Database Support Blog

  • Oracle Database
2022.05.20

Oracle Databaseライセンスの定義とルールを正しく理解する ~第3回:仮想化環境編~

Oracle Database ライセンス

Oracle Databaseライセンスに関する第3回「仮想化環境編」です。

過去2回は、エディション、ライセンスの種類、カウントの方法、という基本的な内容を説明してきました。ここからは、いよいよ構成に踏み込んだご紹介となります。
本記事では、より正確に理解いただくために、まず「ハードウェア分割の基本的な考え方」を説明し、続いてその手法の1つである「仮想化環境の考慮点」=Soft Partitioning理解のポイント、という流れで説明していきます。

前回もご紹介しましたが、内容に入る前にOracle Databaseライセンスの原理原則について触れておきます。どのような場合にもこれを念頭に置いて読んでいただければと思います。

Oracle ライセンス ルール

ハードウェア分割に対するライセンスの基本的な考え方

オラクル社では「ハードウェア分割(仮想化含む)に対するライセンスの考え方の定義」として、サーバ上のCPUを複数のPartitionに分割し、そのPartitionでOracle Databaseを利用する様々な場合のライセンスに関するポリシーを定義しています。

ハードウェアを分割するケースにおいても、Oracle Databaseライセンスの考え方は上記の原理原則のとおりです。何か特別なルールが存在するわけではありません。

ハードウェアを分割する方法には多種多様なソリューションが存在します。そのため、一言で「稼動する/稼動しうるサーバにライセンスが必要」と言っても、その定義や範囲がわかりづらくなっています。

そこでOracle Databaseでは、使われているソリューションにより、必要なライセンスを分類し規定しています。これが「Oracle Partitioning Policy」です。

ここでは、代表的な2種類「Soft Partitioning」と「Hard Partitioning」をご紹介します。

「Hard Partitioning」は、サーバあるいはサーバクラスタ毎に必要なライセンス数を制限する手段(範囲を定める手段)として認められています。vPAR、nPAR、IBM LPARなど、主にUNIX系の仮想化ソリューションが該当します。「Hard Partitioning」では、基本的には、下記図のように仮想VM単位でライセンス許諾が可能です。もちろん細かいルールはありますが、どちらかといえばわかりやすい定義です。

一方、「Soft Partitioning」は、サーバまたはサーバクラスタ毎でライセンス数を制限する手段として認められていません。つまり、Soft Partitioningはライセンスの範囲を定める手段として認められていないということです。

Soft Partitioningは、VMwareやHyper-Vなどのソリューションが該当します。一般的に企業システムではIAサーバが選択されることも多く、リーズナブルなことからSoft Partitioningが検討されるケースも多いのですが、「制限する手段として認められてない」ために、その定義の解釈に苦労されている方も多いかと思います。Soft Partitioningについては、次章でさらに詳しく説明していきます。


▷ Oracle Partitioning Policy:代表的な2種類の考え方

Oracle ライセンス:Oracle Partitioning Policy:仮想化環境に対する考え方の定義


Soft Partitioningを理解するポイント

さて、サーバまたはサーバクラスタ毎でライセンス数を制限する手段として認められていないSoft Partitioning(ソフトウェア仮想化技術を使ったハードウェア分割)の定義はどのように理解していけばいいのでしょうか。ポイントは4点あると考えており、1つずつご説明していきます。

▷ Soft Partitioningの理解のポイント

Oracle ライセンス:Soft Partitioning理解のポイント


1. ライセンスは物理サーバに対して許諾

1つ目のポイントは、ライセンスは物理サーバに許諾される、ということです。

仮想化環境といえども、Oracle Database ライセンスにおいては、仮想マシンに割り当てられるコア数、仮想マシンの数、仮想マシンのOSの種類、こういった要素には左右されません。
わかりやすく理解いただくために、1台のVMwareサーバの例を紹介していきます。

仮想化環境では、複数VM(仮想マシン)があることが一般的ですが、Oracle Databaseを導入するVMがその中の一部だったとしても、ライセンスが必要な対象は物理サーバ全体になります。


▷ VMwareサーバ(1台)で必要なライセンス

Oracle ライセンス:VMwareサーバ(1台)で必要なライセンス

上記の図の構成を例に説明します。

まずは、Oracle Database Enterprise Edition(DB EE)のライセンスから説明します。
Processorの算出ルールは「総コア数×コア係数」です。
この例では12コアのIAサーバ(係数0.5)ですので、必要なProcessorライセンスは「6」。
NUPの最少ユーザー数は1Processorあたり25ですので、25×6で「150」となります。

次にOracle Database Standard Edition2(DB SE2)のライセンスについて説明します。
Processorの算出ルールは「プロセッサ搭載ソケット数」です。
この例ではCPUが2枚ですので、必要なProcessorライセンスは「2」。
NUPの最少ユーザー数は10ですが、ここでは利用者が合計15名のため「15」です。

このように仮想マシンにはとらわれず、物理サーバに着目してライセンスを算出します。


2. 稼動可能なサーバは全て課金対象

2つ目のポイントは、稼動可能なサーバは全て課金対象となる、ということです。
仮想化環境では一般的に複数のサーバを連動/統合させるケースがほとんどです。

Soft Partitioningでは、サーバまたはサーバクラスタ毎でライセンス数を制限する手段として認められていないため、仮想化環境を構成する全ての物理サーバにライセンスが必要です。


▷ VMwareサーバ(4台)で必要なライセンス

Oracle ライセンス:VMwareサーバ(4台)で必要なライセンス

上記の図は「1」のVMwareサーバを4台並べた場合の例です。

Oracle Databaseが稼動するVMは1つや2つだったとしても、vMotionなどの仮想化技術を使えばどのサーバでも稼動しうる状態となります。Oracle Databaseは4つのサーバどこででも稼動しうる可能性があるためライセンスが必要な対象は4つのサーバ全て、という考えになります。

原理原則にあるように、ライセンスはサーバに対して許諾されるため、必要なライセンス数は「1」で算出した個数の4倍が必要となります。なお、今回のような「Soft Partitioing」構成では、オラクル社の「Oracleデータ・リカバリ―・ポリシー」には該当しないためご注意下さい。(こちらのテーマやポリシー説明や別章で説明させていただく予定です。)


3. ライセンスは環境全体で確認/統一

3つ目のポイントは、ライセンスはひとつの仮想化環境全体で確認(統一)する必要がある、ということです。つまり、ライセンスが必要となるサーバで、エディション・オプション・ライセンス種類をあわせる必要があります。

例えば、物理サーバ3台のVMware仮想化環境の場合には3台分のライセンスが必要ですが、1台がDB EE、残り2台がDB SE2という組み合わせにすることはできません。エディションは仮想化環境全体でどちらか1つに統一する必要があります。

また、同じようにProcessorとNUPのライセンス種類を混在させることはできません。1つでもProcessorがある場合には、全体でProcessorライセンスが必要となります。


▷ 仮想化環境全体で、ライセンスを確認/統一する

Oracle ライセンス:仮想化環境全体で、ライセンスを確認/統一する


4. 必要なライセンスは広範囲に及ぶ恐れ

4つ目に、ライセンスが必要な範囲について触れたいと思います。

Soft Partitioningは、サーバまたはサーバクラスタ毎でライセンス数を制限する手段として認められていないということは本章で説明してきました。

この規定に、例外事項はありません。

仮想化技術では、仮想マシン(VM)の移動先を制限したり、ストレージやネットワークを分離して移動先を制限することができます。 ただし、このような制限を施したとしてもOracle Databaseライセンスを制限する手段にはなりません。

例としては、仮想化環境が2つあり、一方でOracle Databaseが稼働、もう一方ではOracle Databaseがインストールされていない状態でも、常時遮断された環境でない限り、仮想化技術により移動可能との判断となり、ライセンスが必要な範囲は仮想化環境全体となります。

このように、ライセンスが必要な範囲は広範囲に及ぶことは、仮想化環境でOracle Databaseをご利用いただく際に特に考慮が必要な事項となります。



以上、仮想化環境のライセンス定義の中の「Soft Partitioning」について、その定義の理解を4つのポイントにまとめて説明しました。


おわりに

第3回の本記事は、いかがでしたでしょうか。

仮想化環境、特にVMwareやHyper-Vを使う構成でのライセンスの考え方は、オラクル社や他の媒体でも説明されていますが、「理解しづらい」という声は多くいただきます。そこで本記事では、特にSoft Partitioningに焦点をあて、弊社なりの視点でじっくり説明しました。

次回もお楽しみに!


[連載一覧] Oracle Databaseライセンスの定義とルールを正しく理解する

     第4回:クラウド編
     第5回:Coming soon


執筆者情報

おおくぼ まさお プロフィール画像

アシスト入社後、サポートセンターやフィールド支援を経て、現在はプリセールスエンジニアとして製品やソリューションの紹介からインフラ提案といった業務に従事。
また「今だから見直そう!Oracle Databaseライセンスの活用方法」ウェビナーを始め、Oracle Databaseライセンス関連のセミナー/ウェビナー講師も担当。
趣味は登山で、セブンサミッツをじかに見てみたいと思っている。


■本記事の内容について
 本記事に示した定義及び条件は変更される場合があります。あらかじめご了承ください。

■商標に関して
 OracleとJavaは、Oracle Corporation 及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。
 文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。


Oracle Databaseライセンスのご相談ならアシスト

関連している記事

  • Oracle Database
  • Exadata
2022.06.28

こんなのあったんだ!Exadataの便利ツール ExaWatchar・Exachkをご紹介

Exadataは大規模なデータベースマシンのため、運用や監視に労力がかかります。EMCCを始め統合管理ツールも多く存在しますが、Exadataにデフォルトで実装されている便利なツールを用いることで、より効果的な運用につなげられます。便利なツールExaWatchar・Exachkを詳しくご紹介します。

  • Oracle Database
2022.06.21

マルチテナントのPDB数はどう見積もる?最適なエディション選択と検討のヒント

マルチテナント構成Oracle Databaseに採用され早数年が経過。21c以降の従来構成廃止に伴い、19cが従来構成もテナント構成の両方を選べる最終バージョンに。従来構成維持とテナント構成変更を思案する方に向け、「PDBの最適数」に焦点を当てバージョンアップ後の構成を考えてみます。

  • Oracle Database
  • Oracle Cloud
  • PostgreSQL
  • AWS
  • Exadata
2022.05.24

入社2年目がレポート!Cloud Database Days 2022技術セッションの見どころ

2022年5月26日~6月3日に開催される「Cloud Database Days 2022」。その中でも10個に分かれた技術セッションについて、ポイントを押さえてそれぞれご紹介いたします!

ページの先頭へ戻る