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アシストの視点 生成AI時代に改めて考えたいセキュリティ対策(後編)
生成AI時代に改めて考えたいセキュリティ対策について、後編では「生成AIを活用したセキュリティ対策」を中心に解説します。
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── まずDAOが何かを教えてください。
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木村 DAOは「Web3」の文脈で出てくるキーワードです。「Web3」は、閲覧するだけのインターネット「Web1.0」、双方向でやりとりできる「Web2.0」に続く、自律・分散型インターネットです。Web2.0ではSNSや動画配信サービスなどを使って誰でも簡単に情報を発信できる反面、そのサービスを提供する企業やGAFAと呼ばれるプラットフォーマーが中央集権的に情報を管理・保持する仕組みになっています。 |
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板木 「Web3」では、インターネットの利用者が情報を分散管理し活用できるのですが、これを支える技術が「ブロックチェーン」です。「Web2.0」のように中央集権的に管理されると、管理者に力も集中してしまいます。そこで、データの改ざん自体が非常に難しく、データを自分たちで分散的に管理・運用可能なブロックチェーン技術を活用することで安全に、また透明性を持って公正に管理できるようになります。 |
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松山 理想的なDAOの姿として以下の点が挙げられます。 |
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小山 Bダッシュ委員会はアシストの将来のビジネスにつながる分野・プロダクトを発掘する組織です。2020年に「Web3」についての研究を始めましたが、活動を進める中で、もう少しテーマを絞らないとビジネスにどう直結するのかのイメージが掴みづらいという課題に直面しました。 |
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松山 実際、2~3年ぐらい前からアシストのお客様の中でも経営企画を担当する方々とWeb3の話をする機会が増えており、その話の延長で「DAOが絶対くるという想いでチャレンジしたい」とおっしゃるお客様がいらっしゃいます。その感触があるので、アシストがツールまたはノウハウでご支援できたら、新しいビジネス領域になるのではないかという期待感を持っています。 |
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板木 お客様がリアルのビジネスとデジタルとの融合を検討される中で、NFTを持つことで、企業の会員になっていただいた方に報酬のような何かしら付加価値を提供できるものや、寄付や投資したものが公正に扱われているかをDAOの中で透明性をもって見ることができ、さらに会員を増大したいといったイメージをお持ちのようですね。 |
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肘井 最初の3ヵ月ぐらいは「インキュベーションDAO」を立ち上げて、まだ日本に上陸してない良い製品の検証とお客様へのご紹介、さらにそこにはメーカーも参加するフラットな組織をDAOとして運営することで一つの製品を盛り上げることはできないか、といったことを検討していました。しかし「インキュベーションDAO」構想も壮大すぎてDAOの具体的なイメージを持てない状態でした。 |
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小山 DAOについて研究していく中で、 |
一般的な企業組織とDAOの違い
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肘井 一方で、各人の仕事内容には組織目標に直接的には合致しないものがあり、実際に行う活動内容に応じて報酬を分配する方が理にかなっているケースがあります。例えば、我々Bダッシュ委員会のような、組織を横断するような活動です。我々の場合は、最初からやることが決まっているわけではなく、周りの部門に協力を仰ぐ必要もありますが、一緒に汗を流してくれた人と、そうではない人の濃淡があり、一律の評価は難しくなります。内容に応じた報酬は公正な評価につながりますし、DAOではやったことに対する報酬がきちんと見える「透明性」も一つの特徴。こういったケースにはDAOが向きます。 |
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木村 議論を重ねる中で、DAOは既存の組織や業務を置き換えるものではなく、また組織のビジョンによって向き・不向きがあることが分かってきました。そこで、いったん「インキュベーションDAO」を中断し、まずは実験的にDAOを組成し社内でパイロット運用をしてみようということになったんです。 |
── 「社内バイトDAO」はどうやって生まれたのですか?
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小山 分科会内で様々なアイデアがあがりましたが、現実的で分かりやすかったのが「社内バイトDAO」でした。例えば友人の結婚式動画を頼まれるほど動画編集が上手くても、チーム内でその特技を生かす機会はほとんどないという人がいます。一方、製品プロモーション用の動画を作りたいというチームでは、チーム内にできる人がいなければ、外注しようという話になります。動画だけでなく、通訳、司会などなど、生かせる特技やニーズはたくさんあると思います。 |
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肘井 「社内バイトDAO」は、既存の組織を超えて自分の得意技で会社に貢献し報酬を得ようというコンセプトです。「社内バイトDAO」に参加すると、社内バイトの募集、自分の所属する組織に関係なく自分の特技を生かしたバイトの受注が可能になります。 |
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松山 元々Web3はブロックチェーン技術がベースとなり、仮想通貨やNFTからスタートしました。ブロックチェーン上でのタスク管理や投票など必要な機能が揃い、連携することで進化してきました。今世の中にあるDAO関連ツールは以下のような個別機能を組み合わせて構築されています。 |
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小山 「社内バイトDAO」ではそのアプリを使って、社内バイトDAOへの参加からバイトの受発注、報酬支払までを行います。 |
── 社内でサンクスポイントを与えあうような感じなんですね。
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肘井 サンクスポイントは感謝を伝え合うもので、個人のモチベーションにはもちろんつながります。一方で仕事をしてその対価として報酬まで受け取る「社内バイトDAO」は、皆さんのやる気が更に変わってきますよね(笑) |
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板木 理想的なDAOには管理者がいないのですが、最初はルール作りが必要なので、ほぼ100%のDAOは当初は中心となる運営チームがいる状態で始まります。一般的には、NFTを持っている参加者が投票という形をとることにより、中央集権から合議制に移行していきます。最後は合議制で培われたノウハウがプログラム化(スマートコントラクト化)され、誰かがいちいち意思決定しなくてもプログラムで承認されるようになります。このように段階的に進化していきます。 |
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肘井 今回の「社内バイトDAO」の場合、参加者の属性は、 |
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小山 「社内バイトDAO」でもバイトの発注・受注を承認したり報酬に関する決めごとを作ったりと運営の負担が大きいのですが、将来的にはすべて自動で行われるようにスマートコントラクト化する構想です。 |
── 苦労した点はどこでしょうか。
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木村 具体的な内容を取り決める中、全員の意見が一致しない部分があり、やはり「ミッション・ビジョン・バリュー」をきちんと決めるところに立ち戻りました。目的は「アシストのビジネスにどうつなげるか」なので、今回の社内バイトDAOを通じてやることを整理した結果、やっとバイトDAOのルールを細分化するところまで進めることができました。 |
── 「社内バイトDAO」は今度どのような展開を予定していますか?
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小山 社内バイトDAOの仕組みの中で、きちんと発注・受注・報酬の支払いが成り立つことが確認できたら、対象をBダッシュ委員会の外にも広げ、最終的には全社展開したいと考えています。全社展開に向けては、例えば、NFTの場合はベースのトランザクション代がかかるのでそこをどう扱うかの解決などが必要です。 |
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松山 活動を通じてDAOの向き、不向きも徐々に見えてきました。社内バイトDAOは身近なところで企業におけるDAOの在り方を試す良い機会ととらえており、チャレンジすることで経験を積んで、その先にお客様の課題解決に繋がるアウトプットに繋げられれば、という思いで活動しています。 |
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木村 従来から、新規プロダクトの発掘や、売れているプロダクトを検証しアシストの取扱商材とするまでは実施してきました。今回のように、トレンドになりそうなものを分科会で研究し、プロダクトを発掘するという活動、また、お客様も交えてテストしたり、お客様とこんなビジネスができる、それにあてはまるプロダクトを探しに行くといった、これまでとは別のアプローチもできたらよいなと思っています。 |
※本記事は2024年4月にインタビューした内容に基づくものです。
本記事に記載された、当社意見、予測などは本稿作成時点における当社の判断であり
今後予告なく変更されることがあります。
※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
木村 貴史
CX本部(新事業共創推進室)
新事業共創推進室 室長 兼 Bダッシュ委員会 委員長
Bダッシュ委員会「DAO分科会」メンバー
詳細および執筆記事はこちら
板木 栄樹
CX本部(新事業共創推進室)
Bダッシュ委員会「DAO分科会」メンバー
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松山 晋ノ助
CX本部(新事業共創推進室)
アシストマイスター、Bダッシュ委員会「DAO分科会」メンバー
詳細および対談・執筆記事などはこちら
小山 雄貴
ビジネスインフラ技術本部(データベース技術統括部)
Bダッシュ委員会「DAO分科会」リーダー
肘井 寿治
西日本支社(営業統括部)
Bダッシュ委員会「DAO分科会」メンバー
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