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OCIでGPUインスタンスを構築してみた
OCIで提供されている生成AIサービスとGPUインスタンスを前回の記事「生成AIにGPUが適している理由」で紹介しました。本記事では、GPUインスタンスをデプロイして、インスタンス上でLLM(大規模言語モデル)の動作環境を構築する方法をご紹介します。
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Oracle Databaseライセンスに関する第3回「仮想化環境編」です。
過去2回は、エディション、ライセンスの種類、カウントの方法、という基本的な内容を説明してきました。ここからは、いよいよ構成に踏み込んだご紹介となります。
本記事では、より正確に理解いただくために、まず「ハードウェア分割の基本的な考え方」を説明し、続いてその手法の1つである「仮想化環境の考慮点」=Soft Partitioning理解のポイント、という流れで説明していきます。
前回もご紹介しましたが、内容に入る前にOracle Databaseライセンスの原理原則について触れておきます。どのような場合にもこれを念頭に置いて読んでいただければと思います。
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オラクル社では「ハードウェア分割(仮想化含む)に対するライセンスの考え方の定義」として、サーバ上のCPUを複数のPartitionに分割し、そのPartitionでOracle Databaseを利用する様々な場合のライセンスに関するポリシーを定義しています。
ハードウェアを分割するケースにおいても、Oracle Databaseライセンスの考え方は上記の原理原則のとおりです。何か特別なルールが存在するわけではありません。
ハードウェアを分割する方法には多種多様なソリューションが存在します。そのため、一言で「稼動する/稼動しうるサーバにライセンスが必要」と言っても、その定義や範囲がわかりづらくなっています。
そこでOracle Databaseでは、使われているソリューションにより、必要なライセンスを分類し規定しています。これが「Oracle Partitioning Policy」です。
ここでは、代表的な2種類「Soft Partitioning」と「Hard Partitioning」をご紹介します。
Soft Partitioningは、VMwareやHyper-Vなどのソリューションが該当します。一般的に企業システムではIAサーバが選択されることも多く、リーズナブルなことからSoft Partitioningが検討されるケースも多いのですが、「制限する手段として認められてない」ために、その定義の解釈に苦労されている方も多いかと思います。Soft Partitioningについては、次章でさらに詳しく説明していきます。
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さて、サーバまたはサーバクラスタ毎でライセンス数を制限する手段として認められていないSoft Partitioning(ソフトウェア仮想化技術を使ったハードウェア分割)の定義はどのように理解していけばいいのでしょうか。ポイントは4点あると考えており、1つずつご説明していきます。
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1つ目のポイントは、ライセンスは物理サーバに許諾される、ということです。
仮想化環境といえども、Oracle Database ライセンスにおいては、仮想マシンに割り当てられるコア数、仮想マシンの数、仮想マシンのOSの種類、こういった要素には左右されません。
わかりやすく理解いただくために、1台のVMwareサーバの例を紹介していきます。
仮想化環境では、複数VM(仮想マシン)があることが一般的ですが、Oracle Databaseを導入するVMがその中の一部だったとしても、ライセンスが必要な対象は物理サーバ全体になります。
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上記の図の構成を例に説明します。
まずは、Oracle Database Enterprise Edition(DB EE)のライセンスから説明します。
Processorの算出ルールは「総コア数×コア係数」です。
この例では12コアのIAサーバ(係数0.5)ですので、必要なProcessorライセンスは「6」。
NUPの最少ユーザー数は1Processorあたり25ですので、25×6で「150」となります。
次にOracle Database Standard Edition2(DB SE2)のライセンスについて説明します。
Processorの算出ルールは「プロセッサ搭載ソケット数」です。
この例ではCPUが2枚ですので、必要なProcessorライセンスは「2」。
NUPの最少ユーザー数は10ですが、ここでは利用者が合計15名のため「15」です。
このように仮想マシンにはとらわれず、物理サーバに着目してライセンスを算出します。
2つ目のポイントは、稼動可能なサーバは全て課金対象となる、ということです。
仮想化環境では一般的に複数のサーバを連動/統合させるケースがほとんどです。
Soft Partitioningでは、サーバまたはサーバクラスタ毎でライセンス数を制限する手段として認められていないため、仮想化環境を構成する全ての物理サーバにライセンスが必要です。
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上記の図は「1」のVMwareサーバを4台並べた場合の例です。
Oracle Databaseが稼動するVMは1つや2つだったとしても、vMotionなどの仮想化技術を使えばどのサーバでも稼動しうる状態となります。Oracle Databaseは4つのサーバどこででも稼動しうる可能性があるためライセンスが必要な対象は4つのサーバ全て、という考えになります。
原理原則にあるように、ライセンスはサーバに対して許諾されるため、必要なライセンス数は「1」で算出した個数の4倍が必要となります。なお、今回のような「Soft Partitioing」構成では、オラクル社の「Oracleデータ・リカバリ―・ポリシー」には該当しないためご注意下さい。(こちらのテーマやポリシー説明や別章で説明させていただく予定です。)
3つ目のポイントは、ライセンスはひとつの仮想化環境全体で確認(統一)する必要がある、ということです。つまり、ライセンスが必要となるサーバで、エディション・オプション・ライセンス種類をあわせる必要があります。
例えば、物理サーバ3台のVMware仮想化環境の場合には3台分のライセンスが必要ですが、1台がDB EE、残り2台がDB SE2という組み合わせにすることはできません。エディションは仮想化環境全体でどちらか1つに統一する必要があります。
また、同じようにProcessorとNUPのライセンス種類を混在させることはできません。1つでもProcessorがある場合には、全体でProcessorライセンスが必要となります。
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4つ目に、ライセンスが必要な範囲について触れたいと思います。
Soft Partitioningは、サーバまたはサーバクラスタ毎でライセンス数を制限する手段として認められていないということは本章で説明してきました。
この規定に、例外事項はありません。
仮想化技術では、仮想マシン(VM)の移動先を制限したり、ストレージやネットワークを分離して移動先を制限することができます。
ただし、このような制限を施したとしてもOracle Databaseライセンスを制限する手段にはなりません。
例としては、仮想化環境が2つあり、一方でOracle Databaseが稼働、もう一方ではOracle Databaseがインストールされていない状態でも、常時遮断された環境でない限り、仮想化技術により移動可能との判断となり、ライセンスが必要な範囲は仮想化環境全体となります。
このように、ライセンスが必要な範囲は広範囲に及ぶことは、仮想化環境でOracle Databaseをご利用いただく際に特に考慮が必要な事項となります。
以上、仮想化環境のライセンス定義の中の「Soft Partitioning」について、その定義の理解を4つのポイントにまとめて説明しました。
第3回の本記事は、いかがでしたでしょうか。
仮想化環境、特にVMwareやHyper-Vを使う構成でのライセンスの考え方は、オラクル社や他の媒体でも説明されていますが、「理解しづらい」という声は多くいただきます。そこで本記事では、特にSoft Partitioningに焦点をあて、弊社なりの視点でじっくり説明しました。
次回もお楽しみに!
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ブログを読むだけでは理解しづらいところも、実際の講師の解説のほうが分かりやすいこともあります。
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アシスト入社後、サポートセンターやフィールド支援を経て、現在はプリセールスエンジニアとして製品やソリューションの紹介からインフラ提案といった業務に従事。
また「今だから見直そう!Oracle Databaseライセンスの活用方法」ウェビナーを始め、Oracle Databaseライセンス関連のセミナー/ウェビナー講師も担当。
趣味は登山で、セブンサミッツをじかに見てみたいと思っている。...show more
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