者が登壇するカスタマーパネルです。概要によると、採用理由や導入方法に加えてオラクル製品と他社のデータを統合し、AIの取り組みを実験段階から本番利用へ進めた経験が紹介されます。

技術の機能を知るだけでは実際の導入判断までは見えてきません。実際にAIを活用している企業はどのような課題を出発点とし、データの管理や共通の意味付けをどう整えたのか。また、本番利用へ進む過程で何に苦労しどのような教訓を得たのか。

前のセッションが『AIエージェントの本番運用を設計・評価の面から考える機会』だとすれば、本セッションは『AIを企業の取り組みとして実践する際の判断や試行錯誤をユーザー企業の生の声から知る機会』です。

提供側の技術と利用側の経験をあわせて知り、AIを業務に根付かせるためのヒントを得たい方にぜひおすすめしたいセッションです。

おわりに

今回はOracle AI World 2026のAI関連セッションから、私が特に注目している4つをご紹介しました。

Oracle AI Databaseがエージェントをどう支えるか、分散した企業データをどう活用するか、そしてAIをどのように本番運用へ進めるか。さらに、実際に導入した企業の経験まで、技術と実践の両面から触れられると期待しています。

私が現地で確かめたいのは、企業データをAIにつなぐ技術そのものだけでなく『データの意味や権限を守りながら信頼して業務で使える仕組みをどう作るか』という点です。参加される方にも後日資料を確認される方にも、今回の4セッションが「AI×データ」を考える手がかりになれば幸いです。

次回は今回取り上げたAI活用を支えるデータ基盤に目を向け、「マルチクラウド」をテーマに現地で注目したいセッションをご紹介します。


「OCI Top Engineerが注目するOracle AI World 2026」全3回のご案内

執筆者情報

はらだ たくろう プロフィール画像

2015年にアシストに入社後、Oracle DatabaseやOracle Cloudを中心としたフィールド技術を担当。
導入支援だけではなく、最新機能の技術検証も積極的に実施。社内外のイベントにて発表も行っている。...show more


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