- Oracle Cloud
- Oracle Database
OCIでGPUインスタンスを構築してみた
OCIで提供されている生成AIサービスとGPUインスタンスを前回の記事「生成AIにGPUが適している理由」で紹介しました。本記事では、GPUインスタンスをデプロイして、インスタンス上でLLM(大規模言語モデル)の動作環境を構築する方法をご紹介します。
|
システムにはハードウェアやソフトウェア、または構築や運用など様々なコストが発生します。中でもデータベースをはじめとするソフトウェアが占める割合は非常に高くなっており、新規構築あるいは更改の際に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
多くのユーザーが利用するOracle Databaseについて、そのソリューションや機能面、技術面の情報は数多くあるものの、根幹となる「ライセンス」の情報は意外と多くありません。このため検討中のシステムにおけるライセンス費用、すなわちコストがどのぐらいかかるのかよくわからない、という方は多いのではと思います。
アシストは「お客様にOracle Databaseライセンスを正しく理解いただく」ことを目的に、Oracle Database ライセンスにに関するイベントを実施しています。参加者からは、ライセンスへの高い関心と同時に、様々な見解や実情が確認できました。
そこで、Oracle Databaseライセンスのことをもっと多くの方に知っていただきたく、ブログでも情報をお届けします。複雑なお話ではなく、基本的な「定義」や「ルール」を軸に、以下の連載にてご紹介します。
Index
皆さんはOracle Database のライセンス費用を算出する際、ベンダーへ見積依頼をされているかと思います。その見積依頼を受け、アシストでは、以下のポイントを確認しています。
確認項目 | 主なポイント |
---|---|
1. エディション | ・導入機器(ソケット数) ・利用する機能 |
2. ライセンスの種類 | ・Processor ・Named User Plus(NUP) |
3. ライセンス数 | ・導入機器のCPU数、コア数 ・利用OS ・利用者数 |
4. 構成上の注意点 | ・仮想化環境 ・クラウド環境 ・待機系の有無 ・システム更改時(DB移行時) |
5. 許諾先とサポート | ・許諾先企業 ・サポート契約 ・バージョン |
「何だか、いろいろ確認してるんだなぁ」という印象をお持ちの方もいらっしゃると思います。確認する理由について触れていきます。
例えば、見積算出の際に、以下のやり取りが発生することがあります。
|
また、このような確認をすることもあります。
|
これは見積依頼時の情報が不足しているというよりは、ライセンスの定義やルールの情報が充分に届けられていないため、と捉えています。
Oracle Databaseの価格表には製品名とその単価が記載されており、誰でも把握することができます。ただし、ライセンスの数や定義に関わる情報が充分とはいえず、”そのシステム” で必要なライセンスや数量が判断しづらいケースが多く見受けられます。上記のやり取りに関しても、メーカーのサイトにFAQや補足説明はあるものの、事前にその情報にたどりつけるユーザーは多くないのではと思います。
ベンダーから出てきた見積をみて「こんなに高いと思わなかった」「構成を再検討しないと」などの手戻りを回避するためにも、本ブログでOracle Databaseライセンスの定義とルールの基本的なポイントを押さえてください。
1つ目の確認項目である「エディション」について、掘り下げて説明していきます。
Oracle Databaseのエディションには「Enterprise Edition(DB EE)」と「Standard Edition 2(DB SE2)」の2種類あります。現在、既に販売終了になっているものの、「Standard Edition(DB SE)」と「Standard Edition One(DB SE1)」の利用ユーザーも一部存在します。
|
「DB EE」と「DB SE2」の違いは価格や機能の差です。エディションの選択ポイントもこのあたりになり、予算や要件を踏まえ、選択します。
ライセンス観点で気をつけるべきこととしては、「DB SE2」を選択する場合、いくつか制限事項があるという点です。次の章からはこの点について触れていきます。なお、「DB EE」の選択に関する制限はありません。
DB SE2では、以下2つの制限事項があります。
DB SE2は、どの機種(サーバ)でも適用できるわけではありません。
「搭載可能なソケット数は、2つまでの機器」
という制限があります。
下図では、サーバの搭載可能CPU数(ソケット数)と実装CPU数の制限を表しています。
シングル構成では、Case3までは「DB SE2」は適用可能です。ソケット数は2つ以内の機種であるためです。Case4は搭載プロセッサ数は2つですが、ソケット数は4つ存在するため、このケースでは「DB SE2」は適用することができません。Case4でOracle Databaseを利用する場合には「DB EE」を選択する必要があります。見積時に「確認すべき主な要素」の1つ目に記載している「導入機器(ソケット数)」はこういうところを意味しております。
|
また、従来のSEではRAC(Real Application Clusters)構成が取れ、実際にご利用されているユーザも多いこともあり、その制限についても触れております。(※)
SE RAC構成の場合には、クラスタを構成する物理サーバーは2台まで、各物理サーバーの実装CPU数は1である必要があります。Case1、Case2の組み合わせではDB SE2は適用できますが、Case3では制限を超えるため、DB SE2は適用することができません。なお、SERAC構成はOracle18cまでの提供となっていますので、ご注意ください。
「DB SE2」では1データベースあたり最大利用スレッドは16までという制限があります。データベースへのアクティブなセッション(SQL処理中)は、同時「16」までは処理できますが、17セッション目は、アクティブな処理が終了するまで待ち状態になります。SE RAC構成では、ノード間でデータベースを共有する構成のため、各ノード毎の最大利用は8スレッドです。同時処理が多い要件やシステムでは「DB EE」の選択が望ましいと言えます。
|
なお、データベースが異なる場合には、各々のデータベースで最大16スレッドが利用できます。1つのサーバで16スレッド利用ではないため、ご注意ください。
現在新規販売が停止となっている「DB SE」や「DB SE1」については、継続してご利用いただくことは可能です。ただし、以下のようなケースでは「DB SE2」へマイグレーションする必要があります。
特にシステム更改時は、Oracle Databaseは最新バージョンを選択する場合が多いと思います。
「DB SE」「DB SE1」は12.1.0.1までの提供となっているため注意が必要です。
第1回の本記事は、いかがでしたでしょうか。
この後もライセンスの定義やルールについて、わかりやすくお伝えしていきたいと思います。
次回はライセンスの種類と数の考え方についてご紹介予定です。
お楽しみに!
本連載でご説明している内容を、無料のウェビナーでもご紹介しています。
ブログを読むだけでは理解しづらいところも、実際の講師の解説のほうが分かりやすいこともあります。
ここまでお読みくださった方は、Oracle Databaseライセンスの基礎的な部分はご理解いただけたかなと思いますが、さらにウェビナーに参加してブログで復習する、それでも自社の環境固有の課題で不明な点があれば、お問い合わせいただくこともできますし、また個社別の勉強会も承るなどフォローアップも万全です。
オンデマンドで時間の取れるときにいつでも何度でもご覧いただけます。詳しくはこちらのページ
でご確認ください!
アシスト入社後、サポートセンターやフィールド支援を経て、現在はプリセールスエンジニアとして製品やソリューションの紹介からインフラ提案といった業務に従事。
また「今だから見直そう!Oracle Databaseライセンスの活用方法」ウェビナーを始め、Oracle Databaseライセンス関連のセミナー/ウェビナー講師も担当。
趣味は登山で、セブンサミッツをじかに見てみたいと思っている。.
...show more
■本記事の内容について
本記事に示した定義及び条件は変更される場合があります。あらかじめご了承ください。
■商標に関して
・Oracle®、Java、MySQL及びNetSuiteは、Oracle、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。
・Amazon Web Services、AWS、Powered by AWS ロゴ、[およびかかる資料で使用されるその他の AWS 商標] は、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。
文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。
OCIで提供されている生成AIサービスとGPUインスタンスを前回の記事「生成AIにGPUが適している理由」で紹介しました。本記事では、GPUインスタンスをデプロイして、インスタンス上でLLM(大規模言語モデル)の動作環境を構築する方法をご紹介します。
前回の記事でお伝えしたとおり、OCVSを構築するとVMwareの複数の機能が利用可能です。 それらの機能の中で、今回はHCXの概要や具体的な機能、OCVSでHCXを利用するメリットなどをお伝えします!
2024年5月にOracle Cloud環境にて、先行してOracle DB 23aiがリリースされました。 Oracle Base Database ServiceにおけるOracle Database 23aiの検証結果を報告します。 今回は「統合メモリー管理」をテーマにお伝えします。