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2022.09.30

Panoptoが変えるこれからの企業文化 ~動画によるナレッジ共有、コミュニケーション活性化のカギ~

Panoptoが変えるこれからの企業文化 ~動画によるナレッジ共有、コミュニケーション活性化のカギ~

本記事では、Panopto社アジアパシフィック担当のクリストフ・ランディ氏に、アシストの佐子雅之、板木栄樹が、Panopto社がエンタープライズ分野に注力している理由、動画活用の動向、今後の展望などを中心にお話を伺いしました。

▶プロフィール

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

Panopto社アジアパシフィック担当(VP of APAC Sales)
クリストフ・ランディ氏


前職はPaypal。2022年1月にPanopto社へ入社し、普段はシンガポールから日本や韓国、オーストラリア等、アジアパシフィックの各国セールスを担当。今回は日本市場のビジネス展開におけるディスカッションを目的に来日。

アシスト 佐子 雅之

株式会社アシスト
DX推進技術本部 デジタル推進技術統括部
中西日本DI技術部 兼 ナレッジ・プラットフォーム技術部 部長
佐子 雅之


2001年入社。Oracleの技術者として10年従事した後、新規ビジネス開発や新製品立ち上げを経て、現在はデータ連携分野と動画やガイド、Webコンテンツ管理製品などのナレッジ・プラットフォーム分野を担当。新しいもの好きで最近VRゴーグルを購入。壁や机を壊さないよう、気をつけながら没入中。

アシスト 板木 栄樹

株式会社アシスト
CX本部 新事業共創推進室
参与
板木 栄樹


1987年入社。フィールド技術、技術マネージャを経て、2011年より新規取扱製品の開拓ミッションに専任。IT関連メディア、ベンチャーキャピタル、各国大使館、その他の各種情報ソースより、年間約200社のソフトウェアベンダーを調査、そのうち数十社と直接コンタクトを行っている。

Panopto社がエンタープライズ分野で動画活用を推進するワケ

まずは、Panopto社がエンタープライズ分野で動画活用を推進する理由などについてお聞かせください。

アシスト 佐子 雅之

佐子

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

2007年米国で創業したPanopto社は、カーネギーメロン大学の研究室からスピンアウトした企業なので、教育機関のニーズに精通しています。2012年にイギリスをはじめとするヨーロッパ市場、そして5年ほど前からアジア市場へと進出し、学びのためのシステムとして始まったPanoptoは、グロ―バルそして日本でも多くの大学や教育機関で採用されています。

学びのニーズは教育分野に限ったことではありません。エンタープライズ分野においても、人の育成や企業の将来にとって、研修をはじめとする「学び」の場は必要不可欠です。そのため、従業員の方の学びのニーズを満たせるよう、エンタープライズ分野においてもPanoptoを利用した動画活用を推進しています。

Panoptoは、同時つまりライブメディアではなく、非同期(オンデマンド)の媒体であり、簡単にいってしまえば、録画した動画を一カ所に集約し、いつでもどこでも誰もが視聴できるようにする仕組みです。すべてのビジネスの動画ニーズを解決するものではありませんが、従来の業務のやり方を変える大きな力があります。

例えばこれまではミーティングの中でプレゼンをするのが当たり前でしたが、事前に録画したものを回覧しておき、ミーティングの場では焦点を当てたいトピックや質問に集中することで、効率よく進行させることができます。また、ある従業員の方の退職により、ノウハウや知識は失われてしまうことも多いのですが、動画として録画してあれば企業にノウハウは残ります。

また、動画は撮りっぱなしで活用されないのでは意味がありません。Panoptoのいつでもどこでも誰でも安全に視聴できる仕組みにより、企業におけるナレッジ共有やコミュニケーションの促進に大きな役割を果たします。

動画活用の需要が伸びている領域は

Panopto社からみて、エンタープライズ分野のどの領域で動画活用プラットフォームの需要が伸びているでしょうか。

アシスト 板木 栄樹

板木

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

特にニーズが多い分野としては、銀行などの金融関係です。私自身Paypalで働いていたことがあるのですが、金融は規制やセキュリティが厳しいので、いつでもどこからでも誰でも視聴可能な動画環境を安全に構築したいというセキュリティ面でのニーズが高く、Panoptoはそれにマッチします。

二つ目は例えば保険業界のような人の出入りが激しい業界。常に新しい人を採用して、トレーニングしなければならないため、動画コンテンツのニーズが高いです。

三つ目は例えば自動車産業のようなクオリティが求められる産業ですね。エンジニアに高いスキルが求められるため、現場のエンジニアをトレーニングするための動画コンテンツの需要が高いです。

コロナ前後で動画活用はどう変化するか

コロナ禍により教育およびエンタープライズ分野でどのような変化がありましたか?

アシスト 佐子 雅之

佐子

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

当社の元々のメイン市場である学校の場合、例えコロナ禍という事態になってもリモートで当たり前のように授業を継続していかねばならないため、当然のことながら需要は伸びています。

大きく変わったのはエンタープライズ分野です。元々製造業なら本社と工場、建設業なら現場といったように、従業員の方の働く場所というものは様々でしたが、コロナ禍がきっかけで多くの企業でオフィスだけでなく自宅で業務を行うようになりました。

皮肉なことですが、エンタープライズ分野ではコロナが「理想の働き方は何か」をみんなに突きつけたのではないかと思っています。コロナ以降、海外では「大量退職」という現象が発生し、日本企業も柔軟な働き方を提供しようという動きになっています。毎日出社することが当たり前ではなくなり、従業員の方も柔軟な働き方を好むようになりました。

すべてが対面業務ではなくなった今、従業員同士やお客様、パートナー企業などがうまくコラボレートできる動画活用ツールが大きな役割を果たすのではないかと思っています。例えば、アシストの社内事例のように、離れたところにいる従業員同士のコミュニケーション活性化であったり、気持ちを繋ぐところにも動画は機能します。

私の担当であるアジアの傾向として、コロナ以前はZoomなどよりも対面が主流で、動画活用に関しては欧米より少し遅れていた感触でしたが、このコロナ禍で大きな需要の伸びが生じています。

コロナが終息しても動画活用は有効だとお考えですか?

アシスト 板木 栄樹

板木

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

オフィスと自宅というハイブリッドの働き方の中で、いつでもどこからでも動画を検索可能なライブラリを持っていることは大きな強みですし、冒頭にお伝えした退職者のノウハウ継承のようなことも企業として必要なことに変わりありません。そのような使い方をするからこそ、セキュリティがしっかりしている動画ツールが必要です。

また、対面とリモートを織り交ぜたトレーニングでも活用できます。動画を活用して遠隔地にいるスタッフをトレーニングすることはグローバル企業にとっても成功の鍵となりますし、アシストのようにお客様向けの研修サービスでも活用できます。録画しておけば、同じトレーニングを何度もするというコストの削減にも繋がります。

今後対面がまた主流になったとしても、非同期のコミュニケーションや、同じコンテンツを繰り返し利用できるケースでは、Panoptoにより企業の業務効率化や改善が実現しますね。

アシスト 板木 栄樹

板木

Panoptoは横でのナレッジ共有、コミュニケーションの活性化に有効

Zoom等での会議が浸透し、その場でチャットでコメントしたり、その録画機能を使って動画を共有をするといったことが一般的になってきています。しかしここでさらにPanoptoを利用する理由をお客様にどうお伝えしたらいいでしょう。

アシスト 佐子 雅之

佐子

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

浸透という観点でいうと、これはSlackが登場した時に非常によく似ていると感じています。私自身Slackが登場したときに「Slackとメールでは機能的に重複するところもあるし、毎日多くのメールをやりとりしているのに、さらにSlackも導入するとなるとやりとりが倍になる。正直不要では」と思っていました。

SlackとPanoptoの共通点は、コミュニケーションを新しいレベルに引き上げることだと考えています。例えば、何か新しいヒントが浮かんだら録画してすぐ共有したり、エンジニアが新しいプロダクトを作ったときに動画をとって紹介したり、Panoptoにより動画を介した情報伝達が簡単にできます。

また、イントラネットとは情報共有の性質がまったく違うという点です。イントラネットの場合は、例えばトップダウンの情報であったり、社内広報のような性質を持ちます。しかし、Panoptoでの動画活用は、集団知、組織知のように、横で知識を共有することや、個々人の成功を祝うような横でのコミュニケーションを加速させます。

ここで大事なポイントは、録画したコンテンツを再利用できるかどうかです。Zoomで録画しても共有の場所に置かなければ使われることはほとんどありませんし、録画データは蓄積される一方なので、中身がわからなければすぐに埋もれていきます。しかし、Panoptoのようにライブラリで一元管理し、動画の中で話されている言葉で瞬時に検索できる。つまりコンテンツの再利用が容易な環境であれば、見たい時に見たい人が見たいものを視聴でき、横での知識共有やコミュニケーション活性化が実現します。

動画をより活用していくために

動画はどんなシーンに適しているか

先ほど動画は横のコミュニケーションを活性化するというお話がありましたが、情報を伝えるという観点で文章や図版との違いは何だと思いますか?

アシスト 板木 栄樹

板木

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

特定の情報は文章などで伝えられますが、会社のミッションを伝えるといった場面のように、感情が伴うコミュニケーションには動画が有効だと思っています。

動画には、確かに、感情だけでなく、空気感やニュアンスといった、文字では感じ取ることのできない要素が含まれますね。文章や図版だけでもなく、何が何でも動画で伝えるのではなく、従来のコミュニケーションに動画というオプションが追加され、使い分けることで効果が高まるのではないでしょうか。

例えば、新入社員や中途社員の入社時に、彼らの自己紹介をメールで読むよりも、動いて語る本人を動画で見たほうがビジュアル的にも内容的にも印象が深くなりますし、パワーポイントの資料をもらうだけじゃなく、身振り手振り付きで説明されるほうが理解度が高く、知識として定着しやすいですね。

アシスト 佐子 雅之

佐子

企業では部門間、部門内で意見が対立するということはよくあることですが、それは当社にももちろんあります。対立して落としどころが見つからない時に、上司に動画で会議の空気感を共有することで打開できたという事例がありました。また、お子さんが生まれた社員にプレゼントを渡している動画では、プレゼントを受け取った社員の喜ぶ顔が見え、心が温まります。それは動画ならではですね。

業務の中で感情が問題になったり、空気感が見えることで職場のコミュニケーションが円滑になったり。動画のほうが伝わりやすく、納得感を与えることにも繋がるのではないでしょうか。

アシスト 板木 栄樹

板木

動画活用のハードルを下げるには

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

例えば最近Facebook(Meta)がメタバース構想を立ち上げましたが、いずれ企業の社長もアバターで会議に出席するようになるかもしれません。しかし従来のビジネスからすると、かなり大きな変革になるので、そこに行きつくまでに相当のステップが必要です。

動画に関しては、視聴するだけでなく、YouTuberのように撮って共有することが珍しくなくなりましたが、企業の中でも同じように、PCや携帯で自由に動画を撮って共有できる状態までには相当のステップが必要です。その状態になるためにPanoptoが必要だと思っています。Panoptoはクラウドで利用できるため、複雑な仕組みを作らなくても、すぐに始められますし。

アジア圏での動画の活用方法で何か特徴的なことはありますか?

アシスト 板木 栄樹

板木

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

アジアではスマートフォンの利用率が高く、動画を活用しているケースは多いです。しかし、日本でもそうだと思いますが、企業文化的にカメラの前に立つのは役員層に限られていました。

これを変えるためには、社内のみんなが知っているようなトピックに関する動画を、全社ではなく課や部といった小さな組織でまずは共有するところから始めるとよいと思います。特にトップ層自らがPanoptoを利用することが効果的です。

アシストが社内導入してすぐにかなりの数の動画を公開・利用促進したと聞いていますが、その秘訣は何だったのでしょうか。

アシストがお客様向けに販売を開始したのは2020年8月からですが、その1年前の2019年に、私のミッションである商品発掘の過程でPanoptoに出合いました。当初は、ツールの良さとは裏腹に、社内利用や外販に繋げるきっかけを見いだすことが難しいと感じました。ところが、コロナ禍の影響で、社員同士の繋がりがリモートになったことから「動画」に注目が集まり、社内ナレッジの共有の目的で社内導入に至りました。

アシスト 板木 栄樹

板木

しかし、導入当初は、先ほどのSlackのケースと同じで「これ必要?」という社員の声も実際にあり、動画活用がすぐに軌道にのったわけではありませんでした。そこで「アンバサダー制度」を導入して社内推進役を任命し、業務でどう活用ができるか、各部門がアイデアを出し合い実践することでしだいに動画活用が定着していきました。

Googleで検索することを「ぐぐる」と言いますが、動画をアップすることを当社では「パノる」と言うほど動画の共有が当たり前()となり、この経験がお客様への販売活動に繋がっています。

2022年8月3日現在の総登録動画数は24,000本

アシスト 佐子 雅之

佐子

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

「アンバサダー制度」は非常に有効ですね。みんながビデオの撮り方や共有のしかたを理解でき、動画を撮る・共有するハードルを低くできます。その他に、Panoptoのユーザーコミュニティの場を設定されたと聞いています。このように、ベストプラクティスを増やし、それを日本のお客様に広めていく活動を継続して一緒にやっていきたいですね。

Panoptoの今後の方針やアシストに期待すること

今後のロードマップは?

コロナ禍の影響や働き方改革がある中で、日本だけでなく世界から様々な要望が集まってきてると思いますが、今後どういった機能を実装されていく予定なのか、可能な範囲で教えてください。

アシスト 佐子 雅之

佐子

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

教育分野とエンタープライズ分野の要望は異なることがありますが、当社は「みんなが簡単に使えること」を開発の基本方針にしています。ユーザーインターフェースは日々改良を重ねており、マイナーリリースは2週間ごと、メジャーリリースは年に2回です。また、ユーザーが使い慣れたプラットフォームで簡単に使えるように、サードパーティ製のプラットフォームとの連携を模索していて、最近のリリースではMicrosoftのTeamsや365との連携を発表しました(取材対応時:2022年5月)。

さらに、パートナーを通じて各国のお客様の課題や要望について情報を収集中です。アシストからは、大規模な人事異動にも対応可能な機能(権限やロールなど)が日本の大企業には必要だという要望をいただいています。このような顧客やパートナーの声を継続的に製品に反映していきたいと考えています。

アシストに期待すること

最後にアシストに期待しているところをお聞かせください。

アシスト 板木 栄樹

板木

Panopto社 クリストフ・ランディ氏

ランディ氏

当社は日本にオフィスがないため、日本企業のニーズをきちんと把握しているパートナーの存在が必要不可欠です。教育分野に強いパートナーは数社いますが、アシストは日本の大手企業6,000社のITを支援しており、日本企業のニーズとテクノロジー、この両方に精通しているところが大きな強みです。

また、アシストは単なるディストリビューターではなく、自社で日々使っているものを日本のお客様に販売しています。英語で「自社のドックフードを食べろ」ということわざがあるのですが、自分たちが日々利用してよく理解しているものをお客様に提供するだけでなく、その活用方法が他社の参考になる非常によい事例を持っています。この点が、アシストが当社の強力なパートナーであることの証でもあります。

当社のミッションはお客様のビジネス課題を解決することにあって、動画活用プラットフォームはそれを実現するためのツールだと考えています。アシストがこの2年間、日本市場におけるPanoptoの成長を大きく牽引してくれたことに感謝していますし、これからも日本企業のニーズやベストプラクティスを共有し、動画活用による課題解決に一緒に取り組んでいきたいと考えています。

仰っていただいたように、我々が社内で実践していること、ユーザーコミュニティで得た気づきなどをお客様にもお伝えし、動画活用でお客様に貢献していきたいと考えています。

本日はありがとうございました。

アシスト 佐子 雅之

佐子


(取材日:2022年5月9日)


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