2026年10月25日から28日まで米国ラスベガスで「Oracle AI World 2026」が開催されます。本イベントでは、オラクルの最新技術やユーザー企業の活用事例を、セッションやデモを通じて知ることができます。
前回の記事では「マルチクラウド」をテーマに注目セッションについてお伝えしました。ブログはこちらをご確認ください。
シリーズ3回目となる本ブログでは「セキュリティ」に注目します。
最近も、企業や公的機関への不正アクセスや個人情報の漏えいに関するニュースが相次いでいます。日々の業務でクラウドやデータベースを利用する中で自社の対策は十分なのかと気になっている方も多いのではないでしょうか。
さらに、AIを悪用したサイバー攻撃も報告されています。攻撃者もAIを利用することを踏まえて、企業側も不正アクセスの防止や検知、被害発生時の対応を見直す必要があります。
また、企業自身がAIを業務で活用する際にもセキュリティへの配慮が必要です。例えば、AIエージェントには参照できるデータや実行できる操作の範囲を定める必要があります。実際に参照したデータや実行した操作を記録して問題が起きた際に調査できるようにしておくことも重要です。
こうした対策をどこまで整えるべきか悩み、AIの導入や利用範囲の拡大に慎重になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このように、不正アクセスへの対策やAIを悪用した攻撃への備え、そして企業がAIを安全に活用するうえでもセキュリティは欠かせないテーマです。
今回のOracle AI World 2026ではこうした課題に対してどのような対策や技術が紹介されるのでしょうか。
これまでの記事と同様に、セッション全体から見えてくる傾向とともに私が特に注目している4つのセッションをご紹介します。
今年のOracle AI Worldに参加される方は、ご自身の関心や業務上の課題に合ったセッションを選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
また、参加を予定されていない方にも、オラクル社のセキュリティへの取り組みを知り自社のAI活用やデータ保護に必要な対策を考えるきっかけにしていただければと存じます。
Oracle AI World 2026のセッションから見る「セキュリティ」の傾向
2026年10月9日時点の公開カタログでは、Area of Interestに「Security」が設定されたセッションは38件あります。
今回、私が注目したのは、「AIで守る」と「AIを守る」という2つの観点でセキュリティが取り上げられている点です。脆弱性の発見や不審な動きの検知にAIを役立てる一方、AIエージェント自身にも権限の制限や人による承認や操作履歴の記録といった対策が求められます。AIを使って防御を強化する方法と業務で使うAIを安全に管理する方法。 オラクル社がそれぞれの課題に対して、どのような仕組みを用意しているのか確認したいところです。
また、データベースのセキュリティに関するセッションが充実している点にも、長年データベースを手がけてきたオラクル社らしさを感じます。データが保存されている場所でアクセスを制御する仕組みや、複数のデータベースのリスクをまとめて評価する仕組みなどが紹介される予定です。企業データを守るために開発時の設計から日々の運用まで、どのような対策を組み込むべきかを考える機会になりそうです。
さらに、攻撃を受けた後の復旧に焦点を当てたセッションもあります。復旧に使うデータをどう保護し、データ損失や業務の停止時間をどう抑えるのか。事前の防御とあわせて、被害が発生した場合の備えについても顧客事例や製品の解説から学びたいと考えています。
ここからは、AIによって変わる脅威と防御、データ保護の全体像、日々のリスク管理、そして攻撃後の復旧という順に、私が注目する4つのセッションをご紹介します。
Oracle AI World セキュリティ関連注目セッション紹介
注目セッション①:
エージェント型AIの攻撃対象領域:新たなリスクの理解と大規模な防御[LRN1131]
URL : https://reg.rf.oracle.com/flow/oracle/oaiw26/catalog/page/catalog/session/1781803023616001xPcV
最初に紹介するのは、AIを「防御に活用する取り組み」と、AIエージェント自体を「安全に運用するための仕組み」を扱うセッションです。
本セッションでは、オラクル社がAIを使って脆弱性の発見や侵入テストを支援し、修正を進める取り組みを紹介します。あわせて、企業データや業務システムへアクセスするAIエージェント自身の保護も扱います。
AIエージェントに業務を任せるには、必要な範囲に権限を絞り、許可したデータの参照や操作だけを行えるようにする必要があります。本セッションでは、エージェントのID管理や最小権限の適用、ポリシーによる制御に加え、人による承認や操作の監査などの安全な運用を支える仕組みが取り上げられます。
AIをチャットでの質問や相談に使っていても、具体的な業務への適用はこれからという方もいらっしゃるのではないでしょうか。セッション概要では、「脅威の検知とAIエージェントを適切に管理しながら導入するための実践的なフレームワークを学べる」との記載もあります。「セキュリティ×AI」の活用例を知り、自社への導入に必要な対策を整理する機会としてぜひ注目したいセッションです。
注目セッション②:
AI時代のデータセキュリティ:AIを活用した脅威からの防御[LRN6049]
URL : https://reg.rf.oracle.com/flow/oracle/oaiw26/catalog/page/catalog/session/1784854298760001X6Pk
続いては、「AIを悪用した攻撃からデータを守る」ためのセッションです。オラクル社のデータ保護の方針を「データがある場所で守る」「リスクに迅速に対処する」「復旧に備える」という3つの観点から紹介します。
データへのアクセスやSQLの実行を制御するDeep Data Security、SQL Firewallに加え、Database Security CentralやData Safeによるリスクの把握と対処も取り上げられます。さらには攻撃を受けた場合の復旧まで扱うため、データベースのセキュリティを幅広く確認できる内容です。
製品名を見ると、すでに利用しているものもあればこれから詳しく知りたいものもあるのではないでしょうか。特にDeep Data SecurityやDatabase Security Centralは2026年にリリースされた最新機能のため、この機会に新しい製品・機能も含めてオラクル社が提供するデータベース関連のセキュリティ対策への理解を深めていただければと思います。
データベースをどこで利用する場合でも、自社のセキュリティ対策を見直すうえでぜひ押さえておきたいセッションです。
注目セッション③:
停止時間を設けずにパッチを適用:攻撃者の動きが速まる中、最新の状態を維持する[LRN6040]
URL : https://reg.rf.oracle.com/flow/oracle/oaiw26/catalog/page/catalog/session/1784668165532001CoOq
3つ目はデータベースのパッチ適用を取り上げるセッションです。前のセッションでデータ保護の全体像を確認したうえで、ここでは「脆弱性への対処を日々の運用でどう続けるか」に注目しています。
セキュリティ対策としてパッチ適用が必要だと分かっていても、業務の停止時間を確保できない、事前検証や作業に手間がかかるといった理由で対応に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうした運用上の課題はあるものの、脆弱性を悪用した攻撃を防ぐうえでパッチ適用は重要な対策です。また、オラクル社も2026年5月から従来の四半期ごとの更新を補完するCritical Security Patch Update(CSPU)の提供を開始しました。優先度の高い脆弱性に対して次の四半期の更新を待たずに修正を提供することで、月次で対応できる機会を設けています。
本セッションでは、こうした更新を継続的に適用するための作業負担や停止の影響を抑える方法が紹介されます。Oracle AutoUpgradeによるパッチのダウンロード・適用・検証の自動化やOracle RACのローリングパッチなどを通じて、現在の保守運用をどう改善できるか確認したいと考えています。
注目セッション④:
確実な復旧に向けて:サイバーレジリエンスのための最新のデータ保護[LRN6053]
URL : https://reg.rf.oracle.com/flow/oracle/oaiw26/catalog/page/catalog/session/1785080053154001UULU
最後は、攻撃によってデータが破壊・暗号化された場合の復旧に注目します。バックアップを取得していても、被害発生後に利用できなかったり復旧に想定以上の時間がかかったりすれば、業務への影響は大きくなります。
本セッションで扱うのは、Recovery Manager(RMAN)、Zero Data Loss Recovery Appliance(ZRCV)、Recovery Service(RCV)によるデータ保護です。オンプレミスやOCI、マルチクラウド環境を対象に、リアルタイムのデータ保護やデータの改変を防ぐための構成、自動化などを通じた復旧に備える方法が紹介されます。
復旧用のデータを攻撃からどう守るか、どの時点まで戻せるか、業務再開までにどれくらいの時間がかかるか。これらはバックアップの取得方法とあわせて検討しておきたい点です。
現在のバックアップでサイバー攻撃にも備えられているか確認したい方やデータ損失・停止時間を抑えるために復旧方法を見直したい方におすすめのセッションです。
おわりに
アシストは、OCIのセキュリティ支援やデータ保護・復旧への取り組みが評価され、 2026年7月には日本オラクル主催の「FY27 OPN Japan Partner Kickoff」で「Best Cyber Security Resilience Partner of the Year」を受賞しました。 お客様が安心してデータやAIを活用し、事業を継続するために、セキュリティ対策を重視しています。
今回の4つのセッションも、こうしたお客様への支援に役立つ考え方や、最新の技術・機能を学ぶという観点から選びました 。
AIを防御に活用しながら企業データへのアクセスを適切に管理する。継続的なパッチ適用で脆弱性に対処し、攻撃を受けた場合の復旧にも備える。今回取り上げたセッションには、新しい技術の活用から日々の運用まで企業データを守るためのさまざまな取り組みが含まれています。
AIの活用を検討する中で、セキュリティへの不安から導入に慎重になる場面もあると思います。ただ、不安を理由に検討を止めてしまうと、業務の効率化や新たな価値を生み出す機会を逃してしまうかもしれません。どのようなリスクがあり、何を準備すればよいのかを具体的に知ることが、安全にAIの活用を進めるための一歩になるのではないでしょうか。
私自身も今回のOracle AI Worldで得た知見をお客様への提案に活かしていきたいと考えています。これからもアシストとしてお客様のシステム環境や運用上の課題に向き合い、それぞれに最適なセキュリティ対策をご提案してまいります。
本記事が、ご自身の課題や関心に合ったセッションを見つけ、オラクル社のセキュリティへの取り組みを知るきっかけになれば幸いです。
「OCI Top Engineerが注目するOracle AI World 2026」全3回のご案内
-
【AI編】― 企業データを活かす「信頼できるAI」の実現へ ―
- Oracle AI DatabaseやOracle AI Data Platformを活用し、企業データをAIにつなげて、本番運用へ進めるための技術と実践に迫ります。
-
【マルチクラウド編】―「どこで動かすか」から「どう使いこなすか」へ―
- Oracle AI Database@Hyperscalerのアーキテクチャ、Oracle AI Database@AWSへの移行事例、企業がマルチクラウドを選ぶ背景を解説します。
- 【セキュリティ編】―AI時代の企業データ保護と復旧への備え ―(本記事)
- AIを活用した防御とAIエージェントの安全な運用、データ保護、継続的なパッチ適用、サイバー攻撃からの復旧に向けた取り組みを解説します。
執筆者情報
2015年にアシストに入社後、Oracle DatabaseやOracle Cloudを中心としたフィールド技術を担当。
導入支援だけではなく、最新機能の技術検証も積極的に実施。社内外のイベントにて発表も行っている。...show more